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【勉強会】The QABALISTIC TAROT【+雑談】Part3

1名無しさん:2013/09/01(日)09:09:15 ID:WLZOCKjTP()
近代タロットの理解にはカバラの知識が必須であることは、割とよく
知られていると思います。
しかしなから、タロットの理解に必要なカバラの知識って、日本に
おいては、あまり紹介されていないのが現実なんですよね。

というわけで、タロットの理解に必要なカバラの基本的知識を得るために
以下の本を引用、翻訳、考察しながら、色々と勉強していきたいと思います。

書名:The QABALISTIC TAROT
   A TEXTBOOK OF MYSTICAL PHILOSOPHY
   カバラ主義のタロット
   神秘主義的哲学の教科書
著者:Robert Wang

※話題への、ソコはちゃうやろ的ツッコミとか、雑談とかは歓迎ですが、
教えて的な質問に答えたりとかは面倒なので、スルーする可能性が高いです。

前スレ
【勉強会】The QABALISTIC TAROT【+雑談】Part2
http://engawa.open2ch.net/test/read.cgi/uranai/1346550441/

【勉強会】The QABALISTIC TAROT【+雑談】
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/uranai/1341180469/

それでは、みんなでマターリいきましょう(^^)/
2名無しさん :2013/09/01(日)09:33:17 ID:WLZOCKjTP()
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
THE QABALAH
カバラ
--- ここまで ---

やっと本編にたどり着きましたね。

この本編の最初の「カバラ」の章では、主にカバラに関する基本的な知識と、カバラと
タロットとの基本的な関係について説明しています。

ちなみに、カバラ自体は、本を読めば理解できるような、単なる知識ではありませんし、
何か特定のことを練習したり実践すれば理解できるような技術でもありません。
いずれにしても、カバラのことを理解できるようになるためには時間がかかりますので、
焦らず挫けず、コツコツと継続して勉強し研究していくことが必要です。
ちなみに、ワタシも、まだまだ理解できているわけではありませんので、ワタシに色々と
聞いて知ろうとしても無駄であることを、最初に言っておきます。

なお、この章からは、いくつか図版が出てくるようになります。
諸般の事情により、図版の画像はアップロードできませんので、もし図版を見たい人は
原著を買うなり、(ここには書けないことを)してくださいね。
3名無しさん :2013/09/02(月)06:44:22 ID:3Zv3ikJdm
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
As understood today, the word Qabalah means a tradition or that which is received.
今日理解されているように、「カバラ」という言葉は、「伝統」あるいは「受け取られた
もの」を意味している。
--- ここまで ---

まず最初に、カバラという言葉の、元来の意味についての考察です。

「tradition/伝統」というのは、先祖や師から引き継がれてきた知恵であり、「受け取ら
れたもの」というのは、人からではなく、上位存在=神から引き継がれた知恵という
ような感じです。

いずれにしても、それなりに神秘と歴史を感じさせる言葉ですよね。

そもそも、聖書の世界、すなわちユダヤの歴史は相当に古く、紀元前2000年くらい前には、
民族として存在していたと考えられています。
そして、その民族の歴史と思想が、『旧約聖書』の中に綴られているのでした。

そして、「カバラ」という言葉の語源的には、聖書もカバラの範疇に含まれると考えても
いいということなんですよね。
現在では、「カバラ」と「聖書」は別々に存在していますが、本来は切り離して考える
ことは出来ないものです。

つまり、カバラを勉強していく上では、聖書に書かれている情報は不可欠なのです。
もし、まだ聖書を読んだことのない人がいれば、ちょっと長くて大変なのですが、
一読しておくことを、お勧めします。
4名無しさん :2013/09/03(火)06:44:46 ID:XYyr3R9pg
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
It also means a very specific system of metaphysics.
それはまた、形而上学の非常に特定の体系を意味している。
--- ここまで ---

現代においては、「カバラ」という言葉は、一般的にはユダヤ教をルーツとする神秘主義の
思想体系として使われています。

現代に生き残っている「カバラ」は、主に「ユダヤ教カバラ」と「魔術カバラ」ですが、
それぞれは、ルーツは同じですが、全く方向性が違いますので、一緒くたにしない方が
いいと思います。

そういえば、ユダヤ教をルーツとするのは、キリスト教やイスラム教などもそうですが、
これらを含めると、世界の人口の半分以上を占めてしまうという、世界的に見て最も
ポピュラーな思想体系であるわけです。
そういう意味では、ユダヤ教というのは、人類にとって割と普遍的な思想体系と言える
わけなのですが、その割にユダヤ教徒の数が少ないのは、また別の原因があるからと
いうことなんですよね。

もちろん、信者数の多い少ないが、宗教の優劣に繋がるということではありません。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、それぞれにマーケティング戦略があるわけです。

そういう戦略の違いについて、のんびり考えてみるというのも、いいのではないかと
思うのでした。

ちなみに、ワタシの現在の戦略は、「どこまで飽きずにカキコを続けられるか」という、
自分自身との戦いみたいな感じになってますね。←独り言状態なので、ちょっと飽きてきた
6名無しさん :2013/09/03(火)20:34:23 ID:xX/WtoSpO
マルチうぜーww
9名無しさん :2013/09/04(水)05:48:52 ID:Xbh4ahHcw
夏休みが終わったのに、変なマルチが沸いてるな・・・
10名無しさん :2013/09/04(水)06:45:06 ID:5/mr/FFcz
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
But in the ancient world "Qabalah" had a more general meaning, that of The Law.
しかし、古代社会においては、「カバラ」は、「律法」として、より多くの意味を持っていた。
--- ここまで ---

現代においては、「カバラ」という言葉は、非常に限られた狭い領域の神秘主義思想体系を
指し、限られた人々の間で研究され実践されていますが、古代においては、もっと広い領域
の意味で、より一般的な人々(ユダヤ教徒)の間で、「お約束」とか「決まりごと」みたいな
感じで、普通に使われていたということですよね。

つまり、元々はユダヤ教徒の社会においては、古来より直々に伝わる「先人の知恵」のような
ものであって、普通に日々の生活の中に存在し、普通に実践されているものだったのでした。
そして、ユダヤ人社会が歴史的に変化していく中で、その教えの中にある神秘的なものが
抽出され、長い年月をかけて神秘的に熟成させて出来上がったのが、現代における「カバラ」
ということなのですよね。

こういう「分野の専門化」って、「進化」として割と普通に見られる現象ですよね。
古来より直々に伝わる「先人の知恵」というのは、様々な専門分野に分化し発展していきます。
例えば、「先人の知恵」である「いにしえの魔術」は、今では「科学(物理学、化学、医学、
薬学、天文学など)」そして「儀式魔術」という分野に分化しています。
1つの「根」から枝分かれして、様々な葉や花をつける「進化樹」みたいな感じですかね。

そういえば、人間も、幼い頃はみんな同じような教育を受けていますが、年齢が進むにつれ、
専門的な分野の教育に分化していき、仕事も様々に分化していきますよね。
そして、うまく分化できた人は、進化した専門的な仕事に就くことが出来ますが、うまく
分化できなかった人は、進化していない一般的な仕事に就くということになります。

ちなみに、占いの分野では、うまく進化できなかった人が多いような感じです。
他に専門的に出来ることが無くても、古来より伝わる口先だけの技術で商売できるのが、
占い業界の強みですからね。
11名無しさん :2013/09/05(木)06:37:11 ID:h5vDK41Jg
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
It could mean an oral law or it could be the law of Moses in the first five books
of the Bible, The Torah (called the Pentateuch in Greek).
それは口伝の律法を意味していても良かったし、もしくは、(ギリシア語では「五書」と呼ばれた)
「トーラー」、すなわち『聖書』の最初の5巻の「モーセの律法」であっても良かった。
--- ここまで ---

古代においては、「カバラ」という言葉は、より一般的な「律法」を指す言葉であって、
特殊な分野のものでは無かったということなんですよね。

ちなみに、伝説によれば、「トーラー」のネタは、神によりモーセに与えられ、それに
従って、モーセは聖書の最初の5巻(創世記、出エジプト記、民数記、レビ記、申命記)を
書いたということであり、それゆえ「トーラー」は「モーセの五書」とも呼ばれています。
もちろん、実際にモーセが「トーラー」を文書化したということではなくて、最初のうちは
ユダヤ教の僧侶である「ラビ」によって、口伝により後世に伝えられていたのですが、
ユダヤ教の宗教体系の根本であり重要な部分ですので、徐々に文書化されつつ改変され、
最終的な公式文書となったのは、紀元前500年くらい前だと考えられています。

そして、ユダヤ教の「律法」には、文書化され公式化された「モーセの五書」や
『聖書』とは別に、『聖書』には含まれなかった非公式の「律法」も数多く存在し、
それらの教えは「口伝の律法」や「非公式聖書」として、「ラビ」たちにより代々伝えられ、
後に「ミシュナー」や「タルムード」として、その一部が公開文書化されることになります。

なお、こういう「法」とか「ルール」というものは、人類が社会を形成し、意思疎通の
ために言葉を使い始めた時から存在すると考えた方がいいですよね。
人から人へと言葉により情報が伝えられていく中で、社会的ルールが洗練されて「口伝の
律法」という形で人々の間に広まっていくわけですが、それらが文字として「書かれた律法」
となるには、もう少し後の時代になって「文字」と「筆記媒体」が発明され普及していく
のを待たなければなりませんでした。

まあ、そういうわけで、古代において「カバラ」と呼ばれていたものは、かなり漠然と
していた概念であったということですよね。
12名無しさん :2013/09/06(金)06:58:42 ID:0hePENmbE
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
It was not until the twelfth century that the term assumed today's precise meaning.(*20)
その用語が今日の明確な意味を前提としたのは、12世紀になってからであった。(*20)
--- ここまで ---

ちなみに、(*20)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
20. Gershom Scholem, Kabbalah, New York, 1974, 5.
19. ゲルショム・ショーレム著、『カバラ』、ニューヨーク、1974年発行、5ページ。
--- ここまで ---
とあります。

つまり、12世紀となった時点で、「カバラ」という用語の「再定義」が行われたと
ショーレム氏は主張しているわけです。

今日においては、「カバラ」という用語は、前述のような「口伝の律法」という曖昧な
範疇ではなく、ユダヤ教をベースとした特定の神秘思想体系を指す言葉となっています。
これは、学術的にもある一定の定義が出来るようになり、勉学や研究の対象となって、
それなりに「カバラ」という概念が普及しているということですよね。

ちなみに、現代に通じるカバラの成立に関わる主要な文献として、以下の3つがあります。
・『Sefer Yetzirah/形成(創造)の書』3世紀以降
・『Sefer ha-Bahir/バーヒル(光明)の書』12世紀
・『Sefer ha-Zohar/ゾーハル(光輝)の書』13世紀

従来の一般的なユダヤ教神秘主義者の中から分化した、本格的なカバラ主義研究者が現れた
のは、12世紀になってからになります。
そして、これ以降、色々なカバラに関する研究が進み、多くの研究書が発刊されていきます。

まあ、「カバラ」って何となく古い思想のようにも思えますが、本格的な研究が始まってから、
まだ千年も経っていないのでした。
ユダヤ教が三千年、キリスト教が二千年の歴史を持つことを考えれば、割と新しい思想体系で
あるとも言えますよね。
13名無しさん :2013/09/07(土)08:18:44 ID:nMHbVC3bu
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
There are two separate schools of Qabalah, that of Judaism and that which is the
product of Italian Renaissance thought, termed the Hermetic Qabalah.
カバラの2つの異なる学派、つまりユダヤ教のそれと、ヘルメス主義的カバラと名付け
られたイタリアのルネサンス思想の産物であるそれ、がある。
--- ここまで ---

現代においては、「カバラ」には、基本となっている「ユダヤ教カバラ」と、ルネサンス
思想の影響を受けて独自に改変され発展した「魔術カバラ」というものが存在します。
(その中間の「キリスト教カバラ」は、事実上、魔術カバラに吸収合併されています。)

イタリアにおいては、ルネサンスは14世紀から始まっています。
ルネサンスの期間では、中世キリスト教の思想支配が緩くなり、様々な古典的な時代や
世界の思想が見直され、人々の文化や生活の中に取り入れられていきます。
ギリシア・ローマ時代に成立していたヘルメス主義思想も、15世紀になってから本格的に
西洋世界に復活しています。
そういう時代の中で、ユダヤ教世界で誕生したカバラも、キリスト教神秘主義やヘルメス
主義と混血し、新しくヘルメス主義カバラ、いわゆる魔術カバラが誕生したということ
なのでした。

要するに、ユダヤ教の先進的な宗教家の間で秘伝として伝えられていた「ユダヤ教カバラ」
の知識が一般社会に漏洩し、それを嗅ぎつけた物好きな連中が、それを元ネタにして、
より世俗的で実用的なものへと商業展開していったという、割とよくある経緯なわけです。

ちなみにワタシも、この世俗的な魔術カバラを元ネタにして、さらに世俗的かつ実用的な
ものへと応用していこうと目論んでいるのでした。
14名無しさん :2013/09/08(日)10:09:31 ID:fVxKSpwPZ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
A difficulty may arise here in that in any form of Qabalism God names are those of
the Old Testament, Hebrew is the essential language and the primary texts are those
of the Jewish tradition.
ここで、カバラ主義の神のどんな形態であれ『旧約聖書』のものであり、ヘブライ語が
本質的な言語であり、そして主要な原本はユダヤ人の伝統のものであるという点である
、という問題が発生するかもしれない。
--- ここまで ---

「ユダヤ教カバラ」も「魔術カバラ」も、その根本は「ユダヤ教」にあります。

つまり、「魔術カバラ」を理解しようとする人は、「キリスト教」や「イスラム教」を
理解しようとする人と同じように、原典である「ユダヤ教」と『旧約聖書』そして
「ヘブライ語」を理解しておくことが避けては通れないこととなっています。

このことは、「キリスト教」や「イスラム教」の素養のある西洋人であれば、さほど大きな
問題では無いのですが、「ユダヤ教」や「キリスト教」、そして「イスラム教」が普及して
いない日本においては、かなりのハードルになります。

ワタシの場合は、カトリック系の幼稚園出身なので、幼年期に少しだけキリスト教の思想に
触れた程度なのですが、たったそれだけの経験であっても、かなりの親和感はあります。
(というか、ワタシの宗教的な経験は、事実上それしか無いのでした。)

でも、ほとんどの日本人にとっては、この「西洋宗教的な親和的感覚の無さ」というものは、
かなりの深刻な問題、つまり「よそよそしさ」を感じる可能性があるわけです。

まあ、そういう親和的感覚の無い人は、近寄らない方がいい分野なのかもしれないですけどね。
魔術カバラ以外にも、様々な神秘主義思想がありますので、自分の感覚に合った体系を
選んでいけばいいと思うのでした。
15名無しさん :2013/09/09(月)06:48:45 ID:/tSL96GAH
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
Nevertheless, while Jewish and Hermetic Qabalah refer to the same literary sources,
there are striking differences in both textual interpretation and practical work.
それにもかかわらず、ユダヤ教カバラとヘルメス主義的カバラは、同じ文学的な源泉を参考と
しているとはいえ、原文上の解釈および実践的な作業の両方において、著しい違いがある。
--- ここまで ---

何度も言いますが「ユダヤ教カバラ」も「魔術カバラ」も、その根本は「ユダヤ教」にあります。
ユダヤ教カバラは、ユダヤ教の内部で発生しており、カバラの進化という点では、最も古い
体系です。
とはいえ、このユダヤ教カバラは、西洋文明の進化という時代の流れにうまく適応できず、
ゴールデン・ドーンの誕生した19世紀には、ほとんど衰退してしまっていました。
それに代わって、ユダヤ教カバラをキリスト教的に改変した「キリスト教カバラ」や、
それにさらにヘルメス主義を取り入れた「ヘルメス主義的カバラ」が流行していました。
ゴールデン・ドーンの魔術カバラの体系は、このヘルメス主義的カバラをベースとしており、
さらに近代的な思想体系を取り込んで進化し洗練された体系となっています。
ゴールデン・ドーンの近代化では、割と近代的な科学知識を持ち、リア充でもあった
ウェストコット氏の影響が割と大きい感じですね。
そして、ゴールデン・ドーンの団員は、割と高学歴な人も多いので、そういう「意識の高い
系」の団員も、次々と独自に研究して近代的な魔術理論を付け加えていった感じです。

さらに言うと、現代においては、さらに分化し進化した知識体系、すなわち科学的な見方と
いうものが発達していますので、科学的な見方を取り入れることで、さらに原文上の解釈
および実践的な作業の両方においての違いというものが出てくるのではないかと思います。
つまり、人が進化していくにつれて、今まで「神」であった領域を、科学の力で「人」が
侵食しているということですよね。
社会が進化し、知識や能力が増えるにつれ、「人の力」で出来ることは増えていきます。
小さな子供は、最初は親に教えてもらったり手伝ってもらったりしていますが、成長するに
つれて親の手を借りずに色々なことが出来るようになり、独り立ちしていくのと同じような
ことですよね。
16名無しさん :2013/09/10(火)06:45:38 ID:Ajyjju+pq
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
The most significant difference has to do with pictorial representation.
最も重要な相違点は、絵画表現についてであるとせざるを得ない。
--- ここまで ---

こういうユダヤ教カバラと魔術カバラの「最も重要な相違点」というのは、人それぞれに、
人それぞれの考え方があると思います。
美術系のウォン氏は、「最も重要な相違点」として、ここで「pictorial representation/
絵画表現」であると主張しています。

つまり、文字だけで挿絵も禁止とか、挿絵はOKとか、マンガ形態でもいいとか、パンツは
禁止とか、おっぱい禁止とか、性器は禁止とか、行為の描写は禁止とか、そういう業界の
自主規制みたいなものだということですよね。

ちなみにワタシは、この「絵画表現」の違いは「最も重要」というよりも、英語表現的な
「最も重要なものの1つ」という感じで捉えています。
ワタシとしては、「最も重要」なのは「許容度の広さ」かなぁ、と考えています。
許容度が広いので、近代的な考え方にも適合し、進化し、現代にも通用する思想体系では
ないかと考えているのでした。

ユダヤ教カバラの本を読んでも、あまりに複雑であり、難解というか考え方が古いというか、
文体自体が面白くないので、なんかこうピンと来ないものが多いんですよね。
わからないのなら、わかるまでひたすら修行しろと言われても、何そのブラック企業みたいな
考え方は…、とも思ってしまうのでした。

そういう意味では、魔術カバラの優れた「絵画表現」は、ワタシの直感的なものを刺激し、
興味を持たせてくれるものとなっています。
まあ、ワタシは文学者ではなく理系人間ですので、体質的に、何でも図に書いてみないと、
ピンと来ないというのもあるわけなんですけどね。
17名無しさん :2013/09/11(水)06:50:24 ID:kkL5ajE2H
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
Mosaic law forbids showing the human form: "It is likewise forbidden to draw a picture
of a man, even only the face of a man. . .
モーセの律法は、人間の形態を見せることを禁止している。:「それは、人の顔だけでさえも、
人の絵を描くことと同様に禁止される。・・・

However, only a full face is forbidden, that is, when it has two eyes and a nose,
but a profile is not forbidden."(*21)
しかしながら、正面の顔、すなわち、2つの目と1つの鼻を持つ場合だけが禁止され、横顔は
禁止されない。」(*21)
--- ここまで ---

モーセの律法では、『旧約聖書:出エジプト記』20:4において、「あなたはいかなる像も
作ってはならない」というように、二次元であれ三次元であれ、人物像だけでなく、当時の
神像として人気のある動物像なども、全て禁止しています。

ちなみに、(*21)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
21. Rabbi Solomon Ganzfried, Code of Jewish Law, New York, 1963, 51.
21. ラビ・ソロモン・ガンツフライド著、『ユダヤ律法の規則』、ニューヨーク、1963年発行、51ページ。
--- ここまで ---
とあります。

ラビ・ソロモン・ガンツフライド氏(1804-1886)は、ハンガリーのユダヤ教のラビ(ユダヤ教
指導者)であり、ユダヤ教の律法に関するいくつかの著作があります。

さすがに全ての人物像や動物像を禁止してしまうのは窮屈すぎるので、横顔や背後像など、
正面以外の像については大目に見るというのが、暗黙の了解となっているということですよね。

要するに、正面からはボカシを入れるとか、湯気や光線を追加するとか、カメラアングルを
工夫して見えないようにするとか、物理法則を無視した完璧ガードのミニスカートとか、
色々と描き手側で工夫しないといけないわけです。
要するに、上の如く下も然り、聖なるものの如く俗なるものも然り、つまり神の顔は、
エロ絵とほぼ同じ理屈で規制されなければならないということなのです。

さて、タロットカードに描かれている人物像とかも、この時点で完全にアウトなわけです。
もちろん、キリスト教においても偶像崇拝は禁止という建前なのですが、一般的には、
色々と屁理屈を付けて、守っていないというのが実態ですけどね。
イスラム教も、宗教的指導者の写真なんかを掲げている人々もいますので、結局のところ
一般の人々が生活する上では、きちんと守ることは難しいことではないかと思われます。
厳密に解釈すれば、テレビに映る人の正面顔にもボカシを入れないといけなくなってしまい
ますからね。
18名無しさん :2013/09/12(木)07:08:53 ID:9+WyW+DjJ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
Idolatry of any sort was a sacrilege, which may explain the reluctance of some Jewish
scholars to use even the Tree of Life in their publications. (*22)
いかなる種類の偶像崇拝であれ、神の冒涜であり、それは、一部のユダヤ人の学者が、彼らの
出版物の中で「生命の木」を使用することにさえも抵抗することを説明するであろう。(*22)
--- ここまで ---

ちなみに、(*21)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
22. It is also likely that some scholarly purists consider the diagram an unacceptable
later development.
22. 一部の学術的な純粋主義者が、その図式(生命の木)を、容認できない、より最近の
開発であると考えていることも、ありそうなことである。
--- ここまで ---
とあります。

まあ、文字表現に固執し、いかなる図像も拒否する「パソコン通信」にハマった旧世代とか、
「文字にしかハァハァできない特殊性癖」の人々が集まる板もありますからねぇ。
人には人それぞれの趣味があるとしか言えませんが、そういう自分勝手な趣味を他人に
押しつけて(規制したりして)こなければ、特に大きな問題は無いかと思っています。

ちなみに、カバラの「生命の木」は、その中に「人の顔や体」の概念を含んでいます。
もちろん、「ヘブライ文字」にも、「人の顔や体」の概念が含まれています。
「生命の木」や「ヘブライ文字」は、ミクロコスモス、マクロコスモスの両方に対応した
体系ですので、当然と言えば当然ですよね。
つまり、「生命の木」を図に描くことは、人体を描くことと同じというわけです。

この「偶像崇拝禁止」というのは、パンツ禁止とか乳首禁止というのに似ていますよね。
そして、規制や禁止により、妄想の幅を広げることが出来るという逆効果も出てきます。

ちなみに、DVDやBDのように、内陣にお布施を支払うことで、湯気というヴェールを
取り払うという宗教法人の経営戦略上の問題というのも、あったりします。
いつもは「秘仏」にしておくことで、年一回の「御開帳」が人寄せのネタになるという
ことですよね。

まあ何事もそうなのですが、こういう不条理な「規制」により、正常進化とは全く違う方向
へと物事が進化し発展していくことがあります。
自主規制の厳しさゆえに、「ユダヤ教カバラ」という品行方正で厳格な母親から、
「魔術カバラ」という自由奔放な娘が生み出されたというのは、歴史的な必然だった
のかもしれないですよね。
19名無しさん :2013/09/13(金)06:47:29 ID:bvQIcqvBg
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
But more important, when a Christian mystic or Hermetic Qabalist will produce a
pictorial vision as a "stepping off" point for inner exploration, the Jewish mystic
seeks a direct experience of pure consciousness.
しかし、より重要なことは、キリスト教神秘主義者あるいはヘルメス主義的カバラ主義者が、
内部の調査のための「開始」点として、絵画的幻想を生産するであろう場合でも、ユダヤ教
神秘主義者は、純粋な意識の直接の経験を捜し求めるということである。
--- ここまで ---

要するに、レベルが違うということですよね。

例えば、瞑想を始める時は、レベル1の初心者のキリスト教徒であれば具体的な三次元の聖像や
二次元の聖画を、レベル2の中級者の魔術師であれば象徴的なタロットやタットワや魔術道具
などの、直接目に見えるものや触れるものをベースにして、ハァハァするわけです。
その一方で、レベル5の上級者であるユダヤ教カバラ主義者は、そのような一般人が頼るような
安っぽい俗物的なオカズ類などは一切使用せず、ひたすら『聖書』という文字ベースのものを
自由自在に脳内活用してハァハァするという、とても高度なことをやるわけです。

カバラという「聖なるもの」ものは、実は「俗なるもの」と非常に密接な関わりがあります。
実のところ、文字情報ばかりで堅苦しくて難解で重厚な『聖書』は、カバラの「エロ目線」
変換メカニズムによって、文章だけのエロ小説としてだけではなく、色付きの「薄い本」化
することさえも可能となっているのです。

なんか、これって、すごいことですよね。
この○○目線変換メカニズムのテクニックさえ取得しておけば、『聖書』をソースにして、
どのようなジャンルの文学作品、絵画作品、映像作品でも、自由自在に創作することが
出来るようになるのです。
これこそが『聖書』が『本/The Book』と呼ばれる由縁でもありますよね。

そして、この効率的な目線変換を行うために必要なテンプレートとなっているのが、ユダヤ
民族が生みだした「ヘブライ文字」でありユダヤ教カバラ主義者が生みだした「生命の木」
なのですよね。

魔術カバラは、このユダヤ教カバラの「聖なるヘブライ文字」と「聖なる生命の木」を
ベースにして、さらにルネサンスのイタリアの産物である「俗なるタロット」を取り込む
ことで、完成形となっていくのでした。
こういう聖と俗のコラボって、マーケティング的には、すごい相補的効果があるんですよね。

ワタシは「聖を知り俗を知る」ということこそが、究極の知恵であると思っているのでした。
でも、そういう八方美人的な態度は、「聖だけ」とか「俗だけ」に拘る偏屈な人々からは、
中途半端だと叩かれるMの運命にあるのでした。
そういえば、Sの字の形とMの字の形って、なんかそれっぽく見えてきたりしますよね。(^_^;;
20名無しさん :2013/09/14(土)08:20:00 ID:pPStYC6t3
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
There are, of course, myriad other differences between Jewish and Hermetic Qabalahs,
not the least of which is the way in which the Divine Names are applied.
もちろん、ユダヤ教(カバラ)とヘルメス主義的カバラの間には、他にも無数の違いがあるが、
神名が適用される方法には少しも(違いは)無い。
--- ここまで ---

「not the least of 〜」の部分の訳には、いまいち自信がありませんが…。

確かに、ユダヤ教カバラの生命の木に配属されるヘブライ語表記の神名は、基本中の基本
ですので、魔術カバラにも、そのままの形でパクられています。
特許や著作権という概念の無い時代ですので、こういう本当に基本的な部分というのは、
早々に丸パクリしておくのって、とても大事なことではないかと思うのでした。

そして、こういう本当に基本的で大事な骨格部分は丸パクリしておいて、それ以外の割と
どうでもいい部分は解体して排除しておき、残ったスペースに、自分たちの必要なものを
色々と付け加えていくという、リメイク作業みたいなものですよね。

こうして、古くさくて廃れてしまったユダヤ教カバラは、最新流行のモダンな魔術カバラ
として、完全に生まれ変わって、歴史の舞台に再登場したのでした。
21名無しさん :2013/09/15(日)10:29:14 ID:L7qRbA28E
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
All of these differences are best understood in terms of the historical development
of western occultism.
これらの違いの全ては、西洋神秘学の歴史的発達の観点から最もよく理解される。
--- ここまで ---

「人に歴史あり、思想に歴史あり。」
神秘学などの思想体系をきちんと理解しようとすると、その最終理論を検討する前に、その
歴史的経緯について調べてみるというのも、割と重要だったりするわけです。
要するに、様々にリンクされている西洋神秘学の「ソース元」を順に辿っていくことで、
その源流となる思想要素を掘り出し、個々の要素毎に分析評価していくということなのですが、
実のところ、探れば探るほど、それらの思想が竜頭蛇尾というか、途中で話に尾ヒレが付いて
肥大化していくという過程が見えてきて面白いのでした。

とはいえ、その尾ヒレの部分とかも、結構面白かったりするわけです。
主役だけでなく、脇役キャラの情報についても、しっかりと事前に調査しておくことは、
ストーリーを色々と楽しむ場合には必要なことだと思うのでした。
22名無しさん :2013/09/16(月)09:04:32 ID:nZZc8hnG7
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 19) ---
It was around the second century A.D. that the Western Mystery Tradition began to
emerge, although presumably based on elements handed down from a very ancient,
and secret, oral tradition.
非常に古い秘密の言い伝えから受け継いだ要素に基く推定上ではあるが、「西洋神秘主義の
伝統」が出現し始めたのは、およそ紀元2世紀であった。
--- ここまで ---

ここの「the Western Mystery Tradition/西洋神秘主義の伝統」というのは、もちろん
「(ユダヤ教)カバラ」のことを指します。
つまり、「魔術カバラ」の源流である「ユダヤ教カバラ」が、さらに源流である「ユダヤ教」
から派生して具体的な形となってくるのが、紀元2世紀の頃ではないかということです。

2世紀の頃のヨーロッパは、紀元前27年に成立したローマ帝国が最も繁栄していた時期でした。
そして、選民思想を持つユダヤ教の教義もほぼ固まり、民族的な結束が増したユダヤ人たちは、
それまでにも何度かローマ帝国の支配者に対して反乱を起こしていましたが、132年の「バル・
コクバの乱」で完全に敗北して、イスラエルの地からも追放され、ナチス・ドイツのユダヤ人
迫害と同じレベルで、ユダヤ民族とユダヤ教への弾圧が強まった頃でもあります。

ちなみに、この2世紀の少し前には、イエスやその弟子たちが活躍して原始キリスト教が
非公式に広まっていった時期でもあり、4世紀にキリスト教がローマ帝国で公式化して
他宗教に対する規制が強化されるまでは、宗教面においては、結構カオスな時代でした。

ということで、次節からは、またしばらくは歴史の勉強となります。
なかなかカバラの中身の話にならないな〜と思っている人もいるかと思いますが、カバラの
知識を単なるピンポイントなものとせず、しっかりと理解して線や面として幅広く応用展開
し使いこなせる「知恵」とするためにも、歴史的な流れを理解しておくことは、とても
重要な課程だと思います。
タロット占いにおいても、過去・現在・未来という時間軸の流れを観ていくというのは、
基本中の基本ですしね。

というわけで、この「カバラ」の章の前半は、主にカバラの「歴史編」となっており、
後半から本格的に「理論編」が始まる構成となっているのでした。
23名無しさん :2013/09/17(火)05:51:33 ID:fi//hov9g
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 20) ---
ORIGINS OF THE QABALAH
カバラの起源
--- ここまで ---

ここから、「カバラ」の章の中での新しい節になります。

サブタイトルは「カバラの起源」です。
前のページの最後の文には、紀元2世紀頃に、「カバラ」が姿を現し始めたということが
書かれていましたが、まずはその辺りの初期の事情から探っていこうということですよね。

ちなみに、なぜ我々は歴史の勉強をしないといけないのか?
そして、なぜ結論だけではなく、その進化の過程までも勉強しないといけないのか?
ということは、皆さんも思いますよね。

人は、いきなり結論だけを与えられても、消化不良を起こしてしまい、自分の栄養として
吸収し、自分の血や肉として活用することは出来ないのです。
きちんと背景を知り、どういう事情があってそういう結論が導き出せたのかを知ることで、
興味を持ち、意味を理解し、他の事象にも応用することができるようになるのです。

物事には、基本的に「表の顔と裏の顔」というものがあります。
結論というものは、実のところ、かなり一面的なものでしかありません。
裁判所の判決においても、その結論に至る過程というものが重要視されます。
そして、頭の悪い人たちが、その「結論」だけを見て、あれこれと根も葉も無い妄言を
言いふらしたりすることも、ままあるわけです。

タロット占いで、カードの意味だけを覚えて占いをしても、それは単なる占い遊びであって、
いわゆるタロット占いとは言えないようなシロモノですからね。
いっそのこと、カードの意味を全く知らないままで占いをする方が、本来のタロット占いに
近いのではないかとも思ったりするのでした。
24名無しさん :2013/09/18(水)06:47:12 ID:fYMLbE1yU
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 20) ---
A great many Qabalistic works, even today, make the claim that the Qabalah was a body
of esoteric knowledge given to Moses on Mount Sinai, thus linking it to the very
inception of Jewish Law.
非常に多くのカバラ主義の著作物は、今日でさえ、カバラはシナイ山の上でモーセに与え
られた秘伝的な知識の集合体であり、それゆえ、「ユダヤ人の律法」のまさに始まりの時
と連携していた、という主張を著している。
--- ここまで ---

「カバラの起源」についての噂話は、色々とあります。

この主張は、モーセが神より与えられた知識を基に「トーラー」を書いた時が、「ユダヤ教」
の始まりの時であり、その時に「書かれたもの=聖書」と「書かれなかったもの=カバラ」と
いう関係で、「ユダヤ教」と「ユダヤ教カバラ」が同時に誕生したということですよね。
まあ、出生時に、こういう表の顔を持つ兄と裏の顔を持つ弟の双子が生まれるという
厨二病な脚本というのは、実にありふれた設定でもあります。

なお、上記の主張は、それっぽい感じもあり、まだマシな方なのですが、いずれにしろ
大した根拠は無く、ほとんど憶測というか妄想レベルの話です。
ちなみに、このモーセが活躍していた時期は、紀元前13世紀の頃ではないかと
言われていますので、相当に昔の話ですよね。
25名無しさん :2013/09/19(木)06:38:56 ID:vHiqBzhbi
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 20) ---
The suggestion is that God dictated the five books of the Bible to Moses, and then
provided a secret key for their interpretation.
その提言は、神がモーセに『聖書』の5巻の本を口述し、その後にそれらの解釈のための
秘密の鍵を与えたということである。
--- ここまで ---

「カバラの起源」についての噂話は、色々あります。

つまり、『聖書』の最初の5巻である「モーセ五書=トーラー」は、神から人であるモーセに
口述で伝えられた『暗号文書』であり、それだけを読んでも本当の意味はわからない。
でも、それと同時に「カバラ」という神から人であるモーセに口伝で与えられた「秘密を
解く鍵」を用いて『聖書』を読み解くことにより、人類が決して知り得ないような「神の
知識と知恵と力」が、そこから得られるということですよね。

確かにこういうのは、厨二病的いや魅力的なストーリーではありますが、残念ながら、
過去のカバラ主義者も、ゴールデン・ドーンの魔術師であるマサース氏もウェイト氏も
クロウリー氏も、一般人の目に見えるレベルで「神の知識と知恵」を解き明かした人の
ようには思えないのでした。

つまり、「カバラ」を習得することにより得られる「神の知識と知恵と力」というのは、
かなり限定的なものであり、一般人にとっては「すこぶるどうでもいい」ものではないか
という推定も可能ではないかと思うのでした。

でも、ユダヤ人って、知能レベルが比較的高く、科学の世界では次々と「神の領域」を
解き明かしている、とても優秀な民族なんですよね。
そして、その要因の1つとなっているのは、「ユダヤ教」と、この「カバラ」という神秘
思想であることは、決して否定できないのではないかと思ったりしているわけなのでした。

あ、でもワタシは、決して有名人になりたいというわけではないんですよね。
それよりも、このリアル世界において、見えないものがあれば見てみたい、覗いてみたい、
触れてみたいという、痴的好奇心というか、すこぶる変態さん的な欲求があるわけなのでした。

まあ、最先端の科学者もですけど、本当にエロい人々なんて、みんな変態さんなんですけどね。
26名無しさん :2013/09/20(金)06:30:44 ID:I+AdcHMN8
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 20) ---
Another tradition (popularized in the fifteenth century) and the one taught by the
Golden Dawn to its members, stated that the Qabalah was first provided by angels
to Adam, as the means of return after the Fall.
(15世紀に普及した)別の伝説、そしてゴールデン・ドーンによりその団員に教授された
ものは、「カバラ」は、「堕落(楽園追放)」の後の帰還の方法として、天使によりアダムに
最初に与えられたと述べていた。
--- ここまで ---

もう1つの「カバラの起源」の伝説は、前述の「モーセの時代」説よりさらに古く、
アダムとイブの時代、すなわち人類誕生時にまで遡ります。
とにかく、もうこれ以上は無理というところまで話を展開させていますよね。(苦笑)
人は、考古学的な価値のありそうなものについては、とにかく古いものを珍重します。
古ければ古いほど希少価値があり、それゆえに人気が高くなります。

つまり、近年に作られた贋作を、「これは4000年前の○○で作られた由緒正しい歴史のある
ものだ」とか何とか言いくるめて、知らない人から金を巻き上げるという詐欺商売にも
繋がるわけです。

いずれにしろ、こういうのはあくまでも伝説ですので、「そういう話もあるよね〜」といった
オトナの対応をしておけばいいと思うのでした。
変に信じたり疑ったりすると、色々と(カバラの勉強とは何の関係も無い)証拠集めを
しないといけないので、面倒臭いということなのでした。
でも、アレな人達って、こういう出自に関する噂話って、大好きなんですよね〜。
普通に考えれば、絶対にありえないような話であっても、どこぞのゴシップ雑誌みたいに、
ネタとして面白ければ、大した根拠も無く、広めてしまいますからね〜。

というわけで、真実と妄想、理想と現実は、しっかりと分けておきたいと思うのでした。
27名無しさん :2013/09/21(土)08:17:11 ID:PMKTwYDK/
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 20) ---
MacGregor Mathers quoted from Christian Ginsburg in his introduction to The Kabbalah
Unveiled:
マクレガー・マサース氏は、彼の『ヴェールを脱いだカバラ』の序章において、クリスチャン・
ギンズバーグ氏から以下のように引用した:
--- ここまで ---

クリスチャン・ギンズバーグ氏(Christian David Ginsburg, 1831-1914)は、ポーランド出身の
イギリスの聖書学者で、15歳の時にユダヤ教からキリスト教に改宗していますが、旧約聖書の
原典となるヘブライ語聖書の研究者であり、聖書やカバラに関する本をいくつか書いています。
ちなみに、宗教的な束縛の多いユダヤ教徒としてではなく、縛りの薄いキリスト教徒となって、
ちょっと客観視する立場の方が、こういうものは研究しやすいのかもしれませんね。

なお、以下に引用されている文は、ギンズバーグ氏の『The Kabbalah/カバラ』という
タイトルで1863年に書かれた小論文から引用されたものです。

ちょっと長いのですが、諸般の事情を考慮する必要が無いので、一気に翻訳しておきます。
28名無しさん :2013/09/22(日)12:27:11 ID:5pfmqNKsh
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 20) ---
The Kabbaah was first taught by God himself to a select company of angels, who formed
a theosophic school in Paradise.
「カバラ」は、天使の中で選ばれた一団に、神自身により最初に教えられ、彼ら(選ばれた
天使たち)は天国の中に神知学の学院を作り上げた。

After the Fall the angels most graciously communicated this heavenly doctrine to
the disobedient child of earth, to furnish the protoplasts with the means of returning
to their pristine nobility and felicity.
「堕落(アダムとイヴの楽園追放)」の後、天使たちは最も恵み深く、地上の不従順な子へと、
彼らの原始の高貴と至福に戻る手段を備えた原形体を供給するために、この天の教義を伝達した。

From Adam it passed over to Noah, and then to Abraham, the friend of God, who emigrated
with it to Egypt, where the patriarch allowed a portion of this mysterious doctrine
to ooze out.
それ(天の教義)は、アダムからノアへ、その後、神の友人であるアブラハムへと引き渡され、
彼(アブラハム)はそれを携えてエジプトに移住し、その(エジプトの)地において、
(アブラハムとその子孫の)族長は、この神秘的な教義の一部が漏出することを許可した。

It was in this way that the Egyptians obtained some knowledge of it, and the other
Eastern nations could introduce it into their philosophical systems.
このようにして、エジプト人たちは、それ(天の教義)についてのいくらかの知識を得て、
他の東洋諸国は彼らの哲学体系の中へそれを導入することができた。

Moses, who was learned in all the wisdom of Egypt, was first initiated into the Qabalah
in the land of his birth, but became most proficient in it during his wanderings
in the wilderness when he not only devoted to it the leisure hours of the whole forty
years, but received lessons in it from one of the angels.
エジプトのあらゆる知恵に精通していたモーセは、彼の誕生の地(エジプト)において、
カバラを最初に伝授されたが、彼の荒野での放浪の間に、その時に彼がそれに全40年の間、
余った時間を捧げただけでなく、天使の1人からその授業を受けることで、それにとても
熟練するようになった。

By the aid of this mysterious science the law-giver was enabled to solve the difficulties
which arose during his management of the Israelites, in spite of the pilgrimages,
wars, and frequent miseries of the nation.
この神秘の技の助けを借りることにより、律法授与者(モーセ)は、(エジプトから約束の
地カナンへの)聖地巡礼、(幾多の)戦争、および(ユダヤ)民族の頻繁な苦難にもかかわ
らず、彼の古代イスラエル人の管理の間に発生した障害を解決することを可能とされた。

He covertly laid down the principles of this secret doctrine in the first four books
of the Pentateuch, but withheld them from Deuteronomy.(*23)
彼(モーセ)は、ひそかに「モーセ五書」の最初の4巻の中に、この秘密の教義の原理を
蓄えていたが、『申命記』には、それらを与えないでおいた。(*23)
--- ここまで ---

(次に続く)
29名無しさん :2013/09/22(日)12:34:45 ID:S+LCHIy7d
(前の続き)

ちなみに、(*23)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
23. S.L. MacGregor Mathers, translation of Knorr von Rosenroth’s The Kabbalah Unveiled,
London, 1957, 5-6. See also Christian D. Ginsburg, The Kabbalah, London 1925, 84.
23. S.L.マクレガー・マサース著、クノール・フォン・ローゼンロート著『ヴェールを脱いだ
カバラ』の翻訳、ロンドン、1957年発行、5-6ページ。
また、クリスチャン・D・ギンズバーグ著、『カバラ』、ロンドン、1925年発行、84ページ、も参照。
--- ここまで ---

ちょっとややこしいので整理しておきますと、例えば日本語訳の『ヴェールを脱いだカバラ』
には、色々な人の原稿が混ざっています。

1.はしがき: 判田格邦訳、モイナ・マサース著(1926年)
2.序説: 判田格邦訳、マサース著(1887年)、ギンズバーグ著『カバラ』(1863年)より一部を引用
3.ゾハール本文: 判田格邦訳、マサース英訳、ローゼンロート著『ヴェールを脱いだカバラ』(1684年)
4.邦訳者解説・他: 判田格著(2000年)

クノール・フォン・ローゼンロート氏(Christian Knorr von Rosenroth, 1636-1689)は、
ドイツのキリスト教徒のヘブライ語学者でありカバラ研究者です。
当時は、厳格なユダヤ教カバラが徐々に衰退し、キリスト教の影響を受けたカバラが
再構築されて広まっていった時代でもあります。
ローゼンロート氏の『Kabbala Denudata/ヴェールを脱いだカバラ』は、1684年に発行され、
キリスト教の公用語であるラテン語で書かれています。
元々の『ゾーハル』は、当時のユダヤ教徒の国際公用語であるアラム語で書かれています
ので、アラム語(ユダヤ教カバラ)→ラテン語(キリスト教カバラ)→英語(魔術カバラ)
→日本語(なんちゃってカバラ)という変遷を経て、日本に伝来し、その長い道程において、
様々な枝葉の章や別の解釈や誤訳が付け加えられていっているわけです。
そして結局のところ、この邦訳本を読んだだけでは、最初に書いた人の意図というのは、
よくわかんなくなっている可能性が高いんですよね。

でもまあ、最初に書いた人の意向がどうであれ、読者がそこから何かを得るものがあれば、
それはそれで価値があるのではないかとも思いますので、最初から「どうせ意味が無い」
などと言い訳せずに、とりあえず読んで考えてみるのもいいんじゃないかと思うのでした。

ちなみに、ある伝説によれば、「モーセ五書」のうち、『創世記』『出エジプト記』『レビ記』
『民数記』はモーセ自身が書き、『申命記』にはモーセの死の記述があるため、モーセ自身
ではなく、その息子であり後継者であるヨシュアにより書かれたとされています。
まあ、「モーセ五書」を誰が書いたかをマジメに詮索すること自体が不毛であると思うので、
ここは深くは追求しない方がいいのではないかと思うのでした。

そもそも、前レスで引用されているギンズバーグ氏の引用の内容自体が、全く根拠の無い、
妄想というか願望みたいなものですので、「そういう話もあるんだ〜」(大並感)という
くらいの対応でいいとも思うのでした。
30名無しさん :2013/09/23(月)09:32:19 ID:X/BX26gPu
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 20) ---
It is perhaps sad, but this charming story bears no relationship to historical fact,
the Qabalah having emerged as the result of a long and complex developmental sequence
beginning with Merkabah Mysticism.
おそらく悲しいことではあるが、この魅力的な物語は、「メルカバ神秘主義」で始まる長くて
複雑な発展過程の結果として出現した「カバラ」の史実との関係を持っていない。
--- ここまで ---

まあ、このテの話は、こういう業界では良くある「根も葉もないデマ」ということです。

つまり、この話を信じる必要も根拠も無いのですが、これはこれで「charming story/
魅力的な物語」ですので、話のネタとするには、いいのではないかと思います。
ゴールデン・ドーンにおいては、学問的な正確さよりも、ネタ的な面白さというものが
重要視されていますので、こういう「電波系物語」を敢えてゴールデン・ドーンにおける
「カバラの正史」として採用したということですよね。

でも、こういうゴールデン・ドーンの遊び感覚を重視する運営姿勢に対しては、マジメに
カバラなどの神秘主義を勉強している人の中には、ウェイト氏やショーレム氏などのように、
あまり楽しめない人々もいたわけですよね。

とはいえ、神秘主義というシロモノは、これが絶対完璧の正解というものがなかなか言い
にくいものであり、それぞれの立場というか見方というか使い方が違うわけですので、
どれが正しくてどれが間違いと断言してしまうってのは野暮ってものですよね。

つまり、こういう場合も、「そういう話もあるよね〜」といったオトナの対応をしておけば
いいと思うのでした。

いやぁ、ワタシも人間的にオトナに成長してますなぁ。(笑)
31名無しさん :2013/09/24(火)07:02:50 ID:8aC/hFkZL
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 20) ---
Merkabah, meaning "chariot," was the earliest form of Jewish mysticism, preceding
the Qabalah.(*24)
「戦車」を意味する「メルカバ」は、「カバラ」に先行するユダヤ教神秘主義の最も初期の
形態であった。(*24)
--- ここまで ---

ちなみに、(*24)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
24. Gershom Scholem, Major Trends in Jewish Mysticism, New York 1977,
24. ゲンショム・ショーレム著、『ユダヤ教神秘主義の主要動向』、ニューヨーク、1977年発行。
--- ここまで ---

ユダヤ教の起源は、『旧約聖書』を読めば何となくわかると思うのですが、基本的な部分は、
エジプト生まれのエジプト育ちでエジプト王家と関係の深い「モーセ」なる人物が、巨大な
組織国家であるエジプトの政治宗教体系をパクって、いやいや参考にして、流浪民であった
ユダヤ人に合うように書き換えたものではないかと思われます。
そして、最初は、当時のエジプトの秘儀とかも一緒に伝えられ、ダビデ王やソロモン王などの
頃には、政治と宗教と神秘主義が一体化した古代イスラエルは、それなりに成功していたの
ですが、神秘主義は一子相伝の口伝であったため、古代イスラエル国家の衰退と共に、文書
などの証拠を残さずに、消滅してしまったのではないかと思われます。

その後、国家を失い離散したユダヤ民族は、様々な地方へと逃れていくのですが、当時の
地中海地方では、様々な密儀が流行しており、経済的にも安定してきたユダヤ民族は、
その最新流行のファッションを取り入れて、エジプト風の中央集権官僚聖職者限定の古代
ユダヤ教神秘主義とは全く違う、少々俗化した、都市国家的な新しいユダヤ教神秘主義を
生み出していきます。
つまり、現在伝えられているユダヤ教カバラは、ここが原点であるということです。

まあ確かに、モーセの伝えた古代エジプト起源の方が、古くて神秘的で魅力的ではあるの
ですが、現実に目の前にあるカバラは、そういう古いものではなくて、割と新しい時代に
なってから創作されたものであるということですよね。

これって、残念に思いますか?
ワタシは「物の価値を中身ではなく古さだけで判断している人」にはなりたくはないです。
何事もそうなのですか、中身が大事、そして実際に使えるかが大事なのですよね。
32名無しさん :2013/09/25(水)06:58:35 ID:OQEWKf34W
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 20) ---
The Chariot was that which carried the Throne of God as described by the Prophet
Ezekiel, the Throne World, to which the Jewish Mystic aspired being the counterpart
of the early Mysteries of Hermeticism and Christian Gnosticism.(*25)
「戦車」は、予言者エゼキエルによって記述されるように「神の王座」を運んだものであり、
ユダヤ教神秘家が熱望した「王座の世界」は、ヘルメス思想およびキリスト教グノーシス主義
の初期の秘法の相当物である。(*25)
--- ここまで ---

ちなみに、(*25)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
25. Scholem, Major Trends, 44.
24. ショーレム著、『主要動向』、44ページ。
--- ここまで ---

ちょっと省略されていますが、直前の引用と同じく『Major Trends in Jewish Mysticism/
ユダヤ教神秘主義の主要動向』からの参照ですね。

この「戦車」や「王座」の話は、『旧約聖書』の「エゼキエル書」に記述されています。
ちなみに、この書は、紀元前597年の第1回バビロン捕囚の際の出来事を記述していますので、
それ以降に成立したものと考えられます。

エゼキエル書の成立当時は、ユダヤ教神秘主義は、まだあまり発達してはいませんでしたが、
ユダヤ人国家が滅亡し、民族が世界各地に離散していき、そして各地にある各宗教の神秘主義
に交わって、それらの要素をパクりながら、いやいや参考にしながら、ユダヤ教神秘主義と
いうものが育っていったというのが、大体の経緯ではないかと思います。

まあ、様々な苦労を抱えながら、新しい民族との交流の中で、こういう新しい世代の文化が育って
いくというのは、よくある話ですよね。
そして、文化の流れは、特権階級から一般階級へ、そして聖から俗へと下流に向かって
流れていくのが、自然な流れとなるわけです。

ワタシは、一般階級に情報公開する「俗化」というものは、悪い意味では捉えていません。
逆に、特権階級に情報を集約する「聖化」というものには、何か良くないものを隠してるん
じゃないかという疑いを持つため、何となく嫌悪感を感じてしまうのです。

そういうこともあって、こういうストレスフリーな掲示板というのは、ワタシにとっては、ちょっと
居心地が良かったりするわけなのでした。←単なるワガママとも言う
33名無しさん :2013/09/25(水)14:36:20 ID:g3+fEs766
最近、ケイオス・タロットというのを購入しました
タロットを買ったのはかなり久しぶりだったので、ひとりもりあがってw、
こちらの掲示板にたどりつきました。「The Qabalistic Tarot」、名著ですね
わたくしの本棚にもとりあえずありますwww がんばってください!!
34名無しさん :2013/09/26(木)06:50:15 ID:dGPKFYZQe
>>30
なんか久々のお客様ですね。(^^)/
ワタシは、近頃ほとんどタロットを買わなくなってしまいました。
でも、本の量は、相変わらず増えていますけど。w

「The Qabalistic Tarot」は、間違い無く名著ですよね。
なんでこういう本格的で正統的で海外での評価の高い著作が、日本で
翻訳出版されなかったのかが、いまだにわからないくらいの名著です。
でもまあ、これは供給者側の出版業界の問題というより、需要者側の
占い業界の問題ということなのかもしれませんけどね。

とりあえず、これからもボチボチと頑張りますので、これからも何か
ありましたら、ツッコミよろしくお願いします。 (^_^)/
35名無しさん :2013/09/26(木)06:52:27 ID:dGPKFYZQe
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 20) ---
The second century witnessed the merger of a great many trends, and Scholem states
flatly that: "The Kabbalah in its historical significance, can be defined as the
product of the interpenetration of Jewish Gnosticism and neoplatonism." (*26)
2世紀は、非常に多くの流行の合併を目撃し、そしてショーレム氏は、それを以下のように
きっぱりと述べている。:「その歴史的重要性における「カバラ」は、ユダヤ教のグノーシス
主義および新プラトン主義の相互浸透の産物として定義することができる。」(*26)
--- ここまで ---

ちなみに、(*26)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
26. Scholem, Kabbalah, 46.
26. ショーレム著、『カバラ』、46ページ。
--- ここまで ---

「Gnosticism/グノーシス主義」は、紀元1世紀の頃から始まった、宗教的な思想体系です。
ちょっと神秘的というか色々と難しすぎて、よくわかんないのですが、なんとなく従来の
正統的な哲学思想に対して、いわゆるアンチ的というか異端的な考え方をする人が集まって
ワイワイやっているような感じです。

「neoplatonism/新プラトン主義」は、エジプト出身でローマで活躍した哲学者である
プロティノス氏(Plotinos,205?-270)が始まりとされる哲学思想で、古代ギリシアの偉大な
哲学者プラトン氏(BC427-BC347)の思想体系を元にしたふりをして、かなり独自の解釈を
したものとなっています。

いずれにしても、従来の哲学思想の中から、新しい神秘思想体系の流れが出てきたのが、
この2世紀という時代であり、そういう思想的にカオスチックな流れの中で、歴史と由緒の
あるユダヤ教の中にも、「カバラ」という新星が産まれて輝きだしたということですよね。

新しいものを産み出すには、いつの時代でも、安定ではなく変化する環境が必要です。
でも、実のある変化を起こすには、昔からある基礎を知らないといけないのも確かですよね。
口先だけで変化を求める人は多いのですが、本当に変化をしたいのであれば、まずは基礎を
しっかりと勉強してほしいとも思うのでした。
36名無しさん :2013/09/27(金)06:59:29 ID:G62aDnAzS
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
In the late-Roman/early-Christian period were found Christian Gnosticism, Jewish
Gnosticism, Neo-Platonism, Neo-Pythagoreanism, Hermeticism (pseudo-Egyptian
religion) and many obscure cults, all interpenetrating in subtle ways.
後期古代ローマ帝国/初期キリスト教の時期には、キリスト教グノーシス主義、ユダヤ教
グノーシス主義、新プラトン主義、新ピタゴラス主義、ヘルメス主義(偽のエジプト宗教)、
および巧妙な方法で全てを相互浸透している、多くの世に知られていない狂信的教団が
見つかっていた。
--- ここまで ---

紀元1世紀の頃から、392年にキリスト教が古代ローマ帝国で国教化される頃までは、
ローマ帝国が地中海地方をほぼ完全に統一支配しており、人や物資、そして思想面での
国際的な交流が盛んになっていた時期でもあります。
そして、肥大化して腐敗が始まっていた古代ローマ帝国は、国家としての管理がルーズと
なって、内乱や外部からの異民族の侵入などに悩まされることになり、その結果、各地で
かなり自由奔放で革新的な思想が、数多く出てくるようになりました。

まあ、自由奔放すぎて、色々とわけわからないものも数多くあるわけで、そういう流れの
中で、キリスト教というカルト教団が成長していき、そしてキリスト教の『新約聖書』の
元となる原稿も数多く創作されていったということでもあります。
そして、結果的に『新約聖書』という正典になれなかった文書も、外典や偽典として、
今でも神秘主義の世界ではよく参考にされています。

つまり、何が言いたいかといいますと、キリスト教の真の姿というのは、当時の幻想的
神秘主義思想の集大成であって、『新約聖書』は実際にあった歴史を綴ったものではなく、
宮崎アニメみたいに、ほぼフィクションであるということです。
いってみれば、『新約聖書』もゴールデン・ドーンの魔術書も、その魔術的なネタとしての
レベルは、ほとんど同等だということでもあります。

でも、フィクションであるから、人の役に立たないということではないですよね。
フィクションであるからこそ、人の心を引きつけることも、よくある話なわけです。
つまり、現実の三次元とフィクションの二次元という次元の違う世界を、うまく使い分けて
いくことこそが、賢い人間には必要なスキルではないかと思うのでした。

でもやっぱり二次元はいいよね〜。
37名無しさん :2013/09/28(土)20:31:22 ID:0o6dxu6sC
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
Jewish mysticism of this time is discussed by Scholem in his pioneering study, Major
Trends in Jewish Mysticism, while the Christian developments have been chronicled,
in a readable way, by Elaine Pagels in The Gnostic Gospels.
この当時のユダヤ教神秘主義は、ショーレム氏により、彼の先駆的な研究論文である『ユダヤ教
神秘主義の主要動向』において論じられており、その一方で、キリスト教の発展は、エレーヌ・
ペイゲルス女史により『グノーシス主義の福音書』において、わかりやすい方法で年代順に
記述されている。
--- ここまで ---

エレーヌ・ペイゲルス女史(Elaine Pagels, 1943-)は、現役のアメリカの宗教歴史家であり、
初期キリスト教に関する興味深い著書がいくつかあります。
この1979年に発行された『The Gnostic Gospels/グノーシス主義の福音書』は、割と初期の
作品で、この邦訳版が『ナグ・ハマディ写本―初期キリスト教の正統と異端』(1982年発行)と
いうタイトルで出版されているようです。

ショーレム氏の『Major Trends in Jewish Mysticism/ユダヤ教神秘主義の主要動向』も、
いくつかの邦訳版が出ています。

そういえば、邦訳版のタイトルって、原著のタイトルとかけ離れたものって、結構ありますよね。
洋書や洋画を楽しんでる人にとっては、この違いは、結構戸惑うものもあると思います。
趣味的なものはともかく、学術的なものは、できたら原題も併記しておいてもらうと、
色々と調べ物をする時なんかは、助かるんですけどね〜。

日本の文化面での国際化って、そういう意味では、まだ少し先のような感じもしてます。
38名無しさん :2013/09/29(日)11:13:14 ID:xjBfphHTM
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
These scholars trace the actual sources of ideas, disputed for generations, which
are the basis of the modern Hermetic Qabalah.
これらの学者らは、何世代にもわたって議論され、現代の「ヘルメス主義的カバラ」の基礎
となる、(種々の神秘)思想の実際の情報源を解明している。
--- ここまで ---

紀元1世紀の頃から、文字媒体となる紙は、エジプトの特産品であるパピルスに代わって、
他の地方でも現地生産できる、丈夫で劣化しにくい羊皮紙が、リーズナブルな値段で生産
されるようになっていきます。
ペイゲルス女史の研究していた「死海文書」も、この長期保存可能な羊皮紙に書かれていた
ため、2000年後の現代において、鮮やかに蘇ることが出来たというわけです。
あと、『新約聖書』の中に出てくる手紙類も、この羊皮紙に書かれていたようです。
ちなみに、羊皮紙は「動物の皮」で作られた皮紙類の総称であり、ヤギや子牛の皮なども、
広く使われています。

考古学的な検証には、何より証拠となる事物が大事なのですが、思想的な証拠という面では、
直接、紙媒体に残された文字情報が、何よりも信頼できるものです。

逆に言うと、考古学的な検証では、この時代より前の社会的な出来事を検証するのには、
当時の一次文字情報が一気に減少するため、かなり大変になります。
結果的に、後世の時代の作家が伝聞した二次情報に頼ることになり、どうしても不確実性が
増してくる、つまり「推定」や「デッチ上げ」が入ってしまいがちということですよね。

そして当時は、こういう様々な要因が重なっていき、後世に大きな影響を及ぼすような新たに
再構築された思想体系が、安価かつ大量かつ正確に文書で後の世代へと伝えられるように
なっていったということなんですよね。
つまり、この「羊皮紙の発展」による紙媒体の本格的な普及は、いわゆるひとつの情報革命
でもあったというわけですよね。
39名無しさん :2013/09/30(月)06:35:46 ID:W54W4CYva
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
What is important to recognize is that one need not invoke the smoke screen of
"secret oral tradition" in most aspects of the Mysteries.
認識しておくべき重要なことは、人は「神秘的教義」のほとんどの様相における「秘密の
口承の伝統」の煙幕を発動する必要は無いということである。
--- ここまで ---

必要が無いというよりも、きちんとした考古学的な学問として考察するには、「口伝」
みたいな曖昧なものは、なるべく排除しておかないといけないのですが、でもまあ、
しょせん人間のやることですので、「噂話」的なものというか「本人の思い込み」という
ものは、この神秘考古学の犯人の追跡捜査の世界においても、なかなか完全には取り除く
ことのできない、やっかいな誤認逮捕の要素となっています。

とはいえ、神秘学に限らず、どのような学問や技術や芸術の分野であれ、口伝は存在します。
ましてや、紙が貴重な時代においては、口伝が世代間の情報継承においては重要な役割を
果たしていたことは、否定できません。

それでも、そういうものが客観的事物として残されていなければ、証拠にはならないという
ことであり、ちょっと窮屈ではありますが、正しく歴史をたどっていく上では、きちんとした
証拠資料を積み上げて、進化のストーリーを再構築していくというのは、学者として必要な
態度ではないかと思うのでした。
まあ、中には根も葉もない妄想を垂れ流して無知な人々の人気を集める、芸能界&ゴシップ界に
住む学者風の人々もいますけど、そういうものとは一線を画すということですよね。

神秘学の世界って、確かに「よくわかんないこと」も多く、それゆえに「自分勝手な理論」
というか「独りよがりな妄想」が横行しがちな業界なのですが、神秘学といっても、しょせん
人間のやっていることですので、普通の社会的&文化的な歴史を探る考古学の対象とする
ことが充分に可能なのです。
つまり、きちんと歴史を勉強する気があれば、それらの考古学的情報は比較的簡単かつ大量に
入手できる時代になっているわけなのですが、残念ながら、この日本には、西洋神秘学に
関する正しい知識というものは、ほとんど知られていないというのが現状だったりするわけ
なのでした。
40名無しさん :2013/10/01(火)06:42:22 ID:rh2p0PN2m
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
The majority of those who have contributed to the Qabalah have been very explicit
about their work and its sources.
「カバラ」に寄与した人々の大多数は、彼らの著作とその情報源について非常に明示的で
あった。
--- ここまで ---

とはいえ、明示的な性格の人の方がより多く、著作という文字情報として後世に残したと
いう面も否めないですよね。
実際には、カバラの発展に寄与した人には、明示的でない性格の人の方が多かったと思い
ますし、そういう人は積極的には文字情報を残さなかったと思うのですが、そういう場合
でも、明示的な性格の友人や弟子が、明示的でない人の記録を、伝記みたいな形で残して
くれていたりしますので、それはそれで参考になります。

ちなみに、ゴールデン・ドーンにおいては、神秘学研究家であったウェイト氏は、出所を
明示し、出所が曖昧なものは切り捨てるタイプの人でしたので、見た目重視で捏造ネタが
横行するゴールデン・ドーンにおいては、なかなか折り合いが悪かったと思うのでした。

そもそも、生命の木やヘブライ文字とタロットの関係なんて、文献をたどっていけば、
しょせん後世のデッチ上げでしかないのは明白なのですが、そういう経緯を知った上で、
それを「捏造された黒歴史」と否定的に捉えるか、「新しい解釈の発見」と見るかは、
人それぞれなわけです。

紙の発明、印刷技術の発展、そして通信手段の発達により、私たちの回りに様々な情報が
溢れるようになりましたが、結局のところ、それらの情報源のうちで、何を信じて何を
切り捨てるのかは、我々自身の判断しかないわけなんですよね。
でも、日本の占い業界に溢れている情報は、マジでどうでもいいような情報ばかりです。
「タロットは古代エジプトから伝わる秘伝書」であるとか、もう百年も前に否定された、
捏造された歴史観をそのままタレ流しているのが現状ですからね。
41名無しさん :2013/10/02(水)06:54:07 ID:/gD0TWm9j
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
There is very little in any modern system for which historical precedent cannot
be found.
どんな現代の体系においても、史実に基づく先例を見つけることができないようなものは、
ごくわずかしかない。
--- ここまで ---

現代においてもしっかりと残っている体系は、基本的には多くの人が関与し時間をかけて
熟成されたものであり、考古学的資料をたどることで、大体の経緯は判明しているという
ことですよね。

いきなり「神から啓示を受けた」とか「道端に転がっていた」とか「古本の間に挟まっていた」
とか、「食パンくわえて走ってたら曲がり角でぶつかった」というのは、現実的ではないと
いうことでもあります。
そういう単発的な事象というのは、周囲の共感を得られないため、世代を超えて引き継がれる
こともなく、初恋のあの人のように消えていく運命にあります。
後世に引き継がれる発明や発見というのは、皆の手により検証され、利用価値が高いと判断
されたものが、残っていくということですよね。

気になるのは、考古学という分野には、「証拠がまだ見つかっていない」ものというのが
数多くあるわけで、「ロゼッタストーン」や「死海文書」の発見のように、歴史観が大きく
変わるようなイベントも、ままあるわけです。
そして、この本に書かれている歴史観も、将来は全く違ったものになっている可能性も
ゼロではないかもしれないのですが、現状においては、この本に書かれている史実に基づく
歴史観を、まずはしっかりと学んでおくべきだと思うのでした。

---

さて、以上で、この「カバラの起源」の節は終わりになります。

ちょっと物足りなくて、もう少し詳しく勉強してみたい人は、前述のショーレム氏の著書を
読んでみることをお勧めしておきます。
42名無しさん :2013/10/03(木)06:42:05 ID:I8bLikq2I
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
THE SEPHER YETZIRAH (BOOK OF FORMATION)
セフェル・イェツィラー(形成の書)
--- ここまで ---

ここから、「カバラ」の章の中での新しい節になります。

サブタイトルは「セフェル・イェツィラー(形成の書)」です。

この書は、カバラの最も源流で最も重要な著作でありながら、非常にコンパクトにまとまって
おり、カバラを勉強する人であれば、必読の文書です。
原典はヘブライ語ですが、邦訳もされていますので、このスレを見ている人の中には、
読んだことのある人もいるかと思います。
英訳版も邦訳版も、ネット上に存在しますので、興味のある方は、ググってみてください。

ちなみに、「SEPHER」の日本語読みって、「セフェル」「セーフェル」「セフェール」と、
世間では色々な表記が混在しています。
ワタシも、あちこちからコピペする都合上、割と混在して使っていたりしますが、元々が
古代のヘブライ語ですので、正確な読み方というのは、よくわかんないのでした。
43名無しさん :2013/10/04(金)06:37:47 ID:LNpLTade5
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
This book of six very brief chapters, dating from some time between the third and
the sixth centuries A.D., is the cornerstone of Qabalistic literature, and the
document in which the word Sephiroth first appears.
紀元3世紀と6世紀の間のある時から始まる、6つの非常に簡潔な章から成るこの書物は、
カバラの文献の礎石であり、「セフィロト」という単語が最初に現われる文書である。
--- ここまで ---

この「セフェル・イェツィラー」は、カバラ体系の歴史においては最も初期のものであり、
その後のカバラの方向性を決定している最も重要な「公式基本設定集」という位置づけと
なっています。
ただ、こういう公式設定というものは、組織がしっかりと運営されている間は、関係者の
中だけの機密事項とされるため、なかなか外部には漏洩しにくいものだったりするわけです。
ただし、そういうものがあるという噂話レベルのものは、3世紀の頃から聞かれるように
なっていたということですが、実際に文書という形で一般の人が見れるようになったのは、
ずっと後の10世紀になってからのことでした。

さて、この文書の6つの章は、以下のような構成となっています。
 1. 全体構造
 2. ヘブライ文字22文字の概要とその分類(3母字、7複字、12単字)
 3. 3母字
 4. 7複字
 5. 12単字
 6. 3母字、7複字、12単字の関係

この文書は、多くの人の手によって練り上げられており、無駄や隙の無い、実に見事な
設定集として仕上がっています。
このため、文書の成立以来、ずっとカバラの代表的な基本聖典として尊重されており、
魔術カバラの中にも、その思想体系はしっかりと受け継がれているのでした。

つまり、カバラ系タロットを読み解くには、この本に書かれていることは、基本中の
基本事項として、しっかりと理解し把握しておくことが必要ということなのですよね。
44名無しさん :2013/10/05(土)18:13:08 ID:BCex/9sEQ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
It is a work which describes the creation of the universe in terms of the letters
of the Hebrew alphabet, and in terms of symbolic number undoubtedly related to
neo-Pythagoreanism.
それは、ヘブライ文字アルファベットの観点から、および疑う余地なく新ピタゴラス主義と
関連している象徴的な数字の観点から、宇宙の創造について記述している著作である。
--- ここまで ---

つまり、『セフェル・イェツィラー』というものは、宇宙創造の過程と現在の宇宙の法則を、
ヘブライ文字と数字をベースとして記述したものであるということです。
つまり、それを理解し応用することにより、全宇宙を支配することも可能となる、画期的な
「超絶魔法の秘伝書」というべきものである、ということですよね。

一見すると、この書に書かれている内容というのは、割と単純で、単なる思いつきの寄せ
集めにしか見えないような感じでもあるのですが、よく読むと、『旧約聖書:創世記』を
元ネタとした独自の「基本定義」や「基本法則」がしっかりと構築されており、その後の
カバラの進化と応用にとって、非常に重要な役割をしていることが分かります。

科学の世界においても、この「基本定義」や「基本法則」がしっかりとしている分野では、
目覚ましい進化を遂げることがよくあります。
何事にも、この「基本」が大事なんですよね。

もちろん、この『セフェル・イェツィラー』に書かれていることは、全て架空というか妄想
から産み出された、神秘ヲタク的な「設定」です。
でも、たとえその「初期設定」が虚偽であり役に立たないものであったとしても、そこから
何かを導き出すという「手続き」自体は、決して役に立たないものではありません。
そう、現実の設定を「手続き」に入力することで、実際に役に立つ「結果」を得ることが
できるのです。

そして、ユダヤ人の特質である「賢さ」というのは、こういった非現実的とも思えるような
思考訓練を昔から積み重ねることで得られたというのは、容易に推測できますよね。
45名無しさん :2013/10/06(日)06:54:58 ID:zCYiSEg8P
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
The Sepher Yetzirah is apparently a summation of earlier ideas in Jewish mysticism,
similar in form to Gnosticism and the Pistis Sophia.
『セフェル・イェツィラー』は、見たところ、「グノーシス主義」および『ピスティス・
ソフィア』に類似した、ユダヤ教神秘主義の初期の思想の要約のようである。
--- ここまで ---

『ピスティス・ソフィア』とは、古代ギリシア語で「信仰の叡智」という意味の言葉で、
3世紀から4世紀にかけて書かれたと推定され、1773年に発見されたキリスト教グノーシス
主義の代表的な著作のことです。
この本の中身は、処刑後に復活したイエス・キリストが、残された弟子に対して、この
宇宙についての原理や法則を語るというものであり、この本の著述には色々な人が関係し、
色々な思想体系が詰め込まれた346ページものファンタジー大作となっています。
『セフェル・イェツィラー』は、これに対して非常に簡潔で洗練された形式になっており、
そういう意味では上級者向けというか「分かった人向け」という感じですよね。

時代的には、この本が書かれたのは『セフェル・イェツィラー』とほぼ同時期でもあり、
当時の神秘界では、グノーシス主義的な世界観が流行していたということでもありますよね。
当時は、ユダヤ教やキリスト教の本体は、ほぼ最終リリース形となっており保守モードに
入っていたのですが、それに代わって、最新流行のグノーシス主義形式を取り入れた斬新な
デザインのユダヤ教神秘主義やキリスト教神秘主義が、人々の興味を引くようになりました。
これに対して、キリスト教の公式宗教組織は、大規模規制や異端思想狩りを始めるわけですが、
ユダヤ教はユダヤ人が国を失って離散してしまっていたので、大した規制を受けることもなく、
そのままユダヤ教カバラとして新しい思想世界へと発展を続けていきます。
そして、キリスト教の規制緩和が始まったルネサンス以降に、当時の西洋宗教界で圧倒的な
シェアを誇っていたキリスト教の市場へ、ユダヤ教からキリスト教カバラへと衣替えして、
新しいものに飢えていた人々の間に広まっていったということですよね。

そういえば、遺伝子が肉体レベルで代々伝えられ、混血し、進化していくように、人の思想も
精神レベルで代々伝えられ、混血し、進化していくのって、なんか面白い類似ですよね。
46名無しさん :2013/10/07(月)06:38:41 ID:ixh8+M2/g
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
The precise origin and intention of the Sepher Yetzirah is a matter of speculation.
「セフェル・イェツィラー」の正確な起源および意図は憶測の域を出ていない。
--- ここまで ---

このカバラの基本文書の制作には、割と多くの人が関わっている割には、はっきりとした
成立時期や、その当初の目的というものは、文書として明確に残されているわけでは
ありませんので、推測に頼るしかないというのが現状です。

とはいえ、考古学というのは、実のところ「仮説」という憶測や推理が多分に入っている
分野でもありますし、それゆえに歴史の捏造や歪曲というのも、どうしても避けられない
ものであったりするわけです。

今までにも、多くの国で、多くの分野で、多くの業界で、多くの人の手により、そういった
意図的な捏造や歪曲が極めて堂々と行われてきています。
そういう歪められ作られた「事実」に騙されることなく、信頼できる証拠に基づく「真実」
というものを、個々でしっかりと見定めていくことが必要ということなのですよね。

結局のところ、これは「何を信じて生きていくのか」という問題にも行き着きます。
愚か者は、自分で判断せず、「あの人が言っていたから」とか「本に書かれていたから」
とか「ネットに書かれていたから」ということだけで、他の人にそれを広めてしまい、
それが大きな社会問題となることも、ままあります。
少し考えたり調べたりすれば、それが嘘か真実かは、容易に判断できることも多いのですが、
多くの人は、何も考えずに鵜呑みにしてしまったり、自分勝手な判断と憶測で、話に尾ヒレを
付けてしまうというのも、よくあることだったりします。

そういう意味では、普通の人にとっては、神秘学という分野は、全てが虚偽と詐欺であり、
危険なので決して近寄ってはいけない世界だと思っていた方が、よっぽど賢いことなのでは
ないかとも思うのでした。
いや、本当にこの世界は、マジで愚か者ばかりが集まってくる世界ですからねぇ・・・(自虐)
47名無しさん :2013/10/08(火)06:47:09 ID:tUU4HXXIw
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
One writer of the early nineteen hundreds, with all good intentions, even suggested
that this mystical text was no more than a book of grammar and "as the earliest
Hebrew grammar contains not only the fundamental rules of Hebrew orthography,
but also an account of the origin of letters and numerals." (*27)
1900年代初期の、とある1人の作家は、全くの善意でもって、この神秘的な文章は、単なる
文法の書にすぎないが、「その最古のヘブライ語文法には、ヘブライ語の正しい綴り方の
基本的規則だけでなく、文字および数字の起源の記述もまた含んでいるのであるが」と
いうことを示唆した。(*27)
--- ここまで ---

ちなみに、(*27)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
27. Phineas Mordell, The Origin of Letters and Numerals According to the Sepher Yetzirah.
New York, 1975, first published in the Jewish Quarterly Review, new series for April
1912, v.11, and for April 1913, v.111.
27. フィニアス・モーデル著、『セフェル・イェツィラーによる文字と数字の起源』、ニューヨーク、
1975年発行、最初の発行は1912年4月の第2号と1913年4月の第3号の「ユダヤ教季刊評論」の
新しい連載物。
--- ここまで ---

フィニアス・モーデル氏(Phineas Mordell, 1861-1934)は、リトアニア生まれのユダヤ人で、
主にアメリカで活動していた、ヘブライ語に関する言語学者です。
ちなみに、夫人もユダヤ人であり、その息子であるルイス・モーデル氏(Louis Joel Mordell,
1888-1972)は、世界的に有名な数学者となっています。
父親がヘブライ語の言語学者、そして息子がその後を引き継いで数学者になるという、実に
『セフェル・イェツィラー』を学ぶのに、ふさわしい家系ではないかと思うのでした。

つまり、カバラを学ぶことは、「オカルト的な趣味や道楽」ではなく、これを学ぶことを
きっかけとして、今まで誰にも知られていなかったことを知り、誰にも解けなかった問題を
解くことが出来る能力を身につけるという、真の学問に対する基礎体力や基本精神を学ぶ
ような感じです。

世界人口の0.2%以下であるユダヤ人が、学問の世界的権威であるノーベル賞の20%以上を
占めるという現実は、カバラという宇宙と人間の神秘を解き明かす神秘的学問の存在を
抜きにしては語れないのでした。

もちろん、カバラを学びさえすれば、勉強が出来るということではないですよ。
ここで大事なのは、勉強や研究に対する姿勢なのです。
どんなにバカバカしく見えることであっても、それをきっかけとして、新しいものが
見えてくることは、ままあるわけです。
人間的にはどうであれ、学ぶことに対しては常に謙虚で貪欲であり、新しいものを探し
求める前向きの姿勢というのが、真の研究者には求められるものですからね。
48名無しさん :2013/10/09(水)06:46:40 ID:V5J6YjbLW
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
Of course, this theory is not to be taken seriously, but it does demonstrate the
extremes of interpretation to which Qabalistic documents have been subjected.
もちろん、この理論は真面目に受け取ってはならないが、しかしそれは、カバラ主義の文書が
被りやすい解釈の極端というものを、まさに実証している。
--- ここまで ---

まあ、こういうのは、1つの極端な例ではありますが、たとえ結果が暴走気味であって、
他者からは笑いものにされるようなものであったとしても、そういう今までにない飛躍的な
考察が生まれ出てくるというのは、実は大事なことなんですよね。

研究の中で生み出される仮説というのは、実に現実離れしているものが多く、実際にその
ほとんどのものは現実のものではありません。
つまり、現実に拘ってしまっていては、先進的な研究なんて出来ないんですよね。

カバラって、現実的な三段論法的な思考を離れて、まるっきりフリーな感じで様々なものを
様々な方向から考察していくという、先端的な研究に必要な基本的なスキルを訓練するのに
適しています。
日本人には、こういった先進的スキルというのは、決定的に欠けています。
どうしても、地に足の付いた、積み上げ式というか先例に倣った改良型の研究の方が
優先され、今までの常識から外れたトンデモ的研究の大切さというのは、ほとんど価値を
理解されていないのですよね。

もちろん、トンデモ研究のほとんどは、トンデモ理論で終わります。
でも、それが実った時に得られるものは、とんでもなく大きいものがあります。
つまり、ハイリスク・ハイリターンということですよね。

日本人って、ローリスク・ローリターン指向の、ロリ大好き民族です。
教育にしても、まずは知識を詰め込み、それを理解して次のステップへと進むという、
極めて現実的な手法でしか教えていません。
もちろん、そういうロリロリな戦略もアリっちゃアリなのですが、周囲がそういう戦略を
取るのであれば、こちらは別のパイパイ戦略を選ぶという、あまのじゃく的な考え方は、
カバラ的に見れば正しい方向性であるとも言えるわけです。

いずれにしろ、一般人の一般的な思考や、日本人的な従来の延長線上での思考では、
カバラはなかなか理解することは難しいということでもあるわけです。
そしてこのことは、日本にはカバラが浸透しなかったり、誤解されて解釈されてしまう
原因でもあるわけなんですよね。
49名無しさん :2013/10/10(木)06:36:07 ID:ernFPNwkZ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
On the other hand, The Sepher Yetzirah is a very difficult and obtuse work, so
abstract that it demands an approach atypical of that taken to most literature.
一方で、『セフェル・イェツィラー』は非常に難解で鈍感な作品であり、とても抽象的なので、
たいていの文献で講じられるものとは異型的な取り組みを必要とする。
--- ここまで ---

「difficult/難解」はともかく「obtuse/鈍感」というのは面白い表現ですよね。
『セフェル・イェツィラー』に書かれている内容は、具体的でも論理的でもない妄想文言の
寄せ集めみたいに見えますし、最初のうちは、なかなかピンと来ないというか、きちんと
その意味を理解して、それなりに納得できるようになるまでには、ものすごく時間と手間の
かかる、とてもまったりとしたものであるということを表しています。
いずれにしろ、抽象化された表現というものは、その意味を知らない人から見れば、何のことか
全く理解できない、一種の暗号文書のように見えます。
要するに、初心者向きではなく、上級者となって初めて、その本当の意味がおぼろげながらに
分かってくるという、とても面倒臭くて取り扱いに注意しなければならないということです。

ちなみに、前述のフィニアス・モーデル氏は、『セフェル・イェツィラー』のことを
「ヘブライ語の文法書」という、純文学的解釈をしていましたが、ワタシの場合は、これを
もう少し自然哲学的な分野にまで拡張して考えています。
つまり、ヘブライ文字を使った「代数学」とか、ヘブライ語で記述した「数学的な定理」
という感じで見ています。
そして、この代数方程式として書かれた数学定理を、応用したい分野に対してマクロ展開
していくことで、「言語学的な文法」や「自然科学的な公式」そして「人間の精神や行動の
様式」などが導き出せるということですよね。

つまり、『セフェル・イェツィラー』の内容が、簡単には理解できないほど極限的なまでに
抽象化されているのは、「宇宙の根源的なもの」を、余すことなく記述するためには、
どうしても必要な手法であったということです。

なんか、タロットや占いとは、全く違った分野の難しい話になっていますが、そもそも
カバラというものは、そういう庶民の遊び的なものとは全く違うレベルの、当時の最先端の
学問体系を模索していた「神を知る一握りの天才たち」により構築されたものであることを
忘れてはならないですよね。
要するに、ワタシがここでカバラについて熱心に語っても、ほとんどの人にとっては理解
できないものであり、結果的にカバラというものは、ほとんどの人にとっては理解できない
シロモノであると言うことでもあります。
まあでも、あきらめたらそこで終わりですので、メゲずに続けていきたいと思うのでした。
50名無しさん :2013/10/11(金)06:41:44 ID:D6s2j+wlW
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
And, when used in concert with the Tarot, the work becomes remarkably comprehensible.
そして、タロットと提携して使用された場合には、その作品は著しく理解可能となる。
--- ここまで ---

『セフェル・イェツィラー』のような難解な数式って、そので抽象的な表現形式に慣れて
いる人でないと、マジで分かりづらいものなんですよね。
ですので、昔の人は、抽象化された数式での表現よりも、具体的に図形化された幾何学に
よる数学的表現を好んで使っていたという過去の歴史もありました。
現代においても、文章だけの原作小説を基にして、挿絵を入れたり、マンガ化したり、
アニメ化したり、実写化したりすることで、より多くの人々の理解と支持を得て、関連商品
でも金を稼ぐことが出来るようなものですよね。
そして、たとえ数式のような無味乾燥なものであっても、○○ヲタクの妄想力を駆使すれば、
いとも簡単に二次元・三次元化することも可能です。
つまり、「聖なるカバラ」がわかりづらいのであれば、「俗なるタロット」と関連付けて、
萌えキャラ化してみればいいじゃん、というノリも大事ということですよね。

実際のところ、『セフェル・イェツィラー』の高度に抽象化された概念は、我々の生活して
いる世界とはレベルが違いすぎているため、マジで実用的ではありません。
ある程度までレベルダウンして具体化しておかないと、我々の役に立たないんですよね。
つまり、『セフェル・イェツィラー』を高度に抽象化された数式表現だとすると、タロットは
それを若干具体的に図式化した、レベルダウンした表現の1つの形式であるということです。

もちろん、数式表現と、図形的表現は、正確には一対一の対応関係ではありません。
人それぞれに異なる解釈があり、人それぞれに異なる表現方法があります。
それゆえ、哲学的なミナちゃんのゴールデン・ドーン版、妖精チックなピクシーたんの
ライダー・ウェイト版、そして幾何学的なハリス夫人のトート・タロットというように、
色々とニュアンスの違うものが、必然的に生まれてくるというわけですよね。
つまり、全く同じ原作でありながら、マンガ化やアニメ化や実写化されると、全く別物の
ように見えるということと同じなわけです。

とはいえ、タロットだけを見ていたのでは、『セフェル・イェツィラー』の中に秘められた
真に高度な概念というのは、全く理解することはできません。
『セフェル・イェツィラー』を基にして「タロット」を道具としてセットで利用することで、
本当の理解が進むということになるわけですよね。
51名無しさん :2013/10/12(土)08:47:12 ID:lrE1cUJBC
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
Ideally, the Sepher Yetzirah should be read in the original Hebrew, but a number of
translations have been made into English.
理想的には、『セフェル・イェツィラー』は原文のヘブライ語で読まれるべきであるが、
いくつかの翻訳が、英語でなされてきている。
--- ここまで ---

原文と翻訳文は、一対一の関係ではないですからね。
翻訳文には、元々の言葉には含まれていた意味が削られたり、元々の言葉には含まれていない
意味が加わったりするのは、どうしても避けられないことです。
抽象的な表現のある文書の場合は、時代に応じて色々な人が色々な翻訳を試すことも、
よくあることです。
聖書なんかは、ほんとに色々な翻訳のバリエーションがあり、日本においても、微妙に
ニュアンスが異なった翻訳版が、複数出版されていたりします。

あと、神秘的な文書の場合は、誤訳だらけで全く違う意味に翻訳している場合も多いですし、
それっぽく翻訳できていても、全く意味のわからない文章になってる場合もありますよね。

まあ、それが分かっているからこそ、ワタシはここでは、普通に翻訳していくのではなく、
原文と直訳調の対訳と駄文の解説付きという、回りくどい形にこだわっているわけです。
なるべく原文に近い形で読んで、そこに書かれた意味を理解していきたいですからね。

とはいえ、『セフェル・イェツィラー』については、ワタシはヘブライ語は全く読めないし
言葉の意味もわからないので、どうしても翻訳に頼ってしまうしかないのが現状なのでした。

ちなみに、『セフェル・イェツィラー』の英訳版も邦訳版も、複数存在しています。
色々な人の翻訳を読んで、その解釈の違いを比較してみるのも、面白いかと思います。
52名無しさん :2013/10/13(日)11:57:40 ID:IFO3V2MRN
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
It should also be noted that a later document entitled the Thirty-two Paths of Wisdom
is usually included with the Sepher Yetzirah. (*28)
後になって「知恵の32の小径」と題名付けられた文書が、『セフェル・イェツィラー』に
通常含められていることも、また注目されるべきである。(*28)
--- ここまで ---

ちなみに、(*28)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
28. See:
28. 以下を参照:

Sepher Yetzirah, translation by Wynn Westcott including The Thirty Two Paths of
Wisdom (1877), New York 1975. Westcott was one of the founders of the Golden Dawn,
and it is his translation that is most generally used even today because it is
consistent with Golden Dawn principles;
『セフェル・イェツィラー』、「知恵の32の小径」を含むウィン・ウェストコット氏に
よる翻訳(1877年初版)、ニューヨーク、1975年発行。ウェストコット氏はゴールデン・ドーン
創立者の一人であり、本書はゴールデン・ドーンの諸原理と一致しているという理由で、
今日でさえも最も広く使われている翻訳版である。

Sepher Yetzirah, translation by Isodor Kalisch (1877, first English translation),
California, 1954;
『セフェル・イェツィラー』、イシドール・カリッシュ氏による翻訳(1877年初版、
最初の英語訳)、カリフォルニア、1954年発行。

The Sepher Yetzirah, translation and extensive commentary by Carlo Saures, Boulder
1976. The Saures work is ponderous at best;
『セフェル・イェツィラー』、カルロ・ソーアス氏による翻訳と広範な解説、ボールダー、
1976年発行。ソーアス氏の作品は、どう見ても重苦しい。

The Book of Formation (Sepher Yetzirah), translation and commentary by Knut
Stenrung (1923), New York, 1970. While Stenrung's translation is generally
competent, it is unnecessarily involved and includes a number of nineteenth
century misconceptions about the document;
『形成の書(セフェル・イェツィラー)』、クヌート・ステンラング氏による翻訳と注釈
(1923年初版)、ニューヨーク、1970年発行。ステンラング氏の翻訳は、一般的には優秀では
あるが、不必要に複雑化され、そして文書に関する19世紀の誤った概念を多く含んでいる。

Book of Creation, translation of the Sepher Yetzirah by Irving Friedman, New York,
1977. This is one of the best translations yet to appear, and is particularly valuable
for its notes on language.
『創造の書』、アーヴィング・フリードマン氏による「セフェル・イェツィラー」の翻訳、
ニューヨーク、1977年発行。これは今まで見た中では最良の翻訳の1つであり、言語学に
関するその注釈は特に有益である。
--- ここまで ---
とあります。
(次に続く)
53名無しさん :2013/10/13(日)12:04:14 ID:u4iP7HrvK
(前の続き)

『セフェル・イェツィラー』は、元々の六章から成る本文の他に、いくつかの短編付属文書や、
訳者の解説文がセットとなっています。
ここに挙げられている「知恵の32の小径」というタイトルの付属文書は、17世紀頃に書かれた
もののようで、ゴールデン・ドーンにおいては、『セフェル・イェツィラー』の本文と共に、
団の重要な基本教義の1つとなっています。

以上のように、色々な人が色々な立場で手がけた翻訳バージョンが存在していますが、
魔術カバラを勉強したいのであれば、まずはウェストコット氏の翻訳版を読んでおくのが
いいかと思います。

なお、ここに挙げた以外にも、色々なバージョンの『セフェル・イェツィラー』が存在します。
つまり、とても古いのに、とても魅力的で、昔から多くの人の関心を集めている文書であると
いうことなんですよね。
54名無しさん :2013/10/14(月)07:00:56 ID:jf75pei4R
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
MEDIEVAL QABALISM
中世カバラの教義
--- ここまで ---

ここから、「カバラ」の章の中での新しい節になります。
サブタイトルは「中世カバラの教義」です。

西欧の歴史における「中世」は、西ローマ帝国の滅亡(476年)の頃より始まっています。
ゲルマン民族の大移動による西ローマ帝国の衰退と滅亡により、古代ギリシア・ローマの
統一的な貴族文化が駆逐され、新しい部族の武力支配者層は、一般民衆の中で人気のあった
キリスト教の思想を取り込みながら、地方分権的な封建主義社会を構築していきます。
そして、この脳筋的なる中世暗黒時代は、14世紀のルネサンス芸術運動の始まりによって、
徐々に終焉を迎えることになります。

ちなみに、日本においても、平安時代までの貴族による支配が終わり、新たに武士階級が
実権を持った鎌倉時代(1185年〜)からを中世としており、宗教面でも、緩い神道系から
堅苦しい仏教系へとシフトしながら、地方毎に戦国大名が群雄割拠して武力による支配を
強めていくというのと、似たような流れがありますよね。

このキリスト教に感化された支配者層による暗黒時代は、ユダヤ人にとっては、幸せな
時代ではなかったようで、度重なる差別や迫害、そして虐殺により苦しめられています。
そのような中でも、キリスト教で「金貸し業」が禁止されているが故に、ユダヤ人には
許可されて独占業種であったこと、ユダヤ人が勉学熱心であったこと、そしてユダヤ民族
としての国家を持たず世界中に離散していたが故に、世界各地に堅固で緻密な民族の
ネットワークが構築できていたということが重なり、世界的なユダヤ企業が、この時期に
芽生えてきています。
こうしてユダヤ人は、苦難の中でもしぶとく生き残り、そしてカバラも廃れることなく、
この世界的ネットワークに乗って着々と成長し、進化していった時代でもありました。

今がどんなに不遇であったとしても、頑張って仕事をして勉強もして、自分自身を成長
させていくことが、その後の自分の運命を変えていくことになるということですよね。
55名無しさん :2013/10/15(火)06:48:54 ID:mP7wNUDzZ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
The Sepher Yetzirah set the stage for much later Jewish mysticism by amalgamating
various mystical currents into a Jewish context.
『セフェル・イェツィラー』は、ユダヤ教の文脈の中に様々な神秘的な風潮を融合すること
により、かなり後のユダヤ教神秘主義へのお膳立てをした。
--- ここまで ---

『セフェル・イェツィラー』は、当時のユダヤ教神秘主義の主流派である「メルカバ神秘
主義」とは別系統の研究の産物であり、ちょっと毛色の違うものです。
まあ、従来の「メルカバ神秘主義」を旧来の文系だとすると、『セフェル・イェツィラー』は
新しい潮流である理系的なものという感じですかね。

で、この『セフェル・イェツィラー』自体は、カバラ思想の黎明期の産物であり、その後の
カバラの重最要の基礎となっています。
でも、本格的なカバラとしての神秘的教義が確立し普及していくのは、この『セフェル・
イェツィラー』が成立してから、かなり後の時代となります。
もちろん、それまでずっと継続して研究は行われていたのですが、本格的なまとまった文書
としてカバラの教義が出回っていくのは、ずっと後の時代になってからなんですよね。
そして、『セフェル・イェツィラー』自体が文書として公開されるようになるのも、ずっと
後の時代になってからなのでした。

まあ、ユダヤ民族が離散しているので、「カバラ研究所」みたいなところで大規模で
集中的な研究が行われることもなく、割と個人的な立場で細々とカバラという学問研究を
していた人々がメインとなって、結果的に秘密裏に、代々研究結果が受け継がれてきたと
いう感じではないかと思うのでした。
そもそも印刷技術が発達して、安価で大規模な商業印刷が可能になるのは、15世紀末から
ですし、購入者となるユダヤ人の数も少ないので、商業的に元が取れるとも思えないですしね。
56名無しさん :2013/10/16(水)06:34:25 ID:+iUpCqcK2
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
Called the "earliest extant Hebrew text of systematic, speculative thought,"(*29)
its ideas were built upon by later scholars.
「系統的で思索的な思想の、最古の残存するヘブライ語原典」(*29)と呼ばれたその考えは、
後の学者らにより強化された。
--- ここまで ---

ちなみに、(*29)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
29. Scholem, Kabbalah, 23.
29. ショーレム著、『カバラ』、23ページ。
--- ここまで ---
とあります。

『セフェル・イェツィラー』は、ユダヤ教における『聖書』を基にしてはいますが、
それからは割と独立した、新しい考え方の数々を含んでいます。
つまり、後のカバラは、従来からある『聖書』と、新しい『セフェル・イェツィラー』の
思想の両方のバランスを取りながら、成長し進化していくという流れとなります。
『聖書』自体は、既にある程度完成形となっていて、保守モードに入っていたので、
その後継として、カバラ思想が急速に進化していくという感じですかね。

こうして、流浪の民となって世界中で活躍していた優秀なユダヤ人ネットワークを活用して、
世界各地から最先端の知識と情報を集め、世界各地で時間をかけて洗練されることで、
カバラの思想体系は全人類的なスケールで、どんどん完成度を高めていきます。

民族的には幸か不幸かよくわかりませんが、こういうグローバルな視点によるユダヤ人の
研究開発能力というのは、世界のどの国の民族にも決して負けないものがありますよね。

そういう意味では、日本という島国で育った日本人にとっては、このカバラという
グローバル・ネットワーク的な思想体系を理解し活用していくのは、なかなか難しい面が
あるのかもしれませんよね。
57名無しさん :2013/10/17(木)06:40:50 ID:IuuJnRbFM
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 21) ---
For example, where the very word Sephiroth was originally used to mean simply numbers
or numerical stages in creation, in the middle ages that word came to mean a specific
system of Divine emanation. (*30)
例えば、まさに「セフィロト」という言葉は、当初は創造における単なる数あるいは数的段階
を意味するために使用されたのであるが、中世においては、その単語は神の流出の特定の系統
を意味するようになった。(*30)
--- ここまで ---

ちなみに、(*30)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
30. Scholem, Kabbalah, 23.
30. ショーレム著、『カバラ』、23ページ。
--- ここまで ---
とあります。

『セフェル・イェツィラー』に記述されている当初のセフィロトの概念は、「単なる数
あるいは数的段階」という、一次元的な成長段階を表す「一本の流れ」というか「順序」
のようなものでした。
そして、この一本の流れは、中世になって「生命の木」という二次元構造へと拡張され、
それに応じて、セフィロトの概念も様々な属性を付加されながら拡張されていきます。

最初は、単純に見えていたものでも、詳しく調べていくと、様々なものが絡み合って、
相互に関係しながら成長していくという過程は、自然界にも色々と見られます。
つまり、そういう科学的な研究の過程みたいなものが、このカバラ思想の進化にも
見られるということですよね。

実際、こういう神秘学的な思想体系が科学の進化に及ぼす影響は、科学が未発達であった
古代や中世においては、非常に大きいものがあります。
それに、中世ヨーロッパは、キリスト教会の影響で科学的進化が停止していた時代ですので、
キリスト教会とは関係しないユダヤ人やイスラム圏で、科学的な思考態度が進化したという
状況もありましたよね。
58名無しさん :2013/10/18(金)06:46:58 ID:4UD1oHL9p
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
One of the most important ideas to be added by late medieval scholars was that numerological
links could be found between words (and thus between concepts) using Gematria.
中世後期の学者らによって付け加えられた最も重要な考えの1つは、数秘術との関連が
「ゲマトリア」を利用した言葉の間(したがって概念の間)に見つけられるであろうと
いうことである。
--- ここまで ---

「Gematria/ゲマトリア」というのは、ヘブライ語、そしてヘブライ語聖書に関する
「numerology/数秘術」みたいなものです。
数秘術そのものは、古代ギリシアで発展した数学をベースにした神秘思想であり、古代
ギリシアの哲学者であり数学者でもあるピタゴラス(BC582-BC496)のものが有名です。
この古代ギリシアの古代神秘思想は、紀元前1世紀から紀元2世紀ごろに活動していた
新ピタゴラス派の学者により見直され、そして紀元3世紀以降の新プラトン主義や、
ユダヤ教カバラにも導入されていったということです。

この新ピタゴラス派や新プラトン主義の数秘術的神秘思想は、『セフェル・イェツィラー』
にも色濃く流れていますが、後世になって、セフィロトなどの数字に関する記述に、さらに
尾ヒレが付いて、いや磨きがかけられて、それまでの単純な一次元構造から、生命の木という
複雑な二次元ネットワーク、そして三次元構造へと変貌していきます。
つまり、今まではバラバラで形を持たなかったものに、骨と関節と肉を付けて形を持たせる
ことが、この数秘術ネタの導入により可能となったということですよね。

この、バラバラな存在をネットワーク化して一体の組織として考え、それを今までにない
ような有機的な発想でもって有効活用するというのは、実はとても大事なことなのです。
もちろん、数秘術それ自体には、科学的な根拠はありませんので、そこから派生した
「生命の木」の構造自体にも、何らかの科学的な根拠があるわけではありません。
でも、このネットワーク化という手法は、人間の思考の基本手段なんですよね。
空気を読み、流れを読み、そして過去・現在の時間の流れを通して未来を知ること。
これは占いだけではなく、人が普通に生きていく上でも、とても大事な能力だと思うのでした。

でも、今の占い師には、そういう多次元ネットワークの思考が出来なくて、カード単体での
意味の羅列の、シンプルな一次元占いしかできない人も多いのです。
物語のストーリーには、複線とか複線とか服の線とか○○のスジとか、色々なラインを
想定しておく方が絶対に面白いと思うのでした。
59名無しさん :2013/10/19(土)08:49:59 ID:jaZCES6Kn
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
The introduction of Gematria served two purposes.
「ゲマトリア」の導入は、2つの目的に役立った。

First, it helped to assure that scribes would spell names precisely as received;
second, it tended to serve as an incentive for serious meditation on the Names.
1つ目は、それは、筆記者が受け取られるように名前を正確に綴ろうとすることを保証する
ことを助けた。2つ目は、それは、「御名」において真剣な瞑想のための誘因として役立つ
傾向があった。
--- ここまで ---

ちょっと皮肉っぽい言い方ではありますが、決して皮肉ではないですよ。(おそらく)

ゲマトリア数秘術の基本は、文字という記号体系の数値化にあります。
どちらかというとアナログ的な文字記号を、デジタルな数値化することには、いくつかの
メリットがあるということです。

1つ目は、チェックサム(check sum)によるエラー検出のことです。
1つの文章の文字を数値化し、それらの文字コードを合計して得られた数値を、他の文章の
数値と比較することで、お互いに違いがあるか無いかを簡易的に判定できます。
つまり、人間の手によって(主として聖書の)文章を転写する際に、誤記がないかをしっかり
チェックすることが出来るという仕組みですよね。
実際、ヘブライ文字の字体は、かなり形の近いものも多くて、転写誤記や誤読は、しばしば
発生していたと思われますので、こういうデジタルチェックは、かなり有効です。
ちなみに、こういうチェックサムの手法は、今日のデジタル世界では普遍的に行われており、
我々の日々の生活の安全も、こういうエラー検出の手法に大きく依存しているのでした。

そして2つ目は、デジタル化されたものの信号処理のことと関係します。
カバラには、ゲマトリア/数秘術の他にも、ノタリコンやテムラーという言葉遊びの手法が
ありますので、これらを色々と組み合わせて、神秘ヲタク的な趣味に走るわけです。
「おまえの神カードの名前の戦闘力は、1500だ!」
「この神名と、この神名をクロスして、戦闘力2500の神獣を召喚!」
「この神名を、トラップで逆読みさせ、新たに戦闘力3000の魔獣を特殊召喚する!」
なんて感じで、色々と名前をネタにして脳内妄想を繰り広げていたものと思われます。
あと、日本人は、画数による姓名判断が大好きですし、子供の命名時に、色々と画数を
気にしたりする人も多いですよね。

ちなみに、こういう「言葉遊び」みたいな数値化、非可逆的圧縮符号化、復元、一部置換と
いうのは、現代の科学の分野でも、色々と利用されています。
カバラの神秘ヲタク的技術に似たような科学技術って、結構見つかるんですよね。

いずれにしても、過去の遺産を正確に継承し、その上で様々な新しい組み合わせを考え、
×算することで新しい領域への道を切り開くというのは、現代においても基本的なもので
あり、充分に通用することなのでした。
60名無しさん :2013/10/20(日)10:39:55 ID:sE/FMpM34
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
Sometime between 1150 and 1200, in Southern France, another very important Qabalist
work appeared.
1150年と1200年の間のある時に、フランス南部で、もう1つの非常に重要なカバラ主義者の
著作が現われた。

This was the Sepher-ha-Bahir, supposedly an ancient work, but more likely edited
from several works of either German or eastern origin. (*31)
これは『バーヒル(光明)の書』であり、古代の著作であると言われているが、しかし
ドイツもしくは東方を起源とする、いくつかの著作から編纂された可能性が高い。(*31)
--- ここまで ---

ちなみに、(*31)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
31. Scholem, Kabbalah, 23.
31. ショーレム著、『カバラ』、23ページ。
--- ここまで ---
とあります。

『バーヒルの書』は、『セフェル・イェツィラー』ほどの高尚さや簡潔さはありませんが、
それでも30〜40ページくらいに手短かにまとめられた興味深い書物となっています。
この書は、ヘブライ語とアラム語が混在しており、旧来の『旧約聖書』と、哲学ヲタ的な
『セフェル・イェツィラー』を元ネタとして、新しく世界各地のユダヤ教研究者の間で
自然発生していた新世代の妄想、いや神秘的思想を、いくつかのストーリーとして
まとめたものとなっています。

そういえば、こういうマニアックで面白いネタ話というのは、本家本元の組織からではなく、
地方のアマチュア的な同人活動を通して、新たに産み出されてくるものが多いのですが、
当時のユダヤ人は離散していて、世界各地の居住地において、各地方で独自の文化を
築いていた時代でした。
そのために、当時の正統的な僧侶階級からは異端視されて、かなりの批判を浴びていますが、
これをきっかけとして、さらに各地で色々なトンデモなストーリーが続々と展開されること
になり、一気にユダヤ教カバラが発展し流行するようになっていきます。

その一方で、キリスト教世界では、教会組織の言論統制が厳しくなっていった時代です。
一方を締め付けると、別の部分が飛び出してきて、余計に妄想が激しくなるという、よくある
現象でもありますよね。
61名無しさん :2013/10/21(月)06:53:07 ID:NxNpDRTx3
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
The Bahir contains the first reference to a "secret Tree," and is the first to describe
the Sephiroth as the vessels of Divine Light.
『バーヒル』は、「秘密の木」への最初の言及を含んでおり、「セフィロト」を「神の光」の
容器と記述した最初のものである。
--- ここまで ---

『旧約聖書』の創世記には、エデンの園に生えている有名な2本の木があります。
「生命の木」と「知恵の木」ですよね。

原始の人であるアダムとイヴが「知恵の木」を食べて追放されてしまったので、人間には
神の力の1つである、偉大なる「知恵の木」のパワーは受け継いでいますが、もう1つの
偉大なる「生命の木」のパワーは、いまだに受け継がれていません。
つまり、人が神のような強大な力を得るためには、この「生命の木」のパワーが必要である
ために、その秘密を探ることが、神秘研究者の1つの課題となっているわけです。

そして、創世記冒頭における最大のイベントである、神の「光あれ」という言葉による
天地創造の物語の秘密を探ることも、神秘研究者のもう1つの課題となっているわけです。

理由はともあれ、『セフェル・イェツィラー』で提示された「セフィロト」理論は、ここで
神の神秘の力を示す「天地創造神の光」と「生命の木」と結合され、さらなるメガ進化を
遂げていくことになるのでした
まあ、こういうアイディア勝負というのは、思いついたもん勝ちというか、言ったもん勝ち
という面はありますし、それがネタ展開として面白いものであれば、みんながいっせいに
注目して、さらにスピードを上げて進化が進む良循環を招くことになります。

そして、ある程度までネタとしての理論的進化が熟成していった後は、次はそれの応用編
へと人々の興味が移っていくことになるのでした。
62名無しさん :2013/10/22(火)06:52:47 ID:E52EGonZq
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
An English translation of the work, by Aryeh Kaplan, has recently been published.(*32)
その著作の英訳版は、アリエ・カプラン氏により、最近に出版されている。(*32)。
--- ここまで ---

ちなみに、(*31)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
32. The Bahir, translation by Aryeh Kaplan, New York, 1979. This first English
translation of the text includes the original Hebrew. Kaplan disagrees with Scholem
(who also translated this work into a European language), in insisting that this
work is of the 1st century B.C.
32. 『バーヒル』、アリエ・カプラン訳、ニューヨーク、1979年発行。この最初の翻訳版には
原典のヘブライ語のテキストを含む。カプラン氏は、この著作は紀元前1世紀のものと主張して、
ショーレム氏(彼もまた、この著作を西洋の言語に翻訳した)とは意見が異なっている。
--- ここまで ---

アリエ・カプラン氏(1934-1983)は、アメリカのユダヤ教のラビ(指導者)であり、ユダヤ教や
ユダヤ教神秘主義についての、多くの著作があります。

ちなみに、ショーレム氏(1897-1982)は、1923年にドイツ語訳の『バーヒルの書』を出版して
います。
この『バーヒルの書』は、彼の博士論文のテーマとなっており、その研究の成果を、まとめて
出版したという経緯のようです。

とはいえ、カバラの基本となる3つの書の翻訳版が出たのって、結構遅いんですよね。
『セフェル・イェツィラー』の英訳が1877年、『バーヒルの書』の英訳が1923年、そして
『ゾーハルの書』の一部英訳が1887年という感じで、全て近代になってからです。

その理由はおそらく、翻訳版には、近代になるまで、ほとんど需要が無かったからですよね。
そもそも、ユダヤ教カバラにおいては、翻訳は邪道であり、あくまでもヘブライ語でなければ
役に立たないわけですからね。

では、近代になって、どうして翻訳版に需要が出てきたのかと言うと、これは間違いなく
魔術カバラを一般大衆に広めたゴールデン・ドーンの隠れた業績にあるわけです。
つまり、魔術カバラの発展に伴って、原典となるユダヤ教カバラも、世間でから注目されて
きたということなんですよね。
63名無しさん :2013/10/23(水)06:57:54 ID:rWM2uL/xT
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
The thirteenth century was especially pivotal for the Jewish Qabalah.
13世紀は、ユダヤ教カバラにとって、とりわけ極めて重要であった。
--- ここまで ---

12世紀後半に『バーヒルの書』が出た頃から、ユダヤ教カバラの研究ブームは、一気に
加速します。
それまでは、『セフィル・イェツィラー』をきっかけとして発生した原始カバラ的なものは、
ユダヤ教神秘主義の流派においては、いまいち亜流の扱いだったのですが、これが当時の
世界各地で流行していた様々な西洋神秘主義の思想を取り込んで徐々にイメチェンして、
この時期になって、一気にメジャーデビューすることになったわけです。

この当時は、後世に名を残した人もいれば、名もなく消えていった人も多いのですが、
かなり多くの人がカバラに注目し、多くの研究結果を文書として残すようになっています。
そして、それまでの個人的な思いつきみたいな原始的カバラ思想とは一線を画す、世界中の
優れたユダヤ教研究者たちの思想を統合した、より近代的なユダヤ教カバラ思想が生み出さ
れていくというわけです。

このブレークしたきっかけというのは、いまいちよくわからないのですが、当時の西洋は
十字軍による東方遠征が活発化していた頃であり、そして東方では、モンゴル帝国による
支配が進んでいた時期であり、戦争によって様々な人、物、金、そして思想が世界的規模で
流動していた時代です。
ユダヤ人社会も、この影響で様々な変化を強いられており、これにより衰退する者もいれば、
戦乱に乗じて成り上がる者もいたと思います。
そういえば、日本でも、それまでの貴族政治が終わり、新しく武家政治が始まった時期でも
ありますよね。

結局のところ、社会の変革に応じて、人々の思想の指向も変化し、新しいブームが作られて
いくということではないかと思ったりするのでした。
64名無しさん :2013/10/24(木)06:54:56 ID:ZjKeKPQ+9
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
It was during this time that Isaac the Blind, a scholar from Narbonne, wrote his
comments on the Sepher Yetzirah, first describing it as involving a systematic
development of Sephiroth.
ナルボンヌ出身の学者である「盲人イサク」が、『セフィル・イェツィラー』に関して
彼の注釈を書き、それがセフィロトの系統的な発達に関連していると最初に評したのは、
この時代の間であった。
--- ここまで ---

盲人イサク(Rabbi Yitzhak Saggi Nehor, 1165-1235)は、フランス南西部、スペイン国境
近くの都市ナルボンヌの近郊の出身です。
当時のナルボンヌは、かなり経済的にも文化的にも繁栄した都市で、多くのユダヤ人の
学者が集まって、ユダヤ教やカバラについての研究が盛んに行われていました。
彼は、後になって、フランス南東部のプロヴァンス地方へと移ったようですが、この
プロヴァンスも、昔から、迫害を逃れてユダヤ人が多く集まる都市でした。
そして、盲人イサクは、そういった研究のできる環境の中で、多くの優れた弟子たちと共に、
カバラ理論の開発研究の中心人物として、活躍していたということです。
ちなみに、盲人イサクは、12世紀後半に書かれた『バーヒルの書』の著者ではないかと
いう噂話もあります。

それはともかく、『バーヒルの書』と、「盲人イサクの教えと注釈書」により、ユダヤ教
神秘主義としての「カバラ」がきちんとした理論として形成され、そして10のセフィロトと
「生命の木」についての理論的な研究も、一気に加速していきます。

とはいえ、現代で使われている10のセフィロトと32の小径から成る「生命の木」の形が
しっかりと出来上がるのは、まだずっと後の時代になってからの話なのでした。
65名無しさん :2013/10/25(金)07:14:36 ID:Ic7l3y9/R
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
He also built upon some of the ideas expressed in the Bahir,(*33) as did others
in his day.
彼はまた、彼の時代において他の者たちが行ったのと同じように、『バーヒル』の中に
表現された考えのいくつかを積み重ねた。(*33)
--- ここまで ---

ちなみに、(*33)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
33. Scholem, Kabbalah, 45-47.
33. ショーレム著、『カバラ』、45-47ページ。
--- ここまで ---
とあります。

『バーヒルの書』は、30-40ベージほどの小冊子になっています。
つまり、これをネタ元として、まだまだ妄想を膨らませる余地は充分に残されていると
いうことなのでした。

なお、盲人イサクの活躍した12〜13世紀という時代は、当時はイスラム国家であった
スペインにおいて、ルネサンスの先駆けとなる文化的活動が始まっています。
つまり、アラビア語に翻訳されていた古代ギリシア・ローマ文化や、先進的なアラビア文化
が、西欧の言語に翻訳されて、国境沿いのフランスを通して徐々に流入していたのでした。
そして、その翻訳や文化交流の役割を一部担っていたのが、勉強熱心で貿易熱心なユダヤ人
であったということであり、それゆえに優秀な人々が、各地から新しい知識と文化と金儲けの
種を求めて、この地に集まってきていたということでもあるわけなのでした。

こうして、後の14世紀になって、ルネサンスという新たな風が、キリスト教の堅苦しい
世界の中に吹き込んでくることになるわけですが、その先駆けとなる現象の1つが、
このカバラの急速な発展であったということでもあるわけです。
66名無しさん :2013/10/26(土)09:08:28 ID:NbdxTadtu
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
The result of study of the Sepher Yetzirah in terms of the Bahir was that scholars
began to discuss the Ten Sephiroth and the Thirty-two Paths together.
『バーヒル』の観点による『セフィル・イェツィラー』の研究の結果は、学者たちが
「10のセフィロト」と「32の小径」を合体させて議論し始めたことであった。
--- ここまで ---

『セフィル・イェツィラー』では、「10のセフィロト」と「22のヘブライ文字」は、独立
した神秘要素として記述されており、相互の関連性については、曖昧なままでした。

『バーヒルの書』において、『セフィル・イェツィラー』に記述された、それら2つの
神秘要素は、高い次元においては、「生命の木」という未知の構造体として統合し一体化
された統一理論体系となることが暗示されていたということですよね。

ということで、「神の光」の流出する「10の中継点であるセフィロト」と「22の中継経路
となるヘブライ文字」について、それらを組み合わせた意味と共に、どういう組み合わせの
デザインが良いのかが、本格的に学者の間で検討されていくようになります。
そして、それまで考えられてきた単純で直線的なデザインではなく、複雑で空間的な広がり
を持つ「生命の木」の理論やデザインが次々と提案されるようになります。
そうして、『聖書:創世記』の宇宙生成の理論体系についても、多くの検討や検証が繰り
広げられることになるのでした。

ちなみに、こういった形而上的な完全脳内研究というのは、現代科学においても、非常に
重要な位置を占めています。
現代においても、全てがコンピュータで計算できることはありませんし、新しい理論の
多くは、今でもこういう、直感的な「完全脳内研究」に頼る部分が多くあります。
そういう意味でも、カバラの勉強や研究というものは、今でもとても役に立つと思える
わけなのでした。

とはいえ、今の日本には、正しいカバラの勉強や研究は、全く存在しない状態ですので、
こういう怪しいものには近づかないことが一番なのは、やっぱり変わらないんですけどね。
67名無しさん :2013/10/27(日)13:10:05 ID:c71sSE4ii
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
Another major idea, appearing at this time in France and Spain, was that there
were evil Sephiroth existing as exact counterparts to the Good. (*34)
フランスとスペインにおいて、この時期に現われた、もう1つの重要な着想は、「善」の
正確な対照物として存在している悪のセフィロトがあるということであった。(*34)
--- ここまで ---

ちなみに、(*34)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
34. Scholem, Kabbalah, 55.
34. ショーレム著、『カバラ』、55ページ。
--- ここまで ---
とあります。

「善と悪」みたいな二元論というのは、とてもポピュラーな考え方であり、紀元前10世紀
以上前から、世界各地に存在していました。
特に有名なのは、古代ペルシアのゾロアスターを開祖とするゾロアスター教であり、その
二元論的思想は、西洋における二元論的な思想体系の基本的な考え方にもなっています。
このゾロアスター教の二元論は、後になってグノーシス思想としてユダヤ・キリスト教の
神秘主義思想にも多大な影響を与え、当然のことながら、カバラにも取り込まれています。

ちなみに、『旧約聖書』においても、エデンの園にある「善と悪の知識の木」のように、
もう一方の「生命の木」にも、実は「善と悪の生命の木」があると推測するのは、割と
自然な流れではないかとも思います。
もちろん、「生命の木」の内部にも、右柱と左柱という、相補的な象徴体系がありますので、
こういう二元論的な対立関係みたいなものは、割と基本中の基本とも言える構成なのでは
ないかとも思うのでした。

それに、ストーリーがマンネリ化した時は、とりあえず強そうなライバルや敵役を登場
させて、主人公とガチンコ対決させるというのは、定番手法でもありますしね。
カバラのストーリーにおいて、「善なる生命の木」が、いかに優れているかを示すためにも、
同じような能力値がありながら、悪の心を持つダークヒーローである「悪の生命の木」を、
カバラの続編で生み出す必要性があったということではないかとも思うのでした。

なお、盛り上げネタが尽きて人気が落ちてきたときは、とりあえず、ライバル役や悪役を
持ち出してくるというのは、こういう架空の世界だけではなく、国際政治や国内政治という
リアルな世界においても、定番のテクニックとして存在しますよね。
そして、アホな人民が、そういう定番テクニックに騙されてしまうというのも、定番の
オチだったりするわけなのでした。
そういう意味でも、「善」とか「悪」とかを叫ぶヤツは、ワタシは一切信用しないのでした。
68名無しさん :2013/10/28(月)07:00:58 ID:VnP20tsCt
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
This concept was extensively developed by some of the adepts of the Golden Dawn
Fraternity.
この構想は、ゴールデン・ドーン友愛団の達人たちの数名により広範に開発された。
--- ここまで ---

善の「Sephiroth/セフィロト」に対応するものは、悪の「Qliphoth/クリフォト」と
呼ばれています。

ユダヤ教カバラにおいては、これらは基本的な概念ですので、ゴールデン・ドーン団の
公式文書にも出てきますし、団員も、これらに興味を持って、色々と研究しています。

とはいえ、「悪」というものに興味を持つ者と言えば、クロウリー氏が一番ですよね。
期待に違わず、クロウリー氏は、とても熱心に「クリフォト」について研究しており、
そして、その研究は、クロウリー氏の数名の弟子へと引き継がれているようです。

まあ、こういうのって、ネタ的なものが多いので、あまり深入りしないことにしときます。
69名無しさん :2013/10/29(火)07:00:01 ID:MTMYQ4YtT
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
It was in this climate of mystical-intellectual fruition that the greatest of all
Qabalist treatises appeared.
神秘主義的で知的な結実である、この風潮の中において、すべてのカバラ主義者の論文の
中で最高のものが現われた。

The Zohar was the work of Moses de Leon, between 1280 and 1286. (*35)
『ゾーハル』は、1280年と1286年の間で、モーセス・デ・レオン氏の著作であった。(*35)
--- ここまで ---

ちなみに、(*35)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
35. Scholem, Kabbalah, 57.
35. ショーレム著、『カバラ』、57ページ。
--- ここまで ---
とあります。

著者であると推定されているモーセス・デ・レオン氏(Moses de Leon, 1250-1305)は、
スペイン中部の都市グアダラハラ出身のラビでありカバラ主義者でした。
かなり勉強熱心な人で、当時出回っていた様々な神秘主義思想を勉強し、そして数多くの
カバラに関する神秘主義思想書を書いています。
つまり、この『ゾーハルの書』は、当時の中世神秘主義思想の集大成と、彼自身の神秘に
対する聖なる熱い思い、そして、若干の俗的な要素が詰まったものであるということです。

なお、『ゾーハルの書』の俗的要素については、また後ほど詳しく述べたいとは思いますが、
神秘の世界では、ごく普通に見られることですので、あまり否定的に考えなくてもいいの
ですと、最初に伏線を張っておきます。

まあ、この現世の人間世界は、「聖」と「俗」のバランスにより成り立っているわけであり、
どちらかを否定してしまうことは、間違いであるということですよね。
でも、そんな当たり前のことが分からない、もしくは分かろうとしない阿呆者が増えてきて
いるというのも、おそらく事実ではないかと思います。
神秘を学ぶ人は、「聖と俗」のバランス、そして何が本物で何がニセモノであるのかを、
しっかりと自分の目で見極めておく能力が必要とされるのでした。
70名無しさん :2013/10/30(水)06:53:47 ID:R4RQTANoU
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
It is a series of commentaries on the Bible and on mystical cosmology.
それは、「聖書」と神秘主義的宇宙論についての、注釈書の続き物である。
--- ここまで ---

いわゆる、「モーセス・デ・レオン聖書解釈シリーズ」みたいなものですよね。
これは、最初からシリーズ物として企画・執筆されたものではなく、著者が色々と書き連ねて、
バラバラに発表していたものを、後世の人々が『ゾーハル』という文学全集にまとめ上げたと
いう感じのものです。

内容的には、かなり逝っちゃってます。(笑)
個人的には、これは哲学書というよりも、文芸作品というか娯楽作品に近いようなイメージが
あります。

レオン氏は有能なユダヤ教の指導者であるレビでしたが、レビの仕事は基本的には無報酬
でしたので、何か他の仕事で生計を立てる必要がありました。
そう、レオン氏は、文筆業、つまり自分で本を書いたり、写本をして生計を立てていた、
おそらく史上初の「プロのカバリスト」だったんですよね。
つまり、読者ウケするカバラのネタを世間から収集し、独自の視点で再構築し、ドラマチック
な展開を付加して、華々しく芸術的に披露するという、一般的な作家活動をしていた感じです。
現代では、科学の世界のネタを使う、サイエンス・フィクション作家みたいな感じですかね。
そういう意味では、レオン氏は、エリファス・レヴィ氏やマサース氏、そしてクロウリー氏と
同じ分類に入れてもいいと思います。

いや、決してフィクションが悪いということではないですよ。
楽しく読んだり、理解を深めたりするのに、フィクションというか、例え話みたいなものは、
とても有効な手段です。
問題は、フィクションの部分とリアルの部分を、読者がきっちりと切り離して考慮できるか
という点にあるわけで、それゆえ、こういう文芸作品っぽいものを哲学として解釈していく
には、読者自身の力量が問われるわけですよね。
71名無しさん :2013/10/31(木)06:53:16 ID:FWCJk5Uwb
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
For generations The Zohar was believed to be an ancient work.
何世代にわたって、『ゾーハル』は古代の作品であると信じられた。
--- ここまで ---

「For generations/何世代にわたって」というのは、著者であるレオン氏の死後、数十年
から数百年にわたって、という感じですかね。
つまり、この書の著者であるレオン氏は、意図的に自分自身の素姓を隠して、この書の著者が
昔の著名な人物であると偽装したということです。
とはいえ、この『ゾーハル』の著者が誰かという問題は未だに完全決着してはいないのです。
もちろん、レオン氏が最有力な候補であり、著者であることには間違いないのですが、
『ソーハル』自体が膨大な量のある文書ですので、全てがレオン氏が書いたものなのか、
共同著作者がいるのか、別の人が書いたものをレオン氏がパクったのか、もしくは、全く
別の人が書いたものが、編纂の際に偶然に『ゾーハル』の中に混じってしまっているのか、
とか、色々な可能性を探る説があって、まだ完全には論争の決着が付いていないという
状況なのでした。

ちなみに、マサース氏の英訳である『The Kabbalah Unveiled/ヴェールを脱いだカバラ』
においても、その日本語訳の『ヴェールを脱いだカバラ』においても、レオン氏ではない
「昔の著名人」が著者として紹介されています。

まあ、マサース氏が英訳した時代はともかくとして、現代においてはレオン氏が著者である
ことはほぼ確定的なのに、この日本語訳者は、何で本当のことを書かなかったんでしょうね。
どうでもいいマサース氏に関する訳者解説や、すこぶるどうでもいいマサース氏に関する
訳者小説ではなく、本来の目的である『ゾーハル』の本当のことをきちんと訳者解説して
おいて欲しかったというのが、本音のところです。

つまり、今でも「『ゾーハル』は古代の作品であると信じられた」という状況は、この
日本においては、未だに続いていると言えるのではないかということなのでした。
72名無しさん :2013/11/01(金)06:43:07 ID:5ItTLnvMV
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
The text itself purports to have been written by a second century rabbi, Simeon
ben Yohai.
本文それ自体は、2世紀のラビである、シメオン・ベン・ヨハイ氏により書かれたことを
主張している。
--- ここまで ---

シメオン・ベン・ヨハイ氏(Simeon bar Yochai)は、イスラエル北部のガリラヤ地方出身で、
2世紀頃に活動していた実在の有名なラビであり、1世紀から2世紀にかけて活躍した超有名な
ラビであるアキバ・ベン・ヨセフ氏(Akiva ben Joseph, 40?-137, 秋端勉氏の師匠)の弟子
でもあり、当時行われていた「タルムード」の編纂にも関わっていた中核的人物でもあり、
それゆえに『ゾーハル』において、カバラの始祖的な位置づけをされたとしても不思議では
ない人物です。

ちなみに、『ゾーハル』の本文には、「ヨハイ氏により書かれた」とは書かれてはなくて、
「ヨハイ氏により語られた」という感じの文章となっており、ヨハイ氏の弟子により本文が
書かれたことを、ほのめかしています。

なお、この口伝トーラーである「タルムード」の編纂についてですが、紀元70年にエルサレム
第二神殿が破壊され、それまで神殿祭司階級としてユダヤ教の主流派であったサドカイ派が
神殿と同時に壊滅し、彼らに代わってユダヤ教の会堂(教会)の民衆指導者階級であるラビを
中心とするファリサイ(パリサイ)派がユダヤ教の主流派となりました。
まあ、ディアスポラ(民族離散)に伴うリストラで、高価なメインフレームによる一極集中
管理主義から、安価なフリーソフト中心の分散オープン系に移行せざるを得なくなったと
いうことでもあります。

このため、指導者となったラビ達は、エルサレム神殿とエルサレムの地を追われて世界中に
離散していったユダヤ民族とユダヤ教の存続のために、『旧約聖書』として既に文書化されて
いる「成文トーラー」だけでなく、指導者の間だけに伝えられていた「口伝トーラー」も
オープン文書化して、誰でもどこででもいつでも利用できる形態にしておこうということに
なり、こうしてタルムードが公式文書として編纂されていったという経緯があります。
まあ、こういうマニュアル化というのは、グローバル化に伴う時代の流れというヤツですよね。

そして、この「口伝トーラー」が公開文書化されるに伴い、聖職者の秘密教義であるカバラも
同時に秘密文書としてひそかに編纂されたのではないかと、物好きな人々が考えるのも、
ごく自然の流れですよね。
もちろん、そんなことはなくて、カバラ自体の成立は、タルムード成立の、ずっと後の時代に
なってからなのですけどね。
73名無しさん :2013/11/02(土)09:31:01 ID:sNbkhnZIU
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
Moreover, The Zohar is written primarily in ancient Aramaic, a language which is
the root of both Hebrew and Arabic.
さらに、『ゾーハル』は、ヘブライ語とアラビア語の両方の語根である言語である、古代
アラム語で主として書かれている。
--- ここまで ---

古代アラム語は、ヘブライ語やアラビア語と同じセム語に属しており、当時の中東地方に
住むユダヤ人の間では、ほぼ標準語となっていた言語でした。
旧約聖書も、全てがヘブライ語ではなく、エズラ記、ダニエル書、エレミヤ書の一部は、
古代アラム語で書かれていますし、イエスも古代アラム語を話していたと言われています。

ユダヤ民族の成立は、ユダヤ教を軸として始まっていますので、公用語はヘブライ語です。
しかし、新バビロニア王国(BC625-BC539)の侵略によって、BC586年にエルサレムとソロモン
第一神殿は破壊され、エルサレムの地を追われて捕囚となったユダヤ人は、新たなるバビロン
の地で、現地の公用語であるアラム語を話すようになりました。
BS539年にアケメネス朝ペルシアの侵攻により新バビロニア王国は滅亡し、ユダヤ人は
エルサレムに帰還し、エルサレム第二神殿(BC516-AD70)が再建されたのですが、それでも
一部のユダヤ人は帰還せず、アラム語をそのまま使っていました。
『旧約聖書』も、割と早くからヘブライ語からアラム語に翻訳されていましたし、元々
同じ地域にある、同じような言語ですので、お互い方言の1つであると見ることも出来ます。
そして、70年のエルサレム第二神殿の破壊と、神殿祭司階級のサドカイ派の衰退、そして
ユダヤ民族離散の後は、ヘブライ語は公用語としても使われなくなっていき、中東では現地の
標準語であるアラム語が、ラビの間においても、一般的に使用されるようになっていました。
これ以後は、ヘブライ語は『旧約聖書』そしてユダヤ教の宗教関係書を綴る言語としてのみ、
生き残っていくことになるのでした。

それまでのユダヤ教文書は、『旧約聖書』にしろ「タルムード」にしろ、基本的には
ユダヤ教の公式言語であるヘブライ語で書かれていました。
ところが、『ゾーハル』は、2世紀のラビであるシメオン・ベン・ヨハイ氏が語る言葉を
文書化したという体裁を取っていますので、必然的に彼らの話し言葉であった古代アラム語
で書かれることになったのでした。

とはいえ、この2世紀の古代アラム語は、『ゾーハル』の書かれた時代からは1000年以上
前のものであり、現代日本における平安時代の『源氏物語』みたいな感じのものです。
そのため、当時の標準語でありながら一地方の方言であった古代アラム語の『ゾーハル』
は、さっそくユダヤ教の公式言語であるヘブライ語に翻訳されてマネーロンダリングされ、
まんまと「カバラ」の主要教典として、世界中にバラ撒かれることになったのでした。

レオン氏って、なかなかの策士ですよね〜。(笑)
74名無しさん :2013/11/03(日)09:54:43 ID:j2LZqAGoJ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
Presumably, Moses de Leon felt that his work would be taken more seriously if
attributed to an ancient author.
おそらく、モーセス・デ・レオン氏は、彼の著作が、もし古代の著者の作とされれば、
より重大に受けとめられるだろうと思ったのであろう。
--- ここまで ---

まあ、当時のレオン氏は、カバラ好きで勉強熱心で書くことが好きではあるけれども、
ほとんど無名のラビであったわけですので、いくら熱心に自分の思想を書いたり述べたり
しても、彼の時代にはそれなりに有名人が多くいたので、彼の言うこと、書くことを、
誰も真剣には受け止めなかったのでしょう。

そうこうしているうちに、勉強熱心な彼の心の中に焦りも生まれ、たとえ産地偽装してでも、
自分が考えたことを皆にも知ってもらいたい、自分のアイディアをもっと広めたいという、
研究者としての欲望が生まれたのでしょう。

ついでに、自分の書いた本を高く売って、貧乏だった生活の足しにしたいという気持ちも、
おそらく少しはあったのでしょう。
無名の自分名義で書いたものが同人誌として100円でしか買ってもらえないとしても、昔の
有名人の書いたものであれば、骨董屋に持っていけば、100万円で売ることだって出来ます。
そもそも、ラビは名誉的なアマチュア聖職者であり、ほとんどの場合は別の職業に就いて、
自ら生計を立てていましたからね。

いずれにしても、有名人名義で高く売られたレオン氏の本は、当時のカバラ研究者の間で
真剣に研究されることになり、さらなるカバラ理論の発展をもたらしたのでした。
75名無しさん :2013/11/04(月)08:50:10 ID:yzc91aYKe
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
He was probably correct, for The Zohar quickly assumed major proportions as the
document of Jewish mysticism.
彼は、おそらく間違ってはいなかった。というのは、『ゾーハル』は急速に、ユダヤ教
神秘主義の文書として、主要な割合があると思い込まれたからである。
--- ここまで ---

まあ、レオン氏の偽装行為は決して誉められることでもなく、良くないことではありますが、
実のところ、宗教や神秘主義の世界では、ごくごく普通に行われてきたことでもあります。

キリスト教の聖典である『新約聖書』においても、マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネ福音書や
パウロ書簡は、歴史的鑑定の結果、ほとんどが著者名を偽装されているということですし、
イエスなどの数々の聖人伝説のほとんどは、デッチ上げであることも知られています。

どのような宗教であれ、「ウソをついてはいけない」という教えがあることはあるのですが、
その教えが書かれた聖典自身がウソだらけであるというのが現状ですので、「信じるものは
騙される」というのが、宗教というものの現実なのではないかと思ったりするわけなのでした。

とりあえず、神秘主義や宗教においては、何が信じられるもので、何が信じられないもの
なのかは、他人の意見に惑わされずに、各自で個人的に判断してもらうしかないのが現状
なんですよね。

そして、たまには、ウソやデッチ上げであることを承知した上で、割り切って付き合う
ことも必要だと思うのでした。
経歴詐称する人物が全てウソをつくわけでもありませんし、無免許の医師の方が腕のいい
外科医であるということだって、あるかもしれないわけですからね。

何はともあれ、この『ゾーハル』に書かれたものは、とても重要な考えであり、カバラ思想の
中でも極めて重要な部分を占めています。
ただし、神秘主義的な妄想が進みすぎている部分もありますので、単なるネタとして使う
のは構わないのですが、実用的に使いたい場合には、その取り扱いには、充分な注意が
必要であることは、付け加えておきたいと思うのでした。
76名無しさん :2013/11/05(火)06:57:20 ID:YTZZbL4XU
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
It should be added that between approximately 1500 and 1800 the Qabalah was widely
considered to be the true essence of Jewish theology,(*36) rather than the curiosity
that it is today among Jews.
およそ1500年と1800年の間、カバラは、ユダヤ人の間で今日ある好奇心をそそるようなもの
というよりむしろ、ユダヤ人の神学の真の本質であると広く考えられたことが付け加えられ
ておくべきである。(*36)
--- ここまで ---

ちなみに、(*36)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
36. Scholem, Kabbalah, 190.
36. ショーレム著、『カバラ』、190ページ。
--- ここまで ---
とあります。

今日では、カバラはユダヤ民族にとって「忘れられたもの」となり、一部の物好きな人が
興味範囲でそれを考古学的に研究しているような感じになっています。
ショーレム氏も、カバラの実践者というよりも研究者に近い感じですよね。

なお、『ゾーハル』を生み出したスペインの地は、718年からイスラム教の支配を受け、
比較的自由にユダヤ人が活動できた時代でした。
13世紀になって徐々にスペイン北部からキリスト教が巻き返し、1492年にはキリスト教が
完全にスペインでの支配を取り戻しました。
その後、スペインで異端審問が始まり、ユダヤ教徒は国外追放されるか改宗してキリスト
教徒になるかを選択しなければ、生き残れなくなりました。
こうして、スペインにおけるユダヤ教カバラの研究の歴史は完全に終焉を迎え、その知的
財産は、必然的に東方のフランス、ドイツ、そして中東へと拡散して、それらの地で研究が
続けられ、世界中のユダヤ民族へと伝えられていくことになるのでした。

そして、その一方で、カバラの教えはユダヤ人の中だけに留まらず、キリスト教の中にも
徐々に浸透していくことになるのでした。
77名無しさん :2013/11/06(水)07:01:10 ID:Q2fiW0CCj
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
Unfortunately, The Zohar has never been translated completely into a European language.
残念ながら、『ゾハール』は西洋の言語には完全に翻訳されていない。
--- ここまで ---

現在は、英語版であれば、ほぼ完訳されているようです。

日本語版は、前述の『ヴェールを脱いだカバラ』の翻訳版と、「叢書・ウニベルシタス」の
シリーズで『ゾーハル カバラーの聖典』という新しい翻訳が入手できます。
どちらも、部分的な翻訳ですが、魔術カバラの勉強であれば、これで充分だと思います。

ちなみに、『ゾーハル カバラーの聖典』は、チェコ出身のドイツのカバラ研究家であり
作家であるエルンスト・ミュラー氏(Ernst Muller, 1880-1954)の『ゾーハル』の一部の
ドイツ語訳(1932年発行)を、石丸昭二氏が日本語訳(2012年発行)したものとなっています。
78名無しさん :2013/11/07(木)06:53:08 ID:8Mjuui6x9
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
The five volume English set by Maurice Simon and Harry Sperling(*37) is competent,
but represents only about 35% of the work.
モーリス・サイモン氏とハリー・スパーリング氏による、5巻の英語版の一式(*37)は、
有能ではあるが、著作のわずか約35%にしか相当していない。
--- ここまで ---

ちなみに、(*37)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 268) ---
37. The Zohar, translation by Harry Sperling and Maurice Simon, New York 1973.
While this well-bound edition, published by Soncino Press, is the best-known,
the exact same text is also published by Rebecca Bennett Publications, in a less
expensive and somewhat reduced size.
37. 『ゾーハル』、モーリス・サイモン氏とハリー・スパーリング氏による翻訳、ニューヨーク、
1973年発行。さらに、これの装丁の良い版で、ソンチーノ出版社により発行されているもの
は、最も有名であるが、全く同じ本文のものもまた、より安価で少し小さい寸法のものが、
レベッカ・ベネット出版より発行されている。
--- ここまで ---
とあります。

この英訳版『ゾーハル』は、ロンドンのソンチーノ出版社のものが初版であり、1930年代の
発行となっています。

なお、『ゾーハル』などの本格的なカバラ文書の英訳出版は、1980年代から活発化して
いますが、これはオカルトブームのせいで魔術カバラが注目され、こういうユダヤ教カバラ
の研究書の翻訳出版も、商業的にペイするようになったからなんですよね。

日本では少し遅れて、1990年代になってから、本格的なオカルトブームとなり、数多くの
カバラ文書の邦訳版が出版されてきています。
とはいえ、カバラという哲学思想は、日本人にとっては、あまりなじみのないものだった
ようで、その本当の意味について知る人は、未だにほとんどいないのでした。
そして、日本に輸入されてきたカバラというもののほとんどが、割と皮相的で実践的な
カバラであって、元々の知的探究心を対象とするカバラは、部屋の片隅に追いやられて
いる状況なんですよね。

まあ要するに、日本のオカルト業界には、一部の研究家を除いて、カバラの本質を理解
できるほどの賢い人、そして理解しようとする勤勉な人が、ほとんどいなかったということ
なのでしょうね。
79名無しさん :2013/11/08(金)06:56:49 ID:iKLalwOXB
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
The translators chose to eliminate those parts which they believed to be later additions,
or unduly obscure.
翻訳者たちは、後の追加分であるか、もしくは過度に不明瞭であると彼らが信じた、それら
(ゾーハル)の部を除くことを選んだ。
--- ここまで ---

『ゾーハル』は、『旧約/新約聖書』のように、作者も年代もバラバラに作成された冊子、
つまり「parts/部」を寄せ集めたような構成となっています。
ただし、基本的で重要な部分は、前に述べたモーセス・デ・レオン氏が書いたものであると、
考えられています。

おそらく、当時『ゾーハル』を構成すると見なされていた文書全てを英語に逐語訳する
ことは、決して不可能なことではなかったと思います。
でも、翻訳という作業は、決して「言語を変換する作業」ではないんですよね。
変換して伝えるのは、単なる「文字情報」ではなく、「思想」であり「文化」です。
原文自体が、自分自身である程度共感できるものでないと、なかなか翻訳しようという
気にもならなかったりするんですよね。
まあ、共感できない人が無理して翻訳すると、きちんと文章の意味を把握できないまま
なので、機械翻訳と大して変わらない読めない文章になってしまうのです。

翻訳者である、モーリス・サイモン氏とハリー・スパーリング氏は、自分たちの思いを
正しく後世に伝えるために、『ゾーハル』から取捨選択したのだと思います。
それはそれで、1つのやり方ではないかと思っています。

ワタシとしても、どう見ても疑わしいものを後世に伝えるのは、気が引けますからね。
そういう意味では、この『The QABALISTIC TAROT』という本は、ぜひとも後世に伝えて
いきたい名著であると、ワタシは考えているのでした。
どうでもいい内容のタロット本ばかりが翻訳されて世に出る中で、なぜこの本を翻訳して
後世に伝えようとする人が今まで出て来なかったのかが、不思議でならないんですよね。
占い業界って、なんか歪んでるのでした。
80名無しさん :2013/11/09(土)19:30:07 ID:SeGLLQkKi
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 22) ---
Three of those omitted texts are, however, to be found in The Kabbalah Unveiled(*38)
translated from Knorr von Rosenroth's latin Kabbalah Denudata of 1677, and which
includes a brilliant introduction by MacGregor Mathers.
それらの省略された原本のうちの3部は、しかしながら、1677年のクノール・フォン・
ローゼンロート氏のラテン語『裸のカバラ』から翻訳された『ヴェールを脱いだカバラ』(*38)
の中に見つけられ、そしてそれはマクレガー・マサース氏による素晴らしい序論を含んでいる。
--- ここまで ---

ちなみに、(*38)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
38. The Kabbalah Unveiled, Mathers translation. See note 23.
38. 『ヴェールを脱いだカバラ』マサース訳。注釈の23項を参照。
--- ここまで ---
とあります。

このローゼンロート氏の『Kabbalah Denudata/裸のカバラ』は、キリスト教カバラ研究者
の視点で、ラテン語で書かれた、かなり本格的な『ゾーハル』の3巻の解説書であり、その
中には、いくつかの『ゾーハル』のヘブライ語・ラテン語対訳が掲載されています。
そしてマサース氏は、それを読んで簡潔にまとめて「序論」を書き、対訳部分を英訳して、
『The Kabbalah Unveiled/ヴェールを脱いだカバラ』を出版しています。

さて、その『裸のカバラ』』にラテン語訳され、さらに『ヴェールを脱いだカバラ』で英訳
された『ゾーハル』の3つの部は、前記のサイモン氏とスパーリング氏の英訳版『ゾーハル』
には、掲載されていないのです。
もちろん、ローゼンロート氏のラテン語の『裸のカバラ』は、カバラ研究者の間では有名な
本であり、サイモン氏とスパーリング氏は、それを知らないはずはありませんし、マサース
氏の英訳『ヴェールを脱いだカバラ』も、知らないはずはありません。
つまり、ユダヤ教カバラ研究家のサイモン氏とスパーリング氏は、それらは「後の追加分で
あるか、もしくは過度に不明瞭であると彼らが信じた」に相当するものであると判断した
ということですよね。
もしかすると、ユダヤ教カバラの研究者にとっては、キリスト教カバラや魔術カバラに
利用されたこと自体が不名誉なことであり、利用されてしまった本文は、もはやユダヤ教
カバラの本筋の研究には値しないと考えたのかもしれません。

まあ、『ヴェールを脱いだカバラ』に掲載されている『ゾーハル』の3部は、ちょっと異質
というか、ネタ的に新しいものを含んでいるような感じもするんですけどね。
でも、古いものではないから、原典とは違うものだからと言って、その価値が下がるわけ
ではないと思うわけです。
そもそも、『ゾーハル』自体が産地偽装されたものですので、違う著者や違う時代であった
としても、ニセモノ扱いされること自体が、ちょっと筋違いのような気もするわけです。
それに、魔術カバラを勉強するのであれば、このマサース氏の『ヴェールを脱いだカバラ』
を避けて通るわけにはいかないものですからね。
81名無しさん :2013/11/10(日)10:00:58 ID:lSgnPeoeC
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
The texts in question are among the most difficult of The Zohar.
問題の原文は、『ゾハール』の最も困難なものの中にある。

They are: The Book of Concealed Mystery, The Greater Holy Assembly and The Lesser
Holy Assembly.
それらは以下のものである:
「隠された神秘の書」、「大聖集会」そして「小聖集会」。
--- ここまで ---

この3つの部は、『ヴェールを脱いだカバラ』で英訳されているものです。

これらは、確かに『ゾーハル』では最も難解なレベルのものではありますが、それまでに
研究され検討され、既に英訳もされてきたものですので、サイモン氏とスパーリング氏が、
それらを「難解だから」という理由で省略するということは無いはずです。
おそらくは、「ユダヤ教カバラの文献としては、ふさわしくないと思われる何か」が
あったということなんですよね。

ちなみに、『ゾーハル』は、ワタシのような理系脳にとっては、全くもって理解できない
シロモノばかりですので、どれが優れているか劣っているかホンモノかニセモノかという
次元を超えた議論には、ほとんど参加できません。
結局のところ、こういう究極の神秘思想も、ワタシにとっては、そのほとんどがネタ扱い以上
のものにはならないのでした。

まあ、現代における最先端の宇宙論や量子理論が、素人の脳味噌では全く理解できない
レベルに達していて、単なる話のネタとしてしか利用できないのと同じような感じですよね。
82名無しさん :2013/11/11(月)06:28:55 ID:RByh1uHQH
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
There is only one complete translation into a modern language and that is Hebrew.
現代語への完全な翻訳は1つだけあり、それはヘブライ語である。
--- ここまで ---

『ゾーハル』の記述言語である古代アラム語は、民族的にも地域的にも、ヘブライ語とは
非常に近い関係にありますので、翻訳作業にはそれほどの困難は無いと思います。

ちなみに、ヘブライ語は、紀元70年にエルサレム第二神殿が破壊され、ユダヤ民族が離散
した後は、日常の話し言葉では全く使われなくなり、ユダヤ教の宗教関連用語の書き言葉と
してのみ、一部の人々の間で使われ続けていました。
つまり、完全に忘れ去られた言語ではなく、書面の中で細々と生き長らえ続けていたわけです。
ただし、こうして文字情報は残りましたが、発音などの音声情報は、失われてしまいました。

19世紀になって、ユダヤ復興運動(シオニズム)が始まり、ロシアのリトアニア出身で
1881年にパレスチナに移住した、ヘブライ語言語学者であるエリエゼル・ベン・イェフダー氏
(1858-1922)は、ヘブライ語をユダヤ民族の日常語として復活させるために、ヘブライ語辞典を
編纂して普及に努め、1948年にイスラエル国が復活した時には、ヘブライ語が公用語として
ついに復活したのでした。

こうして、一度滅亡した国が復活したのと同時に、一度は死んだ言語も見事に復活したのでした。
ユダヤ民族の執念というのは、マジですごいものがありますよね。

つまり、ヘブライ語は、今では現代語ではありますが、第二次世界大戦以前は、現代語では
なかったということです。
ユダヤ人が教育熱心であることと、古代から続く由緒ある民族であることの誇りがあるから
こそ、このようなことが達成できたのでしょうね。
83名無しさん :2013/11/12(火)06:53:41 ID:7taIp1v+F
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
The twenty-one volume translation and commentary, by the late Yehuda Ashlag is
described by Scholem as "an extremely literal translation (but not without many
textual misunderstandings)."(*39)
最近のイェフダ・アシュラグ氏による21巻の翻訳と注釈は、ショーレム氏により「きわめて
逐語訳(しかし多くの本文の誤解なしでではなく)」と評されている。(*39)
--- ここまで ---

ちなみに、(*39)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
39. Scholem, Kabbalah, 240.
39. ショーレム著、『カバラ』、240ページ。
--- ここまで ---
とあります。

ポーランド生まれのラビでありカバラ主義者であるイェフダ・アシュラグ氏(Yehuda Ashlag,
1885-1954)は、現代のイスラエル国に、ユダヤ教の古い教えを復興させた人物の一人で
あり、古代アラム語から現代ヘブライ語に翻訳し注釈を付けた『ゾーハル』の21巻本を、
1943年から1953年にかけて出版しています。

ヘブライ語で書かれており、残念ながらワタシには全く読めませんので、中身に対する
コメントは差し控えさせていただきます。
まあ、翻訳の質はともかくとして、その注釈については、割と高く評価されているようです。
84名無しさん :2013/11/13(水)06:50:49 ID:24Jx7qeln
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
THE RENAISSANCE:
HERMETICISM AND CHRISTIAN QABALAH
ルネサンス:
ヘルメス主義とキリスト教カバラ
--- ここまで ---

ここから、「カバラ」の章の中での新しい節になります。

サブタイトルは「ルネサンス:ヘルメス主義とキリスト教カバラ」です。

ユダヤ教カバラは、13世紀の終わりに『ゾーハル』が登場したことにより、急速に研究が
進み、一部地方の限られた研究者の内輪の神秘ネタであったものが、物好きな人々の間で
次々と手書きコピーされ、世界中へと広まっていきました。
まあ、広まっていったおかげで、色々と面倒な事件や面倒な人々などが世界中で数多く
発生したこともありましたし、ユダヤ民族にとっては、カバラの存在は良い面と悪い面が
あったということも確かだと思うのでした。
(おかげで、いまだに18禁のエロネタ扱いを受けているところもありますしね。)

そして、この神秘的な哲学思想は、ユダヤ民族だけではなく、世界中の物好きな人々にも
広く知れ渡ることになります。
そもそも、キリスト教もイスラム教も、ユダヤ教の聖典である『旧約聖書』をベースに
していますので、ユダヤ教カバラを導入する障壁というのは、基本的には無いわけです。

というわけで、ここからは、ユダヤ教カバラから分岐し、キリスト教カバラ、そして魔術
カバラへと至る物好きな人々の歴史について、もう少し探っていこうということですよね。

カバラって、使い方を間違えると、とんでもない事態を招くということは、歴史が証明して
います。(この本の中では、詳しくは触れていませんが)
理論的にも歴史的にも正しい認識をしておくことが、カバラを正しく利用するには必要な
ことではないかと思うのでした。

世間知らずな基地外リーダーが、わけのわからない大言壮語を吐いて、みんなを窮地に
陥れるという展開は、定番ストーリーだったりするわけですからね。
85名無しさん :2013/11/14(木)06:50:33 ID:loZ/xJkRZ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
The key to the modern Hermetic Qabalah is the Renaissance mind which blended Jewish
Qabalah and Hermetic mysteries.
現代の「ヘルメス主義的カバラ」の鍵となっているものは、ユダヤ教カバラとヘルメス主義的
神秘主義とを混合したルネサンス精神である。
--- ここまで ---

「ヘルメス主義的カバラ」すなわち魔術カバラのベースとなっているのは、今まで何度も
述べてきたように、「キリスト教カバラ」です。
そして、この「キリスト教カバラ」のベースとなっているのが、今まで述べてきた
「ユダヤ教カバラ」と「ヘルメス主義的神秘主義」であるということです。

もちろん、ユダヤ教カバラとヘルメス主義の異なる2つの種を、単に混ぜ合わせただけで、
新しいものが生まれてくるというわけではありません。
新しいものを生み出すには、それを育てる土壌というものが必要です。
そう、その土壌となっているのが、この「ルネサンス精神」というわけです。

「ルネサンス」は、中世キリスト教の暗黒支配から逃れ、自由な文芸活動が復興していった
時代です。
その前触れとして、キリスト教以前の文化である古代ギリシア・ローマの文献や、キリスト
教の支配を受けなかったイスラム圏の文献が、キリスト教圏のヨーロッパの東端と西端から、
数多く翻訳されて、キリスト教国のイタリア・フランス・ドイツに流入していきました。
この文化的な流れの中に、「ユダヤ教カバラ」や「ヘルメス主義」なども、紛れ込んでいた
ということなのですが、この時期は、文化だけでなく人や物の交流も活発になり、ユダヤ人が
商業や金融の方面で活躍して、大きな富を稼いでいく時期でもあります。

日本で言うと、長い封建的な鎖国時代が終わり、外国の文明や社会制度が流入した、
明治期の文明開化が起こったようなものという感じですかね。
86名無しさん :2013/11/14(木)23:39:18 ID:VOvy9y7qL
↑ど素人がいい気になってぺらぺらと駄文垂れ流してんじゃねえよ。
和訳だけならまだしも、何の知識も強要もない雑魚のオナニー感想いれてんじゃねえ。
魔術やカバラの本質的な理解が無いし約も下手だしよ。
さっさと糞スレ終わらせて士ね
87名無しさん :2013/11/15(金)06:50:18 ID:wM/54EnKM
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
During this period of intense intellectual activity, philosophers encountered
previously hidden currents of Jewish mysticism, and attempted to adapt these
ideas to a Christian framework.
強烈な知的活動のこの時代の間に、哲学者たちは、ユダヤ教神秘主義の以前に隠された
潮流に出会い、キリスト教の枠組みに、これらの考え方を適合させることを試みた。
--- ここまで ---

中世期のキリスト教会の厳格な思想統制により、新しいものに飢えていた思想家たちは、
ルネサンス期になってキリスト教の支配が弱まると、その才能を存分に発揮することが
出来るようになりました。
そして、それまで研究することを禁止されていたユダヤ教に関するものも秘かに見直され、
関心を持つ人々も増えていきました。

とはいえ、こういう自由な雰囲気というのは、割と地域的に偏っていて、他の地域では、
まだまだ厳しい弾圧や虐殺も起きていた時代でもあるわけです。
当時のスペインでは、イスラム教徒に支配されていた地域をキリスト教徒が取り戻す
レコンキスタ(Reconquista、718-1492)が盛んで、イスラム圏で安穏平和に暮らしながら
カバラを研究していたユダヤ民族が、キリスト教の弾圧を受けて安住の地を追われたり、
もしくはユダヤ教からキリスト教に強制的に改宗させられたりしていました。

強制的に改宗させられたユダヤ人たちは、スペイン語で「marrano/マラーノ/豚」と呼ばれ、
そういうユダヤ教を表向きでは裏切りながらも、裏ではユダヤ教カバラを秘かに伝える人々も
また、ユダヤ教カバラを、ルネサンス期のキリスト教思想に持ち込むことにもなりました。
まあ、一種の隠れキリシタンというか、隠れユダヤみたいなものですかね。

ともかく、この時代でも、世界各地で、このようなキリスト教徒によるユダヤ人の迫害は
続いていたわけで、イギリスでも13世紀から17世紀にかけては、完全に国土から追放されて
いましたし、他の地域でも、何かしら事件かあると、何でもユダヤ人のせいにされて虐待
されたりしていたのでした。

とはいえ、こういうことが起きたのは、裏を返せば、ユダヤ民族というものが、それほど
までに強烈な生命力と団結力と成功力を持っていたということにもなるわけです。
そういう面が、他の民族にとって、驚異というか不気味というか異質に見られてしまうこと
になり、「ユダヤ陰謀説」というのが、もっともらしく唱えられることになるわけで、それに
より、さらにユダヤ教カバラに対する関心が、別の意味で高まったりするわけなのでした。
88名無しさん :2013/11/15(金)06:56:25 ID:wM/54EnKM
>>83
偉そうに文句を垂れるのなら、あなたがやって見せてくれませんか?

> 魔術やカバラの本質的な理解が無いし約も下手だしよ。

ならば、あなたの言うところの「魔術やカバラの本質的な理解」というものを、
ワタシのような「ど素人」に、教えてくれませんかね〜

> 何の知識も強要もない

まあ、確かに教養は無さそうですけど・・・

> 約も下手だしよ

そもそも、日本語からして、色々とおかしいんですが・・・
89名無しさん :2013/11/16(土)04:57:31 ID:V9QCMmsCD
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
It was even asserted that through the Qabalah one could most effectively prove the
divinity of Christ.
カバラを通じて、人は最も効率的にキリストの神性を証明することができた、という
主張さえされた。
--- ここまで ---

この主張は、ユダヤ教カバラをキリスト教思想にいち早く取り入れようとした、イタリアの
哲学者であるピーコ氏(Giovanni Pico della Mirandola, ジョヴァンニ・ピーコ・デッラ・
ミランドラ, 1463-1494)の、『Oratio De Dignitate hominis/人間の尊厳について』(1486年
出版)に書かれていることを指していると思われます。
この本は、当時のローマ教会から異端視されることとなり、ピーコ氏は国外逃亡しています。

ちなみに、この本には、当時知られていた、ありとあらゆる神秘思想が取り込まれており、
人間=小宇宙は大宇宙と対等の関係であり、人は自由意志の力で何にでも変容できる、
すなわち神にもなれるという、現在の魔術の根本原理を導き出しています。
そして、その主張の根幹にあるのは、ユダヤ教カバラであったということです。

まあ、カバラによる妄想の手法というのは、ほとんど何にでも適用することが出来ます。
ほとんど何でもありですので、どういう結論であっても導き出すことが可能な、実に万能な
手法でもあります。
でも、そういうのって、現実的には詐欺の手法そのものなんですよね…。
何にでもなれるという大風呂敷を広げたような宣伝文句には、実は裏があって、様々な
制約事項が付加されていて、実際には何の役にも立たないことが多かったりするのです。
もちろん、自分自身のバーチャルな妄想世界に限定するのであれば、何でも出来ます。
でも、それをリアルな三次元世界に持ち込もうとすると、そこには全く違う世界のルールが
あって、そんなに単純な関係ではないということに、誰もが気づくはずなのです。

つまり、現実で成功するには、魔術やカバラの勉強だけではダメで、しっかりと普通の
勉強もしないといけないということですよね。
いくら魔術やカバラの本質的な理解が出来たとしても、妙な文章しか書けないヤツが、
この世の中で成功するとは、とても思えないですしね。

それにしても、「魔術やカバラの本質的な理解」って、いいネタだなぁ(苦笑)
90名無しさん :2013/11/16(土)10:14:45 ID:kJ68m52zu
>>88 誰もみてないスレでど素人がいい気になって下手な和訳と
薄っぺらい感想交えながらオナニー講義してんじゃねえよw
91名無しさん :2013/11/17(日)08:01:01 ID:jvBuRHqkK
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
The Renaissance was a time when man considered himself the jewel in a universal crown.
ルネサンスは、人間は自分自身を万物の王冠の中にある宝石であると考えた時期である。
--- ここまで ---

ルネサンス期の思想には、それまでの中世におけるキリスト教による支配のために、人々に
押しつけられたネガティブ思想とは反対に、元々の西洋思想の源流であった古代ギリシアや
ローマ、そしてヘレニズムの思想を受け継いだヘルメス主義的神秘主義には、割とポジティブな
考え方をするものが多くあります。

キリスト教もユダヤ教も、基本的には神が上位で人間は下位という固定的な関係なのですが、
ヘルメス主義においては、神と人間の関係性は、より流動的であって、相対的に人間の地位は
より高くなり、人は神の世界へと接近していくという感じになります。
そして究極的には、「人」も「神」も、そしてこの「宇宙」さえも、「原初の創造神的存在」
から生み出された同じレベルの存在であるという感じですかね。
こういう古くて新しい思想は、キリスト教会からは異端視されながらも、それまで地下に抑圧
されてきたものが一気に噴出してきたような感じですよね。

それにしても、「人間は万物の王冠の中にある宝石である」なんて、なかなかロマッチックな
言葉ですよね。
それまで個性を抑圧されてきた人々が、こういう甘い言葉に釣られて表に出てきて、個性
尊重のワガママし放題の時代になってきたということでもあります。
そして、こういうジコチュー的な意識改革の流れを受けて、社会組織的な変革もつられて
コペルニクス的転回を起こしていくことになるのでした。
92名無しさん :2013/11/17(日)08:04:22 ID:jvBuRHqkK
>>87
毎回、かなり頭悪い感じの薄っぺらいレス入れ、ごくろうさんww

> 誰もみてないスレで

「誰もみてない」なんて妄想をして、現実が見えていないんじゃないの?
少なくとも一人は、ここを熱心に見ている人がいるんだけどなww

> オナニー講義してんじゃねえよw

なんか、「オナニー」という新しい言葉を覚えて、あちこちで披露したい厨二野郎が、
オナニーレスをあちこちにバラまいているような感じがしないでもないなぁww

 ☆ チン・チン 〃 ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ ___\(\・∀・)< で、「魔術やカバラの本質的な理解」の話、まだ〜?
      \_/⊂ ⊂_) \____________
93名無しさん :2013/11/18(月)06:45:04 ID:S1870MqD0
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
He was the "measure of all things," rather than the lowly sinner atoning for the Fall
as had been insisted by medieval dogma.
人間は、中世の教義により主張され続けてきたような、「堕落」を償う卑しい罪人ではなく、
「万物の尺度」であった。
--- ここまで ---

「Fall/堕落」、つまりアダムとイヴが神の教えに背いたことにより、楽園から追放された
ことですが、これは『旧約聖書』を基本とするユダヤ教やキリスト教やイスラム教には
共通の事件なのですが、その解釈については、微妙に異なっています。
その中でも「原罪」の概念が一番厳しいのは、ご想像の通り、ローマ教会を中心に厳格に
管理組織化された西ヨーロッパのカトリック系です。
こういうのも、人々を管理し奴隷化するための、一種の洗脳みたいなものですよね。

そういう「生まれながらの罪」というか「生まれながらの差別」に対して異を唱えることが
できるようになったのが、このルネサンス期ということになります。

そもそも、「(man is the) measure of all things/(人間は)万物の尺度」というのは、
古代ギリシアの哲学者であるプロタゴラス(Protagoras, BC490-BC420)の言葉です。
これは、それぞれの人間の価値観が尺度の基準となる「相対的」なものであって、
万人に共通する「絶対的」な尺度というものは存在しないということです。
つまり、真理というものは人それぞれにある、という考え方ですよね。

それにしても、こういう、個人を宇宙の中心に据える考え方って、「革命的」ですよね。
この世界は、ピラミッド社会であって、人は生まれながらに初期位置を定められるというの
ではなく、生まれた人を中心として同心円状に世界が広がっていくというようなイメージです。
つまり、人は、生まれた時から死ぬまで、ずっと神と同じ立場にいるということでもあります。

もちろん、こんなワガママでジコチューで個人主義的な考え方は、中世の封建的社会や
キリスト教会の考え方とは相容れるはずもありませんし、神の権威を否定するものとして
異端視されることになるのですが、その流れを止めることは、結局出来ませんでした。

ちなみにワタシも、ワガママでジコチューで個人主義的な考え方ですので、他人から何と
言われようと、ここでは好きなようにやらせてもらっていますけどね。

それにしても、「魔術やカバラの本質的な理解」って、そんな本質的というか絶対的なもの
って、本当に存在しているんですかね〜。
ぜひとも、聞いてみたいものですけどね〜。

で、そういうありがたい話は、まだなのかな?
94名無しさん :2013/11/19(火)06:55:57 ID:Q7cdkPh4H
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
Thus, intellectual and creative activity, a constant questioning of principles,
came to be of greater importance than the institutionalized values of the past.
このように、理知的で創造的な活動、原理の絶え間無い質問は、過去の制度化された価値観
よりも、より大きな重要性のあるものになった。
--- ここまで ---

この「institutionalized values of the past/過去の制度化された価値観」というのは、
中世の学問である「スコラ学」や「修道院での学問研究」のことを指しています。
「スコラ学」にしろ「修道院の研究」にしろ、どちらにしても、聖書などの公認された過去の
文献を、自分勝手な理屈で解釈し、キリスト教の教えや教会の権力を補完するような
空理空論のものでしかなく、現実世界を見据えた科学的な手法のものではなかったわけです。

要するに、当時の研究者の視点は、上司である「宗教的・封建的支配者」の方を向いていて、
現実世界の方を向いているわけではなかったわけです。
そうなった理由は、「宗教的・封建的支配者」が強大で、彼らの権力に背くものは全て、
体制転覆を図る「異端思想」というレッテルを貼られて、全て暴力で封殺されていった
からなのでした。

まあ、こういうブラックな支配体制というのは、支配者階級が幼稚な場合は、どの時代でも、
どこの地域にも、どんな団体にも見られるわけですが、その絶対的支配の効果として、
ある程度の情勢の安定と、ある程度の経済的な繁栄という面もあるわけです。

こういう不自由な安定路線を取るか、自由競争の成長路線を取るかというのは、過去の歴史や
現在の世界情勢を見れば、ある程度は判断できると思うのですが、個々の人間の行動という
のは、そういう尺度では測れないものですからね。

いずれにしろ、ルネサンス期になって、そういう閉鎖的なものは徐々に衰退し、再び自由に
見たり聞いたり話したりすることが出来る時代が訪れてきたということですよね。

ちなみにワタシは、「暴力」や「言葉の暴力」を使って、こういう自由な場で、自由な発言を
封殺するような手段を取るような人間には、絶対になりたくはないですよね。
反論したいことがあるのなら、事実を挙げて、正々堂々と議論すればいいと思うのでした。
まあ、それが出来ないから、言葉の暴力に訴えるということになるのでしょうけど、
それって、自分が幼稚であることを、自ら白状しているようなものですからね〜

で、「魔術やカバラの本質的な理解」の話は、まだですか?
95名無しさん :2013/11/20(水)06:59:06 ID:0exm5Aq+3
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
In more basic terms, one can say that what had been a church dominated society became
secularized.
より基本的な用語においては、教会に支配された社会であったものが、脱宗教化されるように
なったと言うことができる。
--- ここまで ---

380年にキリスト教がローマ帝国の国教と定められた以降は、キリスト教の支配力は徐々に
拡大し、中世においては、思想面だけでなく、政治的な権力も強大化していきました。
つまり、全ての価値観の基準が「キリスト教」と「キリスト教会」がメインとなるように、
西欧社会が構成されていったということですよね。

こういう「統一した価値観の押しつけ」による精神的な支配は、ある程度は有効ではある
わけですが、元々、様々な価値観を持つ人々を支配するには限度があります。
そして、そういう閉塞した状況の中で、聖地奪還を目指す「十字軍」(1096-272)という
対外的な侵略戦争が、現状打破の切り札として利用されたということですよね。

まあ、でもこの「十字軍」って、名前はカッコイイのですが、かなり極悪非道なことを
各地でやっています。
元々が、閉塞して腐敗していた支配者階級たちの思惑から生み出されてきたものですので、
建前はともかく中身としては、いわゆる「聖戦」とか「正義の戦い」とは全く違うタイプの
ものですからね。
結局のところ、この戦争は大失敗に終わり、この戦争に加担したキリスト教支配者階級は
経済的に没落して衰退していき、それに代わって、「キリスト教」とはあまり関わりを
持たなかった新しい勢力が、別の階級から出てくることになります。
そして、今までのキリスト教の圧政時代の反動で、脱キリスト教というものがトレンディと
いうことになり、とりあえずルネサンスという方向で、過去の西欧の遺産が見直されていく
ことになるのでした。

脱キリスト教化の風潮が出てきたとはいえ、この時代は、まだまだ科学技術が未発達の
時代ですので、「魔術と科学」が入り混じって、かなり混沌としている時代です。

そして、そういうカオスな状況の中から、新しい思想や技術が、新しい時代を担う人々の
間から、次々と生み出されていくということになるわけなのでした。
96名無しさん :2013/11/20(水)20:44:42 ID:/W98Q5KeL
本当に下手糞で読みにくい和訳だし、長いだけで内容がスカスカの駄文解説だな・・w
本人は面白いと思ってるんだろうが、くそ寒い注釈も入ってるし、文才も無いし、
隠秘額の基本的な知識も無いやつが調子に乗ってるオナニースレだな。
97名無しさん :2013/11/20(水)20:46:17 ID:/W98Q5KeL
>>教えて的な質問に答えたりとかは面倒なので、スルーする可能性が高いです。

誰もお前みたいな雑魚に質問したいと思わねえよw
98名無しさん :2013/11/21(木)06:54:34 ID:cH6E+Okxt
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
The beliefs and feelings of the medieval period were supplanted by the call for
a more rational overview of the human condition.
中世の期間の信条および感情は、人間の状態のより合理的な概観の要求によって、
取って代わられた。
--- ここまで ---

直訳すると、なんか意味わかんないですよね。

要するに、中世という時代は、全ての価値観やルールは、「神」を偽装した「教会や支配者
階級」により恣意的に決められていて、一般庶民は人間扱いされていなかったということです。
まあ、現代でも、これに似たような体制を持つ国はありますよね。
そして、そういう暗黒時代は、教会や権力者階級の衰退によって終わりを告げ、やっと
「人が人として、自分の思ったこと、考えたこと、感じたことを、そのまま声に出して
言うことが出来る」という時代になってきたということでもあります。

ちなみに、ルネサンス期というのは、社会システム自体が変化する「上からの改革」という
ことよりも、もっと一般民衆レベルでの「下からの変革」という感じに近いですよね。
それまで、金と知識を独占してきた権力者たちの上から目線の規制圧力が、なしくずし的に
緩和されていき、より自由な創造活動が黙認されてきたのと、色々な技術や産業も進んで、
一般民衆レベルでも、様々な文化活動に参加できるようになってきたというのもあります。

こうして、社会が実質的に自由化された結果、さまざまな学問や文化が花開くことになるの
ですが、建前としての封建社会体制は残存していますので、そういう点では、様々な軋轢が
出てくる時代でもあるわけです。

キリスト教というのは、元々は「反権力的」な思想だったはずなのですが、公式宗教化した
時点で、「民衆のための宗教」ではなくなってしまい、人道に反することを色々とやって
いますよね。
どんなに優れたものであっても、社会の権力や体制の維持に利用されれば腐敗していくという、
良い見本ではないかと思うのでした。
99名無しさん :2013/11/21(木)06:57:12 ID:cH6E+Okxt
>>93
やあ! オナニー君、お久しぶり (^-^)ノ
元気にしてたかなww
オカルトやってる人って、病気持ちの人が割と多いからね。
「魔術やカバラの本質的な理解」の話をしてくれないまま、黙ってどっかに消えちゃったので、
また病気が悪化して部屋に引き籠もってしまったのかと、ちょっと心配してたのだww

> 隠秘額の基本的な知識も無いやつが

またもや「学」の無いことを白状しちゃって、本当に君は、おちゃめさんだなぁww

>>94
あ、オナニーレスは、連続して書いちゃダメだよww
できれば、一日一回にしとこうねww

> 誰もお前みたいな雑魚に質問したいと思わねえよw

んじゃ、せっかくだから、こっちからオナニー君に色々と質問してあげよう!(^_^)/

「魔術やカバラの本質的な理解」って何のこと?
「隠秘額の基本的な知識」って何のことかな?

ところで、オナニー君の「師」って、一体誰なの?
やっぱり、クロウリー系の人なのかな?

ちなみに、オカルト系のネットの話って、経験上、サクラや身内や自演が多くて、
アンチが付くのは、実は隠れた人気のある証拠だったりするんだよね〜
しばらく誰も来なかったから、ちょっと凹んでたけど、なんか自信が付いてきたのだww
100名無しさん :2013/11/22(金)00:39:19 ID:6JRDShbZ5
>>99 色んな意味で残念な奴だなww
お前のオナニースレを黙って見てくれてた人間はみんな
お前がしたり顔で誰でも知ってるような情報をペラペラ垂れ流すのを
大きい心で見てくれてたんだよ。
あまりにも鬱陶しくなったんでちょっとイジメてくれって言われたけどよw
101名無しさん :2013/11/22(金)00:43:51 ID:6JRDShbZ5
まあ、単純にお前の書いてるコメントや解釈が中身スカスカで
面白くも無く消えてほしいから言ってるだけだよ。
和訳も下手糞だし。訳が下手なだけならまだ微笑ましいけど、
カバラや魔術の実体験も無く偉そうに薄っぺらい解釈まで
付け加えてるのが残念すぎるわけ。
102名無しさん :2013/11/22(金)00:49:31 ID:6JRDShbZ5
The beliefs and feelings of the medieval period were supplanted by the call for
a more rational overview of the human condition.
中世の期間の信条および感情は、人間の状態のより合理的な概観の要求によって、
取って代わられた。
⇒中世時代の信条や感情は、人間性に対するより合理的な見解への熱望に
取って代わられた。
103名無しさん :2013/11/22(金)00:51:33 ID:6JRDShbZ5
このオナニースレ主が何者かなんか知ったことじゃねえが、
そもそも占いなんかをメインでやってる雑魚をまともに相手したのが間違いだったか・・・
104名無しさん :2013/11/22(金)07:02:57 ID:uUJBgJ53i
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
The society was nominally Christian, but theologians and philosphers had a very
free hand.
社会は名目上はキリスト教ではあったが、神学者と哲学者たちは、とても自由な行動を
していた。
--- ここまで ---

ルネサンス期は、中世の封建的支配が衰退し、キリスト教を利用した厳格な支配体制も
同時に緩んでいきます。
その結果、それまでは研究すること自体がタブー視されてきたものについても、積極的に
アプローチしていく人が出てきました。
あと、産業や文化が発達し、それを支える様々な学問への要求に応えるために、あちこちに
学校や研究所みたいなものも作られていきます。

中世の学問は、メインのスポンサーが支配者階級であるキリスト教関係者だったので、
「キリスト教」による支配のための研究がメインだったのですが、ルネサンス期は、様々な
分野の人々がスポンサーとなれる時代になっており、それに応じて、様々な研究が可能と
なってきたということでしょうかね。

そして、社会全体が発展して裕福になっていくにつれ、研究者が自由に使える金や物や
時間も増えていき、さらに色々な分野にも研究が派生していくことになります。

ちなみに、日本においても、バブル期には、わけのわからない研究所が乱立して、わけ
わからない研究者をたくさん雇って、たくさんのよくわからない研究が為されていました。
今では、結果の出ない研究所の多くはリストラされて、生き残った研究所も、以前とは
比べものにならないほど少ない予算で、やりくりしているような状況ですけどね。

何はともあれ、自分のやりたいことを自由に研究できる雰囲気って、大切にしたいと
思っているのでした。
105名無しさん :2013/11/22(金)07:07:23 ID:uUJBgJ53i
>>97
オナニー君、今日は元気に4発かい(^_^)/

それにしても、オナニー君って、残念な魔術師の典型例みたいな人だよね〜

> お前のオナニースレを黙って見てくれてた人間はみんな
> お前がしたり顔で誰でも知ってるような情報をペラペラ垂れ流すのを
> 大きい心で見てくれてたんだよ。

あ、ワタシのスレを見ている人って、他にもいたんだww

> あまりにも鬱陶しくなったんでちょっとイジメてくれって言われたけどよw

え、オナニー君って、やっぱり魔術団体に所属してたんだ。
で、その魔術団体には、陰湿なイジメが常態化しているということだよね。
その陰湿な魔術団体の情報公開を希望します。(--)/

>>98
> まあ、単純にお前の書いてるコメントや解釈が中身スカスカで
> 面白くも無く消えてほしいから言ってるだけだよ。

見たくないのなら、無視して読み飛ばせばいいのに。(^^;;
ちなみに、ワタシがコメントや解釈を書くのは、理由があるからなんだよね。
そういう「オトナの事情」は、子供には理解できないのかなぁ。

> カバラや魔術の実体験も無く偉そうに薄っぺらい解釈まで
> 付け加えてるのが残念すぎるわけ。

いつも思うんだけど、魔術やってる人って、こういう勘違いしている人が多いよね。
オナニーだけで実体験として語る人って・・・。
オナニー君って、やっぱり30過ぎた童貞なのかな?

>>99
> ⇒中世時代の信条や感情は、人間性に対するより合理的な見解への熱望に
> 取って代わられた。

「human condition」を「人間性」と和訳するのは、ワタシとしては疑問かなぁ。
「人間性」という言葉は、主に人間の精神的なものを指すのに使われる言葉であって、
たとえば「人間性」を英訳しても、「human condition」とは違う言葉になるんだよね。
だから、意味を限定するぐらいなら、そのまま直訳した方がいいと思う。
他の部分も同じなんだけど、読みやすい日本語に和訳することで、意味が欠落してしまう
ことが多いから、こういう神秘主義系の翻訳って、かなり難しいのだ。

>>100
> そもそも占いなんかをメインでやってる雑魚をまともに相手したのが間違いだったか・・・

魔術よりは、占いの方が、はるかに実用的なんだけどなww
それにしても、勘違い魔術師って、大体において、占い師というか他人のことを、下に見るよね。
一種の感染病かとも思うんだけど、何でかな?
106名無しさん :2013/11/22(金)20:49:42 ID:6JRDShbZ5
相変わらず自意識過剰の雑魚が強がってるなw
お前こそ一体どの占い屋さんに通ってるんだ?
>>占いが実用的wwww
お前みたいな通俗的な奴は本来こういう分野に向いてない。
それが浅はかな解釈や翻訳に反映されて人を不愉快にさせるから
叩かれてるんだけど、自分では自分の痛さに気付かないんだろうな。
そういう奴に限って自分より知識が無い人間に向かっては
偉そうにレクチャーしたがるし、自分の間違いも認めないし困った奴だ。
107名無しさん :2013/11/22(金)22:19:06 ID:6JRDShbZ5
まあ、どっちにしても自分が攻撃されるのが嫌なのであれば、
お前も他人を馬鹿にしたり的外れな批判するのを止めろということだ・・・
108名無しさん :2013/11/23(土)09:19:33 ID:TRGIy+zg/
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
This freedom to doubt and explore some of the most basic principles of Christianity
reached its high point at the Medici Academy in Florence.
キリスト教の最も基本的な原理のいくつかについて疑いを持ち探究するという、この自由は、
フィレンツェの「メディチ学院」において、その最高地点に達した。
--- ここまで ---

「Medici Academy/メディチ学院」は、別名「Accademica Platonica/プラトン学院」とも
呼ばれています。
イタリア・フィレンツェの銀行家のメディチ家のコジモ氏(Cosimo de' Medici, 1389-1464)が、
古代ギリシアの哲学者プラトンの思想に傾倒して、1462年頃に、別荘の1つを古代思想研究所
に仕立てて、語学の才能があった侍医の息子マルシリオ・フィチーノ氏(Marsilio Ficino,
1433-1499)氏に、古代文書を翻訳させたのが始まりで、その古代研究の噂を聞いて、物好きな
人々が集まってきて、古代思想について色々と私的に自由研究していたという感じのものです。
そして、そこに集まってきた人の中から、後の時代へと繋がる重要な思想体系が生まれていった
ということですよね。

まあ、パトロンである魔術大好きウェストコット氏と、居候の語学堪能のマサース氏によって、
ゴールデン・ドーンが出来たのと、何となく似たような感じですかね。

ちなみに、フィレンツェは、ローマからは北側にあるイタリアの都市で、古くから工業や商業、
そして貿易により栄え、12世紀には、市民階級による自治都市となり、その自由な雰囲気の中で、
ルネサンス文化の中核的存在となっていました。

ところで、キリスト教では、メディチ家が行っていた銀行業というか金貸し行為は、表向きは
禁止されていたはずですよね。
もちろん、メディチ家もキリスト教であることには間違いないのです。
では、なぜ銀行業が許可されていたのでしょうね。
それは、日本では、民間企業の賭博は禁止されているのにパチンコ業が正々堂々と存在して
いるのと同じこと、つまり、「法の抜け穴を利用する」ことと「取り締まり側との癒着関係」
ということなんですよね。
結局のところ、この世においては「地獄の沙汰も金次第」、ということなのでした。
109名無しさん :2013/11/23(土)09:25:32 ID:TRGIy+zg/
>>103
オナニー君、今回は2発だけか(^_^;)

> お前こそ一体どの占い屋さんに通ってるんだ?

いやいや、まずはオナニー君の所属している魔術団体の名前を聞きたいな〜ww

> >>占いが実用的wwww
> お前みたいな通俗的な奴は本来こういう分野に向いてない。
> それが浅はかな解釈や翻訳に反映されて人を不愉快にさせるから
> 叩かれてるんだけど、自分では自分の痛さに気付かないんだろうな。

そもそも、オナニー君って、今のところ自爆しかしていないから、
ワタシには、叩かれてるっていう被害者意識は、まるで無いんだよね。

というか、逆に加害者気味になってるようで、ちょっと心が痛い。(苦笑)

> そういう奴に限って自分より知識が無い人間に向かっては
> 偉そうにレクチャーしたがるし、自分の間違いも認めないし困った奴だ。

君の家には、鏡が無いのかな? つ鏡

>>104

> まあ、どっちにしても自分が攻撃されるのが嫌なのであれば、
> お前も他人を馬鹿にしたり的外れな批判するのを止めろということだ・・・

こういう、拳銃を逆向きに持つような自爆的な脅迫って、ギャグやドラマでは見たこと
あるけど、実際に経験するのは始めてだなぁ。

でもまあ、どっちにしても自分が攻撃されているわけでもないし、嫌でもないし、
というか「諸般の事情」のため、どのようなカキコであれ歓迎しているわけですので、
できれば「他人を馬鹿にしたり的外れな批判」に相当する箇所については、具体的に
指摘してほしいと思っているんですよね。
110名無しさん :2013/11/23(土)12:46:14 ID:xpFmEVrQd
>>109 必死すぎてワロタww

まだこんな駄文を垂れ流して強がってるのか。
最初から最後までオナニー臭の漂う放置スレだなw
111名無しさん :2013/11/23(土)12:49:00 ID:xpFmEVrQd
>>いやいや、まずはオナニー君の所属している魔術団体の名前を聞きたいな〜ww
=I∴O∴S∴

占い屋の雑魚が調子に乗ってるならいつでも相手してやるぞ
お前の身分も明かしてみろ。
112名無しさん :2013/11/23(土)18:52:52 ID:xpFmEVrQd
うんこ
113名無しさん :2013/11/23(土)18:54:23 ID:xpFmEVrQd
オナニーオナニー下品な奴だ。
114名無しさん :2013/11/24(日)02:04:48 ID:aWUIv766b
ほんとに誰もこのスレ見てないみたいだな・・・
いろんな意味で残念な奴だ。
115名無しさん :2013/11/24(日)09:29:35 ID:67ZhqhBXG
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
In fact, virtually all modern occultism can be traced back to the developments
of scholars in that time and place.
事実上、ほとんど全ての現代の神秘学は、その時点と場所における学者たちの開発したもの
まで遡ることができるほどである。
--- ここまで ---

イタリア・フィレンツェの「メディチの学院」の実質的なリーダーであるフィチーノ氏は、
1463年に『ヘルメス文書』、そして1484年に『プラトン全集』を、当時のイタリア公用語
であるラテン語に翻訳しています。

ちなみに、ラテン語というのは、古代ローマ帝国で使われていた言語ですが、ローマ帝国
滅亡後は、キリスト教の公用語として使い続けられ、キリスト教の勢力が広がるにつれて、
世界中で共通語の1つとして使われるようになっていきました。
そして今でも、ローマ・カトリック教会の公用語として、現代にも生きている言語です。

さて、このメディチ家をスポンサーとして持つフィチーノ氏ですが、文献翻訳以外にも、
哲学思想、神学思想の方面で、色々と活動しています。
そして、フィチーノ氏の知識と人望と古今東西から集めてきた文献や情報、そして「金」に、
多くの物好きな知識人が群がってくるわけですが、その中でも神秘主義的に特筆すべき
人物というのが、キリスト教カバラを産み出したピーコ・デッラ・ミランドラ氏だった
のでした。

現在の西欧における神秘主義は、この「メディチの学院」において開花した、フィチーノ氏
がキリスト教西欧社会にリバイバルさせたプラトン哲学、新プラトン主義、ヘルメス主義、
そしてピーコ氏がユダヤ教をリフォームしたキリスト教カバラ、そして他の研究者たちの
多くの新しい思想の影響を、多分に受けているということですよね。
116名無しさん :2013/11/24(日)09:39:13 ID:67ZhqhBXG
>>107
オナニー君、今回は5発とは、えらい元気だな(^o^;;

> 最初から最後までオナニー臭の漂う放置スレだなw

まあ、オナニー君のおかげで、とても香ばしい臭いが漂うスレになってるからなww

>>108
> =I∴O∴S∴

ふーん。
この世界は、SAN値偽装が常態化してるから、いまいち信用できないんだよな。

> 占い屋の雑魚が調子に乗ってるならいつでも相手してやるぞ

もしかして、オナニー君って、既に勝った気でいるのかなぁ・・・
魔術師って、なんでこんな変なヤツが多いんだろうなぁ・・・

\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!  \(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!

> お前の身分も明かしてみろ。

ワタシは、このスレの創造主である「スレ主」という身分であって、それ以上でも
それ以下でも無いよ。

でも、もしオナニー君が本当にI∴O∴S∴の人であって、ワタシのことを知りたいというのなら、
I∴O∴S∴で一番物知りな人に、ここのスレ主の正体について聞いてみるといいよ。
117名無しさん :2013/11/25(月)06:48:26 ID:+yMw+UQ1M
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
The Medici were a family of immense wealth, ruling Florence from the fifteenth century until 1737.
メディチ家は、15世紀から1737年まで、フィレンツェを支配する莫大な財産の一族であった。
--- ここまで ---

さて、西洋神秘学の基礎を築いた「メディチの学院」のスポンサーであった、ルネサンス期の
イタリアの大財閥として知られる「メディチ家」についての話です。

日本の江戸時代の「徳川家」も、複数の家系があったように、イタリアのルネサンス期の
「メディチ家」にも、複数の家系が存在し、協力したり敵対したりしていました。

このファミリー(家系)は、13世紀頃から商工業で繁栄していたフィレンツェに移住して
活躍を始め、田舎出身で肩身の狭い思いをしながらも、14世紀になってからは銀行業に
おいて、古くからの都会出身の地元の競争相手たちを競り落として成り上がり、
15世紀にはトップクラスの豪商となり、政治や宗教の世界にも進出していきます。

ちなみに、当時のイタリアのキリスト教会の支配者階級は完全に腐敗しきっており、金と
女と権力闘争に明け暮れていた時代でもありました。
そういうドロドロの政治世界の中で勝ち残って栄華を極めていった一族ですので、相当な
ヤリ手であったということですよね。

いずれにしても、成り上がるには、金の力だけでは無理であって、それなりの人間関係を
築き、人民からの支持も得ていかなければならないわけです。
この「メディチ家」のすごいところは、「銀行業」で得られた金を、様々な産業分野や文化
芸術分野に投資するという、現代における「ペンチャー・キャピタル」とか「メセナ」の
ような投資活動を行っているところなんですよね。
それまでの時代は、こういう文化的支援活動は、国家や教会という公的な組織がメインで
行っていたのですが、この時代になって、企業グループが、私的な投資活動として、そう
いうことを行っていくようになるわけです。

そういえば、日本においては、基礎研究分野の研究所の多くは公的資金で運営されている
わけですが、バブル期には、いくつかの企業で、すぐには金儲けに繋がらない基礎分野の
研究が行われるようになっていました。
ただし、バブルがはじけて、多くの企業は基礎的研究からは撤退もしくは縮小してしまい
ましたよね。
日本のオカルト分野においても、この本のような、基礎的な分野における研究活動という
のは、かなり縮小しているような感じでもあります。
まあ、そういう地道で基礎的なものが求められる時代ではなくなってしまったということ
なんでしょうかね。
118名無しさん :2013/11/25(月)11:24:04 ID:u9XnJ0OkC
おれはOTOの「こどもほうのしょ」を推薦したこともある人間だ。
なめるんじゃない。
魔術師でもない人間がペラペラ魔術について適当な能書を交えながら
うそばかり垂れ流すなと言う事だ。
119名無しさん :2013/11/26(火)07:00:43 ID:dSGHciKA/
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
Their primary contribution was as patrons of the arts, a program begun by Cosimo,
the first of the great Medici, and continued by Lorenzo "the Magnificent," patron
to Leonardo, Michelangelo and Machiavelli.
彼らの主要な貢献は、芸術の後援者としての、偉大なメディチ家の一番手のコジモ氏により
始められ、そして、レオナルド氏、ミケランジェロ氏、そしてマキャヴェリ氏への後援者で
ある、「偉大なる」ロレンツォ氏によって継続された計画である。
--- ここまで ---

メディチ家は、このルネサンス期に、芸術分野において偉大なる貢献をしています。
この時期は、様々な分野での実質的自由化が進み、それと共に、優れた才能を持つ芸術家
たちが数多く頭角を現し、その才能を遺憾なく発揮していきます。

そして、このルネサンス期で特徴的なのが、「裸体表現の復活」ですよね!
あ、決して「エロ解禁」ではないですよ。
あくまでも、「裸体は、1つの芸術としての表現である」わけであって、そういう表現も
認められるようになってきたということです。
ちなみに、このエロと芸術裸体表現というのは、現代においても主要議論の1つですよね。

えーと・・・、メディチ家の話に戻りますが、
コジモ・デ・メディチ氏(Cosimo de' Medici, 1389-1464)は、メディチ家の当主として35年間
活躍し、芸術や思想面での後援者活動を始めています。
その子、ピエロ・ディ・コジモ・デ・メディチ氏(Piero di Cosimo de' Medici, 1416-1469)は、
当主として5年間活躍し、後援者活動を継続しています。
そして、その子、ロレンツォ・デ・メディチ(Lorenzo de' Medici, 1449-1492)は、
「the Magnificent/偉大なる」という称号が示すように、メディチ家最盛期の当主として
23年間活躍し、後援者活動を継続して、偉大な芸術家や思想家を数多く輩出しています。

まあ、レオナルド、ミケランジェロ、そしてマキャヴェリという偉大なる三氏については、
ここでわざわざ述べるまでもなく、皆さんよくご存知ですよね。
120名無しさん :2013/11/26(火)07:02:42 ID:dSGHciKA/
>>115
オナニー君、今回は、なんかちょっと元気無いよね・・・

> おれはOTOの「こどもほうのしょ」を推薦したこともある人間だ。
> なめるんじゃない。

オナニー君って、やっぱりO.T.O.の関係者だったんだ〜。

> 魔術師でもない人間がペラペラ魔術について適当な能書を交えながら

ワタシが「魔術について」語っているって、どの箇所のことを指しているのかな?
そもそも、この本は「カバラとタロット」についての本だし、ワタシは「儀式魔術」
そのものの話題には、さほど関わっていないと思うんだけどね。

> うそばかり垂れ流すなと言う事だ。

オナニー君が、そういうふうにワタシのことを罵倒するのは、他に理由があるんだよね。
そして、オナニー君が、このスレで暴れている理由は、ここを見ている人のほとんどは、
もう既に察知していると思うよ。

もう正体がバレてるんだから、もったいぶらずに、はっきりと言えばいいのにね。
(それとも、まだ正体がバレていないと思ってるんだろうか・・・・)
121名無しさん :2013/11/27(水)00:58:23 ID:znfPFD9J7
オナニーオナニー本当に下品な奴だなwwww

カバラもタロットも魔術の一部でしかない。
それを低俗な占い師が知った風なことを下手な和訳交えながら
偉そうに語るなって言ってるんだよアホ。
122名無しさん :2013/11/27(水)07:03:26 ID:q9fy5NVdC
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
Cosimo de Medici was the founder of the Platonic Academy, dedicated to the study
of Greek philosophy, and a center of Neo-Platonic ideas.
コジモ・デ・メディチ氏は、ギリシア哲学に関する研究のために捧げられた、新プラトン
主義的思想の中心地である「プラトン学院」の創立者であった。
--- ここまで ---

メディチ家のルネサンス、すなわち芸術文化支援活動は、このコジモ・デ・メディチ氏の
代から本格的に始まりました。
そして、思想分野のルネサンス活動として、古代ギリシアの哲学者であるプラトン氏
(Platon, BC427-BC347)の思想書や、古代ローマで活躍した哲学者で新プラトン主義の
創始者であるプロティノス氏(Plotinos, 205-270)の思想書をラテン語に翻訳して、
それをみんなで集まって研究する場である「プラトン学院」と呼ばれる私設研究所を
創立したということですよね。

まあ、ワタシがここで『The QABALISTIC TAROT』を邦訳して公開し、それをみんなで
集まって研究しようとする場をこのスレ上に設けたのも、同じような感じですかね。
ルネサンス期のイタリアでは、古代思想の翻訳研究というのは大人気で、色々な賢い
人々が集まってきたわけですが、残念ながら現代日本においては、「カバラ」の翻訳
研究は不人気で、アホな魔術師を呼び寄せるだけであったという笑えないオチに
なってしまっているのでした。orz

うーん。
でも、今みたいに、荒らしが来てカオスになっている状況というのは、炎上商法みたいで
素人目には割と面白いらしいから、ちょっと外部に宣伝活動してみようかな、などど
不埒なことを思ったりしてみたりするわけなのでした。
『I∴O∴S∴とO.T.O.の魔術師が、スレを荒らして暴れているよ〜(笑)」
なんてのは、ごく一部の魔術好きな人々には、割とウケそうな話題だと思ったりする
わけなんですよね。
いやまあ、ワタシはそこまでヒマじゃないから、やりませんけど。(笑)
123名無しさん :2013/11/27(水)07:06:00 ID:q9fy5NVdC
>>118
オナニー君って、相変わらずだなぁ(苦笑)

> オナニーオナニー本当に下品な奴だなwwww

オナニー君は、「オナニー」という言葉を、下品であって、相手を中傷する言葉だと
考えているみたいだけど、ワタシは、あまり下品だとか、そういうふうには思っては
いないんだよね。
だから、言う分にも言われる分にも、そんなに抵抗感は無いんだよね。
人が人として生きていく上では、当然あってしかるべき行為だし、そういうものを
下品であると決めつけるのって、どうなんだろうね〜と思うんだな。
あ、ちなみに聖書で禁止されている「オナニー」は、膣外射精のことであって、自慰行為の
ことではないらしいので、童貞魔術師のオナニー君は、どんなにオナっても大丈夫だよ。

> カバラもタロットも魔術の一部でしかない。

まあ、脳内妄想で自国の領土を勝手に拡張して宣伝工作するのは勝手なんだけど、
そういう中華思想的な屁理屈で、「魔術師が世界で一番偉い」とか思い込んで、
他国の領土に侵入したり、荒らしたりしていい理由にはならないからね。

> それを低俗な占い師が知った風なことを下手な和訳交えながら
> 偉そうに語るなって言ってるんだよアホ。

あ、オナニー君が現実逃避して、また脳内妄想に戻っちまった。

妄想ゼリフはもう聞き飽きたから、そろそろ普通の会話をしてくれないかな〜。
別にワタシは、怒ってもないし、嫌ったりもしてないから、そんなにビビらなくても
大丈夫なんだけどな〜。
124名無しさん :2013/11/27(水)18:40:28 ID:znfPFD9J7
↑↑自意識過剰でビビッて長レス垂れ流してるのはお前の方だろうがww
125名無しさん :2013/11/27(水)18:42:07 ID:znfPFD9J7
本格的にチョソ占い氏(スレヌシ)の公開オナニースレになってきな
126名無しさん :2013/11/27(水)18:48:15 ID:znfPFD9J7
最近はスピリチャルかぶれの童貞ニート占い師まで
カバラや魔術・タロットの知ったか知識をひけらかそうとするから
困ったもんだ。 
低レベルの占いニートには理解不能かw
「魔術師が世界で一番偉い」⇒事実は事実。
占い乞食のお前よりもはるかに知識も実戦経験もある
魔術師が偉いのは事実だからしょうがない。
少なくとも占いで現実逃避してる雑魚は「占い」という
底辺職業の社会的、学問的な立場も理解できないか。
自分の立場に向き合うこともできないだろうがなw
127名無しさん :2013/11/27(水)18:50:14 ID:znfPFD9J7
返答を読んでも屁理屈で逃げてばかり。
本当に芯の無いオナニー占い屋さんだ。
128名無しさん :2013/11/28(木)06:49:31 ID:8FysO4P4q
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
This was an open "think tank," much like today's Institute for Advanced Studies
at Princeton University.
これは、プリンストン大学にある、今日の「プリンストン高等研究所」によく似た、開いた
「頭脳集団」であった。
--- ここまで ---

日本語では「プリンストン高等研究所(Institute for Advanced Study)」と呼ばれていますが、
元々の英語の名前には、「プリンストン」という地名は入っていませんよね。
このことは、地名を付けなくても識別できるぐらい世界的に有名であるという証拠であり、
実際、研究者の間では、世界最高の研究所の1つとして、広くその名を知られています。

プリンストン大学に隣接しているのと、日本語にプリンストンという地名が入っているため、
プリンストン大学の付属研究機関と思われることもありますが、大学とは完全に独立した
研究機関であり、1930年に、民間人からの出資で設立されています。
そして、この研究所は、自然科学、数学、社会科学、歴史学の四部門を持っており、色々な
研究者が世界中から集まって、様々な先端的な研究に従事しています。

ちなみに、物理学では、アルベルト・アインシュタイン氏(Albert Einstein, 1879-1955)、
数学では不完全性定理のクルト・ゲーデル氏(Kurt Godel, 1906-1978)、コンピュータを
開発したジョン・フォン・ノイマン氏(John von Neumann, 1903-1957)、あと日本人では、
物理学の湯川秀樹氏(1907-1981)などが有名ですよね。

で、「プリンストン高等研究所」が「開いた頭脳集団」かと言うと、特にそんなことはなく、
いわゆる民間の研究所であって、誰でもがそこに入って研究できるというわけではないです。

そういう意味では、コジモ氏の設立した「プラトン学院」の方が、圧倒的に規模は小さいの
ですが、色々な人々が気軽に立ち入って話が出来た「開かれた学院」と呼ぶのにふさわしい
感じもしますね。

というわけで、このスレも、色々な人々が立ち寄って気軽に話が出来る「開かれた学院」と
なることを目指したいと思っているのでした。

まあ、そういう場所なので、スレ荒らしの魔術師君も、もう少しここでカバラの勉強に
協力してくれればいいんだけどなぁ。
なんか、今どきの魔術団体って、オープンな場所で普通の人がカバラの勉強をしているのを
見かけたら、邪魔して勉強させないような教育とかを受けているのかなぁ。
129名無しさん :2013/11/28(木)06:54:03 ID:8FysO4P4q
>>121
ありゃま、オナニー君が童貞という言葉に反応して、また4発も書いてる(苦笑)

ネタで童貞魔術師と呼んだのが核心を突いてしまって、発作が出てしまったのかなぁ。
でもまあ、人はだれでも童貞だった時があるわけだし、そんなに気に病む必要は無いと
思うんだけどね。

>>122
> 本格的にチョソ占い氏(スレヌシ)の公開オナニースレになってきな
>>123
> 最近はスピリチャルかぶれの童貞ニート占い師まで

かなり前から感じてたんだけど、オナニー君って、日本人では考えにくいようなノリで
時々日本語のミスをするよね。
ひょっとして、日本人じゃないんじゃないかと思ってるんだけど、当たってる?

> 低レベルの占いニートには理解不能かw

これもかなり前から感じてるんだけど、オナニー君って、占いというものについて、
かなりの敵対感を持ってるよね。
ひょっとして、以前、どこぞのタチの悪い占い屋で仕事してて、トラブル起こしてクビに
なって、ニートして苦労してたんじゃないかと思ったりするんだけど、当たってる?

>>124
> 返答を読んでも屁理屈で逃げてばかり。

え、それって、どの部分のことかな?
オナニー君の脳内妄想でないのなら、きちんと引用して提示してほしいんだけどな。

> 本当に芯の無いオナニー占い屋さんだ。

まあ、こういう芯も中身も無い雑談というか、掛け合いコントみたいなのも、「枯れ木も
オナニーも山の賑わい」ということで、ネタの1つにもなるわけだから、これでいいのだ。
130名無しさん :2013/11/28(木)16:57:02 ID:/I0KXscNe
オナニースレ主、またムキになって長文垂れ流してやがるなw
131名無しさん :2013/11/28(木)16:59:15 ID:/I0KXscNe
童貞朝鮮人占い師のスレ主君は・・
こんなところで誰の得にもならんような
ゴミみたいなオナニー長文垂れ流すことでしか
日本人に優越新を感じられないから必死なんだねw
132名無しさん :2013/11/28(木)17:03:11 ID:/I0KXscNe
>>「枯れ木も
オナニーも山の賑わい」ということで、ネタの1つにもなるわけだから、これでいいのだ。まあ、

日本人じゃない3流占い師のスレヌシ君にとっては
公開オナニー同然の駄文を垂れ流すことに羞恥心も何も無いんだな。
核心を突かれて必死に反論してくるのが痛々しいがw
その羞恥心の無いオナニーセンスは一般日本人には理解できん臭いがするぞ。
133名無しさん :2013/11/28(木)17:12:23 ID:/I0KXscNe
占いそのものがどうこうという次元では無い。
理解できないものを理解できたようなフリをして語るなということだ。
占い師の分際で身の丈に合わないことをするなってことよ。
日本人らしからぬ羞恥心なき公開オナニースレは日本人にとって汚物でしかない。 
訳も下手だし、解釈も薄っぺらく、内容も下品。
さっさと自国に帰りなさい。
http://img.open2ch.net/p/uranai-1377994155-133.png
134名無しさん :2013/11/29(金)06:55:27 ID:wKhShbHq6
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
Cosimo was a passionate collector of manuscripts and when in 1460 a Greek manuscript
of the Hermetica came to him from Macedonia, he judged it to be of unique importance.
コジモ氏は、写本の熱烈な収集家であり、そして1460年に『ヘルメス文書』のギリシア語の
写本がマケドニアから彼に届いた時、彼はそれを他に類を見ないほど重要なものであると
判断した。
--- ここまで ---

ちょっと時代を遡りますが・・・

キリスト教には、全世界の教会から代表者が集まって色々なことを審議決定する最高会議
「公会議」という制度があります。
スイスのバーゼルで1431年から開催された公会議は、意見対立もあって決裂し、そして
イタリアのフェラーラで1437年から再開催されたのですが、こちらは財政難のために会議の
継続が困難となったことで、コジモ氏がスポンサーとなって、フィレンツェで1439年から
「フィレンツェ公会議」として継続開催されたという経緯がありました。
この「フィレンツェ公会議」の主な内容は、東方正教会と、ローマ・カトリック教会との
再合同についてでした。
これは、当時のキリスト教は、ローマ・カトリック教会と東方正教会が二大勢力であった
のですが、東方正教会を国教としていた東ローマ帝国が、オスマン帝国との戦争(1326-1453、
1453年に東ローマ帝国滅亡)のために疲弊していたため、存亡の危機を感じた東方正教会が、
ローマ・カトリック教会と合同することによって、生き残りを図ったということです。
そういう雰囲気の中で、東ローマ帝国の知識人が、平和な地を求めて「フィレンツェ公会議」
に大挙して押し寄せ、そのみやげ物として、西方では中世暗黒時代に失われてしまった古代
の色々な資料が、東方から再び持ち込まれることになりました。
そして、これらの東方から持ち込まれた古代の資料は、イタリア・ルネサンス期の文芸活動に
大きな影響を与えたということです。

これにより、古代資料の価値に目覚めたコジモ氏は、さらに古代資料の収集熱を高めていき、
人を雇って、東方にまだ眠っている資料の発見と発掘にあたり、手当たり次第にコピーして
いきました。
ちなみに、東方正教会は「ギリシャ正教」とも呼ばれており、東方にある多くの資料は
ギリシア語で書かれていました。
で、そういう経緯で収集していた資料の中に、1460年に発見された、ギリシア語で書かれた
『ヘルメス文書』が含まれていたということなのでした。
135名無しさん :2013/11/29(金)06:55:58 ID:wKhShbHq6
>>127
オナニー君、今回も元気に4発だね。(^_^)/

でも、今回のオナニーって、中身がスカスカになってるんだけどな。
あんまり脳内妄想オナニーやり過ぎると、心と体に良くないと思うよ。

それにしても、オナニー君とは、
会話が続かないな
何故だどうしてだ?(cv:橘田いずみ)

なんかオナニー君って、「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」とか、マジで
言いだしそうな、喪男の持つ根暗な雰囲気があるよね。

ワタシは、そういうネガティブな人達との付き合いって、そんなにある方じゃないし・・・
というか、そもそも仕事以外のプライベートで、オトコと話すのってあんまり好きという
わけじゃないんだよね。
まあ、ワタシの場合は、占いを仕事にしてるわけじゃないから、「占い師がモテる」という
わけではないし、今の職場で、誰かに占いをしてあげたことも無いんだけどね。

あと、オナニー君って、バイトで生活してんのかな?
カバラもそうなんだけど、もうちょっと真剣に勉強して、せめて人並みの知恵と態度と
生活をしてしようかな〜、という気にならないかな?
まだ若いんだから、現実逃避しなくても、努力次第でどうにかなると思うよ。

だから、いつまでも「自分が一番偉い」なんていう病的な脳内妄想に逃げ込んでないで、
一緒に「カバラ」を勉強しない?

ちなみに、オナニー君って、一体誰から「カバラ」を教わってたのかな?
やっぱり、I∴O∴S∴の先輩の人からかな?
136名無しさん :2013/11/30(土)08:19:10 ID:Xmjozs66N
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 23) ---
The reputation of Hermes Trismegistus' work as providing a key to all knowledge was
so considerable that Cosimo instructed Marsilio Ficino, director of his Academy,
to put aside Plato's Republic and Symposium and translate the Hermetica first. (*40)
すべての知識の鍵を提供するものとしてのヘルメス・トリスメギストスの作品の評判は、
とても著名であったので、コジモ氏は、彼の学院の管理者であるマルシリオ・フィチーノ氏
に、プラトンの『国家』および『饗宴』を脇において、『ヘルメス文書』を最初に翻訳する
ように命令した。(*40)
--- ここまで ---

ちなみに、(*40)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
40. Frances A. Yates, Giordano Bruno and the Hermetic Tradition, Chicago, 1964, 12.
40. フランセス A. イエイツ著、『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』、シカゴ、
1975年発行、12ページ
--- ここまで ---
とあります。

このフランセス・イエイツ氏(Frances Amelia Yates, 1899-1981)は、女性のイギリスの
思想史家であり、ルネサンス期の「コジモ氏のプラトン学院」や「新プラトン主義」に
関連した多の著作があります。

さて、『ヘルメス文書』の伝説の著者として知られる「ヘルメス・トリスメギストス」と
いう錬金術における伝説の神格として、古代の知恵の神と伝えられたエジプト神話のトート神、
ギリシア神話のヘルメス神、そしてローマ神話のメルクリウス(マーキュリー)神という
3つの神格を統一した「三重(三倍)に偉大なるヘルメス」という名を持つ、良くある
パターンの新バージョンの三神合体巨大魔神が生み出されたというわけです。

で、コジモ氏が、なぜ、このギリシア語の『ヘルメス文書』に注目したのか、ですよね。

『ヘルメス文書』と関連する「錬金術」は、基本的には古代エジプトの技術や思想、つまり
古代科学や古代思想を源流とするものであり、中世にキリスト教徒が古代アレクサンドリア
の図書館を破壊し尽くさなければ、おそらく今でもそのまま伝えられるものだったと思います。
残念ながら、そのエジプト起源の原典の多くは破壊により失われ、後のヘレニズム時代に
書かれたギリシア語の二次的創作物のうち、実用的な部分はアラビア語に翻訳されて、
その一部は西欧世界にも流入していました。
中世暗黒時代であっても、錬金術の実用的な科学技術については、キリスト教会により
特に禁止されることもなく、普通に研究が可能であったということであり、そういう点では、
アラビア語の錬金術文書からラテン語に翻訳されたものは、ある程度は市中に出回っていて、
入手が容易でもあったわけです。
とはいえ、二次的創作の翻訳の二次創作の翻訳という感じであり、後世に検証可能で
修正可能な科学技術の記述はともかく、それ以外の思想部分というのは、何が何だか
わけわからない状態になっていて、全く使いものにならなくなっていたわけです。

そして、原典に近いギリシア語文書というのは、西欧社会においては、入手が困難であり、
たとえ手に入れても、ギリシア語からラテン語に翻訳する人、そして神秘思想書ですので、
意味をきちんと理解して翻訳できる人が、それまでは全く西欧キリスト教社会には、
存在しなかったということなのでした。
137名無しさん :2013/12/01(日)09:29:02 ID:ayPASdrNe
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
Early Renaissance philosophers believed that in these documents they had the core
ideas of the most ancient Egyptian religion, which would lead them to the very
source of illumination. (*41)
初期のルネサンスの哲学者たちは、これらの文書において、それらが、彼らを啓明のまさに
その源泉ヘと導くであろう、最古のエジプトの宗教についての核心思想を持つと信じた。(*41)
--- ここまで ---

ちなみに、(*41)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
41. Yates, Giordano Bruno, 17.
41. イエイツ著、『ジョルダーノ・ブルーノ』、17ページ
--- ここまで ---
とあります。

この『Hermetica/ヘルメス文書』ですが、その成立は2〜3世紀の頃、当時はローマ帝国の
支配下であった東地中海地方のあたりであると考えられます。
内容的には、東地中海地方に古くから伝わる知識である、古代エジプト、古代ギリシア、
古代ローマ、古代メソポタミア、古代アラビア地方の思想や神話や文化、そして比較的
新しいグノーシス主義などの神秘主義思想を融合したような感じです。
とはいえ、ルネサンス期においては、考古学的にヘルメス文書の成立時期について検証する
ことは困難でしたので、この「古代エジプト」誕生説は、広く信じられていたのでした。

実際、比較的新しいものでしたので、自然哲学の分野における神秘主義文学としては、
かなりこなれていて高度な内容、つまり現実離れした魔術的なものになっています。

古代の自然哲学の分野で実用的な部分は、「科学知識」としてアラビアに伝わり、そこで
独自に進歩を遂げて、一足先に西欧に実用的な知識として逆輸入されることになります。
そして、神秘主義文学の分野は、キリスト教支配の影響で、魔術的なものとして表向きは
封印され、かなり遅れてルネサンス期になってから、本格的に西欧に逆輸入されることに
なったのでした
とはいえ、闇ルートでは、それなりに密輸入されて翻訳され、色々と噂にはなっていたと
いうことなんですよね。

あ、ワタシは、『The QABALISTIC TAROT』の本はアマゾンルートで購入していますので、
密輸入ではございません。
138名無しさん :2013/12/02(月)07:03:17 ID:vWBdSmQT/
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
Their awestruck approach, and belief in the utter integrity of these papers, was
the foundation of Renaissance magic and a whole school of neo-Platonism.
それらの畏敬の念に打たれる取り組み方と、これらの文書類の全く完全な状態に対する
確信は、ルネサンスの魔術と、新プラトン主義の全ての学派の根拠であった。
--- ここまで ---

この『ヘルメス文書』の内容ですが、比較的新しい時代のものであったため、いわゆる
「上級者向け」の内容、つまり、ある程度のそっち方面の知識と経験を要求する、
高度な内輪ネタみたいなものか満載されているわけです。
そして、こういう内輪ネタを、正しく理解してニヤリとするには、魔術分野に限らず、
当時の自然哲学に関するかなり広範な基礎知識と読解力と応用力を必要とするわけです。

つまり、古代エジプト・ギリシア・ローマ時代の知識は、中世暗黒時代の西欧においては、
ほとんど忘れ去られていましたので、それらのものが再流入してきたルネサンス期になって
から、こういう『ヘルメス文書』みたいな高度なネタも、きちんと評価できるようになって
きたということですよね。

こうして、ルネサンス期に、今まで失われていた時代のピースが再現され、古代エジプト
から、このルネサンスの時代までのルートが、完全に繋がったということになります。
後は、新しい時代に向けて、自らの手で新しい道を作り出すだけです。

そう、過去と未来の接点となったもの、それが、この「メディチの学院」という場所で
あり、その過去からの橋渡しとなった主な人物が、『プラトン』と『ヘルメス文書』を
翻訳したフィチーノ氏であり、そして未来へと橋渡しをした重要な人物が、キリスト教
カバラを産み出したピーコ氏であったという感じなのでした。

なお、『ヘルメス文書』というもの自体は、他の神秘主義思想の文書類と同じように、
作者も成立も編纂もバラバラであり、ある説によると数千冊のヘルメス・トリスメギストス
の作品が存在していたと言われるほどの量があり、中には失われたものも数多くあるため、
これこそが「本物」と呼べるものはありません。
ちなみに、コジモ氏が入手しフィチーノ氏が翻訳した版は、『Corpus Hermeticum(コルプス・
ヘルメティクム:ラテン語)/ヘルメス選集』と呼ばれており、膨大な玉石混交のヘルメス
文書類の中で、重要なものを抜粋したものであると言われています。

まあ、このワタシの内輪ネタが満載されているカキコも、それを玉と見るか石と見るかは、
見ている人次第ということですよね。
いや、おまいのネタは、深夜アニメのネタだかりだろうって?
いえいえ、ちゃんと土日の朝もカバーしてますから。(^_^*)/
139名無しさん :2013/12/03(火)06:54:49 ID:gNVW0Smfe
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
It was these ideas which preceded the Qabalistic philosophy soon after flowing
into the Medici Academy.
これらの考え方は、その後まもなく「メディチの学院」に流れ込んだカバラ主義哲学に
先立ったものであった。
--- ここまで ---

時代から見ても、『ヘルメス文書』の思想の成立時期は、「ユダヤ教カバラ」よりも
先行しています。
そして、規模的に見ても、『ヘルメス文書』の方が「ユダヤ教カバラ」よりも大きいわけ
ですし、「ユダヤ教カバラ」も、キリスト教圏でない地方で産み出されてきたわけです
ので、『ヘルメス文書』の思想の影響を受けないはずは無いですよね。

そういう意味でも、先に『ヘルメス文書』が「メディチの学院」に到着し、先行して研究
されていたというのは、後のキリスト教カバラの成立にとっては幸運でした。
つまり、「メディチの学院」における基本OSである「新プラトン主義」というベースの
上に、『ヘルメス主義』と「キリスト教カバラ」というアプリが乗っかる形になるわけです。
これは、なかなか良く出来た実装ではないかと思うのでした。

ちょっとここで時間軸を整理しておきますね。
1460年、コジモ氏が『ヘルメス文書』を入手。
1462年、「メディチの学院」の創立。フィチーノ氏が学院長に。
1463年、フィチーノ氏による『ヘルメス文書』の翻訳完了。
1469年、フィチーノ氏による『プラトン全集』の翻訳完了。
1484年、ピーコ氏(キリスト教カバラの創始者)が学院を訪問。
1486年、ピーコ氏が『人間の尊厳について』(キリスト教カバラの思想)を公表。

それにしても、このフィチーノ氏という人物は、学院の指導者として、とても有能な
人物だったようですよね。
自分自身も、上司であるコジモ氏から与えられた仕事をこなしながら、学院の噂を聞き
つけて集まってくる様々なタイプの人々と交流し、彼らを援助し、後世に残るような
偉大なる成果を次々と出していっていますので、かなりのヤリ手であったことは間違い
ありません。

まあ、ワタシもスレの指導者として細々と活動してはいますが、こういう場所では、
有能な人に巡り会う機会って、あんまり無いんですよね。
しょうがないので、それまで一人で黙々と自習するしかないのが現状なのでした。
140名無しさん :2013/12/04(水)06:49:15 ID:9mMXbN9v7
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
What is known as the Christian Qabalah was also a development of the Medici Academy,
and the primary accomplishment of Pico della Mirandola, one of the court's
intellectual luminaries.
「キリスト教カバラ」として知られているものもまた、「メディチの学院」の開発であり、
宮廷の知的著名人たちの1人であるピーコ・デッラ・ミランドラ氏の主要な成果であった。
--- ここまで ---

「メディチの学院」は、元々はコジモ氏の別荘ではありましたが、かなり立派な大邸宅で
あったようで、しばしば「court/宮廷」と表現されています。
ちなみに、タロットやトランプの「court card/コートカード」も、宮廷の意味ですよね。

ジョヴァンニ・ピーコ・デッラ・ミランドラ氏(Giovanni Pico della Mirandola, 1463-
1494)は、イタリアの名門貴族の出身で、自身も爵位を持つイタリアの貴族でした。
庶民出身で、割と人当たりの良い穏和なタイプのフィチーノ氏と比べると、幼い頃から
名門貴族としての高度な教育を受けて、知識と教養に優れているけど、お坊っちゃま的な
面もあって、かなり挑戦的というか先進的な感じもあります。

で、そういう頭の良くて元気の良い生意気な若者が、当時最盛期のメディチ家の当主であり、
ルネサンス期の最大のパトロンである、ロレンツォ・デ・メディチ氏(Lorenzo de' Medici,
1449-1492、1469年より当主)の目にとまり、そして、ピーコ氏自身も、さらなる成長を
求めて、1484年、彼が21歳の時に辿り着いたのが、この「メディチの学院」であったのでした。

そして、その後、彼は世間に対して、当時の旧態依然とした世界観に革命を起こすために、
1486年、ローマにおいて討論会を企画し、『Oratio De Dignitate hominis/人間の尊厳に
ついて』の草稿を公開するという、極めて挑戦的な行動に出るのですが、当然のことながら
キリスト教会からは異端視され、逃亡したり捕らえられたり釈放されたりという苦難を味わう
ことになり、その後、ロレンツォ氏の死(1492)により後ろ盾を失ったピーコ氏は、1494年に
31歳の若さで殺害されてしまいます。

そして、ロレンツォ氏の死、そしてフィチーノ氏の死(1499)により、フィレンツェで開花した
ルネサンスも、その後ろ盾を失って衰退していく運命となったのでした。

まあ、時代を先取りしすぎたものは、いつの時代でも、哀しい運命をたどりますよね。

ちなみに、ワタシが今ここでやってるものは、時代を先取りしたものではありません。
欧米では、既に広く知られている本を、のんびり読んで勉強しているだけです。
でも、日本のオカルト業界が時代遅れになりすぎている、というか一部の悪徳業者が
しつこくステマやってるせいで、ワタシのやっていることが時代を先取りしているように
見える人もいるのかもしれませんけどね。
でもまあ、そもそも良心的なオカルト業者って、いないような気もするなぁ。
もしあったとしても、ネット検索では、ほとんどヒットしなかったりするんですよね。
141名無しさん :2013/12/05(木)06:42:16 ID:Ug+ZM7KST
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
It was Pico who had the major Qabalistic texts translated into Latin.
主要なカバラ主義の原本をラテン語に翻訳したのはピーコ氏であった。
--- ここまで ---

ピーコ氏は、貪欲で早熟な研究者でした。
少年時代は教会法を学び、その後は各地の大学に在籍し、あちこち旅をしながら、世界中の
哲学や思想を学んでいます。
そして、当時の最先端の学問に必須なギリシア語やアラビア語はもちろん、聖書やカバラの
研究に必要なヘブライ語やアラム語についても、ユダヤ人のカバリストから学んでいます。
優れた学識と卓越した先見性は、こういう人間同士の幅広い交流から始まるわけですよね。

中世の学問に精通していたピーコ氏にとって、この「カバラ」という神秘哲学は、今までに
ない、極めて魅力的なものでした。
そして、その後の「メディチの学院」での新プラトン主義とヘルメス主義の研究により、
一気にその理論が開花したということになります。
でも、そういう時代を先取りしすぎた人間というのは、ほとんどの場合、「異端視」されて
迫害される運命にあるわけです。

ピーコ氏のこれまでにない思想、それは「人間は割と自由な存在である」ということです。
それまで、人は神に従属し、神の決めた運命には逆らえない存在という設定になっていた
ために、神の次に偉い教会が、人々に対して大きな権力を振るっていたわけなのですが、
ピーコ氏の主張は、そのような教会の既得権益設定を根底から覆すものとなったわけです。
もちろん、教会側は、そんな主張を絶対に認めるわけにはいきませんので、ありとあらゆる
手を使って、ピーコ氏を潰しにかかるわけです。

ちなみに、この「人間は割と自由な存在である」ことは、魔術の肯定につながります。
つまり、「人は自らの意志の力で、運命を変えることができる」ということですよね。
とはいえ、勘違いしてほしくないのは、ピーコ氏が若くして膨大な知識と経験を持ち、
学ぶために多くの苦労をしてきたいたということです。
つまり何の苦労もなしに運命を変えられるわけではなくて、どちらかというと「人事を
尽くして天命を待つ」みたいな感じに捉えていた方がいいのではないかと思います。
最初からメビウス様が決めた運命だとあきらめて思考停止してしまうのではなく、努力
すれば夢が叶うかもしれないから精一杯頑張るわ!ということですよね。

そういう意味でも、ワタシ自身は「自由な存在」でありたいと思っているわけです。
誰が何と言おうと、自分のやりたいことをやること、やりたいことをやれることって、
割と幸せなことだと思うわけなのでした。←プチ幸福感ww

※まあ、あっちで花園規制食らったので、プチ幸福感でまぎらわせているのが実態なん
ですけど、本家の規制も復活したわけだし、こっちにも、もっと人が来ないかなぁ〜
142名無しさん :2013/12/06(金)06:49:49 ID:dFwOvJMLS
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
And it was Pico who, in his 72 Qabalistic Conclusions (part of his 900 theses)
made the claim that "no science can better convince us of the divinity of Jesus
Christ than magic and the Kabbalah." (*42)
そして、(彼の900の論題の一部である)彼の72のカバラ主義の「結論」の中で、「魔術や
カバラよりも、イエス・キリストの神性を我々によりよく確信させることのできる学問は
無い」という主張をしたのは、ピーコ氏であった。(*42)
--- ここまで ---

ちなみに、(*42)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
42. Scholem, Kabbalah, 197.
42. ショーレム著、『カバラ』、197ページ。
--- ここまで ---
とあります。

このピーコ氏の主張は、前述の1486年の『Oratio De Dignitate hominis/人間の尊厳に
ついて』という討論会の草稿の中にあるものです。
この討論会の草稿は、様々な参加者を募るため、大量に印刷されて、あちこちの学術機関に
配布されています。
残念ながら、ワタシはこの草稿は所有していませんので、真偽の確認はできません。

ちなみに、この時のピーコ氏の思想がキリスト教カバラの原点となっているわけですが、
キリスト教カバラには、ユダヤ教カバラとキリスト教以外にも、最初からヘルメス主義や
新プラトン主義などの魔術的な要素が多分に入っていたということでもあります。
つまり、ユダヤ教カバラとキリスト教カバラは、確かに親子関係はありますが、似ても
似つかない部分というのはあるわけで、そういう意味でも、「カバラ」という言葉を
使う時には、それが「ユダヤ教カバラ」なのか「キリスト教カバラ」なのか「魔術カバラ」
なのかは、ある程度まで区別して考えておかないといけないわけですよね。
ちなみにワタシは、ユダヤ教徒でもないしキリスト教徒でもありませんので、基本的には
魔術カバラ寄りの立場になっています。

なお、印刷技術について、このルネサンス期において、画期的な発明が行われています。
ドイツの金属加工職人であるヨハネス・グーテンベルク氏(Johannes Gensfleisch zur Laden
zum Gutenberg, 1398-1468)は、1445年までに活版印刷技術を発明し、それまでの手書きの
「写本」、もしくは木版印刷に頼っていた本の生産が、安価で大量生産可能な活版印刷で
行われるようになり、一種の情報革命が始まったのでした。
そして、グーテンベルク氏により、1455年に、ラテン語版の『旧約・新約聖書』が、この
活版印刷技術を用いて発行されています。

そして現代では、物理的な印刷媒体に依存しない、電子書籍の時代へと移行しています。
次世代は、どんな形態の書籍になるんでしょうね。
143名無しさん :2013/12/07(土)08:53:28 ID:P+epSXErf
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
Pico's fourteenth Qabalistic principle stated that adding the Hebrew letter
[shin](shin) to the Divine name [heh][vau][heh][yod](yod, heh, vau, heh), and
producing [heh][vau][shin][heh][yod] Jeheshua, Hebrew name of Jesus, made it
possible to pronounce the unpronounceable name of God.
ピーコ氏の14番目のカバラ主義の原理は、ヘブライ文字[shin](シン)を神の名前である
[heh][vau][heh][yod](ヨッド、ヘー、ヴァウ、ヘー)に加えて、イエスのヘブライ語の
名前である[heh][vau][shin][heh][yod]「イェヘシュア」を作り出すことは、神の発音
できない名前を発音することを可能にするものである、と述べた。
--- ここまで ---

上記引用箇所の原文には、ヘブライ文字が含まれています。
残念ながら、全てのユーザ環境でヘブライ文字をきちんと表示できる保証がないため、
ここでは、英語読みに[]を付けて、ヘブライ文字を表現しています。
なお、ヘブライ語は英語とは逆に、右から左へと読みますので、注意してください。

で、おそらくこのピーコ氏の主張も、前述の1486年の『Oratio De Dignitate hominis/
人間の尊厳について』という討論会の草稿の中にあると思われるのですが、残念ながら、
ワタシはこの草稿は所有していませんので、真偽の確認はできません。

ちなみに、イエスのヘブライ語表記ですが、現代においては、通常は「[vau][shin][yod]:
YshV/Jesus/イエス(ジーザス)」という綴りをします。
別名として、「[ayin][vau][shin][yod]:YShVAa/Yeshua/Jeshua(Josua)/イェシュア」、
もしくは「[ayin][shin][vau][heh][yod]:YHVShAa/Yehoshua/イェホシュア」があります。
つまり、この説にある「[heh][vau][shin][heh][yod]:YHshVH/Jeheshua/イェヘシュア」
とは、ちょっと異なるわけです。

結局のところ、キリスト教カバラの「イェヘシュア」という神名と、イエスの別名である
「イェホシュア」が、同一のものなのか、バリエーションであるのかは、ワタシにはよく
わかりませんが、新約聖書の神格の代表者である「イエス」という名前が、旧約聖書の
基本神格である「無印」の四文字神から一文字付け足して進化したバージョン、たとえば
「新・○○」とか「愛・○○」とか「パピネスチャージ・○○」という正統なシリーズ物を
意図した、というか暗示したものではないかということは、何となく感じますよね。

ここで重要なのは、「ヘブライ語」での変化であることと、こういう言葉遊び、いやいや
文字操作は「カバラ」の得意技であるということなのです。
つまり新キャラの「イエス」は、旧キャラの「四文字神」の正統な後継進化であるという
ことが、「ユダヤ教カバラ」により、いとも簡単に証明することが出来たということを
主張したのです。

この主張は、なかなか優れた「カバラ」のプロモーションのネタとなりました。
これにより多くの西欧の人々が「ヘブライ語」と「ユダヤ教カバラ」に興味を持ち、
そしてユダヤの人々もまた、「キリスト教カバラ」に興味を持つきっかけとなったのでした。
144名無しさん :2013/12/08(日)10:32:12 ID:QeC3i2Ssk
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
And, from the standpoint of the modern Hermetic Qabalah and the Golden Dawn, this
is of special significance.
そして、現代のヘルメス主義的カバラおよびゴールデン・ドーンの立場からは、これは
特別な意義のあるものである。
--- ここまで ---

ゴールデン・ドーンにおいても、この前記の主張は全面的に利用されています。
『The GOLDEN DAWN』の第三巻の冒頭の「The ritual of the PENTAGRAM/五芒星儀式」の
部分を、以下に引用しておきます。

--- ここから (『黄金の夜明け魔術全書(下)』、著:イスラエル・リガルディー、訳:江口之隆、7ページ) ---
五芒星はイェヘシュアの御名の文字の支配下にある永遠なる霊と四元素の作用を表す強力な
象徴である。十字の象徴の下にある四元素そのものは、YHVHに支配される。しかしルアク・
エロヒムすなわち《神聖なる霊》を表すシンの文字が加わることで、YHVHはイェヘシュア
ないしイェホバシャになる━━後者はシンが《地》と他の三文字のあいだに入ることで成立する。
--- ここまで ---

ここの最後の部分は、シンの文字が
「[heh][vau][shin][heh][yod]:YHShVH/Yeheshuah/イェヘシュア」では、真ん中に、
「[heh][shin][vau][heh][yod]:YHVShH/Yehovashah/イェホバシャ」では、最終ヘー
の前に入った場合ということてすよね。

『黄金の夜明け魔術全書』では、この文章の後も、長々と「シン」すなわち《神聖なる霊》
についての解説が続いていますし、それ以外の箇所でも「霊」の重要さについて色々と記述
されていますので、興味のある方は、ぜひ読んでおいてください。
ワタシの書く、チンタラした解説を読むよりも、きっと面白いと思います。←手抜きww

ちなみに、オカルトの世界においては、普通の人には見えない触れない理解できない「霊」
のようなものを根本原理とすることは、基本中の基本なんですよね。
そして、それがどういう意味を持つのかは、オカルトを学ぶ際には、しっかりと認識して
おく必要があるということでもありますよね。
145名無しさん :2013/12/09(月)06:54:24 ID:Q3EO6lUks
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
Perhaps the most important single principle emphasized by today's Hermetic Qabalah
is that all things are four elements activated by a fifth, which is Spirit.
おそらく、今日のヘルメス主義的カバラによって強調される最も重要な唯一の原理は、
万物は、第5の「聖霊」により活性化された4つの元素であるということである。
--- ここまで ---

この世界の万物には精霊が宿っているという理論は、何となく日本にもある「八百万の神」
を想起しますが、実のところ、両者の思想には、かなりの隔たりがあります。

「神」世界の組織体形は、それを創作した「人間」世界に類似したものとなりがちです。
というのは、神は人の上に位置する存在であり、それはすなわち人間社会の支配者階級に
相似したものとなりがちなのです。
そもそも、古代の神話や伝説自体が、世俗の一般民衆から生み出されたというものではなく、
ある程度の文字を読み書きでき、それを後世に伝えることが可能な支配者階級の人々の
創作物なんですよね。

つまり、日本における「八百万の神」は、古代日本の乱立した豪族世界を反映したものと
なっていて、割と個々の独立性というか自主性というか地方分権的というか、自由で気まま
な村社会の支配者により管理された古代日本の人間世界を反映したものとなっています。

一方で、西欧では、中央集権社会が、かなり早くから発達し、巨大組織における下々の
一般人を管理する上でも、強力な思想統制が必要とされています。

要するに、キリスト教カバラにおいても、魔術カバラにおいても、この第5の「聖霊」の
位置付けというのは、五芒星のような平面図形の世界みたいに、平等でフラットな関係の
世界というものではなく、実はピラミッド型の四角錐で表される、厳しい上下関係のある
封建型の縦社会なのですよね。

「Spirit/聖霊」は、我々のトモダチではなく、はっきりとした上位世界の存在であることは、
きちんと意識しておいた方がいいです。
そして、その力を行使することは、どうしても「上から目線」となりがちですので、
魔術にハマりすぎて勘違いした人間が、「上から目線」になりがちなのは、そういうこと
でもあるわけなのでした。
146名無しさん :2013/12/10(火)06:32:33 ID:TszMkrJUF
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
Yod is Fire, Heh is Water, Vau is Air, Heh final is Earth and Shin is Spirit.
「ヨッド」は「火」で、「ヘー」は「水」で、「ヴァウ」は「空気」で、最終「ヘー」は
「地」で、「シン」は「聖霊」である。
--- ここまで ---

このままでは順番がわかりにくいので、対応関係をソートしておきます。

 「シン」=「聖霊」(=ティファレト=大アルカナ)
 「ヨッド」=「火」(=ネツァク=小アルカナの棒)
 「ヘー」=「水」(=ホド=小アルカナの杯)
 「ヴァウ」=「空気」(=イェソド=小アルカナの剣)
 最終「ヘー」=「地」(=マルクト=小アルカナの五芒貨)

ちなみに、この対応関係は、理論的に証明されたものではなくて、あくまでもゴールデン・
ドーン内部での「公式設定」であり、他の魔術体系に適用されるものではありません。

これらの順番は、古代インド哲学の「五大」では「空、風、火、水、地」になりますし、
四大については、科学的に見える「火(プラズマ)、風(気体)、水(液体)、地(固体)」
という順番もありますし、『実践カバラ』(著:大沼忠弘、1988年発行)では、
 「ヨッド」=「風」=ネツァク=小アルカナの棒
 「ヘー」=「火」=ホド=小アルカナの剣
 「ヴァウ」=「水」=イェソド=小アルカナの杯
 最終「ヘー」=「地」=マルクト=小アルカナの五芒貨
というように読み取れる記述もあります。
まあ、神秘の世界、すなわち、自己の脳内理論に破綻をきたさないのであれば、周囲が
とやかく言うものではない、つまり自分自身が納得できるものであれば何でもいいという
ことですよね。

ちなみに、ワタシの場合は、ゴールデン・ドーンの理論体系がお気に入りですし、特に
これといった理論的破綻をきたしていませんので、それに従うことにしています。
そして、ゴールデン・ドーン系のタロットを使っている、もしくは使いたい人であれば、
とりあえずゴールデン・ドーンの理論体系に従って勉強することを、お勧めします。
147名無しさん :2013/12/11(水)06:54:24 ID:ocHHHYym/
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
Pico inspired the work of Johannes Reuchlin, the first non-Jew ever to write books
on the Qabalah.
ピーコ氏は、これまでカバラに関する本を書くことでは最初の非ユダヤ人となる、ヨハネス・
ロイヒリン氏の研究に霊感を与えた。
--- ここまで ---

ヨハネス・ロイヒリン氏(Johannes Reuchlin, 1455-1522)は、ドイツの人文主義研究者で、
ギリシア語とヘブライ語を学び、いくつかのカバラに関する独自研究、すなわち、最初の
「キリスト教カバラ」の本と言えるものを書いています。

ロイヒリン氏は、父親がドミニコ会修道院で仕事していたということもあり、幼い頃から
修道院や大学で高水準の教育を受けています。
修道院では、キリスト教の公式言語であるラテン語を学習しています。
そして、当時のドイツは、イタリア・ルネサンスの影響もあり、いち早くギリシア語と
ヘブライ語の学習が盛んになっていたため、それも学びました。

その後、学者や教師として、それなりの地位を得たロイヒリン氏は、フランスやイタリア
へと旅に出ており、そしてイタリアでは「メディチの学院」にも立ち寄って、そこでピーコ氏
のカバラに関する草稿を目にしたというわけです。
ロイヒリン氏は、この草稿に込められた深い意味を知り、そしてピーコ氏の後継者となり、
「キリスト教カバラ」の研究と普及に努めたのでした。

このロイヒリン氏の行動は、ピーコ氏の場合と同じく、キリスト教会側にとっては、かなり
目障りなものだったようで、何度か異端の疑いをかけられています。
そして、カバラが世間から注目されるようになると、ユダヤ教カバラやユダヤ人そのもの
にも攻撃の矛先が向くようになっていくのでした。

結局のところ、当時のキリスト教会は、「オレ様の思想が一番であって、他の思想は全部
クソで、そんな下劣な研究をする人間は取り締まらなければならない」みたいな、もう
どうしようもない末期の病気状態だったわけです。

でも、そういう腐敗しきった黒化状態だからこそ、この「キリスト教カバラ」に続いて、
次世代の新しい芽が出てきつつありました。
そう、ドイツの神学者のマルティン・ルター氏(Martin Luther, 1483-1546)による宗教改革
です。
そして、この宗教改革においては、旧約聖書の翻訳というものが割と重要な位置にあり、
ルター氏も、ギリシア語、ヘブライ語、ラテン語に堪能でした。

つまり、新しい思想を産み出すには、様々な言語に習熟し、殻に閉じこもらずに、色々な
世界に積極的に出て行って、新しいものを見聞きしなければならないということですよね。

ワタシが単なる和訳ではなく、対訳という形式にこだわるのは、島国育ちの「日本語」の
世界だけではなく、「英語」という広い世界も、もっと知ってもらいたいからなのでした。
148名無しさん :2013/12/12(木)06:53:32 ID:hPVRqyzv3
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
His premise was that the history of mankind is based on three periods.
彼の前提は、人類の歴史は3つの期間に基づく、ということであった。
--- ここまで ---

ロイヒリン氏は、カバラに関連する本として、
・『De verbo mirifico/奇跡の言葉』1494年発行
・『De Arte Cabbalistica/カバラの術』1517年発行
の2冊の本を残していますが、ワタシはどちらも持っていませんので、どの本に書かれて
いるのかまでは確認できません。
まあ、どちらもドイツ語の本ですので、読む気になれませんが。

ともあれ、ガチガチのキリスト教徒であり、割と地位や名声の高いロイヒリン氏により、
キリスト教カバラとしての独自解釈による独自理論が発展し、従来のユダヤ教カバラの
路線とは、明確な路線の違いを見せるようになっていきます。

そして、カバラが見直され焼き直しされる中で、新約聖書とラテン語を中心としてきた
西欧キリスト教世界にも、旧約聖書やヘブライ語が復活してきたということになります。
とはいえ、教会勢力という圧力団体は相変わらず活発で、ユダヤ人は、相変わらず
あちこちで迫害されていたわけですけどね。

それにしても、「人類の歴史は3つの期間に基づく」という理論って、かなりシンプルな
感じですよね。
これは、当時の人類の歴史観が、「旧約・新約聖書」という物語の中に閉じ込められて
いたからに他ならないわけです。
そして、そういう枠組みから外れないことが、当時のキリスト教社会での研究の「限界」
とも言えるわけであり、そこから外れた考え方をすると、異端視されるわけです。
もちろん、カバラ自体には、そういう「限界」はありませんので、ロイヒリン氏の思想は、
徐々にその枠組みから外れていくことになるわけですけどね。
149名無しさん :2013/12/13(金)06:56:46 ID:Ud9wE8M1h
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
In the first period God revealed himself to the Jewish patriarchs through the
three-fold name [yod][daleth][shin], Shaddai.
最初の期間においては、神は3つ重ねの名前である[yod][daleth][shin]、すなわち「シャダイ」
によって、ユダヤの族長たちに彼自身を明らかにした。
--- ここまで ---

この期間は、旧約聖書の世界では「族長時代」と呼ばれており、アブラハムの誕生から
モーセの出エジプトまでの期間を指してます。

神自身による、自称「シャダイ」の最初の名乗りは、『旧約聖書:創世記』17:1において、
アブラム(後のアブラハム)に語る言葉として、
「[yod][daleth][shin] [lamed][aleph] [yod][nun][aleph]:ANY AL ShDY/I am the
Almighty God./わたしは全能の神である。」
というように記述されています。

そして、「[yod][daleth][shin] [lamed][aleph]:AL ShDY/El Shaddai(the Almighty
God)/エル・シャダイ(全能の神)」と神が名乗っている期間が、ロイヒリン氏に
とっての「第一ピリオド」というわけです。
じゃあ、それ以前のアダムからアブラハムまでの期間はどうなるのか、ということに
なるわけですが、ロイヒリン氏にとっては、前座、あるいは「なかったこと」になって
いるようですね。

ちなみに、この「シャダイ」という言葉ですが、とりあえずは「Almighty/全能の」と
翻訳されてはいますが、一般的に使われていた形容詞ではないようで、実はまだ正確な
意味は、良くわかっていないのです。
要するに、何だかよくわかんないけど、とりあえず雰囲気的にカッコいいキラキラした
ネームを創作して自称してみたという、ちょっとオチャメな感じの神名なんですよね。

え、「そんな説明で大丈夫か?」って?
「大丈夫だ、問題ない」
150名無しさん :2013/12/14(土)09:26:08 ID:+8jL0/oO/
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
The second period was that of Moses and the Talmud, when God appeared as the
four-lettered name (Tetragramaton) [heh][vau][heh][yod].
第2の期間は、神が4文字の名前(聖四文字)である[heh][vau][heh][yod]として現われた時、
モーセとタルムードのそれ(時代)であった。
--- ここまで ---

この期間は、旧約聖書の世界では、モーセの出エジプト以降の期間を指してます。
つまり、『旧約聖書:創世記』より後の時代の話ということですよね。

ちなみに、『旧約聖書』の「トーラー」すなわち「モーセの五書」は、神から教えを受けた
モーセ自身が、その教えを公式に文書化したという設定です。
そして「タルムード」は、モーセが文書化せず、口伝で後世に教えを伝えていたけれども、
後の時代にユダヤ人が国家を失って民族離散していく中で、口伝が途切れて情報が失われ
ないように、公式マニュアル化していったという設定となっているのは、ご存知の通りです。

さて、この真の神の名を表す「聖四文字」ですが、『旧約聖書:出エジプト記』3:14-15 で
人類史上初公開されています。
--- ここから ---
14:神はモーセに「わたしはある。わたしはあるという者だ」と言われ、また、イスラエル
の人々にこう言うがよい。『わたしはある』という方が、わたしをあなたたちに遣わされた
のだと。」
15:神は、更に続けてモーセに命じられた。「イスラエルの人々にこう言うがよい。
あなたたちの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主がわたしを
あなたたちのもとに遣わされた。これこそ、とこしえにわたしの名、これこそ世々に
わたしの呼び名」
--- ここまで ---

ここには、2つの神名が出てきています。
一つ目は、『旧約聖書:出エジプト記』3:14 に出てくる
『[heh][yod][heh][aleph]:AHYH/I Am/わたしはある』
であり、二つ目は、
『[heh][vau][heh][yod]:YHVH/Lord/主』
です。

現代の解釈では、神の真の名は「聖四文字」であり、その考古学的な語源や意味は正確には
不明なのですが、聖書中においては「わたしはある」という意味であるとの設定になっています。
さらに、聖書中の「聖四文字」は、そのままでは発音されず、
「[yod][nun][daleth][aleph]:ADNY/Adonai(my Lord)/主(アドナイ)」
と読み替えて発音することが、お仲間とのお約束となっています。

なんか色々と面倒臭い設定ですけど、そういうのが、きっとカッコイイということなんでしょうね。
151名無しさん :2013/12/15(日)10:55:59 ID:E0pQDQDM1
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
Finally, came the period of man's redemption through Christ, when God revealed
himself as the five-lettered Jeheshua.
最後に、5文字の名前である「イェヘシュア」として、神が自身の正体を明らかにした時、
キリストによる人類の贖罪の期間が到来した。
--- ここまで ---

最後に、名前がさらに長くなり、巨大化してラスボスになっていくような進化形態で、
「[heh][vau][shin][heh][yod]:YHShVH/Yeheshuah/Jeheshua/イェヘシュア(イエス)」
の登場となるわけです。

冷静に考えれば、かなり強引なストーリー展開にも見えますが、カバラという新ツールを
生かして、ヘブライ語やヘブライ文字自体を「神聖化」することにより、多少強引な展開で
あっても、それが逆に魅力的なものに見えるという、かなり巧妙な煽り手法なのでした。

つまり、萌え要素をアピールするには、そういう強引なラノベ的展開というか、突っ込み
どころを残しておくというのは、ある程度は「お約束」だということでもあります。
理論的にガチガチの完全無欠の人格やコスチュームというのは、やっぱり主人公としては、
面白味や魅力に欠けてしまうというわけなんですよね。

そして、こういう強引な手法が通じるということがわかれば、その後のストーリー展開の
ネタ作りにおいても、かなりのバリエーションを持たせることが可能となり、それによって
一気に面白い話を増殖させていくことが容易になるということでもあります。
完璧に理論を突き詰めたがるユダヤ教カバラがマイナーであり続けたこととと比べると、
こういう詰めの甘さをあえて残しておくことが、ポピュラー化のためには大事なこと
なのではないかと思ったりするわけなのでした。

ちなみに、このスレも、詰めの甘さを数多く残しているはずなのですが、いまだにマイナーな
ままなのでした。
まあ、それはそれでいいのですが、たまには誰かと話をしてみたくなったりするわけなのでした。
152名無しさん :2013/12/16(月)07:01:58 ID:2geMOorOO
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
Thus Pico della Mirandola and Johannes Reuchlin became the founders of the philosophical
aspects of Christian Qabalism.
このようにして、ピーコ・デッラ・ミランドラ氏およびヨハネス・ロイヒリン氏は、キリスト教
カバラ主義の哲学的な様相の創始者となった。
--- ここまで ---

どのような学問分野においても、「理論面」と「実証面」というアプローチが存在します。
基本的には、理論面における仮説が先行し、それを実証実験しながら、仮説を修正していき、
確たる最終理論を築き上げていくということになるわけです。

そういう意味では、ピーコ氏やロイヒリン氏のキリスト教カバラの理論は、まだ思いつきの
レベルであって、実際に多くの研究者からその有効性を確認されたものではありません。
でも、従来の古臭くて時代遅れの理論に疑問を感じながら勉強していた多くの研究者が、
この2人の、カバラとキリスト教の関係付けを行った新しい理論に触発されて、色々な
独自研究を始めていくことになったのでした。

当時の学問研究というのは、根本的な理論の面では「キリスト教会公認」のもの以外は
認められておらず、枝葉的な理論研究や、生活に直結する応用研究みたいなものだけが
可能となっていました。
そういう、先の見えないどんよりとした雰囲気の中で、従来の神をも超越した、根源的な
輝きを放つ真の理論を追求していくという「カバラ」や「新プラトン主義」の思想や手法は、
中世暗黒時代の学術界の閉塞感を打ち破るには、格好のネタとなったわけです。

そして、これを契機に、教会の様々な圧力による様々な自主規制、つまり宗教的タブーは
見直され、ギリシア・ローマ時代のように自由な学問研究が復活していきます。

つまり、「キリスト教カバラ」それ自体は、科学的な理論でもなく、科学的に実証可能な
ものではありませんでしたが、後世の科学の発展を導く先導者(リーダー)としての役割は、
かなり重大なものであったことは間違いありません。
そして現代においても、その役割というのは、無視すべきものではないと思うのでした。

なお、ワタシの、カバラに対する興味の対象は、いわゆる「魔術」や「占い」ではありません。
それよりも、もっと先の方に「面白そう」とか「儲かりそう」なものがあるように思うのです。
実際、カバラの勉強をすることで、今まで見えていなかったものが、色々と見えるように
なってきたというのは、確かですしね。

そう、熟練者は、初心者には見えないものでも、「見えた!」とカキコすることが可能なのです。
153名無しさん :2013/12/17(火)07:00:49 ID:5nQii85Pq
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
The first practical work of their school was produced by Henry Cornelius Agrippa,
whose De Occult Philosophia of 1531 was widely read. (*43)
それらの学派の最初の実践的な著作は、ヘンリー・コーネリアス・アグリッパ氏により
創作され、1531年発行の『隠秘哲学』は広く読まれた。(*43)
--- ここまで ---

ちなみに、(*43)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
43. Readers interested in Agrippa are referred to Agrippa and the Crisis of
Renaissance Thought by Charles G. Nauert, Jr., Illinois, 1965. This excellent
doctoral dissertation has become a standard in its field.
43. アグリッパ氏に興味を持つ読者には、イリノイ、1965年発行、チャールズ・G・ノアート・
ジュニア氏の『アグリッパ氏とルネサンス思想の危機』を紹介する。
--- ここまで ---
とあります。

さて、ドイツの名家出身のハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ氏(Heinrich Cornelius
Agrippa, 1486-1535) は、若くして種々の学問を修め、相当に多才な人でしたが、ピーコ氏や
ロイヒリン氏の「キリスト教カバラ」の影響を強く受け、最初の代表的な「キリスト教カバラ」
の魔術師として、オカルトの歴史に名を残すことになりました。
その魔術書として歴史に残る『De occulta philosophia libri tres/隠秘哲学の三部作』は、
現代においても広く読まれている名作なのですが、残念ながら邦訳は見たことはありません。

さて、魔術師であるアグリッパ氏ですが、最初の魔術師としてのカッコイイ活躍よりも、
中途半端な妥協を許さない急進的すぎる波瀾万丈の人生の方が、なかなかに魅力的なのでした。
立派な魔術師となるには、様々な知識、様々な技術、そして強力なメンタルが必要なんだなぁ、
と思ったりするわけなのでした。

まあ、ワタシはヘタレですので、のんびりと世間を漂う人生の方がいいかなぁ、と。
154名無しさん :2013/12/18(水)06:49:29 ID:wx5xb73uO
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
It is, however, Agrippa who is responsible for the very negative association of
Qabalah with witchcraft and sorcery, a belief held by many even today.
しかしながら、アグリッパ氏は、今日でさえも多く(の人々)の信頼を維持している、
妖術および呪術と、カバラとの非常に否定的な関連についての責任を負っている。
--- ここまで ---

なんか突然、ものすごく遠回しで意味を掴むのが難しい文章になっています。
こういう婉曲で難解であいまいな表現って、大体において、いわゆる本筋の読者にとっては
「否定的な見解」を述べる時に、よく使われるんですよね。
「magic/魔術」ではなく、わざわざ「witchcraft and sorcery/妖術および呪術」と
表現しているところなんかも、色々と気を遣っているということです。

まあ、ユダヤ教カバラであれ、キリスト教カバラであれ、それらの研究者や実践者は、
魔術やその延長線上にある魔術カバラに対しては、大体においては否定的な見解です。

キリスト教カバラの創始者であるピーコ氏、ロイヒリン氏、そしてアグリッパ氏は、
先進的な学識もあり、社会的な地位も実績もある超エリート階級であり、そして
最先端の研究者でもあったわけです。
つまり彼らは、現実逃避して、部屋に引き籠もって、自らの欲望のために魔法修行する
ような人々とは、全く違うタイプの人々なんですよね。
ちなみに、この本の著者であるウォン氏も、いわゆる「儀式魔術」の実践部分には、
さほど興味は無いようにも思われます。

まあ、魔術の実践者の中には、「やってみなくては何もわからない」なんて言う人も
いますけど、「やってるおまいの方が何もわかっていないんじゃないか」と言いたく
なるような人も、中にはいるわけです。
まあ、面と向かってそう言わずに、「そんなもんですかね〜」と、言葉を濁しておくのが、
オトナの対応ってもんですけどね。
100年前の魔術全盛時代であれば、魔術はナウでカッコいいものだったとは思いますが、
現代では、ある程度の良識を持っておいた方がいいと思うのでした。←婉曲表現
155名無しさん :2013/12/19(木)06:44:56 ID:gqIP+c9HS
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
All of these literary works had been stimulated by social developments in the west.
これらの文学作品のすべては、西欧の中での社会的な発展により刺激されていた。
--- ここまで ---

とりあえず、キリスト教カバラの創始者であるピーコ氏、ロイヒリン氏、アグリッパ氏の
代表的な文学作品を、まとめておきます。。

●ピーコ氏(1463-1494)
・『Oratio De Dignitate hominis/人間の尊厳について』(1486年)
●ロイヒリン氏(1455-1522)
・『De verbo mirifico/奇跡の言葉』(1494年)
・『De Arte Cabbalistica/カバラの術』(1517年)
●アグリッパ氏(1486-1535)
・『De occulta philosophia libri tres/隠秘哲学の三部作』(1510年著、1531-1533年発行)
・『De incertitudine et vanitate scientiarum atque artium declamatio invectiva/
  学問と芸術の不確実さと空虚さに対する非難』 (1526年)
・『Declamatio de nobilitate et praecellentia foeminei sexus/女性の高貴さと卓越性に
  ついての弁論』(1529年)

イタリア出身のピーコ氏の活躍は、イタリア・ルネサンスの絶頂期の頃です。
そして、それを受け継いだドイツ出身のロイヒリン氏とアグリッパ氏は、ドイツの宗教改革で
有名なマルティン・ルター氏(Martin Luther, 1483-1546)と、ほぼ同時代の人物です。

彼らに共通するのは、既存の権力構造や社会の価値観、そしてとりわけ腐敗しきった宗教
組織に対する反逆みたいな、強烈な自己の信念の主張です。
ルネサンスという文芸運動は、その後期においては、単なる文芸の分野だけにとどまらず、
人間の意識そのものを変革し、そして社会全体の構造をも変えていく原動力になっていった
ということです。
そして、その変化のきっかけとなったのは、組織の腐敗という内的な要因だけではなく、
外的というか外敵な要因もあったのでした。

ちなみに、この中世暗黒時代からルネサンスの流れは、日本においては、鎖国時代から
明治維新へと至る流れに、何となく似たところがありますよね。
そして、社会の価値観が根底から覆り、新たな時代が到来する時には、こういうオカルト的
なものも一気に解禁され、様々な分野での文芸活動にも、とても大きな刺激となるのでした。

そう、オカルトの本質とは、「自由でありたい」という自己表現の1つの形態なんですよね。
数多くの俗世間のしがらみを解くことによって、その奥に隠された本当のものが見えてくる
ようになるということなのです。
そういう意味でも、オカルトとは「誰かに教えてもらうもの」ではないわけです。
そもそも、赤の他人が「あなただけ」に教えてくれる「秘密の教義」なんてものは、
どう考えても詐欺以外の何物でもないわけですからね。
156名無しさん :2013/12/20(金)06:58:25 ID:8MPgctY9y
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
Much of the intellectual current of the fifteenth century can be traced to the
conquest of the Byzantine Empire by the Turks in 1453, and the subsequent migration
of Greek scholars to Italy.
15世紀の知的な潮流の多くは、1453年のトルコ人によるビザンツ帝国の征服と、それに
続くイタリアへのギリシアの学者たちの移住にまで遡ることができる。
--- ここまで ---

「Byzantine Empire/ビザンツ帝国」という呼び名は、近代以降の西側世界の通称名です。
日本語の「Eastern Roman Empire/東ローマ帝国」という呼び名も、実は西側世界における
通称名であり、彼ら自身は、「Imperium Romanum/ローマ帝国」を自称していました。
つまり、「西ローマ帝国」はあくまでも分家であり、本家「ローマ帝国」は、我々である
ということを主張していたということですよね。
その一方で、西側世界は、東側を「東ローマ帝国」「ビザンツ帝国」「ギリシア帝国」と、
田舎者扱い気味に呼んでいるということなのでした。

ちなみに、ローマ帝国が東西に分割(395年)したのと同様に、キリスト教自体も1054年に、
ローマ・カトリック教会と東方正教会(あるいはギリシア正教)に分かれてしまいますが、
この「Eastern Orthodox Church/東方正教会」という呼び名も、西側世界による通称名で
あり、彼ら自身は「Orthodox Church/正教会」を自称しています。

まあ、キリスト教徒でないワタシからすれば、すこぶるどうでもいいことなのですけどね。

さて、以前にも書いたように、東ローマ帝国は、オスマン・トルコ帝国との長期にわたる
戦争(1326-1453)の末に、1453年に滅亡しています。
このため、戦争中に存亡の危機を感じた東方正教会の組織は、ローマ・カトリック教会と
合同するために、何度か世界中のキリスト教会の話し合いの場である「公会議」で、
和解についての話し合いを行っていましたが、結局、間に合わなかったということです。
そして、キリスト教徒は、イスラム教からは迫害される運命にあるわけで、これにより
多くの東側キリスト教徒が、西側に移住することになりました。

東と西は、同じキリスト教徒ではあるのですが、長い分割の歴史の中で、かなり性格と
いうか、保有している知識が違ってきていました。
元々、ユダヤ教もキリスト教も、東ヨーロッパが発祥であり、古代の知識については、
完全に東側の方が勝っており、古代より続く神秘的な思想も、東には数多く受け継がれて
いました。
それに比べると、西側の方は、色々と俗世間のしがらみに揉まれて、芸術的にも文化的
にも精神的にも退化して、オッサン化していたということですよね。
そして、そういう退廃的な雰囲気の中で、ルネサンスという「東方に残る古代文化の見直し」
が、西側世界で新たなトレンドとして流行したということなのでした。
157名無しさん :2013/12/22(日)07:32:29 ID:ywTJE0TLb
なぜかパソコンからカキコできなくなってます。

いつ復旧するのかなぁ…
158名無しさん :2013/12/25(水)06:18:26 ID:kBFnXUgL2
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
A similar trend occurred in 1492 when the Jews were expelled from Spain and many
Jewish scholars also settled in Italy, moving onto ground prepared for them by
Pico with his theses of 1486.
類似した潮流が1492年に生じ、(その1492年とは)ユダヤ人たちがスペインから追い出され、
そして多くのユダヤ人の学者たちもまた、イタリアに定住した時であり、(そのイタリアは)
ピーコ氏と1486年の彼の論題により、彼ら(ユダヤ教徒)のために移住することを準備
された地であった。
--- ここまで ---

なんか、日本語直訳の限界を試すような、かなり過酷な文ですよね。
普通の翻訳であれば意訳してしまうのでしょうけど、読みやすい日本語として意訳して
しまうと、元々の意味がボケてしまって、著者の言いたいことがうまく伝わらなくなるのが
難点なんですよね。
というわけで、何かと読みにくい日本語よりも、できれば原文の方を読んでいってください。
著者の原文と、翻訳者の翻訳文では、言っていることがまるっきり違っているというのも、
実はよくあることですしね。

さて、ヨーロッパ西端のスペインの地では、中東で誕生したイスラム教国のウマイヤ朝が、
地中海の南側、つまりアフリカの北部沿岸を征服していき、ついにアフリカのモロッコから
ジブラルタル海峡を渡り、イベリア半島を支配していたキリスト教国である西ゴート王国を
711年に滅ぼし、東はインドから西はスペインに至る、世界的な大帝国を築いていました。
しかしその後、レコンキスタ(Reconquista)と呼ばれている、キリスト教側によるスペイン
の再征服運動(718-1492)が起こります。
この戦いは、しばらく一進一退の攻防でしたが、徐々にキリスト教側が失地回復していき、
13世紀半ばまでには、スペイン南部のグラナタを中心とする地中海沿岸の一角に、イスラム
教国のナスル朝が残存するだけとなっていました。
そして、このグラナダには、キリスト教徒に追われた多くのイスラム教徒やユダヤ教徒が
移り住み、キリスト教国に囲まれた中で生き残るために、かなり活発な経済活動を行い、
都市国家というか自由貿易特区みたいな感じで、ある程度の繁栄と成功を収めていました。
ちなみに、スペインにある世界遺産のアルハンブラ宮殿は、この時代に最も繁栄しています。

元々イスラム教には、キリスト教のような過酷な宗教弾圧は少なく、ユダヤ教徒などの
他宗教の者であっても、ある程度の税金さえ払えば、比較的自由に活動できていました。
そういう意味では、世界各地で、特にキリスト教徒からは酷い迫害を受けてきたユダヤ人に
とっては、とても居心地の良い場所だったようで、ユダヤ教カバラの研究者や関連著書が、
この時代のこの地で多く生まれています。

しかし、このスペインのプレ・ルネサンス的な繁栄は、そう長くは続きませんでした。
東方ではイスラム教がキリスト教を駆逐(1453年)しましたが、その一方で、西方では
キリスト教がイスラム教を駆逐(1492年)し、キリスト教の長年の宿敵であったイスラム教と
ユダヤ教は、酷い迫害を受けてスペインの地から追放されてしまうのでした。
そして、このルネサンスの全盛期に起こった東西の2つの出来事がシンクロし、結果的に、
ユダヤ教とユダヤ教カバラの思想体系を、イタリアそしてドイツのキリスト教に召喚して
チューニングするきっかけとなったということなのでした。
159名無しさん :2013/12/25(水)06:33:21 ID:kBFnXUgL2
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
There was widespread interest in Hebrew mysticism by the end of the century, and
advocates of the Christian Qabalah included important Catholic prelates and theologians
who viewed the Qabalah as a vehicle for the intellectual renewal of the faith.
その世紀の終わりまでに、ヘブライの神秘主義に広範囲な関心があり、そしてキリスト教
カバラの主張者たちには、信仰の知的な更新のための媒体としてカバラを見ていた著名な
カトリックの高位聖職者と神学者を含んでいた。
--- ここまで ---

キリスト教カバラの始まりは、ピーコ氏が1486年に発表した『人間の尊厳について』です。
そして後継者であるロイヒリン氏は、1494年に『De verbo mirifico/奇跡の言葉』を発行
しています。
いずれも、当時のカトリックの公用語であるラテン語で書かれ、発明されて間もない最新の
印刷技術を利用し、かなりの部数が発行されたため、当時の宗教的インテリ階級、すなわち
聖職者と神学者に広く知られることとなり、イタリアとドイツの知識人の間では、ユダヤ教の
ヘブライ語聖書の研究とカバラの研究は、15世紀末から16世紀にかけて、ちょっとした
オカルトブームのようなことになっていました。

当時の西欧社会は、まだまだキリスト教会の影響力が強く、いわゆるゴシック様式的な、
堅苦しくて面白味に欠けるものが主流となっていました。
要するに、社会全体にムラ社会的な閉塞感みたいなものがあったわけですが、ルネサンスの
始まりによって、徐々にそういう「精神的な足かせ」が解かれていき、より自由な研究が
出来るようになっていき、そして自由な発想を取り戻すネタとして、古代ギリシア・ローマの
古典思想や、ヘブライ旧約聖書の古典思想、そしてカバラやヘルメス主義といった新しい
思想体系が次々と見直され、世俗の波に揉まれて疲弊して陳腐化していたキリスト教の中に、
積極的に取り込まれていくことになるわけでした。

とはいえ、こういう「古典的で安定した核」であるキリスト教に異種の思想体系の種を
打ち込むことは、それなりの危険性があるわけですよね。
結果的に、いくつかの新種のキリスト教が、この時期に核分裂して発生しています。
その中でも、最大のイベントとなるのが、マルティン・ルター氏(Martin Luther, 1483-1546)
による宗教改革と、プロテスタントの始まりなのでした。
このルター氏の思想は、原点復帰みたいな原理主義運動であり、俗化したキリスト教会に
より歪められてしまったキリスト教版『旧約・新約聖書』の解釈よりも、ユダヤ教の聖書
であるヘブライ語版『旧約聖書』の原典に立ち戻って解釈することを目指したような感じ
なのでした。
つまり、「故(ふる)きを温(たず)ね新しきを知る」ということですよね。

古来よりの歴史を勉強することは、決して後ろ向きの態度ではないわけです。
歪められた歴史観を捨て、きちんと過去に向き合うことで、正しい未来の道が開けてくる
ことって、実によくあることですからね。
160名無しさん :2013/12/25(水)06:53:05 ID:kBFnXUgL2
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 24) ---
Thus the Christian Qabalah, merged with elements of Hermeticism, came to be the
primary occult current of the Italian Renaissance. (*44)
このようにして、ヘルメス主義の要素と融合されたキリスト教カバラは、イタリアのルネサンス
の主要な神秘的な風潮となった。
(*44)
--- ここまで ---

ちなみに、(*44)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
44. Frances A. Yates, The Occult Philosophy in the Elizabethan Age, London, 1979, 21.
44. フランセス A. イエイツ著、『エリザベス女王の時代のオカルト哲学』、ロンドン、
1979年発行、21ページ
--- ここまで ---
とあります。
この本は、『魔術的ルネサンス エリザベス朝のオカルト哲学』(内藤健二訳、1984年発行)と
いうタイトルで邦訳されていますので、興味のある方は読んでみてください。

ちなみに、エリザベス1世(Elizabeth I, 1533-1603, 女王在位:1558-1603)の時代は、
イタリアとドイツに続く、イギリスにおけるルネサンスの時代と呼べるものでした。
この時代には、英国国教会が公式に国教化されてますが、英国国教会のトップとイギリス
国家のトップは同じですので、国家とキリスト教会を女王が統治するという、世界初の
女性上位の社会が誕生した時でもありました。

そして、このルネサンスの頃は、キリスト教の縛りがなくなったおかげで、オカルトが
流行します。
タロットカードが発明されたのも、このイタリア・ルネサンスの頃ですし、天文学の発達に
よって占星術の研究も盛んになっていますし、他の科学技術の発達に合わせて、色々な魔術も
盛んに研究されていっていますよね。
当時は、魔術と科学の境界など存在しない、割と混沌とした古き良き時代だったのでした。
161名無しさん :2013/12/26(木)07:12:11 ID:yGND0JnOK
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
The Renaissance attitude toward the Hermetic sciences was jolted sharply approximately
one hundred years later when Isaac Casaubon declared the Hermetica an early Christian
forgery rather than an ancient Egyptian document.
ヘルメス主義の学問に対するルネサンスの態度は、アイザック・カゾボン氏が『ヘルメス文書』
を古代エジプトの文献ではなく初期のキリスト教徒の偽書であると言明した、おおよそ100年後に
急激に動揺を受けた。
--- ここまで ---

アイザック・カゾボン氏(Isaac Casaubon, 1559-1614)は、スイス生まれのフランス人で、
フランスとイギリスで活躍した、かなり高名な古典学者であり言語学者でした。
彼は、『ヘルメス文書』は、紀元200年から300年の間、様々なキリスト教関係の文献が
書かれた時期に、同じようにして書かれたと、1614年発行の著書で主張しました。

それまでの伝説によると、『ヘルメス文書』は、『旧約聖書』を書いたモーセと同時代、
もしくはそれより前の、古代エジプトのファラオが君臨していた時代に書かれたという
設定になっています。
要するに、真キリスト教の『新約聖書』が『旧約聖書』に対抗したのと反対の時間軸狙いで、
偽キリスト教の『ヘルメス文書』は『真・旧約聖書』となることを狙ったのではないかという
ことですよね。

この紀元200年から300年の頃は、様々なキリスト教の異説が登場し、正統派争いを繰り広げて
いた時期であり、というか、キリスト教の聖典自体が、元々かなりのフィクションが含まれて
いたこともあり、『ヘルメス文書』がキリスト教の文書であるというのは、なかなか興味深い
面白いストーリーではありますよね。

---

しばらく、この板に書けなかった原因は、この板のクッキーの処理に問題があったみたいです。
ワタシの場合は、使っているJaneの、メニューバーの「ツール」−「忍法帖を破棄」で、
クッキーをリセットすることで、何とか書けるようになりました。
もし他にも書けない人がいましたら、一度試してみてください。
162名無しさん :2013/12/27(金)06:55:06 ID:FY3NJ4w5L
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
He stated that the books were written by a Christian or semi-Christian in an attempt
to make these doctrines acceptable, to gentiles. (*45)
彼は、その書物は、キリスト教徒もしくは準キリスト教徒によって、(ユダヤ人ではない
キリスト教徒の)異邦人に向けて、これらの教義を受け入れ可能にしようとする試みのために
書かれた、と述べた。(*45)
--- ここまで ---

ちなみに、(*45)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
45. Yates, Giordano Bruno, 400.
45. イエイツ著、『ジョルダーノ・ブルーノ』、400ページ
--- ここまで ---
とあります。

アイザック・カゾボン氏は、1614年にそれまでの研究の集大成として、『De rebus sacris
et ecclesiasticis exercitationes XVI/聖なる物と教会の儀式について 16巻』を著し、
その中で、『ヘルメス文書』は古代エジプト起源ではなく、ヘルメス・トリスメギストス
によって書かれたものでもなく、紀元200年から300年の間に、初期のキリスト教の関係者に
よって書かれたものであると主張しました。

まあ、最新の考古学的考察により、それまで信じられていた宗教伝説が否定されるという
のは、実によくある話ですよね。
特に、キリスト教に絡む○○伝説というのは、かなり怪しいものが多いのですが、結局の
ところ、組織の拡大のためには、ある程度のウソは「必要悪」ということなのでしょうね。
つまり、宗教組織というものは、必然的にウソを内在してしまうということでもあるわけで、
そして、大きな組織になればなるほど、そういう「内在的なウソ」は大きくなっていくという
ことでもあるわけですよね。

もちろん、歴史的な面で「ウソ」があるからといって、全てを「ウソ」であると決めつける
ことは出来ないのですが、少なくとも全面的に信頼できるものでもないということです。
つまり、内容についての「真偽」は、各人でしっかりと検証しておかないと、使いモノには
ならないということなのですよね。

ちなみに、ワタシにとっては、このヘルメス主義関係の資料は、ほとんど使いモノには
なりませんでした。
読んでると、なんか頭イタくなってくるんですよね…
163名無しさん :2013/12/28(土)09:11:51 ID:ikVUvdszT
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
Casaubon's work brought about a significant decline of interest in magic, a generally
acceptable Renaissance pursuit until his revelations.
カゾボン氏の著作は、彼の暴露までは一般に受け入れ可能なルネサンスの探究である、
魔術への興味の著しい衰退を引き起こした。
--- ここまで ---

このアイザック・カゾボン氏の1614年の著作は、イタリア・ルネサンスの魔術研究の発端と
なった「メディチの学院」の第一人者であるフィチーノ氏による1463年の翻訳版である
『ヘルメス文書』が、デッチ上げの怪文書であり、学術的には信用するに値しないという
ことを述べたもので、要するに「ルネサンス魔術理論の否定」に近いものでした。

ただし、これにより、上記の「a significant decline of interest in magic/魔術への
興味の著しい衰退」が実際に起きたのかは、ちょっと疑問なんですよね。
もちろん、学術的な人々の間では、『ヘルメス文書』が偽書であるということは、それなりに
理解されるようにはなりましたが、だからといって、人々の「興味」が失われたかというと、
それほどの影響は無かったような感じもあるわけです。

つまり、「アニメ」に登場する人物は、固有の生命があって自ら動いているのではなく、
人が描いた絵が錯覚によって動いているように見えるだけであることが理解できるオトナに
なっても、相変わらずアニメグッズを買い漁ったり、「二次元俺嫁」で争ったり、薄い本に
手を出したり、怪しい掲示板に怪しいレスを書き連ねたりするようなものなんですよね。

そう、人にとって「ウソである」という事実は、その人の「信仰心」にはほとんど影響を
及ぼさないのです。

では一体、人は何を信じるのか。
それは「客観的な事実と呼ばれているもの」ではなく、あくまでも「自己(おのれ)の
信じるもの」なのです。
まあ、絵に描いたような優等生なんて、リアルにはこの世に存在していないわけであって、
とある路地裏の抜け道で、
「誰にもまだ話してないあたしの秘密を今夜教えたげる」(cv.沢井美空)
なんていう甘い誘惑の未知のセリフを美少女からかけられれば、ワタシのような心の弱い
人間は、絶対に抵抗できないわけなんですよね〜。

つまり何が言いたいかと言うと、バーチャルなミクさんもいいけど、たまにはリアルな
ミク(美空)さんも、両方とも「いいね!」と思えるような節操の無い態度、いやいや、
心の広さというものが、オカルトの探究には必要なんじゃないかな〜、という言い訳、
いやいや、主張をしたいわけなのでした。

そういえば、近頃アニソンしか買ってないよなぁ・・・
164名無しさん :2013/12/29(日)10:00:12 ID:mpEhcqrzu
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
Today it is understood that the Hermetic documents are not specific forgeries,
but that they were produced even later than Causaubon believed.
今日、「ヘルメス文書類」は、特定の偽書類ではなく、それらはカゾボン氏が信じていた
よりも、さらに後になって創作されたと理解されている。
--- ここまで ---

ここの「specific forgeries/特定の偽書類」というのは、カゾボン氏が『ヘルメス文書』
を「初期キリスト教の偽書」であると主張していたことを指します。

このカゾボン氏の主張は、実のところ、当時のキリスト教の影響力を過大視したものであり、
実際には「ヘルメス主義」に関するキリスト教の影響は、それほど大きなものでは無い、
つまり、「キリスト教徒による宣伝用創作物とは言えない」ということなんですよね。

時代的にも、キリスト教関係の文書、つまり「イエス・キリスト」を当時のスーパー魔術師
としてネタにした「キリスト教偽書類」の創作活動の方が先行していて、『ヘルメス文書類』、
つまり「ヘルメス・トリスメギストス」を古代神秘究極超人としてネタにしたものの方が、
少し後になって流行しています。
こういう文芸的な同人創作活動って、割と時代的な流行があってオーバーラップすることも
あったりするわけですが、お互いに近い時代と関係性があったために、カゾボン氏はその
両者の関係性を重大視し過ぎてしまったということなんですよね。

とはいえ、「キリスト教偽書類」と『ヘルメス文書類』は、決してお互いに無関係ということ
ではなく、その成立時期においても、古代エジプト・ギリシア・ローマ・オリエント文化を
融合したヘレニズム系の思想をネタ元としていることでも、かなりお互いに親密な関係性が
あったことは確かです。
ただし、その関係性は、380年のローマ帝国におけるキリスト教の国教化と、異端思想の
排除、そして中世におけるキリスト教の絶対的支配のために途切れてしまい、ルネサンスに
なってから、西欧圏に本格的に復活したということです。

ちなみに、初期のキリスト教というのは、僧侶階級が主催していたユダヤ教とは違って、
イエスという庶民階級の異端ヒーロー伝説を元にして創作されているため、割と俗っぽくて
庶民受けする神秘的で魔術的で合体変形巨大化ロボット美少女戦士○○チラ最終宇宙戦争
何でもあり的なトンデモないDQNネタが満載だったわけですが、さすがに国際的組織で公式
設定とするには不向きな不謹慎ネタは自主規制され、今のような形になっていったわけです。

そして、ルネサンスで、神秘ネタが解禁された後でも、「イエス・キリスト」をネタにした
同人誌は自主規制による発禁処分となっていたので、その種の欲求に飢えていた書き手の
人々は、必然的に「ヘルメス・トリスメギストス」を主人公にした薄い本を書いていくことに
なっていくというわけなんですよね。

あれ、ワタシは何の話をしてたんだっけ・・・。
165名無しさん :2013/12/30(月)08:27:02 ID:zy2Hk1aMl
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
Despite Causubon's overwhelming evidence, some writers, including Robert Fludd
and Athanasius Kircher, chose to ignore historical reality, and continued to
declare the Hermetic fragments the work of an ancient Egyptian adept named
Hermes Trismegistus. (*46)
カゾボン氏の圧倒的な証拠にもかかわらず、ロバート・フラッド氏およびアタナシウス・
キルヒャー氏を含む何人かの作家は、歴史的な事実を無視することを選択し、ヘルメス
主義的な断片を、ヘルメス・トリスメギストスという名の古代エジプトの達人の作品
であると宣言し続けた。(*46)
--- ここまで ---

ちなみに、(*46)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
46. Yates, Giordano Bruno, 402.
46. イエイツ著、『ジョルダーノ・ブルーノ』、402ページ
--- ここまで ---
とあります。

ロバート・フラッド氏(Robert Fludd, 1574-1637)は、イギリスの医師、そして魔術師と
して有名で、薔薇十字運動を推進し、多くの著作を残しています。

アタナシウス・キルヒャー氏(Athanasius Kircher, 1601-1680)は、ドイツの司祭、そして
医学や古代エジプト研究を含む幅広い分野の学者でした。

そういえば、昔のオカルトの研究者には、当時の最先端の学問である宗教や医学に従事して
いる人が多いのは、決して偶然ではないですよね。
少なくとも、当時のオカルトの研究は、未知なる世界を探る、最先端の学問分野であった
わけですからね。

ともあれ、この二人の活躍した17世紀は、近代科学の黎明期でもあり、混沌としたトンデモ
科学やオカルト科学の理論が、ごく普通に提唱され実践されていた頃でもあります。
そして、中世とは違って、宗教的なタブーを気にせず、合理的な精神で様々な実験や検証を
行う態度や手段が発達してきた時期でもあり、この風潮により、フラッド氏やキルヒャー氏の
理論も、周囲の研究者からは様々な合理的批判を受けるようになっていきます。

それにしても、この二人に限らず、なぜオカルト系の人々は、「ヘルメス文書」などの
オカルト系文書類の著者を、昔の偉い人にしたかったのでしょうかね。
それは、オカルト系の人って、基本的に「現代の人類はアホだらけであり、昔の人の方が
圧倒的に偉かった」という、現状否定の「昔は良かったよね〜」的な幻想があるからです。
まあ、骨董品や昔の絵画や昔のおもちゃなんかが、全く実用的な価値は無くても、なぜか
鑑定団で高値が付いたりするのと同じような現象なんですよね。
そして、一部のヲタクが、リアル三次元やリアルタイム放映中の作品を否定し、二次元嫁や
過去作品の神賛美に走るのも、基本的には同じことだと思います。

そういうわけで、オカルト系の人にも、目を覚ましてほしいとも思うわけですが、おそらく
「余計なお世話」と言われますので、近頃は放置しておくことにしているのでした。
166名無しさん :2013/12/31(火)08:39:02 ID:8t3n/H1Xc
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
MAGUS TO THE QUEEN
女王の魔術師
--- ここまで ---

ここから、「カバラ」の章の中での新しい節になります。

サブタイトルは「女王の魔術師」です。
ここで言う「QUEEN/女王」とは、イギリス、ではなくイングランドとアイルランドの女王
であったエリザベス1世(Elizabeth I, 1533-1603, 在位:1558-1603)のことを指します。
ちなみに、現在のイギリスは、その後、1707年のイングラントとスコットランドの合併、
そして、1801年のアイルランドの併合と1949年のアイルランドの一部独立という、様々な
領土的なイベントがあって、今のような形になってるわけです。
イギリスは、日本と同じような島国なのですが、大陸との距離が近い西方のイギリスの歴史
って、東方の日本と比べるとかなり複雑なのでした。

さて、ルネサンス期にイタリアの「メディチの学院」で生み出されたキリスト教カバラは、
その後、ドイツ方面へと北上し、さらにドーバー海峡を渡ってイギリスへと到達します。
そして、そのルネサンスという大きな流れに乗って、宗教革命の波も、イギリスを襲います。
イギリスのキリスト教は、元々はローマ・カトリックなのですが、イングランドにおいては、
エリザベス1世の即位直後の1559年に、カトリックの分派であったイングランド国教会が
正式にカトリックから独立し、プロテスタントの仲間入りをします。
その後、穏健なルター派に続いて過激なカルヴァン派が入ってくるようになり、イングランド
においてもスコットランドにおいても、色々と宗教対立に関する事件が起きています。
このエリザベス1世の時代は、イギリスにおいては、経済的にも政治的にも宗教的にも
かなり不安定な時代だったのでした。

ちなみに、イギリスでは、ユダヤ人は、1290年に国外追放され、1655年に入国可能となる
までは、完全に排除されていましたので、この時期のイギリスには、基本的にはキリスト教
カバラの思想のみが伝えられています。

---

さて、今年も色々とありましたが、何とか一年間、ここのカキコを続けることが出来ました。
まだまだカバラ理論の本編にたどり着かない状況で、どれくらいの人がここを見ているのか、
全く分からない状況ではありますが、とりあえずマイペースで、最後まで続けていきたいと
思っているわけなのでした。

それでは皆さん、よいお年を(^_^)/
167名無しさん :2014/01/01(水)08:22:30 ID:vJCh4np/q
新年あけましておめでとうございます!

本年もよろしくお願いいたします。(^_^)/
168名無しさん :2014/01/02(木)09:41:58 ID:ZeNgHTw3A
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
The next important figure we encounter is Dr. John Dee (1527-1608), the great
Elizabethan philosopher who, with Edward Kelly, developed the system of Enochian
Magic later expanded by MacGregor Mathers.
私たちが遭遇する次の重要な人物は、偉大なエリザベス女王時代の哲学者であり、後に
マクレガー・マサース氏により拡張された「エノク魔術」の体系をエドワード・ケリー氏
と共に開発した、ジョン・ディー博士(1527-1608)である。
--- ここまで ---

ジョン・ディー氏(John Dee, 1527-1608)は、女王メアリー1世(Mary I, 1516-1558, 在位:
1553-1558)と、女王エリザベス1世(Elizabeth I, 1533-1603, 在位:1558-1603)の時代に
宮廷学者&宮廷占星術師として活躍した有名な学者です。

ディー氏は若くして各地の大学で勉強して数学者として大成し、1551年(24歳)で、宮廷学者に
任命され、その後の大英帝国発展の基礎となる学術領域においても、大量の書籍を収集したり
して、後世に名を残す活躍をしています。
ちなみに、ディー氏の数学と占星術の混合学問領域は、その後、ドイツの天文学者のヨハネス・
ケプラー氏(Johannes Kepler, 1571-1630)、そしてイングランドの大学者であるアイザック・
ニュートン氏(Isaac Newton, 1642-1727)へと受け継がれていくことになります。
当時は、まだ科学と魔術がカオス状態な時代であり、最先端の学問領域として、オカルト系の
研究を行うことは、ごく当たり前のことだったんですよね。

その後、ディー氏は、占星術の他に、錬金術や魔術などのオカルト系の学問にも興味を示し、
1582年に霊媒師であったエドワード・ケリー氏(Edward Kelley, 1555-1597)と出会って、
「エノク魔術」という独自の魔術体系を産み出しています。
この魔術体系は、独自すぎるために全く流行せず、長らく大英図書館の収蔵庫に眠って
いましたが、後世のイギリスのゴールデン・ドーンにより発掘され、集中的に発展的研究が
為されています。

とはいえ、ワタシ個人は、この「エノク魔術」は、全く理解できない、というか、そもそも
共同研究者であるエドワード・ケリー氏は信用するに値しない詐欺的人物と判断しています
ので、ほとんど興味は無いという感じなのです。
もちろん、ゴールデン・ドーンの魔術研究における「エノク魔術」の重要性については、
ある程度は認識していますし、現代の儀式魔術においても、それを理解しておくことは
必要なこととは思うのですが、ワタシ自身の脳味噌は、「ヘルメス文書」の拒否反応と
同じくらいに、「エノク魔術」を理解することを拒否しているのでした。

そういう意味では、ワタシにとってのオカルトの分野では、「カバラ」や「タロット」の
方が、はるかに受け入れやすいものであり、こういうのもおそらく「個人の趣味や適性」
の問題なんだろうな、とも思うのでした。
169名無しさん :2014/01/03(金)09:04:19 ID:uyMlTguhR
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
Dee shared the ideas of men such as Pico della Mirandola and Agrippa, and could
be considered their English counterpart.
ディー氏は、ピーコ・デッラ・ミランドラ氏とアグリッパ氏のような人々の考えを共有し、
彼らのイングランドの対応物と考えることができた。
--- ここまで ---

ここで、ジョン・ディー氏(1527-1608)に影響を与えたルネサンス期のオカルト系の人物を
リストアップしておきます。、
 マルシリオ・フィチーノ(1433-1499)、イタリア
 ピーコ・デッラ・ミランドラ(1463-1494)、イタリア
 ヨハネス・ロイヒリン(1455-1522)、ドイツ
 ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ(1486-1535)、ドイツ
あと、カバラには直接関係しませんが、ルネサンス期のヘルメス主義において見逃せない
人物としては、
 パラケルスス(Paracelsus、1493-1541)、スイス・ドイツ
が挙げられますよね。

これらのルネサンス期のオカルト系の人物は、いずれも勉強や研究が大好きな学者タイプ
であり、多くの著書を残しています。
そして、オカルトに絡む人々は、割と変人が多くて、苦労の多い波瀾万丈の人生を送るのが
常なのですが、ディー氏も、彼らに負けず劣らず、大変な人生を送っているのでした。

ちなみにワタシは、波風を立てず、ごく普通の一般人として、のんびりと人生を送りたいと
思っていますので、いわゆる「オカルト色」には染まらずに生きていきたいと思うのでした。
170名無しさん :2014/01/04(土)23:35:38 ID:CmwNtFoUg
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
Moreover, like the Italian metaphysicians, he enjoyed the protection of the royal
court, being an advisor and confident to Queen Elizabeth. (*47)
さらに、イタリアの形而上学者たちのように、彼は、エリザベス女王の顧問と相談役となり、
宮廷の保護を享受した。(*47)
--- ここまで ---

ちなみに、(*47)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
47. See "A Note on Dr. Dee and his Occult Researches," an appendix to the 1974
Portmeirion facsimile edition of Dee's A True and Faithful Relation of 1659;
see also the introduction by Diane di Prima to The Hieroglyphic Monad, New York,
1975, an English translation of the Latin work issued in London in 1564.
1659年発行のディー著の『真実と忠実の関係』の、1974年発行、ポートメイリオン(イギリス、
ウェールズ)の復刻版の付録の「ディー博士と彼の神秘的研究についての注釈」を参照。
また、ロンドン、1564年発行の(ディー著の)ラテン語作品の英訳版である、ニューヨーク、
1975年発行、『象形文字の単子』のダイアン・ディ・プリマ氏による序論も参照。
The preface to the original edition of A True and Faithful Relation was written
by Meric Casaubon, whose father had studied the Hermetic fragments.
『真実と忠実の関係』の原版の序文は、ヘルメス主義的な断片を研究していた父を持つ
メリック・カゾボン氏により書かれた。
The standard work on John Dee, a highly readable book, is John Dee, by Peter
J. French, London, 1972.
ジョン・ディー氏に関する標準的な著作で、とても面白く読める本は、ピーター・J.
フレンチ著、ロンドン、1972年発行の『ジョン・ディー』である。
--- ここまで ---

「Italian metaphysicians/イタリアの形而上学者たち」というのは、フィチーノ氏を
筆頭に「メディチの学院」に集った研究者達のことを指しています。
このルネサンス期の著名なオカルティストは、優れた学識を持ち、各地を遍歴して交流を
深めたり、印刷本を発行して自分達の考えを広めたりするような行動力もあり、とにかく
多彩で活発な活動をしています。
要するに、彼らは「新人類←死語」とか「意識の高い人←(笑)無し」というような人々だった
のでした。

(次に続く)
171名無しさん :2014/01/04(土)23:44:58 ID:CmwNtFoUg
(前の続き)

さて、この(*47)の「注記」は、ちょっと複雑ですので、簡単に解説しておきます。

ディー氏の代表的な文献には、以下の2つがあります。
・『The Hieroglyphic Monad/象形文字の単子』
・『A True and Faithful Relation/真実と忠実の関係』

このうち、『象形文字の単子』は、ディー氏が1564年にラテン語で書いたものが、原典と
して存在しており、現在はその英訳版が入手できますが、完全な邦訳版は、ワタシはまだ
見たことはありません。

あと、『真実と忠実の関係』は、主に「エノク魔術」について書かれた本ですが、この本は、
ディー氏の著作ではなく、ディー氏がエドワード・ケリー氏と「エノク魔術」を研究して
いた当時のメモというか日記みたいなものが大英図書館に残されていたのを、後の時代に
なって、古典学者のメリック・カゾボン氏(Meric Casaubon, 1599-1671)が見つけ出して、
編纂して1659年に発行したものです。
ちなみに、このメリック・カゾボン氏は、以前に出てきた「ヘルメス文書は古代エジブト
紀元ではない」と主張したアイザック・カゾボン氏(Isaac Casaubon, 1559-1614)の、実の
息子であり、「エノク魔術」についても、肯定的な立場というわけではありません。
こちらも、英語版は普通に入手できますが、邦訳版は知りません。

そして、最後の、ピーター・J. フレンチ著の『John Dee/ジョン・ディー』については、
英語版も入手できますが、以下の通り邦訳版も出ています。
書名:『ジョン・ディー: エリザベス朝の魔術師』
翻訳:高橋 誠
出版:平凡社, 1989年発行

さて、ディー氏の人生は、波瀾万丈ではありましたが、エリザベス女王の寵愛を受けるほど、
人々の注目と尊敬を集めていたわけです。
そして、他のオカルト研究者たちも、それなりの注目を浴びていたわけです。
では、このルネサンスの頃には、こういう神秘や魔術について一般の人々の広い理解が
あったのかというと、決してそういうわけではなかったんですよね。
オカルト研究者には、常にキリスト教的異端の嫌疑がかけられていましたし、さらに当時の
「魔女」に対する偏見と虐待は、特にすさまじいものがありました。
ルネサンス期のドイツで1489年に発行された『魔女への鉄槌』、そして、ディー氏が
宮廷で活躍していた頃と、ほぼ時を同じくして、イングランドにおける「魔女狩り」が
最盛期に達しており、たとえ貧しくとも一生懸命に生きてきた多くの無実の人々が、基地外
異端審問官の独りよがりな妄想と私利私欲のために、次々と死刑にさせられています。

こういった歴史の表と裏の出来事には、いつも考えさせられるものがありますよね。
172名無しさん :2014/01/05(日)09:49:33 ID:/0WbBQxOf
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
Dee produced two works of major importance in the history of occultism.
ディー氏は、神秘学の歴史において、主要な重要性の2つの作品を創作した。
--- ここまで ---

この2つの作品は、前述の通り、
『Hieroglyphic Monad/象形文字の単子』
『True and Faithful Relation/真実と忠実の関係』
になります。

とはいえ、これらの作品が、どれくらい重要であるかは、各自の好き嫌いもありますので、
何とも言えないわけなんですよね。
まあ、ゴールデン・ドーンに繋がる西洋儀式魔術の進化系統にとっては、かなり重要な
位置を占めているのは確かなのですが、ワタシ個人としては、割とどうでもいいことで
あったりするわけです。
つまり、「どうやって使うのかが、よくわからない」理論なわけですよ。

結局のところ、ワタシの関心事は、主に「カバラ」と「タロット」に集中していることも
あって、他のことについては、あまり気分が乗らないということもあるのではないかと
思うのでした。

え、好き嫌いするんじゃない!って?
いやぁ、そもそもワタシは科学系ですし、ごく普通の一般人ですので、オカルト系の話って、
実は苦手にしているんですよね〜。
マジオカルト系の人と話をすると、結構頭がクラクラしたりしますからね。
173名無しさん :2014/01/06(月)06:50:02 ID:PnSxi3kaD
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
The first was his Hieroglyphic Monad, an obtuse treatise of spiritual alchemy and
mathematics.
1番目は、彼の『象形文字の単子』であり、霊的な錬金術と数学についての鈍感な論文であった。
--- ここまで ---

まず、最初のものは、前述したように、ラテン語で書かれ、1564年(37歳)に発行された
『Hieroglyphic Monad/象形文字の単子』です。

この小論文は、天文学、錬金術、数学、言語学、物理学、音楽などのネタ要素を含んだ、
とてもオカルトチックな内容であり、ディー氏は「神の啓示を受けて12日間で書いた」と
述べています。

まあ、ネタ元が「神の啓示」、つまり「ソースは俺」ですので、我々のような一般人が、
きちんと理解し解釈することは、ほとんど不可能なものとなっています。

もちろん、きちんと理解し解釈することを放棄するのであれば、こういうオカルトネタは、
魔術などの「世界を我がモノにする」という思想体系にとっては非常に興味深いものですし、
それなりに利用価値のあるものですので、それなりに引用されています。
つまり、この本は、宇宙を記述し理解し操作する「虎の巻」となる「可能性」を持つ、
「やればできる(かもしれない)子」というわけです。
もちろん、そういう夢を持つことは悪いことではありませんが、できればワタシのような
一般人でも理解可能な理論にしてほしかったと思います。
とはいえ、こういうような「新しい試み」というのは、「やらないよりは、やった方がマシ」
なのも確かなんですよね。
こういうトンデモ理論的な試行錯誤から、成功に繋がる次世代の芽が出てくることも、
よくあることだったりしますからね。

ちなみに、ディー氏の1564年の宇宙的統一理論発表の一世紀後、イングランドの哲学者で
あるアイザック・ニュートン氏(Isaac Newton, 1642-1727)が、1665年に万有引力を発見し、
1687年には『Philosophiae Naturalis Principia Mathematica/自然哲学の数学的諸原理』
を刊行して、これ以降、様々な分野で、科学的理論や合理的精神が進化していくことに
なっていくのでした。
174名無しさん :2014/01/07(火)06:43:18 ID:yfLo/oNSw
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
The second was his True and Faithful Relation in which he records his work with
Edward Kelly as they are "given" the Enochian system by spirits.
2番目は、彼らがエノクの体系を精霊により「与えられた」としている、彼がエドワード・
ケリー氏と共に行った彼の作業をその中に記録している、彼の『真実と忠実の関係』
であった。
--- ここまで ---

まあ、ワタシの個人的にはどう見ても霊感詐欺師としか思えないエドワード・ケリー氏が
絡んだシロモノですので、この手の話題には、あまり深入りしたくはないんですよね。
ここでは、そういうものがあるよ、という程度で、お茶を濁しておこうと思うのでした。

もちろん、近代魔術におけるエノク魔術の重要性を否定するものではないのですが、
ワタシ自身の特性というか体質のせいで、「頭と体が拒否する」わけなのです。
そういえば、トート・タロットに対する拒絶反応も、これに近いものがありますので、
こういうのはおそらく相性の問題ということなのでしょう。
175名無しさん :2014/01/08(水)06:57:42 ID:/VGSrXsuX
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
This is a surprisingly fresh and interesting book despite its ponderous seventeenth
century style, and includes such gems as the decision of the two researchers to
exchange wives.
これは、重苦しい17世紀の文体にもかかわらず、驚くほど新鮮で面白い本であり、妻を交換する
2人の研究者の決断のような宝石を含んでいる。
--- ここまで ---

前述したように、この『True and Faithful Relation /真実と忠実の関係』は、エドワード・
ケリー氏の主に水晶玉を使った天使召喚の実験、つまり、ケリー氏が瞑想状態で告げる妄想、
いやいや「天使の言葉」を、ディー氏が日記に記録していたものを、後になって古典学者の
メリック・カゾボン氏が編纂して1659年に本として発行したものです。
ケリー氏がディー氏と出会ったのが1582年、別れたのが1589年ですので、この不可思議な
実験は、約7年間も続いたということですかね。

ワタシは、この本は読んだことはないし、これからも読む予定は無いのですが、この本は
エノク魔術体系を肯定的に見ているものではありませんし、上のウォン氏の文章も、遠回しで
皮肉を言っているようにしか見えない感じですよね。

ちなみに、「two researchers to exchange wives/妻を交換する2人の研究者」というのは、
1587年に、ケリー氏(当時32歳)がディー氏(当時60歳)に対して、「我々二人は、より
関係を密にするために、妻を含めた全てのものを共有しなければならないと、天使より
告げられた」と言いだして、実際に二人はそれを実行したことを指しています。
ディー氏は、1576年(当時51歳)に、ジェーン・フロモンド女史(当時23歳)と再婚しています
ので、1587年には、ディー氏の妻は34歳になっていたという計算ですよね。
そして、この妻交換の9ヶ月後、1588年になって、ディー氏の妻は男の子を出産しています。
この一連の出来事は、ディー氏にとっては、かなりの精神的ストレスを与えたようで、その後
色々あって、1589年にディー氏とケリー氏は、別れることになったのでした。

まあ、オカルトの分野に限らず、詐欺的な人物はどこにでもいますので、皆さんも、
付き合う友人には充分に注意しましょう、という教訓なのでした。
176名無しさん :2014/01/09(木)07:00:54 ID:eI+pgqw9P
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
Both works were important to the development of the modern Hermetic Qabalah.
両方の著作は、近代のヘルメス主義的カバラの発展にとって重要であった。
--- ここまで ---

ディー氏の残したものは、信憑性という点では大いに疑問があるものの、後代のオカルト
研究者にとっては、非常に興味深いものであったということですよね。

とはいえ、ディー氏の活躍した時代は、ルネサンスという思想自由化運動の反動期にあたり、
社会的にも政治的にも、かなり不安定な時代となっており、ディー氏の晩年は支援者も
いなくなって、かなり悲惨な末路となってしまったようです。
そして、この晩年の頃は、イングランドの劇作家であるウィリアム・シェイクスピア氏
(William Shakespeare, 1564-1616)などの、悪魔や魔術や魔女やユダヤ人をネタにした
劇が大ヒットしていた時代でもあり、オカルト趣味に傾倒していたディー氏に対する
世間の目や、オカルトに対する偏見みたいなものが、かなり厳しくなってきた頃です。
そして、この頃から、政治の表舞台でも活躍していたキリスト教カバラ主義者たちは、
狂信的な魔女狩りから逃れるように、徐々に裏社会へと押し込められ、世間の目から
逃れるようにして、秘密裏に進化していくようになるわけです。

なお、ジョン・ディー氏(1527-1608)の活躍した16世紀後半という時代は、西欧世界に
近代科学が芽生えてきた時期と一致してます。
それまでの時代の中世哲学的なものと近代科学との違いは、一言では言えないのですが、
例えば、宗教的な面に限って見れば、
・中世哲学=キリスト教色が濃い
・近代科学=宗教色が薄い
ということになりますが、これは、
・中世キリスト教カバラ=キリスト教色が濃いめ
・近代ヘルメス主義的カバラ=宗教色が薄め
という関係に似ています。

ディー氏自身は、熱心なキリスト教信者ではありましたが、その経歴や活動や著作には、
従来には無いような実用的というか科学的に見える要素も、結構含まれています。
そういう意味では、この時期以降に「魔術と科学の違い」が出てきて、「科学」の分野が
独立して語られるようになってきたということになるわけですよね。

ちなみにワタシも、一応「魔術と科学の違い」については、常に気をつけて行動している
つもりなのですが、近頃は、魔術などのオカルトがヲタク趣味と見られて、世間の偏見が
薄れているような感じでもあるので、昔ほど気にしなくなってきています。
そういう意味では、昨今は、オカルト好きな者にとっては、割といい時代になってきている
とは思うのですが、なぜかオカルト好きな人の質も量も低下してきているなぁ、ということを
何となく実感しているのでした。
まあ、人間って、恵まれていることが幸せであるということでは無いんですよね。
177名無しさん :2014/01/10(金)07:09:03 ID:oQBpNAxyL
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
The Hieroglyphic Monad provided the philosophical foundation for the ideas of
Johann Valentine Andrae, author of at least one of the Rosicrucian allegories
(to which the Golden Dawn traced its beginnings).
『象形文字の単子』は、(ゴールデン・ドーンがその起源として辿る)薔薇十字の寓話の、
少なくとも1つの著者であるヨハン・ヴァレンティン・アンドレーエ氏の考え方に
哲学的な基礎を供給した。
--- ここまで ---

ヨハン・ヴァレンティン・アンドレーエ(Johann Valentin Andreae, 1586-1654)は、
ドイツの神学者であり、薔薇十字思想の基本となる初期の三作品である
・『友愛団の名声』(1614年)
・『薔薇十字団の告白』(1615年)
・『化学の結婚』(1616年)
のうち、最後に発行された『化学の結婚』を著した人物です。
なお、これらの薔薇十字三作品は、いずれも当初は匿名文書として発行されていますが、
後になって書かれたアンドレーエ氏の自叙伝には、『化学の結婚』は、アンドレーエ氏が
創作したフィクションであることが、明記されていたというわけです。
なお、残り二つの作品についても、明確な証拠があるわけではありませんが、状況的に見て、
アンドレーエ氏の関与があったのではないかと見ている人も多いようです。

で、『象形文字の単子』を表すシンボルと思想が、この『化学の結婚』にネタとして採用
されているということですよね。
さらに、薔薇十字の後継者であるゴールデン・ドーンにおいても、この『象形文字の単子』
のシンボルと思想は、詳細に研究されて、ネタとして随所に取り入れられているという
ことになっているのでした。
178名無しさん :2014/01/11(土)09:33:14 ID:0Pliy+1Za
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
And the ideas of the True and Faithful Relation were tremendously expanded by
Mathers, who went so far as to develop an Enochian chess set.
そして、『真実と忠実の関係』の着想は、マサース氏により途方もなく拡張され、彼は
エノキアン・チェス一式を開発するまでに至った。
--- ここまで ---

ジョン・ディー氏とエドワード・ケリー氏が発案した「エノク魔術体系の原石」という化石は、
後世のマサース氏により発掘され復元され肉付けされ装飾され脚色され構成され演出され、
ゴールデン・ドーン魔術体系に再登場して、広く世間の注目を集めることになったのでした。

そういえば、なぜディー氏とエドワード・ケリー氏の魔術体系が「エノク魔術」と呼ばれて
いるのか、まだ説明していなかったですよね。
まあ、一言で言えば、「ヘルメス文書」などと同じように、古代の魔術系の有名人の名前を、
カッコよくタイトルに付けてみたということなのですよね。

「エノク」という名前は、オカルトをやっている人であれば良く知っている『旧約聖書』の
偽典である『エノク書』に登場する人物です。
ちなみに、『旧約聖書:創世記』第4章によると、アダムの子のカインの子がエノクと
いうことになっていますが、第5章によると、アダムの子のセトの子のエノシュの子の
ケナンの子のマハラルエルの子のイェレドの子がエノクとなっています。
いずれにしても、「エノク」は、実在の人物ということではないようです。

この「エノク」というキャラクターは、旧約聖書や新約聖書の書かれた時代においては、
とても人気があって、神秘系同人誌の登場人物や主人公として、しばしば登場しています。
正典のメインキャラであり既に公式設定された感のあるアダムやイヴ、ノアやアブラハムや
モーセなどと違って、自由度の高いモブ、いやいやサブキャラであった点が、神秘系の
同人系作家にとっては、人気もあり、使いやすかったのではないかと思われます。

で、ディー氏というかケリー氏が語ったことによると、そのエノクが天使と会話する時に
使った言語が「エノク語」というものであり、ケリー氏はその言語を使って天使と会話を
して情報を得たという話になっていたことから、後世になって、ディー氏の魔術体系に
「エノク魔術」というタイトルを付けて、広く宣伝活動をしたということなのです。
どう考えても、いかがわしい話なのですが、ネーミングの理由付けなんて、オカルトに
限らず、ほとんどのものが、その程度の、いいかげんなものばっかりですからね。

で、元々の「エノク魔術」がそういうものですので、マサース氏がその体系をいくら拡張
しようと、誰も文句を言うことはありません。
結局のところ、ゴールデン・ドーンにおける「エノク魔術」のコンテンツの多くは、マサース氏の
オリジナルな創作物となっているのでした。
これはこれで、オカルトとしては正しい進化形であるとも思いますが、ワタシ個人としては、
そういう方面には、ほとんど興味を持っていないということなのでした。
179名無しさん :2014/01/12(日)10:57:17 ID:RA2vOlGga
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
This latter is virtually unknown, but is deeply linked with the Tarot, and is
considered by some to be the most potent divinatory device ever invented.
この後者は実質的には未知のものではあるが、タロットと深く連携されていて、これまでに
発明された中で最も強力な占いの装置であると、ある人たちによって考えられている。
--- ここまで ---

ディー氏とケリー氏が発案し、その後いったん闇に葬られていた黒歴史ノートに書かれて
いたエノク魔術に関するネタが、マサース氏により再発見されて妄想展開で機能拡張されて、
ゴールデン・ドーンにおいてエノク魔術とエノキアン・チェスとして華々しく復活した後、
再び黒歴史として闇に葬られようとしていたものが、後になってリガルディー氏の興味を
引くことになって、現代において再び注目を集めてきているということですよね。
ただし、情報の継承がきちんとされていなかったのと、そもそも発祥時点において怪しげな
ネタでしたので、こういうのは、ワタシにとっては、何とも言えないのでした。

ちなみに、「This latter/この後者」というのは、エノキアン・チェスのことを指して
いますが、これの遊び方、つまりゲームのルールは、きちんと後世に伝えられなかった、
というか、おそらくゴールデン・ドーンでの公式ルールはベータ版のままで開発中止され、
飽きられて放置されて忘れられてしまったという感じです。
そして、現代においては、エノキアン・チェスを復元してみんなで楽しく遊ぼうという色々な
試みはありますが、オリジナルのルール自体が曖昧ですので、とりあえず適当にルールを
作って遊べれば、要するに何でもいいわけですよね。
ということで、もし遊びたいという人がいましたら、自分たちであれこれ工夫して、
独自ルールを設定して遊んでみるのもいいかと思います。
180名無しさん :2014/01/13(月)08:46:51 ID:UCPB3GayA
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
Mathers used Egyptian God forms on four boards derived from the tablets illustrated
by Dee, thus incorporating Hermetic ideas (probably through Fludd) into Dee's system.
マサース氏は、ディー氏により説明された書字板に由来した4つの盤の上でエジプト神の
形状を利用し、それにより、ディー氏の体系の中に(恐らくフラッド氏を経て)ヘルメス主義的な
思想を組み込んだ。
--- ここまで ---

前述の通り、フラッド氏(Robert Fludd, 1574-1637)は、イギリスの医師&魔術師として有名
であり、ヘルメス主義的宇宙思想や薔薇十字運動に関係する多くの著作を残しています。
ディー氏の基本姿勢は、数学と哲学から見たキリスト教カバラの再解釈という立場でしたが、
ディー氏の後継者であるフラッド氏は、キリスト教カバラとパラケルスス派ヘルメス主義の
融合と再解釈という感じですかね。
そして、この、ディー氏からフラッド氏へと受け継がれたイギリス的魔術の大きな流れが、
そのままゴールデン・ドーン魔術へと流れ込んでいくということになるわけです。

そして、ディー氏の発明したエノキアン・タブレット(天使からのお告げを聞くために使う、
エノク文字が格子のマス目に整然と書かれた占い用文字盤みたいなもの)を元ネタにして、
マサース氏がチェスのゲームみたいなものを考案したわけですが、そのゲームの駒として、
エジプト神をモチーフとした小さなフィギュアを使ったということです。
このフィギュアは、簡易なペーパークラフトが基本でしたが、マサース氏もミナちゃんも
工作は得意ですので、三次元のカッコいい駒を自作していたのではないかとも想像します。
こうして、エノキアン・タブレットは、元はキリスト教カバラの世界に属するものでしたが、
マサース氏やミナちゃんがエジプト風味が大好きということもあって、エジプトの神像や
タロットやヘルメス主義思想を取り入れることで、結果的にキリスト教的な堅苦しいものが
排除され、よりヘルメス主義的な何でもありの魔術道具へと変身していくわけなのでした。

ということで、このディー氏の「Magus to the Queen/女王の魔術師」の物語の節は、
ここで終わりになります。

ディー氏は、学者としても占い師としてもオカルト研究者としても、それなりに尊敬できる
善き人物だったのですが、世の中の動向とか、付き合う友達に問題があるとか、まあ色々と
問題をかかえて不遇なまま、1608年に波乱の人生の幕を閉じました。
一番のダメージとなったのは、ディー氏とイギリス・ルネサンスの後ろ盾となっていた、
女王エリザベス1世が1603年に亡くなり、その後継としてスコットランド王のチャールズ・
ジェームズ・ステュアート(Charles James Stuart, 1566-1625、イングランド王在位:
1603-1625)が、イングランド、アイルランド、スコットランド王として君臨し、そして
自らの権力を確立するために、キリスト教というか英国国教会の首長でもある国王の
地位を復権させようとして、反政府的とか魔術的なものを排除しようとしたことでした。
とはいえ、イングランドは、まだまだ政治的にも経済的にも不安定な時代であったため、
魔術の流れは廃れることはなく、脈々と地下で流れ続けていくことになるわけでした。
181名無しさん :2014/01/14(火)06:50:51 ID:xKjLjuAJG
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
ROSICRUCIANISM
薔薇十字運動
--- ここまで ---

ここから、「カバラ」の章の中での新しい節になります。

サブタイトルは「薔薇十字運動」です。
ディー氏の没後、西欧世界にルネサンスが一巡し、その影響のせいで政治的にも宗教的
にも不安定になっていた17世紀前半というこの時期に、現代に通じる2つの神秘主義的な
秘密団体の系統が誕生しています。

一つが、ドイツにおけるバーチャル系団体である「薔薇十字団」です。
そしてもう一つが、スコットランドにおけるリアル系団体である「フリーメーソン」です。

「薔薇十字団」は、元々はオカルト系同人作家のネタとして作られた架空の団体ですが、
ネタをマジに受け取ったアレな、いやいや熱心な人々が、次々と独自の機能拡張を施して、
次々と薔薇十字系の神秘主義団体をリアルに/バーチャルに設立していきました。

一方、「フリーメーソン」は、古くからある建築系職人の親睦団体みたいなものでしたが、
この頃から、オカルト趣味に走った一部のアレな、いやいや勉強熱心なコアな人たちが、
当時世間で流行していたオカルトや魔術のエッセンスを団体の内部に取り込んで、勝手に
神秘主義的団体に仕立て上げ、それが流行して世界中に増殖していったという感じです。
(※元々の職人気質の人々にとっては、こういう乗っ取りは迷惑な話なんですけどね。)

ただし、フリーメーソン自体が、カバラ系の神秘主義の研究開発に貢献したという面は、
それほど多くはありませんので、この本の中では独立して取り扱われてはいません。
とはいえ、ゴールデン・ドーンでは、三首領を含めて、かなりの数の団員が薔薇十字団と
フリーメーソンの両方の会員となっており、団における色々な様式にも、フリーメーソン
の影響がありますので、儀式魔術関係の人は、これを無視することは出来ないですよね。
182名無しさん :2014/01/15(水)07:04:49 ID:TKZ1iVptu
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 25) ---
Rosicrucianism, developed in Bohemia in the early seventeenth century, appears to
be the direct result of John Dee's travels through Germany in 1589. (*48)
17世紀前半にボヘミアの中で発展した薔薇十字運動は、1589年にドイツのあちこちを通る
ジョン・ディー氏の旅行の直接の結果であるように見える。(*48)
--- ここまで ---

ちなみに、(*48)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
48. Frances A. Yates, The Rosicrucian Enlightenment, London 1972, 50.
48. フランセス A. イエイツ著、『薔薇十字の覚醒』、ロンドン、1972年発行、50ページ
--- ここまで ---
とあります。
この本は、1986年に邦訳され出版されていますので、薔薇十字の思想と歴史に興味のある方は、
ぜひ読んでみてください。

さて、ディー氏は、生涯のうちで何度も大陸に長期旅行していますが、文化、芸術、そして
オカルト好きでもあった神聖ローマ帝国(ドイツ)の皇帝ルドルフ2世(Rudolf �U., 1552-1612,
皇帝在位:1576-1612)からの要請もあって、1583年から1589年にかけて、エドワード・ケリー氏
を伴って、ヨーロッパ大陸の遍歴の旅に出かけています。
そして二人は、主に、神聖ローマ帝国の首都であり、学術文化芸術、そしてオカルト研究の
中心地でもあったボヘミア王国のプラハに長期滞在し、そこに集まってきていた様々な学者や
文化人や芸術人とも交流しています。

ディー氏は、現在ではオカルト的な研究家と見られていますが、当時の肩書きは、先進的な
理論で世界統一を目指す学者であり思想家でもありましたので、物好き、いやいや先進的な
人々に広い影響を与えていたと思われます。

そして、当時のドイツでは、マルティン・ルター氏(Martin Luther, 1483-1546)の宗教改革が
拡大し、カトリックとプロテスタントの新旧勢力の対立があちこちで起きていた頃でもあります。
そういう大陸の不安定な社会状況が、イギリスにも飛び火して、結果的にディー氏の野望は、
達成されることは無かったということなのでした。
それでも、ディー氏の先進的な考え方は、一部のアレな人々の間に広まり、そしてそれは
ネタとして「薔薇十字運動」の中に取り込まれていくことになるわけでした。
183名無しさん :2014/01/16(木)06:56:40 ID:emGn8xxSJ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
There are three key works of Rosicrucian philosophy.
薔薇十字の哲学についての3つの鍵となる著作がある。
--- ここまで ---

「薔薇十字運動」には大きく分けて、「薔薇十字団」をネタに創作活動を行う「理論編」と、
その創作された「薔薇十字団」の設定に倣って、実際に人を集めて「○○薔薇十字団」を
結成して運営していく「実践編」があります。
そして、それらの基礎となっているのが、以下の有名な3つの小冊子になります。
・『友愛団の名声』(1614年発行)
・『薔薇十字団の告白』(1615年発行)
・『化学の結婚』(1616年発行)

これらが書かれた当時は、オカルト系文書の創作活動は、割と人気のあるジャンルでした。
その中で書かれた、「薔薇十字団」をネタとした『友愛団の名声』が、割と好評であったため、
その人気にあやかろうとして、次々と続編が書かれていったということですよね。
もちろん、この3つの小冊子以外にも、後に色々な「薔薇十字団」をネタとしたものが
次々と発行され、それなりに人気のあるシリーズとなり、その人気は現代においても
衰えることなく続いているのでした。

今でも、薔薇十字を肯定的であれ否定的であれ、ネタにした本は結構多いですよね。
184名無しさん :2014/01/17(金)06:58:50 ID:Ot2Tu9eiT
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
The first of these works is the Fama Fraternitas written in German, and originally
published (though circulating in manuscript for perhaps four years earlier) in 1614.
これらの著作の最初は、ドイツ語で書かれた『友愛団の名声』であり、最初は1614年に
(もっとも、おそらく4年ほど前の間から、手稿として流布していたが)発行された。
--- ここまで ---

この『Fama Fraternitas/友愛団の名声』は、手書きの原稿が1610年頃から存在し、
一部に出回っていたことが知られています。
小冊子であり、割と簡単に手書きコピーできますので、かなりの数が出回っていて、出版
されるまでには、かなりの人の手を経てバージョンアップされていたものと推定されます。
この本の初版は、1614年に、ドイツ中部のヘッセン州カッセル市で発行されていますが、
その後、次々と版が重ねられ、他の言語に翻訳もされて、世界的なベストセラーとなり、
現代においても、その重要性は失われずに、色々とネタにされているのでした。

さて、この『Fama Fraternitas/友愛団の名声』ですが、出版された時には、単独の小冊子
ではなく、以下のように他の原稿との混載という形で出版されています。
(『薔薇十字の覚醒』フランセス・A・イエイツ著、山下知夫訳より抜粋)
・『広大な全世界の普遍的かつ全般的改革』
・『ヨーロッパの全学者及び支配者のためにしたためられた、薔薇十字の称えるべき
  「友愛団の名声」』
・『それがためにイエズス会に捕われ、ガレー船につながれたハーゼルマイヤー氏より
  送られた返答』

最初のものは、イタリアのルネサンス思想の要約であり、薔薇十字思想のベースとなる
ものを含んでいます。
次に、薔薇十字思想の本文があります。
そして最後に、とある読者のリアルな体験談(※あくまでも個人の感想であり、商品の
効能を保証するものではありません)を入れて、一般読者の購買意欲をそそっています。
これって、間違いなく、プロの仕業ですよね。

この本が発行された1614年に至るまでには、社会的には、実に様々なことがありました。
詳細は、前述の『薔薇十字の覚醒』を参考にしてもらうことにして、ここでは簡単に、
前節に出ていた英国人ジョン・ディー氏との関係について、見てみることにします。

前述のように、ディー氏は、神聖ローマ帝国の皇帝ルドルフ2世(Rudolf II., 1552-1612,
皇帝在位:1576-1612)からの要請もあって、1583年から1589年にかけて、エドワード・
ケリー氏を伴って、主にボヘミア王国のプラハに滞在しています。
そこでは、ケリー氏の影響で、かなり質の悪い魔術や錬金術の研究をやっていたのですが、
1589年になって、ディー氏は自分の間違いに気づき、目覚めたのではないかと思います。
そして、イカサマ師であったケリー氏と、魔術と錬金術で精神的に退廃したボヘミア王国
のもとを離れ、真のルネサンス思想を啓蒙するたびに、ドイツの各地を巡礼する布教の旅に
出かけています。
ディー氏は元々が学者であり、高い知識と教養、そしてカトリックから独立してプロテス
タント国となったエリザベス女王の治める先進国イギリス出身の人間であるということで、
行く先々で「意識の高い人々」から歓迎されています。
(行数超過のため、続きはウェブで)
185名無しさん :2014/01/18(土)07:37:52 ID:ztVDziPzk
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
The Fama Fraternitas or A Discovery of the Fraternity of the Most Noble Order of
the Rose Cross, tells the story of a mysterious Christian Rosencreutz and his
fraternity, dedicated to healing the sick.
『友愛団の名声、または薔薇十字の最も高貴な結社の友愛団体の発見』は、病人を治す
ことに献身的であった、神秘的なクリスチャン・ローゼンクロイツ氏と彼の友愛団体の
物語を伝えている。
--- ここまで ---

この小冊子の前半では、イエス・キリストの偉大さを語り、そして腐れ切ったドイツの
社会と学術分野において、新たな救世主としておそらく復活するであろうクリスチャン・
ローゼンクロイツ氏の生涯を記述しています。
要するに、この小冊子は、「真・新約聖書」すなわちクリスチャン・ローゼンクロイツ氏
がキリストの再来として復活するという、新たなる福音書ネタとして書かれたわけですが、
当然ながら、ローマ・カトリック教会からは異端視されて、激しい攻撃を受けるのでした。

さて、このクリスチャン・ローゼンクロイツなる人物像は、イエス・キリスト、および
当時は魔術師と呼ばれていた偉大なる人々をベースにしていると考えられます。
ルネサンス期の偉大な魔術師や錬金術師には、最先端の知識を持つ医師や学者などの学術系
出身者が多く、そういう偉大な魔術師の色々な理論や思想や伝説が、クリスチャン・
ローゼンクロイツ氏のキャラ設定に利用されています。
もちろん、その設定の中には、ジョン・ディー氏に由来するものも、数多く含まれています。

当時の社会は、ルネサンスに伴う宗教改革でプロテスタントが成長してきていましたが、
その宗教分野の意識改革の流れに沿うように、学術分野においても改革の波が起きており、
その流れの一つとして、この薔薇十字運動を捉えることもできます。
当時は、オカルトも魔術も科学も、まだ分離することは出来ない時代ですからね。
つまり、薔薇十字運動には、「学術分野における宗教改革」という面もあるわけです。

ちなみに、なぜ薔薇十字運動が急激に流行していったのかと言うと、当時のドイツにおける
ルネサンス流社会改革が、旧守派、すなわちローマ・カトリック教会の反撃によって危機的
状況に陥っており、急進派の生き残りを賭けた社会啓蒙運動という面もあるわけなのでした。

宗教改革発祥の地であるドイツにおいても、カトリック国であるスペインとカトリック派
であるハプスブルク家からの干渉もあり、徐々に拡大して発展していたプロテスタント勢力は、
次第に弾圧を強く受けるようになります。
その時に、プロテスタント側の味方となってくれると考えられたのが、国全体がプロテス
タントで統一され、文化的にも進歩していたイングランドであったということなのでした。
そして、イングラントに対する期待は、1613年のドイツ側のプロテスタントのリーダー
であるプファルツ選帝侯フリードリヒ5世(Friedrich V., 1596-1632、在位:1610-1623)と、
イングランド・スコットランド・アイルランド王ジェームズ1世の娘エリザベス・ステュ
アート(Elizabeth Stuart, 1596-1662)との豪華絢爛な結婚式により、最高潮に達します。

しかし、その束の間の繁栄と平和と情熱は、そう長くは続きませんでした。
その後、ドイツではボヘミアを発端とした30年戦争(1618-1648)という、世界初の国際的な
大戦争が勃発し、ドイツのプロテスタントは弾圧され虐殺され、ドイツ・ルネサンス時代の
先進的文化はことごとく破壊され、オカルトや学術の世界も、冬の時代を迎えるのでした。
186名無しさん :2014/01/19(日)09:35:26 ID:Paksd84aJ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
The text particularly describes the discovery of Christian Rosencreutz's tomb,
the vault which was the inspiration for the sanctum sanctorum used by the Hermetic
Order of the Golden Dawn (Paul Foster Case had such a vault painted for his BOTA,
and many others may still exist today).
本文は、とりわけ、クリスチャン・ローゼンクロイツ氏の墓であり、ヘルメス主義団体
ゴールデン・ドーンにより使われた、「至聖所」を霊感的に示唆する「地下納骨所」の
発見について記述している。(ポール・フォスター・ケース氏は、彼のBOTAのために描かれた、
そのような地下納骨所を持っていた。そしてまた、他に多くのものが、今日まだ存在する
かもしれない)
--- ここまで ---

この小冊子の後半では、クリスチャン・ローゼンクロイツ氏の墓についての不思議な物語を、
重点的に記述しています。
そして、この後半部分が、神秘主義における重大な問題点というか、矛盾点として存在して
いるのです。
キーワードは、小冊子の本文にある「なんだ黄金か、たかが黄金か」という言葉です。
つまり、隠されていたクリスチャン・ローゼンクロイツ氏の墓にあるもの、書籍も含めた
副葬品の全てのものは、俗物たちにとっての「黄金」だったのです。
そう、多くの俗人が、この小冊子の「黄金伝説」を真に受けてしまったわけなんですよね。
まあ、多くの人間にとっては、聖も俗も信仰も物欲も隣り合わせであることを考えると、
しょうがない面はありますよね。

もちろん、オカルト哲学を理解でき、ゴールデン・ドーンにおける地下納骨所みたいに、
オカルトネタをきちんとネタとして消化できる人であれば、こういった「黄金伝説」も
さほど問題とはならないわけですが、そうでない普通の人々にとっては、こういう誤解を
招きやすい釣りネタは、マジギレ賛否両論を伴う格好の炎上ネタとなるわけです。

とはいえ、小冊子の前半の聖人伝説の部分は、割とありふれた話であり、それだけでは
人々の注目を浴びることは困難だったと思います。
結果的には、イエス・キリストの墓とは異なる、この「黄金伝説の墓」をネタとして
取り入れることにより、この小冊子は多くの人々の関心を集めることになったわけです。
そもそも、「人」というものは俗なる存在ですし、人々に広く支持されるベストセラーと
なるには、こういう俗っぽい要素をネタとして入れることは必須要件ですからね。
この小冊子は、いわば「宝の地図」であり、その秘密の墓を見つけた者こそが「宇宙の
支配者」となれるという「黄金伝説」が、人々の間に広まったということなのです。

さらに、この小冊子の中には、これだけで完結するものではなく、続編において、
さらなる秘密が暴露されるであろうことが、予告されているわけです。

こういう卑怯な、いやいや巧妙な煽り予告というか宣伝手法により、この世の俗物、
いやいや人々は、黄金伝説の墓の秘密をさらに知ろうとして、新しい薔薇十字文書である
『告白』やその他の関連図書を、次々と購入していったということなのでした。

そういう意味では、まさしく、この『名声』という小冊子は、「プロの仕業」なんですよね。
そして、作者が完全に秘匿されているのも、プロとして完璧な仕事をしているからなのでした。
187名無しさん :2014/01/20(月)06:41:48 ID:c7xcZuJ+a
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
The legend states that his body was found perfectly preserved, holding the Book 'T,'
which has been symbolically connected with the Tarot. (*49)
彼の体は、タロットと象徴的に関係付けされ続けている『「T」の書』を持って、完全に
保存されて発見されたと、伝説は述べる。(*49)
--- ここまで ---

ちなみに、(*49)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
49. "The Fame and confession of the Fraternity of the Rosie Cross," translation
by Thomas Vaughan (1652), A Christian Rosencreutz Anthology, edited by Paul Allen,
New York, 1968, 163.
49. 『薔薇十字友愛団の名声と告白』、トーマス・ヴォーン訳(1652)、『クリスチャン・
  ローゼンクロイツ選集』、ポール・アレン編、ニューヨーク、1968年発行、163ページ。
--- ここまで ---

『名声』の原典では、聖書を継ぐ『Iの書』と呼ばれていたその書物は、後日の伝説では
『Tの書』と呼ばれることとなり、そして聖書を超えた存在となっているわけですよね。

それと同時に「vault/地下納骨所」は「sanctum sanctorum/至聖所」、つまり「内陣」を
表すものとなり、クリスチャン・ローゼンクロイツ氏自体も神格化されていったという
ことになるのでした。
つまり、キリスト教の宗教団体ではないゴールデン・ドーンにおいては、脱キリスト教と
いうか、イエス・キリストを超える神的な存在が必要となるわけですか、その神的存在の
象徴として、クリスチャン・ローゼンクロイツ氏の神話を利用したということですよね。
これは、ウェストコット氏の着想なのかマサース氏の着想なのかは分かりませんが、
理論的というか脚本的に見て、なかなか素晴らしいアイディアではないかと思います。

そして、我々のような一般人にとっても、こういう神格化や信仰心というものは、
ある程度は必要というか、割と必要欠くべからざるもののように思います。
つまり、
「神キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!」
という心からの感動の言葉を発するような体験が無ければ、色々な意味での人間の進歩や
調和というものは望めませんからね。

そういえば近頃は、無気力、無関心、無感動の人間が増えてきている感じですよね。
本当に増えているのか、昔から一定数存在していたのが改めて注目されてきているだけ
なのかは分かりませんが、社会全体が規制重視のネガティブ思考に陥っていくと、
歴史的に見ても、ロクなことにはならないのです。
そういえば、他人の足を引っ張る魔女狩りみたいな風潮も、一部にはありますしね。
ルネサンス的に、ある程度までは、もっと自由闊達にやらせてあげれはいいのにね、
と思ったりするわけなのでした。
188名無しさん :2014/01/21(火)07:02:31 ID:tqewBT1Rf
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
A second work, expanding on the Fama Fraternitas, appeared two years later in 1616.
『友愛団の名声』を拡充する2番目の作品が、2年後の1616年に現われた。

This was the Confessio Fraternitas or The Confession of the Laudable Fraternity of
the Most Honorable Order of the Rosy Cross, Written to all the Learned of Europe.
これは、『友愛団の告白、あるいはヨーロッパの全ての学識者に向けて書かれた、薔薇十字
の最も尊敬すべき結社の賞賛すべき友愛団体の告白』であった。
--- ここまで ---

最初の作品である『友愛団の名声』の中で、2番目の作品として予告宣伝されていた
『友愛団の告白』ですが、2年後の1616年ではなく、1年後の1615年に、『名声』と同じく
ドイツのカッセルで発行されています。

なんか、タイトルがさらに長くなっていますが、こういうのも、一つの宣伝手法という
ことなのでしょうね。
そして、最初の『名声』が「ドイツ国内の一般大衆の間」で大ヒットして大成功したと
いうことで、次は「ヨーロッパの全ての学識者」を相手に国際展開していこうという意図が
アリアリで、色々と工夫された形跡のある文書となっています。
要するに、薔薇十字ブランドとして、別のターゲット狙いのマーケティングということ
ですかね。

さて、この『告白』には、『名声』と同じように、別の論文が一緒に添付されています。
そのタイトルは、(『薔薇十字の覚醒』フランセス・A・イエイツ著、山下知夫訳より引用)
「このたびはじめて薔薇十字友愛団の告白とともに上梓される、哲学の一研究家フィリップ・
ア・ガベラによる、より秘密の哲学についての短い考察。」
という、こちらも長ったらしいものとなっています。
内容は、ジョン・ディー氏の『象形文字の単子』の簡単な紹介と解説みたいなものです。
つまり、『名声』の付録がイタリア思想の紹介であったのに対して、『告白』の付録は
イングランド思想の紹介になっています。
つまり、この薔薇十字思想が、最初はイタリア・ルネサンスにより生まれ、イングランドに
受け継がれ、最後にドイツで花開くであろうということを示しているのです。
そして、薔薇十字の思想を理解するには、ドイツの本だけでなく、イタリア・ルネサンス
の思想書や、イングランド・ルネサンスの思想書も読まないといけないよ、ということも
表しています。

まあ、プロの仕事にふさわしい、なかなか凝った構成になっていますよね。
ワタシから見れば、ちょっと凝りすぎていて、うさん臭いことになっていますけど、
これくらい派手な方が、世間にはウケがいいのではないかとも思うのでした。
189名無しさん :2014/01/22(水)07:04:31 ID:OkNDPuxDD
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
Unlike the Fama, which appeared in the vernacular German, the Confessio is in latin,
and clearly aimed at a more intellectual reader.
自国語のドイツ語で出版された『名声』とは異なり、『告白』はラテン語で、そして明らかに、
より知的な指導者向けであった。
--- ここまで ---

『告白』は、1615年にラテン語で初版が発行されたのですが、その後、同じ年(1615年)に、
ドイツ語版が発行されています。
おそらく最初から、ラテン語とドイツ語の両方で原稿が書かれたのだと思われます。
ラテン語版が先に発行されたのは、マーケティングの観点から見て、そちらの方が話題性が
高いという判断があったということなのでしょうね。
つまり、おそらくはプロの仕業ということです。

内容についてですが、
まず第一部の『名声』は、クリスチャン・ローゼンクロイツ氏の神秘的な伝説の物語と
なっていて、一種のミステリーというかアドベンチャー分野の小説といった感じで、
一般の読者にも充分に楽しめる内容となっていました。
一方、第二部の『告白』は、啓蒙的な説教話が主体であり、どちらかというと、「意識の
高い系の人向け」の内容となっています。

つまり、最初は敷居を低くして広く人々の注目を集めておいて、その集まってきた人々の
中から、目的に合った、使える人を選別していくという手法ですよね。
見せ物や紙芝居やアニメで人を集めておいて、集まって来た人にグッズを売るとかは、
割と古典的なマーケティング手法なのですが、それと似たようなことだと思います。

ところで、この「薔薇十字運動」というのは、一体何が目的だったのでしょうか?
『名声』や『告白』は、一体何のために書かれたのでしょうか?
ワタシは、これは個人の仕業ではなく、明らかに組織的な活動であり、有志を増やすための
啓蒙文書であると考えています。

当時は、ルネサンス期に誕生した宗教革命派(プロテスタント)が、中世暗黒期を支配して
いた反宗教革命派(カトリック)と武力衝突を繰り返していた時代でした。
そして、強国スペインを支配するハプスブルク家の後押しを受けたカトリック勢力が、
巻き返しを図っていた時期であり、プロテスタントは次第に自由と居場所を奪われて、
迫害を受け始めていた頃でした。
つまり、「薔薇十字運動」というのは、プロテスタントがカトリックと戦うための、
愛と自由と人間の尊厳を守るための、自由主義思想の情報宣伝活動であり、薔薇十字文書は、
そのための啓蒙用宣伝文書であるということなのです。

つまり、元々の「薔薇十字運動」や、基本薔薇十字文書である『名声』や『告白』は、
決してオカルト分野の人々に向けてのものではないのです。
ただ、魔術と科学がミックスされたルネサンス末期という時代のため、先進的な啓蒙書が、
こういう先進的なオカルト表現になってしまったということであり、対象となっているのは、
あくまでも一般の「意識の高い系の人向け」の啓蒙活動であったというわけなのでした。
190名無しさん :2014/01/23(木)06:54:32 ID:VUNE/KOTA
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
Also, unlike the Fama, it is quite boring.
さらに、『名声』とは異なり、それは全く退屈なものである。

The author of these two works is unknown.
これらの2つの作品の著者は未知である。
--- ここまで ---

『名声』は、熟練した劇作家が書いた、素人相手、つまり「意識の低い人」にとっても
ある程度の興味を持たせるようなクオリティがありましたが、『告白』は、とある熟練した
神学者が、キリスト教原理主義者の信者、つまり「意識高い系の人」を相手にして説教する
ような感じであり、そういうことに関心の無い部外者にとっては、ひどくつまらない、そして
中身の無いものになっていました。
そして、そういう「意識高い系の人」にとっては、そういう神学的な形式ばったものが
ツボにはまったようで、それなりの評判となっています。

『名声』と『告白』は、基本的には一対になって書かれたものです。
どちらもカッセル市にある出版社から出版されており、同一の人物あるいは組織の手で
書かれたものではないかと推定されます。

『名声』と『告白』の著者は、いまだに不明なままです。
アマチュアの匿名作品が、後に有名になった場合は「ワシが育てた」と後で白状することが
多くあるのですが、この2つの作品は、なぜかそういう情報漏洩が無いわけです。
当時の最先端の知識を駆使して書かれ、市中で堂々と印刷され、一般向けに出版されたもの
としては、かなり不可解なことなんですよね。
かなり計画的というか用意周到というか、ひょっとすると政府高官の密命を受けた公儀隠密の
情報作戦だった可能性もあるのではないかと思ったりもしています。

さて、この薔薇十字運動の少し前から、西欧世界の様々なところで、秘密結社的グループの
設立ブームみたいなものが起きています。
そして、薔薇十字系のオカルト文書は、そういうサークル活動の起爆剤のような働きをして、
一気に秘密主義的オカルト集団の活動がインフレーション的に拡大していっています。
でも、何で秘密に活動しなくてはいけなかったのか。
それは、その当時は「魔女狩り」の全盛期でもあったからなのです。
権力者が「魔女狩り」という名目で、公式にオカルトを取り締まりをすることで、結果的に
私的な「秘密団体」が乱立してしまうということになるわけなのです。

で、ここで「薔薇十字基本文書」が終わっていれば、『名声』と『告白』を創作した組織は、
ある程度の目的を達したのではないかと思われるのですが、結果的には、当初の予想と
いうか期待とは全く違う方向に「薔薇十字運動」は向かっていきます。

そう、彼らの当初の目論見は、ある「薔薇十字運動」の賛同者により書かれて出版された、
とある「魔術と科学の群奏笑劇(初回限定生産版)」により、ブチ壊されてしまったのでした。
191名無しさん :2014/01/24(金)06:59:57 ID:LrBMIX0VK
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
However a third major work, closely connected with the Fama and the Confessio was
written by Johann Valentine Andrae.
しかしながら、『名声』と『告白』と密接に関係する、3番目の重要な作品は、ヨハン・
ヴァレンティン・アンドレーエ氏によって書かれた。
--- ここまで ---

反カトリックで親プロテスタントである『名声』と『告白』が出版された影響で、ドイツの
プロテスタントの間では、薔薇十字運動について、ちょっとしたブームが起こりました。
『名声』と『告白』に呼応し、ネタにした同人誌が次々と発行され、イエス・キリストの
再来であり、プロテスタントの救世主であるクリスチャン・ローゼンクロイツ氏と薔薇十字
友愛団の噂は、プロテスタントの将来に不安を抱く一般の人々に広まっていったわけです。

そして、その玉石混淆の薔薇十字ネタの出版物の中で、突如として彗星の如く現れ、その
秀逸なネタと構成のせいで、一躍大ヒットした薔薇十字の二次創作本が出現したのでした。
それは、ドイツにおけるプロテスタントの盟主であるプファルツ選帝侯フリードリヒ5世と
プロテスタント国であったイギリスの王ジェームズ1世の娘エリザベス・ステュアート王女の
1613年に行われた結婚式と、当時流行していた錬金術をモチーフとし、ミステリー&ホラー
仕立てのオカルティックファンタジー系ライトノベルである『化学の結婚』という本でした。
こんな売れ筋ネタを満載した大衆向け小説が、売れないワケはありませんよね。

著者のヨハン・ヴァレンティン・アンドレーエ氏(Johann Valentin Andreae, 1586-1654)は、
ドイツの神学者で、若い頃から文筆家としても活動し、薔薇十字文書として3番目の重要な
作品である『化学の結婚』を書いたことを、自ら公表している人物でもあります。

そして、この『化学の結婚』の出版により、「薔薇十字運動」は、新たな展開を迎えることに
なるわけでした。
とはいえ、『名声』と『告白』は、『化学の結婚』にある錬金術は、全面的に否定しています。
そういう意味では、錬金術ネタの『化学の結婚』は、宗教的な『名声』と『告白』とは全く
性格が違うもので、あくまでも二次創作物であり、どちらかと言うと「釣り師」がネタと
して書いたようなパロディ的な作品に属するとも考えられます。
アンドレーエ氏自身は、ドイツが大好きで薔薇十字ネタが大好きで錬金術も大好きであり、
そしてパロディや風刺ネタやエロネタさえも大好きであった彼だからこそ、このような
素晴らしいギャグ作品というかパロディ作品を生み出せたのだとも思います。

そしてそのために、この作品は、真贋論争や賛否両論を含めて、大騒動となったわけです。
でも、ギャグをギャグとして見れない、ネタをネタとして解せない人々は、決して少なくは
ないわけです。
まず、「薔薇十字の隠された錬金術文書」として、金儲けを企むトレジャー・ハンターと
錬金術的詐欺師たちに目をつけられ、そして、敵方であるカトリックからも「薔薇十字は、
まやかしの妖術を使うプロテスタントであり、反キリスト教的集団である」という組織的な
アンチ・薔薇十字・プロテスタントの情報宣伝活動が行われていくことになるわけです。

その結果、薔薇十字運動は、宗教的信仰心の厚い人々からの支持を徐々に失い、その後の
ドイツのプロテスタント対カトリックの30年戦争(1618-1648)により、プロテスタントは
敗北し、薔薇十字運動はドイツにおける黒歴史として、人々から黙殺されていったのでした。
192名無しさん :2014/01/25(土)18:11:35 ID:HiMJnOV7f
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
A cloud has long covered the Chemical Wedding of 1616 due to Andrae's later claim
that this work of his youth was only a joke.
雲は、彼の青年時代のこの著作がほんの冗談であったという、アンドレーエ氏の後の主張の
ため、1616年の『化学の結婚』を、長い間ずっと覆い続けている。
--- ここまで ---

このウォン氏の本には、オカルト後進国の日本では、ほとんど知られていない暴露ネタが
それなりにあって面白いのですが、この薔薇十字基本文書の一つである『化学の結婚』が、
単なるギャグ話であったというオチも、その1つだったりするわけです。

この『化学の結婚』は、1616年に彼が30歳の時に現フランス北東部のストラスブール(1616年
当時は神聖ローマ帝国=ドイツ領)で、ドイツ語で、著者名無しで発行されたものです。
この『化学の結婚』の原稿は、1605年、つまりアンドレーエ氏が19歳の頃に書いたものを
元にして、後に若干の変更を加えて出版したと、彼は述べています。

若い日の彼は、初期ルター派プロテスタントの神学者であり著作家であった祖父ヤコブ・
アンドレーエ氏(Jakob Andreae, 1528-1590)、そしてルター派プロテスタントの牧師であり
芸術や錬金術の知識にも長けていた父親のヨハネス・アンドレーエ氏(Johannes Andreae,
1554-1601)、の影響で、若いうちからルター派の神学や数学、そして神秘哲学や錬金術など
を学び、色々な作品を書き、各地を旅し、色々な有名人と出会って語り合い、文通し合い、
クリスチャン・ローゼンクロイツ氏みたいな勉学と博愛と挫折に満ちた人生を送っていました。

ちなみに、薔薇十字友愛団のシンボルである薔薇十字は、ルター派の総本山となっている
ルーテル教会の紋章のパクリとなっています。(参考:"Lutheran Rose Cross"で画像検索)
また、クリスチャン・ローゼンクロイツ氏の生きた年代(1378-1484)は、ルター派の創始者
であるマルティン・ルター氏(Martin Lutherar, 1483-1546)に微妙にオーバーラップする
ように設定されています。
そして、このルター氏のキリスト教の改革運動に呼応するように、ユダヤ教においても、
パレスチナのラビであるイサク・ルーリア氏(Isaac Luria, 1534-1572)による、ユダヤ教
カバラの改革運動が起きて、大規模な広がりを見せています。
ユダヤ人が比較的多く居住していたドイツにおいては、そういう新しいユダヤ教カバラの
動きも、薔薇十字運動に影響を与えているのではないかと思われます。

つまり、熱烈なルター派プロテスタントであったアンドレーエ氏は、「薔薇十字運動」と、
そのスーパースター「クリスチャン・ローゼンクロイツ」の熱烈なファンであったわけで、
そしてこの彼の手による『化学の結婚』の出版も、最初は単なるギャグとしてだけではなく、
この「薔薇十字運動」を通して、この薄汚れて堕落してしまった社会を改革していくために、
ルター派プロテスタントをもっと広めていこうという意図があったのではないかと思われます。

では、そのように本気で真剣だった彼が、後になって、なぜあんなに大好きで熱心だった
「薔薇十字運動」を否定するようなことを口にしているのでしょうか。
まあ、この本の出版とその後の経緯により、彼は深い挫折と苦悩を味わうことになったとしか
言えないのですが、結局のところ、この『化学の結婚』は、彼の「厨二病の産物」あるいは
「黒歴史ノートに書かれた一節」のままで、世間に流出させることなく、そっと終わらせて
おくべきものであったということではないかと思うのでした。
193名無しさん :2014/01/26(日)14:59:58 ID:Xx8qghpJw
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
Confusion may arise in that the text is unquestionably a serious and enlightened
religious tract.
混乱は、その本文は疑いなく本格的で啓蒙された宗教的小冊子である、ということで
発生するかもしれない。
--- ここまで ---

この『化学の結婚』は、薔薇十字のブームの中で大量に発行されていた同人誌の中で、
色々な意味で、あまりにも出来が良すぎたために、色々なところで色々と話題になり、
「実にけしからんな(笑)」とか「実にけしからんな(驚)」とか「実にけしからんな(怒)」
という感じで、各地で大騒動を巻き起こしたということですよね。

先に述べたように、ヨハン・ヴァレンティン・アンドレーエ氏の祖父は、熱心なルター派
プロテスタントの神学者であり、かなり真面目な理論的著作を数多く残しています。
彼の父も、熱心なルター派プロテスタントの牧師で、修道院長を勤めるほどの偉い人では
ありましたが、錬金術や芸術や演劇などの「そっち」方面のネタにも、幅広く手を出して
おり、当時の先進的なヲタク層の一員でもありました。
そういう血筋ですので、彼自身も知能が高くて、神学や哲学、文学や芸術だけではなく、
いわゆるオカルト方面にも深く興味を持ち、熱心に勉強していました。
つまり彼は、ヲタク趣味の少年にありがちな、部屋に籠もって勉強したり、本を読んだり、
黒歴史ノートをこっそり創作したりするタイプだったわけです。

彼の父親は、1601年、彼が15歳の時に他界しており、彼は未亡人となった母親に連れられ、
生まれ育ったドイツ南部の小都市ヘレンベルクを出て、当時のドイツ最大の大学を擁する
テュービンゲンに転居します。
そして彼は、当時最先端の学問と文化が集う、科学と魔術が交差する学園都市で、色々な
意味で時代の最先端をいく人々や文化や芸術と次々と出会い、その色々な付き合いの中で
彼のヲタク的文芸才能が一気に開花し、その結果として産み出されたネタが、この世界的で
歴史的な名作ファンタジー劇場である『化学の結婚』であったということです。

そして、この『化学の結婚』は、「薔薇十字運動」と「錬金術」に興味のある一部のアレな
人々に熱狂的に歓迎され、第三の薔薇十字基本文書として奉られることになるのでした。

この『化学の結婚』は、それ以前の『名声』や『告白』とは性質が異なり、政治的にも
宗教的にも学問的にも、ネタ的に見て非常にヤバいギリギリの表現を数多く含んでいます。
もちろん、ギリギリですので、そのまま放置されていれば、さほど大した問題では無かったと
思われるのですが、このギリギリなネタに便乗して、一部のアレな人々の手により、さらに
過激な同人活動や同人誌が次々と出てきたために、一般民衆からは白眼視されるようになり、
次第に社会問題化していったというわけです。
そして、プロテスタントと敵対するカトリック系保守団体から目を付けられて、自由主義的な
文化同人活動全体を「反社会的」とか「反人道的」と決めつけられる口実を与え、その結果、
カトリック勢力による、大規模かつ組織的なアンチ・プロテスタントの情報宣伝活動によって、
ドイツにおけるプロテスタントの人気と勢力は、急速に衰えていくことになるのでした。

つまり、本来は単なるネタ的なファンタジー小説であった『化学の結婚』は、プロテスタントと、
プロテスタントを援護する「薔薇十字運動」に悪影響を与えることとなってしまい、その後、
プロテスタントがカトリックとの宗教戦争(30年戦争)に負けてしまったということもあって、
アンドレーエ氏の中では、この『化学の結婚』は、完全に黒歴史となってしまったのでした。
194名無しさん :2014/01/27(月)06:50:44 ID:UByIDsn18
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
As Rudolph Steiner wrote on his essay on the Chemical Wedding:
"Anyone who knows what the human soul experiences when it has opened the gates into
the spiritual world, need only read a few pages of the Chemical Wedding of Christian
Rosencreutz of the Year 1459 to recognize that the descriptions given in this book
are based upon genuine spiritual experience." (*50)
ルドルフ・シュタイナー氏が、彼の随筆で『化学の結婚』について書いたことによると、
以下の通りである:
「人間の魂が、それ(魂)が霊界への門を開いたことがある時に経験したものが何であるか
を知っている者は誰でも、この本(『化学の結婚』)の中で与えられた記述が本物の霊的な
経験に基づくことを認識するためには、『1459年のクリスチャン・ローゼンクロイツの化学
の結婚』の数ページを、ただ読むことだけを必要とする。」(*50)
--- ここまで ---

ちなみに、(*50)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
50. Rudolph Steiner, "The Chemical Wedding of Christian Rosencreutz," Rosencreutz
Anthology, 19.
50. ルドルフ・シュタイナー著、『クリスチャン・ローゼンクロイツの化学の結婚』、
  ローゼンクロイツ選集(*49参照)、19ページ。
--- ここまで ---

まあ、これは、アレな人の代表者による、『化学の結婚』の代表的な評価だと思います。

ルドルフ・シュタイナー氏(Rudolf Steiner, 1861-1925)は、 オーストリア出身の哲学者で
あり、さらに神秘思想家としても、現代でも世界的に超有名な人です。
彼は、「アントロポゾフィー(人智学)」という独自の神秘思想を作り、「アントロポゾ
フィー協会(人智学協会)」や「ヴァルドルフ学校(シュタイナー学校)」を設立して、
世界中で活動をしていた人で、彼の後継者たちが、今でも引き継いで活動を続けています。
ワタシは、こういう啓蒙運動みたいなものは決して嫌いではないのですが、こういうことを
やっている人に苦手なことが多いので、関係者に直接接触したことはありません。

さて、『化学の結婚』のドイツ語正式タイトルは、「Chymische Hochzeit Christiani
Rosencreutz anno 1459/化学の結婚、クリスチャン・ローゼンクロイツ、1459年」です。
『友愛団の告白』の中に、ローゼンクロイツ氏は1378年生まれで106年間生きたとの記述が
ありますので、この本の原稿は、ローゼンクロイツ氏が1459年の81歳の時に書かれたという
設定になっています。

ちなみに、『化学の結婚』は、著者名は明記されずに匿名で出版されており、発行年は、
初心者向けのアラビア数字ではなく上級者向けのローマ数字による記述となっています。
結果的に、このタイトルが一人歩きして、この本は「ローゼンクロイツ氏本人が1459年の
81歳の生前に書いて出版された」という誤解を招くというトラップになっているわけです。

『名声』も『告白』も、ローゼンクロイツ氏の死後、支援者が一般民衆向けの啓蒙書として
書いた内容になっているのと比べると、この『化学の結婚』は、ローゼンクロイツ氏が直接
書いた秘伝書であるという誤解を受け、内容的にも「スーパースター・ローゼンクロイツ」
にふさわしい、上級者(笑)向けのファンタジーなものになっているので、アレな筋の人達に、
爆発的な人気が出たということなんですよね。
195名無しさん :2014/01/28(火)07:01:57 ID:KB6SzQPBo
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
Frances Yates tries to clear up the mystery with a few words.
フランセス・イエイツ氏は、少しの単語で謎を解決しようと試みる。
--- ここまで ---

イギリスの思想史家であるフランセス・イエイツ女史(Frances Amelia Yates, 1899-1981)は、
彼女の著作である『The Rosicrucian Enlightenment/薔薇十字の覚醒』の本文の中で、
アンドレーエ氏がなぜ自身の著書である『化学の結婚』や、当時流行していた「薔薇十字
運動」そのものを否定するような態度を取ったのか、その謎を解く鍵として、あるキーワードを
見つけ出したことを述べています。

ちなみに、『化学の結婚』を出版した後のアンドレーエ氏(1586-1654)ですが、それまでは
割と熱心であった「薔薇十字運動」からは、距離を置く姿勢を取っています。
アンドレーエ氏は、親しい知人には、『化学の結婚』の著者が自分であることを告白して
いますが、そのことが広く世間に知られるのは、彼の死後に公表された自伝の記述による
ものであり、当時の人々は「『化学の結婚』=ローゼンクロイツの著作」であると考えて
いました。
なお、ワタシは、アンドレーエ氏の自伝や、他の文書を直接読んだことはありませんので、
以下の記述には、ある程度の推定が入っていますので、ご注意ください。

その後の後のアンドレーエ氏は、著述家として、学者として、そして政治的な活動家として、
カトリックとの30年戦争(1618-1648)を戦い抜き、プロテスタントの人々を守るために、
熱心に活動しており、それなりの政治的な地位を持つまでになっていました。

まあ、本来は、宗教的かつ政治的である真面目な「薔薇十字運動」が、彼の『化学の結婚』
のせいで、アレな方向に走っていってしまったということは、言いたくても言えない状況
だったのでしょう。
彼が後に、プロテスタントの守護者として奔走するのは、真面目に「薔薇十字運動」を
やっていた人達に迷惑をかけたという、罪ほろぼしの面もあったのかもしれませんよね。

ただ、人々は、それが「真実かどうか」ではなく「センセーショナルかどうか」で判断して
しまいがちであり、その結果、「真実を無視し、嘘を信じてしまう」という面があります。
つまり、どんなに否定しても、「薔薇十字」の「錬金術」でこの腐った世界を救おう(←建前)
というスローガンの方がセンセーショナルなわけであって、そして一方で、そういう
センセーショナルなスローガンには、アンチも群がりやすいわけです。
結果として、「反・薔薇十字」という形で、カトリックが団結し、「異端者達は排除され
なければならない」という感じで、30年戦争において、危険分子は虐殺され、異端の書は
焼かれ、そして薔薇十字の思想は跡形も無く消されていったということなのでした。

彼は、善意の第三者を装って、つまり「薔薇十字運動」の推進者であったことや、彼が
『化学の結婚』の著者であることを隠し、さらに「薔薇十字の錬金術は世界を救う」
みたいな逆転一発的神風思想そのものを否定し、本来のプロテスタントの教えに忠実に
生きていくために、様々な啓蒙活動をしています。

まあ、人はオカルトに頼らず、地道に生きていくことが一番なのですよね。
196名無しさん :2014/01/29(水)06:47:25 ID:UErgSpZA2
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
She notes that in discussing his work, Andrae used the latin word ludibrium, which
means a mockery or a sport.
彼女は、アンドレーエ氏が、彼の著作について論じる際に、茶番または冗談を意味する
ラテン語の「ルディブリウム」という言葉を使用したことに注目している。
--- ここまで ---

イエイツ女史は、『The Rosicrucian Enlightenment/薔薇十字の覚醒』の中で、
アンドレーエ氏が自身の著書である『化学の結婚』、そして「薔薇十字運動」に対して
否定するような態度を取る時に、ドイツ語でなく、なぜかわざわざラテン語の「ludibrium/
ルディブリウム」と表現されていることです。
この言葉は、日本語版(山下知夫訳)の『薔薇十字の覚醒』では「ludibrium/笑劇」と
翻訳されています。
意味的には、ギャグや皮肉や悪ふざけネタを満載したコント劇みたいなものですかね。

要するに、「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。」
ということを言いたいわけなのですが、わざわざラテン語で表現していますので、この
「フィクション劇」には、彼としてもそれなりの思い入れがあったということですかね。

つまり、学会に復讐、いやいやカトリックに対抗するために、アンドレーエ氏も関わって
生み出された「薔薇十字運動」君ではありましたが、当初の世界征服という目的を完全に
忘れ、日々、白いご飯を食べながら錬金術的ギャグでダラダラと過ごし、
「お兄さま、あなたは堕落しました。」
みたいな感じのギャグ劇ではなかったかな、と思うのでした。
でもまあ、そうなる原因となったのは、『化学の結婚』がギャグ劇として秀逸すぎたから
なんですけどね。

とはいえ、アンドレーエ氏自身は、真面目なプロテスタントの啓蒙活動を熱心に行う一方で、
そういう「ギャグ劇」の方面も、相当に好きであったという一面もあり、実際に、数多くの
ギャグ作品や風刺作品を書いています。

ワタシも、真面目な文章を書くよりは、お下品なネタを満載したショートストーリーを
書く方が、楽しいですからね。
え、今でも充分にイロモノだって?
まあ、確かにワタシがここに書いている文章はイロモノであり、ワタシ自身の推定による
創作、つまりフィクションとも言える部分も含まれていますので、このスレ自身が
「ludibrium/笑劇」であると呼んでも、それはそれで差し支えないと思います。

でも、リアル世界では出来なくても、フィクションの世界であればこそ、表現できるもの
って、どうしてもあるわけですよね。
ただ問題なのは、一般の人々は、アンドレーエ氏のように、きちんとリアルと区別して、
フィクションをフィクションとして理性的に理解することが出来なかったということです。
そして、若き日のアンドレーエ氏自身も、そのことを充分には理解できていなかった、
ということなんですよね。

結局、フィクションをフィクションとして見ようとしないモンスタークレーマたちの餌食と
なって、次々と放送中止に追い込まれ、正統的なストーリだけしか認めない、自主規制だらけの
つまらない世の中となっていくわけでした。(←直接関係ない話?)
197名無しさん :2014/01/30(木)06:52:56 ID:dB9MKZC8U
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
He spoke of "the ludibrium of the vain Fama," or the "ludibrium of the fictitious
Rosicrucian Fraternity."
彼は、「空虚な『名声』の「ルディブリウム」」、あるいは「虚構の薔薇十字友愛団の
「ルディブリウム」」と、語っている。
--- ここまで ---

アンドレーエ氏は、『化学の結婚』以降に、かなりの量の本を書き出版していますが、それらの
著書の中では、世間での期待や盛り上がりに反して、薔薇十字運動については否定的な態度の
言葉を使って批判しています。
そして、キリスト教、プロテスタントの信仰、そして錬金術や演劇などについて、正しい
知識を広めようと、一生懸命に活動しています。

でも、『化学の結婚』とは違って、それらの真面目な本は、あまり売れませんでした。
世間の人々は、「正しいこと」を知りたいわけではなくて、「面白そうなこと」を求め、
そしてそれに金を払うわけですからね。

これは、一般のアマチュアの人々だけではなくて、学問などのプロの世界などでも、実は
同じようなものなのです。
つまり、「センセーショナルな研究」というのは注目されやすいのですが、それが正しいか
どうかというのは、実はあまり重要なことではありません。
現代においても、実験や研究にはミスや勘違いや捏造は普通にあるので、不正な結果を
元にした「研究論文」が、たまにセンセーショナルに世間に報道されたりしています。
でも、そういう「不正な論文」を否定するような「正しい論文」は、全くと言っていいほど
世間では注目されませんし、あっても新聞の訂正記事みたいに、誰も気づかないわけです。

結果的に、捏造された記事が、まるで都市伝説のように、人々の間に広く伝わり、信じられて
いくという状態が続いていくわけです。
もちろん、そのことが間違いであってギャグの一種として理解されていれば問題ないわけですが、
正しいと信じてしまっている人がいるから、たまに困ったことになったりするわけですよ。
人間って、「信者」になってしまえば、たとえそれが嘘てあっても、正しいことになって
しまうわけですし、そもそも自分でそのことを理解する能力の無い人は、信じるか信じないか
しか無いわけですからね。
こうして、アンドレーエ氏は、死ぬまで自身が生み出した「薔薇十字」の亡霊と戦うハメに
なってしまったということです。

そういえば、世間では、放射能とかウィルスとか病気とか、一般人にはなかなか理解できない
センセーショナルな話題で賑わっていますが、特に医学分野については、都市伝説だらけと
いう状態になっています。
そもそも、錬金術や魔術をやってた医者や医学関係者って、歴史的に見て、非常に多いわけ
ですし、現代医学の分野においても、いまだに錬金術に非常に近いものがあるわけです。
まあ確かに、医学はマクロコスコスとミクロコスモスの境界分野ですし、錬金術の理論が
実によくフィットしたりするものもあります。

そう、現代における錬金術とは、「金」を作ることではなくて、金を産み出す「薬」を作る
ことにあるわけです。
「金」なんかより、はるかに単価の高い「薬」なんて、ゴロゴロしてますからね。
198名無しさん :2014/01/31(金)06:46:41 ID:JvUPkoGEy
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
But Yates proposes that in the seventeenth century the word could also mean a play,
or a comic fiction, and that Andrae was suggesting that Rosicricianism was theatrical
in a positive and educational sense. (*51)
しかし、イエイツ氏は、17世紀においては、その単語はまた演劇あるいは喜劇的な作り話を
意味することができたことで、アンドレーエ氏が、薔薇十字運動が肯定的で教育的な感覚に
おいて演劇的なものであることを示唆していたことを提案している。(*51)
--- ここまで ---

ちなみに、(*51)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
51. Yates, Rosicrucian Enlightenment, 50.
51. イエイツ著、『薔薇十字の覚醒』、50ページ
--- ここまで ---
とあります。

教育的なものをテーマとする演劇は、普通に数多くありますし、優れた作品には、どんなに
ギャグが満載されていても、どこかにちょっとした教育的なものが含まれているものです。
でも、演劇における、そういう「教育的要素」というのは、分かる人には、その本当の心が
伝わるような、きっかけやインスピレーションを与える程度のことでいいわけです。
そうでないと、どこぞの国が、国民の思想統制に使うような、毒々しい歴史捏造洗脳教育
モノになってしまいますからね。

ちなみに、イエイツ女史は、『The Rosicrucian Enlightenment/薔薇十字の覚醒』では、
メインの読者層である「魔術ファン」のために、若干遠慮した書き方、つまり、あまり
否定的には受け取られないような構成や表現をしています。
これは、こういった思想書を商業的に出版する上で配慮しなければならない「お約束」の
ようなものですし、さらに言うと、この本のウォン氏の文章も、購買層である「オカルト
ファン」のために、ある程度の配慮がなされていますので、そういう行間を読み取って
いくことも必要だったりするわけですよね。

で、確かに、アンドレーエ氏は、最初の頃は、薔薇十字運動が大好きで、肯定的でした。
でもそれは、敬虔なプロテスタント信仰者としての真面目さとは表裏一体の、一種の遊び
感覚から来るものだったのでしょう。
普段は真面目だけど、大好きな女の子の前では、つい悪ふざけをしてギャグを連発して、
「あなたって面白い人ね」と言われてしまって後悔するような、よくある感じの話ですよね。
それゆえにアンドレーエ氏は、真意をうまく伝えられず、誤解されて広まってしまった、
そっち系の薔薇十字運動には、とことん否定的になっていったということです。

現代に続く「薔薇十字運動」には、それなりに評価できる部分もあります。
でも、多くの人が「薔薇十字」というものに求めるものは、そういう真面目で信仰的な面
ではなく、どうしてもアレな面であり、そして、そういうふうに「薔薇十字」が誤解され
変質してしまった責任の一端は、アンドレーエ氏にあることも確かなのです。

アンドレーエ氏は、自らの間違いに気づき、そしてその間違いを正すために、責任を持ち、
自ら先頭に立って、人々のために一生懸命に活動していました。
でも、現代の日本においては、そういう真面目な人の真面目な活動を無視したままで、
オカルトの歴史が誤解されたまま語られているというのも、確かではないかと思うのでした。
199名無しさん :2014/02/01(土)08:01:24 ID:iZeNTXJEC
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
Our intention here is not to inundate the reader with the weighty theorums of literary
research, only to make clear the controversy which surrounds so many of the occult
documents which have contributed to the system of Hermetic Qabalah.
我々の意図は、ここでは、文学的研究の重々しいセオレムで読者を充満させることではなく、
ヘルメス主義的カバラの体系に寄与したことのあったオカルト的文書の非常に多くのものを
囲む論争を、ただ明らかにすることだけである。
--- ここまで ---

「theorum/セオレム」は「theorem/定理」の誤記なのか、何か別の意味を持たせた言葉
なのかは、ちょっと分かりませんでした。

とりあえず、ここでは「ルディブリウム」が、何を意味するのかは、重要ではありません。
そして、オカルトの世界において、そして宗教の世界においても、そもそも文書の真贋論争
というものも、さほど大した意味を持っていません。
覚えておくべきことは、この新参プロテスタントと古参のカトリックの対立の地であった
ドイツにおいて、束の間の安穏な期間に発生した「薔薇十字運動」の中で書かれた膨大な数の
神秘的な文書類は、単なるファンタジーやフィクションの世界の話ではなく、残酷で冷徹な
リアルな歴史と世界地理に密接に絡んだ、象徴的な文学作品であるということなのです。

ユダヤ教の教典が書かれた時期も、キリスト教の教典が書かれた時期も、そしてルネサンス
運動の中で書かれた数々の神秘書もそうなのですが、この薔薇十字運動の文書も、当時は
単なるオカルト的な遊び感覚だけではなく、先進的思想を持つ研究者が、命をかけて後世に
伝えるべきものを象徴的に書き留めたという、一種のレジスタンス的な文化活動という面も
あったということなのです。

そういう意味では、我々の時代のオカルトとは一味違った、血なまぐさいものがありますし、
近世のゴールデン・ドーン的な、遊び感覚の強いものとも、少々違う性質を持ったものだと
いうことです。

そして、このドイツを発端としたバーチャルな薔薇十字運動は、その後勃発したプロテスタントと
カトリックによる三十年戦争でプロテスタントが敗北したことにより、ほぼ完全に壊滅します。
しかし、このドイツで産み出された薔薇十字は、その後の時代になって、ローゼンクロイツが
墓から復活するように何度も復活し、その末裔を名乗る団体は、ドイツから遠く離れた現代日本
においても、細々と続いているようなのでした。
200名無しさん :2014/02/02(日)09:50:25 ID:136uKQutU
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
LATER "ROSICRUCIANS"
後期の「薔薇十字団員たち」
--- ここまで ---

ここから、「カバラ」の章の中での新しい節になります。

サブタイトルは「後期の「薔薇十字団員たち」」です。

なお、以前に翻訳した目次の部分
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/uranai/1341180469/9/
で、このサブタイトルを「"薔薇十字"の後」と訳していましたが、上記の訳の方が
良さそうですので、これに修正しておきます。

さて、1614年の『友愛団の名声』の発行をきっかけとして、ドイツのプロテスタントの間で
大ヒットした「薔薇十字運動」でしたが、首謀者の一人であったアンドレーエ氏は、早々に
「薔薇十字運動」から撤退し、残りの活動家も、カトリックとの30年戦争(1618-1648)を経て、
歴史の表舞台からは、ほぼ完全に撤退していました。

その一方で、この本家「薔薇十字運動」の思想は、ドイツのプロテスタント以外に流出し、
その影響を受けた様々な人々が、その遺志を受け継いで、活動を続けています。

そして、「薔薇十字」を受け継いだことを自称する団体の一つが、1867年に設立された
「英国薔薇十字協会」であり、1888年に設立されたゴールデン・ドーンなのですが、
そこに至るまでの歴史の流れについて、ちょっとだけ、おさらいしておきましょう。
201名無しさん :2014/02/03(月)07:02:55 ID:1tXWqHC8P
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
Robert Fludd, as we have mentioned, was one of those who insisted on promulgating
the Renaissance idea of Hermes Trismegistus as ancient Egyptian adept (another was
the German Michael Maier).
ロバート・フラッド氏は、我々が言及したことがあるように、古代エジプトの達人としての
ヘルメス・トリスメギストスのルネサンス思想を普及させることを主張した人々のうちの
一人であった。(もう一人は、ドイツのミハエル・マイヤー氏であった。)
--- ここまで ---

ロバート・フラッド氏(Robert Fludd, 1574-1637)は、イギリスの医師であり、錬金術や
魔術に関する著書を数多く発行しています。
ミハエル・マイヤー氏(Michael Maier, 1568-1622)は、ドイツの医師であり、こちらも
錬金術に関する著書を数多く発行しています。
両者は親交があり、「薔薇十字運動」の熱烈な支持者でした。

フラッド氏については、後ほど書くことにして、まずはマイヤー氏の方から、簡単に説明
しておきます。

マイヤー氏は、ドイツ北部のホルシュタイン州レンツブルクの出身で、各地を回りながら
哲学と医学を学び、1596年、28歳で医学博士となり、医師として活躍しています。
また、医師のありがちなことというか、当時の先端医学界では、ほぼ常識となっていた
錬金術的医学も学び、こちらも熱心に勉強しています。
彼は他にも、散文詩や作曲なども熱心に勉強しており、芸術面においても、かなりの能力
を持っていました。
その後、1608年には、神聖ローマ帝国の首都であり、あのジョン・ディー氏も滞在していた
オカルト研究の中心地でもあったボヘミア王国のプラハに行き、1609年には、皇帝ルドルフ
2世の医学と錬金術の相談役にもなっています。
まあ、ルネサンス期の魔術師によくある、エリート中のエリートというパターンですよね。

マイヤー氏は、錬金術研究として、あの『友愛団の名声』が出版されたのと同じ1614年に、
「Arcana arcanissima/秘中の秘」という錬金術文書を出版しています。
そして『化学の結婚』が出版された翌年の1617年には、「Atalanta Fugiens/逃げるアタ
ランテ」という、ギリシャ神話の物語を元ネタとした、本文の他に、詩と銅版画(版画
制作は他の作者)と50曲のフーガ(遁走曲)を添付した、芸術的な著作を出版しています。

この時期(1611-1616)は、マイヤー氏は、イングランドでジェームズ1世の宮廷相談役として
活躍しており、フラッド氏とも親交を持っていました。
そのため、薔薇十字運動の本流には、直接の関わりは無かったと思われます。

ドイツに戻ったマイヤー氏は、アンドレーエ氏が去った後の薔薇十字運動に傾倒し、
いくつもの薔薇十字関連の書籍を発行しています。
しかし、彼の薔薇十字に関する活動は、30年戦争(1618-1648)において、プロテスタント側の
情勢の悪化により停止し、1622年には失意の中で亡くなってしまいました。
202名無しさん :2014/02/04(火)07:00:20 ID:Ej8W9sU+K
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 26) ---
Fludd significantly furthered the idea that an actual Rosicrucian brotherhood existed,
and seems to have believed it himself, though admitting that he had never actually
met a Rosicrucian. (*52)
フラッド氏は、実際の薔薇十字友愛団が存在したという考えを著しく促進し、そして彼自身が
それを信じていたように思われる。もっとも、彼は、実際には決して薔薇十字団員に出会った
ことは無かったことを認めてはいたが。(*52)
--- ここまで ---

ちなみに、(*52)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
52. Yates, Rosicrucian Enlightenment, 77.
52. イエイツ著、『薔薇十字の覚醒』、77ページ
--- ここまで ---
とあります。

さて、ロバート・フラッド氏(Robert Fludd, 1574-1637)ですが、こちらもマイヤー氏と
同じように、アンドレーエ氏のような薔薇十字の関係者との直接の関わりはありません。
フラッド氏は、イングランドの博学な魔術師であったジョン・ディー氏(John Dee, 1527-1608)
の後継者みたいな位置づけであり、「薔薇十字運動」の熱烈な支持者でもありました。

フラッド氏は、イングランド南東部ケント州ベアーステッドの出身で、父親はエリザベス一世
の時代の政府高官であり、幼い頃から高等教育を受けています。
その後、1598年(24歳)から6年間、ヨーロッパ本土で医学を始めとする様々な学問を学び、
1605年(31歳)に帰国してロンドンに定住しましたが、彼の妙なオカルト知識と、その好戦的な
性格が災いして、しばらく不遇でしたが、1609年(35歳)で医学系の大学に採用されています。
まあ、超一流のエリートではありましたが、問題児でもあったということですよね。

さて、フラッド氏は、医師としての活動のかたわら、錬金術や魔術に関する有名というか
物議を醸す著書を数多く発行し、当時の科学者たちと論争を繰り広げています。

「薔薇十字運動」を支援し宣伝する文書も、1617年以降に数多く発行しており、フラッド氏
自身も薔薇十字団員になるために、推薦人となる薔薇十字団員を熱心に捜し回っています。
彼は、それなりにオカルト系の学識が優れていて、この人は薔薇十字団員の可能性があると
思った人に対して、「もしあなたが薔薇十字団員であれば、私も仲間にしてくれないか」と
尋ね回ったみたいですが、「いやいや、私は薔薇十字団員なんかじゃないよ」という感じで、
次々と断られたということですよね。

当時でも、薔薇十字をこっそりと名乗る団体があったという可能性は無くはないのですが、
当時のイングランドはジェームズ1世の時代で、魔術などのオカルトは不遇の時代であり、
魔女狩りも続いていた物騒な時代でしたので、たとえ薔薇十字団員が実在していても、
軽々しく素姓を白状することは無かったと思うのでした。

まあ、ワタシだって、世間に秘密にしておきたいことは色々とありますからね。
203名無しさん :2014/02/05(水)06:55:38 ID:4rbqAWF/B
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
Fludd combined Hermeticism and Qabalism in the light of the Rosicrucian manifestoes
and the developments of John Dee.
フラッド氏は、薔薇十字の宣言書およびジョン・ディー氏の開発物の観点から、ヘルメス
主義とカバラ主義を組み合わせた。
--- ここまで ---

フラッド氏の著作家としての活動は、1617年から始まっています。
彼は、行動的で議論好きで博学でもあり、その著作の数も規模も相当なものです。
彼の思想の基本となっているのは、イタリア・ルネサンス期のマルシリオ・フィチーノ氏の
ヘルメス主義であり、そしてピーコ・デッラ・ミランドラ氏のキリスト教カバラでした。
そして、パラケルスス氏の錬金術やアグリッパ氏やディー氏の魔術論などを盛り込んだ
上に、薔薇十字運動も積極的に取り入れて、当時の学術界とは相容れない、独自の世界観を
構築しています。

さらに、マイヤー氏が1617年に出版した「Atalanta Fugiens/逃げるアタランテ」という、
錬金術をテーマとし、細密銅版画(版画制作は他者の作)をイラストとして満載した本を
発行していますが、フラッド氏もそれに倣うような感じで、1617年から1621年にかけて、
『Utriusque Cosmi Historia/両宇宙誌』という、ヘルメス主義的な独自の宇宙論をテーマ
とし、細密銅版画(版画制作は他者の作)をイラストとして満載した本を発行しています。
また、1626年のフラッド氏の『Philosophia Sacra et vere Christiana/神聖哲学と本当の
キリスト教徒』の挿絵には、原始的な「生命の木」も描かれています。

このマイヤー氏とフラッド氏の出版した本の挿絵は、芸術的にも思想的にも非常に素晴らしい
出来栄えであり、現代においても、色々なところで参照されています。

とはいえ、その本文の内容については、あまりにも独自な理論展開であり、近代的な科学思考
が徐々に発達してきていた当時の学術界においては、到底受け入れられるものではなかった
ようで、あちこちから反発を受け、論争となっています。
そして、そういう論争を通じて、また新たな理論が発見され構築されていくということに
なるわけでした。
204名無しさん :2014/02/06(木)06:53:21 ID:Y0QENfEez
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
He is therefore, one of the major precursers of Mathers and the modern Hermetic Qabalah.
したがって彼は、マサース氏と現代のヘルメス主義的カバラの重要な先駆者のうちの一人である。
--- ここまで ---

魔術などのオカルト研究は、プロテスタント派の英国国教会が支配的なイングランドに
おいては、カトリックの勢力の強い大陸とは少々違った、個性的な進化をしています。
12世紀頃から書かれて親しまれている「アーサー王伝説」に出てくる魔術師「マーリン」
の物語なども人気で、一般民衆にはオカルトに対する憧れみたいなものもあったと思います。

イングランドにおけるルネサンス魔術、つまりヘルメス主義とキリスト教カバラの本格的な
研究は、ジョン・ディー氏(John Dee, 1527-1608)に始まり、ロバート・フラッド氏(Robert
Fludd, 1574-1637)が、それを受け継ぐような形となっています。
そして、このフラッド氏の後継者としては、後の万有引力の発見で有名な自然哲学者の
アイザック・ニュートン氏(Sir Isaac Newton, 1642-1727)になりそうな感じですね。

さて、オカルト人気の一方で、アイザック・カゾボン氏(Isaac Casaubon, 1559-1614)は、
1614年に、『ヘルメス文書』は、古代エジプト起源ではなく、ヘルメス・トリスメギストス
によって書かれたものでもなく、紀元200年から300年の間に、初期のキリスト教の関係者に
よって書かれたものであることを暴露しました。
そして、その息子であるメリック・カゾボン氏(Meric Casaubon, 1599-1671)は、1659年に
ジョン・ディー氏とエドワード・ケリー氏の行っていた、「いかがわしい魔術的行動」に
ついて暴露しています。
まあ、それ以外にも、魔女狩りが横行する世相であったということもあって、オカルト的な
魔術の研究は、しばらくは歴史の表舞台から地下へと潜ることになるわけです。

そして、そのオカルト研究の地下潜伏活動は、19世紀末になって、ゴールデン・ドーンの
儀式魔術体系として、華麗に地上へと復活してきたということなのでした。
205名無しさん :2014/02/07(金)06:51:23 ID:NeA15Qufj
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
HERMETIC-QABALISTIC DECEPTIONS
ヘルメス主義的カバラ主義の欺瞞
--- ここまで ---

ここから、「カバラ」の章の中での新しい節になります。

サブタイトルは「ヘルメス主義的カバラ主義の欺瞞」です。
まあ、とどめを刺すようなタイトルではありますが、それでも「真実」から目を背けて
しまっていては、きちんとした勉強は出来ないですからね。

数多くの「嘘」にまみれたオカルトの世界ではありますが、そういうのって、実はごく
普通の「人間社会」にも、よくあるものだったりします。
そして、実社会における「嘘」の数々を見抜いて生きていくためにも、こういう知識や
態度は必要だと思うのでした。

ところで、なぜ人は「嘘」をつくのでしょうか?
それは、人が人として生きていくためには必要なことだからです。
もちろん、人が人として生きていくことを拒否し、山に籠もって仙人になってしまえば、
人はウソをつく必要は無くなります。
でも、そうでなければ、人は毎日ウソをつきながら暮らしているわけです。

え、「私はウソなんかついてないって?」
そういう人は、周囲からウソツキと呼ばれてもしょうがないですよね…。
世の中には、「私の言っていることは真実です。私のことを信じてください。」などと
わざわざ言っている人って、怪しい人が多いですからね〜。

え、おまいは何が言いたいのかって?
ウソと上手に付き合っていくことが、人が人として生きていく上では大事なことだよ、
ということですよ。

え、じゃあ、おまいはウソツキなのかって?
そりゃあ毎日のように、ウソついてますが、それが何か?
206名無しさん :2014/02/08(土)08:01:05 ID:qoOV6bpbC
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
The question of purposeful deception about the origins of many esoteric manuscripts
is a serious and difficult one, usually judiciously avoided by writers on the occult
who wish to cast their beliefs in the most positive light.
数多くの秘伝的な原稿の起源に関する意図的な欺瞞の問題は、重大で難しいものであり、
最も肯定的な見方で、それらの信念を投げかけることを望むオカルト関係の作家により、
通常は賢明に回避されていた。
--- ここまで ---

つまり、この本みたいなオカルト本においては、そういう「出自に関する真贋」のような
微妙な点については、触れないことが「お約束」だったのですが、この本の著者である
ウォン氏は、この微妙な問題に対して、正面から向き合っていこうということですよね。

この手の微妙な問題は、オカルト関連の本に限らず、ありとあらゆる出版物にも言えること
ですし、そしてこういう類の偽装問題というのは、出版だけの問題でもなく、ほぼありと
あらゆる業界に付きものの、きわめて根の深い問題なんですよね。
普通の人間って、自らの欠点を晒す「正直者」よりも、自らの欠点を隠して偉そうにする
「詐欺師」の方を信用するものなんです。
つまり、世間から注目され、売れる本やモノや番組やメニューを作ろううとするのであれば、
「売れないリアルな要素」を削除し、「売れるバーチャルな要素」を付け足すといった、
「編集作業」と呼ばれるフォトショップ的な美化加工を施す必要があるわけです。
これにより、ゴミとして捨てられていた中身がカスカスのクズ肉であっても、高級ステーキと
して一流ホテルで高値で売ることが出来るようになるわけですからね。
まあ、活字になった「本」や「新聞」の情報だから、テレビやラジオの情報だから、有名な
ホテルのメニューだから、ということだけで、疑いもなく信じてしまう人も世の中には多い
ということですからね。

そういう点では、ネットの掲示板に書かれているものは、世間の信用度は高くありません。
でも、「売れない要素」を削除しなくても、「売れる要素」を付け足さなくても、ナマの
ままの文章であっても、そのままネットにアップして、人目に晒すことが可能となっている
わけですので、それらは玉石混交の原石状態というだけであって、決して価値そのものが
低いというわけではありません。

ただし、一般の人にとっては、「ネット情報」の価値というか信頼感は、「印刷情報」
よりも低いのは確かです。
でも、そういった「情報の真の価値」というのは、本当に中身を理解できる人にしか、
実際には分からないことなんですよね。
そして、ほとんどの人は、中身の価値ではなく、うわべの情報に惑わされているだけ
なんですよね。

まあ、ネットであっても、ある程度の注目を浴びることは、書き手のテンションを保つ上では
ある程度は必要なことなのですが、売り上げを上げる必要が全く無いという点においては、
ネットへの文章アップというのは、とても気楽だったりするのでした。
207名無しさん :2014/02/09(日)21:06:30 ID:wmEXTI2kO
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
But the tally of literature for which antiquity is falsely claimed is so great
that the very consistency of such claims becomes intriguing:
しかし、古さを偽って主張される文学作品の勘定は非常に大きいので、そのような主張の
全くの一貫性は、以下に示すように好奇心をそそるものとなる:
--- ここまで ---

少し回りくどい表現ですが、「出生を偽装し、古代の産物であるとされている神秘書という
名のフィクション作品は大量にあり、その「古さ」をネタとする偽装方針は、ほぼ一貫して
いるので、なぜ出生を偽装するのが普通なのかという方に興味がある」ということです。
まあ、神秘書の出生欄にはウソを書くのが普通であり、正直に申告する方が異常であるとも
言えるわけです。
そして、そんなところに興味を抱くウォン氏も、ちょっと変わり者なのでした。

そもそも、神秘関連の書は、文学作品であって、基本的には「この物語はフィクションであり、
実在の人物・団体とは一切関係ありません」の世界なのです。
それを、あたかもノンフィクションの話であるかのように偽装する手口の一つとして、
出生の「古さ」を利用するのも、よくあることですよね。

そして、ここでは、そのような「古さ」を利用する理由について、ちょっとだけ検討してみようと
いうことです。

まあ、ウォン氏って、物好きな人なんですよね。(苦笑)
208名無しさん :2014/02/10(月)06:48:54 ID:ZJNrvclFP
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
The Hermetica, written by a Greek and widely dated (third century to the Renaissance)
by scholars, but believed to be the original documents of ancient Egyptian religion.
『ヘルメス文書』は、ギリシア語で、そして学者たちによって広い年代に(3世紀から
ルネサンス期にかけて)書かれたものであるが、しかしながら古代エジプトの宗教の原本で
あると信じられた。
--- ここまで ---

以前に述べたように、この『The Hermetica/ヘルメス文書』は、イタリア・ルネサンス期の
メディチ家のコジモ氏によって1460年にギリシア語版が入手され、1463年にマルシリオ・
フィチーノ氏によってらラテン語に翻訳されて広く知られるようになった書物です。
そしてそれは、『旧約聖書』を書いたモーセと同時代、もしくはそれ以前の、古代エジプトの
ファラオが君臨していた時代のヘルメス・トリスメギストス氏という、ものすごく偉い人に
より書かれた、もしくはそれをネタにしたものであると信じられていました。

もちろん、そんなはずはなく、後の1614年になって、アイザック・カゾボン氏の文書研究に
よって、それは伝説にすぎず、実際には、3世紀以降の、名も無き神秘主義作家たちにより
書かれたものであることが暴露されました。

まあ、作者も年代も偽装されていたということですよね。
209名無しさん :2014/02/11(火)08:25:59 ID:ZpO4ADV7S
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
The Zohar, purported to be the work of a rabbi in the early Christian period,
yet actually by a thirteenth century writer whose claim of antiquity for it gave
the books greater importance.
『ゾーハル』は、初期のキリスト教時代のラビの著作であることを主張しているが、
けれども実際は、より大きな重要性を書物に与えることを目的として古さを主張する、
13世紀の作家による。
--- ここまで ---

以前に述べたように、この『The Zohar/ゾーハル(光輝の書)』は、1280年から1286年に
かけて、スペインのラビである、モーセス・デ・レオン氏(Moses de Leon, 1250-1305)が
書いた、カバラをネタとした著作集を、後の世代の人々が編纂して、『ゾーハル』という
タイトルの書籍にまとめたものです。

ラビの仕事は基本的にはポランティア活動でしたので、著者のレオン氏は、本業として、
写本(手書きコピー本)の製造販売の仕事をしていました。
彼は、自分でも本をいくつか書いて販売していましたが、写本屋のオヤジの無名作家の
書いた作品なんて、ほとんど誰も見向きもしないわけです。
しょうがないので、彼は、生活のために、前記の『ヘルメス文書』と同じような手口で、
神秘主義をネタとしたファンタジー文学作品を書き、それが大ヒットしたということです。

生前、彼は、身近の者に対して、本を売るため、つまり有名になりたいのと金を得たい
ために、作者を偽装したことを告白しています。
まあ、ウソをつくことは決して良いことではありませんが、残念ながら、こういった
「金のため」というのは、世間では、ごくごく普通にあることなんですよね。
言ってみれば、騙される方が悪いみたいなものです。
日本人はバカ正直な人も多いですので「騙す方が悪い」と考える人も多いかと思いますが、
はっきり言って、そういう人は単なる「オバカ」です。

バカ正直な人は、自分で物事の真贋を考えずに、ただ相手のうわべだけを信用します。
結果として、騙されます。
騙されたくなければ、自分で物事の真贋を見抜くため、そして相手のうわべを見抜くために、
しっかりと勉強して、物の価値を判断し納得しておかなければなりません。
まあ、この日本においては、オカルト好きの人々って、単にオカルト業界に騙されている
だけであって、大事な部分が全く見えていない人が多いということなんですよね。

ちなみに、前回の『ヘルメス文書』の「ヘルメス・トリスメギストス氏」という主人公は、
『旧約聖書』の重要な神秘文書である「モーセ五書」を書いた「モーセ氏」と対比される
ことで、その物語の価値を高めていました。(そのモーセ氏も、『旧約聖書』と呼ばれ
ているファンタジー文学作品の登場人物の一人ですが…)

今回の『ゾーハル』では、実在の2世紀のラビである「シメオン・ベン・ヨハイ氏」と、その
仲間たちが主人公であり、そしてこれは『新約聖書』の「イエス・キリストと十二使途」と
対比されることで、その物語の価値を高めていました。(イエス・キリストと十二使途も、
『新約聖書』と呼ばれているファンタジー文学作品の登場人物ですが…)

ファンタジー文学作品には、そのネタ元となるものが、大体は存在しているものなのです。
210名無しさん :2014/02/12(水)06:53:32 ID:GQ9YY33GA
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
The Rosicrucian Manifestoes, an invention of Johann Valentine Andrae and others.
Neither a Christian Rosencreutz nor the mysterious Rosicrucians ever existed.
『薔薇十字の宣言書』は、ヨハン・ヴァレンティン・アンドレーエ氏とその他の人々に
よる発明品。クリスチャン・ローゼンクロイツ氏も、神秘的な薔薇十字団員も、いまだ
かつて存在していなかった。
--- ここまで ---

『The Rosicrucian Manifestoes/薔薇十字の宣言書』とは、薔薇十字基本文書である
・『友愛団の名声』(1614年)
・『薔薇十字団の告白』(1615年)
・『化学の結婚』(1616年)
の三部を指しています。

以前にも述べたように、この「薔薇十字団」は、ルター派プロテスタントの宣伝活動と
いうか、プロテスタントの神学生たちによって、お遊び的にネタとして作られた架空の団体
であり、その薔薇十字団の物語に登場する「クリスチャン・ローゼンクロイツ氏」は、
イエス・キリストとマルティン・ルター氏(Martin Luther, 1483-1546)を元ネタとして
創作されたスーパースターの主人公として描かれています。
もちろん、「薔薇十字団」も「クリスチャン・ローゼンクロイツ氏」も、フィクションの
世界の存在ですので、二次元の嫁と同じく、現実には存在しません。

ただし、こういう「物語」を物語として普通に楽しめない人も多々いるわけです。
最もやっかいなのは、こういうオトナの遊び心に対して、様々な理由でネガキャンの
ような「アンチ工作活動」を仕掛けてくる偽善者団体なんですよね。
そして、その「アンチ工作活動」のために、結果的に、様々な文化的、芸術的、創造的、
そして先進科学の分野でも、成長が阻害されたり破壊されたりして、将来的な社会的損失が
出てしまうことも多々あるわけで、そういうことは今でも良くあることだったりします。
ネガティブな心は、どうしても抑圧や暴力や破壊に繋がりやすいですからね。

ちなみに、このルネサンス後期にあたる薔薇十字騒動の時代までは、魔術と科学の境界は
無く、両者が一体となって成長し、急速に進化していた、古き良き時代だったのです。
歴史に「もしも」は禁句なのですが、もしも30年戦争(1618-1648)でプロテスタント側が
カトリックに勝利し、啓蒙主義的な薔薇十字運動が理不尽な弾圧を受けなければ、世の中は
もっと早く進化していたのではないかと思うのでした。

まあ、人間って、色々な人がいますからね。
前に進もうとする人もいれば、足を引っ張る人もいる。
右に行こうとする人もいれば、左に行こうとする人もいる。
立ち止まろうとすると、手を引っ張ってくれる人もいる。
ポジティブな考えをする人もいれば、ネガティブな考えをする人もいる。
もちろん、みなそれぞれに、その人なりの理由があるわけですけどね。

ちなみに、神秘の世界に、ネガティブな心で立ち入ることは、とても危険です。
このことは、昔から何度も言われてきていることなのですが、今でも多くの人が、
心の迷いを持ったまま、何がしかの期待を持って、この世界に立ち入って来ます。
そして、そのほぼ全員が、宗教を含むオカルト業界の餌食となるわけです。
これはまあ、人間の性みたいなもので、どうしようもないことなんですけどね…。
211名無しさん :2014/02/13(木)06:40:45 ID:GX5sAvmlI
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
The "Ancient Cypher Manuscripts" of the Golden Dawn, a fragmentary system of
supposedly ancient rituals, but an unquestionable forgery. (*53)
「ゴールデン・ドーン」の『古代の暗号文書』は、古代の儀式の断片的な体系であると
言われているが、しかし、疑いようもない偽造品である。(*53)
--- ここまで ---

ちなみに、(*53)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
53. See note 12.
53. 注記の12項を参照。
--- ここまで ---
とあります。

以前にも述べたように、ゴールデン・ドーンの「暗号文書」は、ウェストコット氏自身か、
もしくはウェストコット氏の関係者による捏造品であることは、ほぼ間違いないとされて
います。
そして、ウェストコット氏は、その「暗号文書」を1887年に入手して解読したことにして、
その文書に書かれていたドイツの薔薇十字直系魔術団のアンナ・シュプレンゲル女史と文通
したことにして、さらに大量の「シュプレンゲル書簡」なる偽造文書を作成しています。
ウェストコット氏って、結構な筆まめなんですよね。

まあ要するに、ウェストコット氏は、従来のオカルト系ファンタジー作家と同じレベルの、
ファンタジー系文学作家であったいうことです。
なお、マサース氏の方は、これらの捏造文書が本物であることを信じていたようですので、
彼の場合は、現実と妄想の区別が付きにくい人に多いスピリチュアル系に近い作家では
ないかと思うのでした。

ちなみに、ウェイト氏の方は、神秘学研究者出身でしたので、ゴールデン・ドーンの基本が
ファンタジー系であることは、ある程度理解した上で、付き合っていたようです。
でも、結果的に、ファンタジー系の人々やスピリチュアル系の人々とは折り合いが付かず、
研究者目線の独自路線を歩むようになったということですよね。

ちなみにワタシ自身は、ファンタジー系とスピリチュアル系の中間くらいに位置しています
ので、ワタシの書く文章は、普通の人には、かなりわかりにくいという評判です。
ファンタジー系はネタが濃すぎるし、スピリチュアル系の話は普通の人には通じないので、
ファンタジー系のネタをネタとして、スピリチュアル系の象徴表現を象徴表現として
理解してもらえないのが悩みではありますが、ここではそんなことは全く気にせずに、
読者置き去りで、一人で我が道を強引に行くのでした。

まあ強引すぎて、周囲からは完全に変態扱いされていますが、それが何か(苦笑)
212名無しさん :2014/02/14(金)06:51:08 ID:JL7STYrpr
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
To this list one might certainly add some of Blavatsky's work including the infamous
Mahatma Letters and perhaps the Stanzas of Dyzan on which she based her massive
work, The Secret Doctrine.
このリストに、人は間違いなく、ブラヴァツキー夫人の作品のうち、不名誉な『マハートマー
書簡』、そしておそらく、彼女の大規模な著作である『秘密教義』の基礎となった『ジャーン
の詩集』を含む、いくつかのものを加えるだろう。
--- ここまで ---

ブラヴァツキー夫人(Helena Petrovna Blavatsky, 1831-1891)は、ウクライナ出身の神秘家で、
世界各地を転々としながら、1873年(42歳)にはアメリカに移住し、1875年(44歳)になって
ニューヨークにおいて神智学協会を設立したことで有名な神秘家です。
彼女は、1884年(53歳)にロンドンに移住して、ウェストコット氏と会っており、付き合いの
いいウェストコット氏はすぐに神智学協会に入会していますので、この神智学の(ちょっと
アレな)思想体系は、1888年に設立されたゴールデン・ドーンの思想にも、ある程度の影響
を与えています。
というか、頭の良いウェストコット氏は、ブラヴァツキー夫人の手口を真似たようなところも
あるわけなんですよね。

さて、ブラヴァツキー夫人の『Mahatma Letters/マハートマー書簡』なるものですが、
彼女は1875年にニューヨークで神智学協会を設立した後、1880年(49歳)になって、インドに
移住してインドの神秘思想を学んでおり、その中で「生み出された」もののようです。
まあ、「生み出された」というか、彼女が言うには「天から降ってきた」ものですかね。
ちなみに「Mahatma/マハートマー」というのは尊称であり、インド独立の父と呼ばれる
マハトマ・ガンディー氏(Mahatma Gandhi, Mohandas Karamchand Gandhi, 1869-1948)に
与えられている尊称として、日本でも良く知られていますよね。
で、その「とても偉い人であり、一般人の目には見えない人から、普通ではありえない
方法でもらった、とてもありがたい聖典の数々」が、この『マハートマー書簡』であると
いうことなわけです。
まあ、どう考えてもおかしなことであり、1884年には、科学的に心霊現象研究する目的で
設立されていた心霊現象研究協会(The Society for Psychical Research)に所属する
リチャード・ホジソン氏がわざわざインドに出向いて詳細に調査し、ブラヴァツキー夫人は
詐欺師であると結論づけた『ホジソン・レポート』を、1885年に公表しています。
でも、ブラヴァツキー夫人も世間での評判も、「だから何?」って感じだったわけです。
まあ、アレなオバサンのスカートの中を覗いて、一体何が面白いのか、ということですよね。

そして、『Stanzas of Dyzan/ジャーンの詩集』ですが、これは一般的には『The book of
Dyzan/ジャーンの書』と呼ばれているものです。
これは、ブラヴァツキー夫人によると、チベット原産の世界最古の聖なる書物であり、真に
覚醒した賢者だけが読める超難解な超古代言語で書かれている、などと意味不明なことを
述べており、そしてこのことが、1888年に発行された彼女の著書である『The Secret Doctrine
/秘密教義』の中で、色々と引き合いに出されているということです。

まあ、ワタシにとっては、すこぶるどうでもいいことなわけですが、こういう得体の知れない
ものが、堂々と世の中というかオカルト業界というかスピリチュアル業界で普通に認知されて
いるということが、ワタシには全く理解しがたいものであって、近づき難いというか近寄り
たくないものであることも確かなのでした。
213名無しさん :2014/02/15(土)08:58:51 ID:NKRqsXnXS
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
In all such cases of fakery, deception, or whatever it may be called, we find authors
under pressure of the public's essential belief that the more traditional a work,
the more valid it is.
いかさま、欺瞞、あるいはそれが何と呼ばれようとも、全てのそのような場合には、私たちは、
それがより正当性のあると認められる、より伝統的な作品であるという、一般大衆の非常に
重要な信用の圧力をかけられた著者たちを見つけ出す。
--- ここまで ---

まあ、良くある詐欺師の手口であり、よくある言い訳ですよね。
一般人である相手を信用させるために偽装すること自体は、明らかに犯罪行為なのですが、
結局のところ、ほとんどの人は、本の内容ではなく、著者が有名人であるかどうかだけで、
本の価値を判断して購入してしまっているということなのです。
そして、有名ブランドを偽装したり、産地を偽装したり、とにかく色々な手口で、人は人を
信用させるために「ウソ」をつくわけです。
とはいえ、「虎の威を借る狐」とか「盗人にも三分の理」とか「嘘も方便」とかいう、
有り難いお言葉もありますし、「ウソ」自体を全面的に否定する必要も無いわけです。

そういう意味から言えば、ワタシがわざわざ、この『The QABALISTIC TAROT』を引用して
翻訳して、さらに勝手な解釈を書き散らしているのも、ほぼ同じような理由なわけです。
ワタシがいくら独自の文章を書いても、おそらくほとんどの人は無視してしまうでしょう。
でも、ウォン氏の有名な本の翻訳と解説ということであれば、一度目を通してみようかな、
と考える物好きな人もいるかもしれないわけですからね。

ちなみに、出版業界では、こういった著者偽装に近いことは、ごく普通に行われています。
ゴーストライターの存在もそうなのですが、その本の内容についてほとんど何の知識も無い
「その筋の著名人」が、簡単で適当な紹介文みたいなものを書いて「監修者」という名目で、
まるで著者みたいな顔をして、大々的に本やモノの宣伝をするという手口ですよね。
あと、新人作家は、有名雑誌に掲載してもらって、「あの有名雑誌に掲載された人」とか、
○○賞とかを出してもらって、「あの有名な新人賞を取った人」とかいう形で、何がしかの
権威みたいなものを付けて売り出そうとする手口もありますよね。
出版業界も厳しいので、ほとんど詐欺に近いような、あの手この手で宣伝しているのでした。

まあ、出版業界においては、本の内容よりも「著者名」の方が、商売のためには大事である
ことは確かなので、偽装うんぬんとか、そういった細かいガキっぽいことを言っていては、
こういうオトナな業界とは、まともには付き合えないということですよ。

それはともかくとして、カバラを勉強している我々にとっては、そういう「著者名らしき
もの」ではなく、「本当は誰がいつ何のために書いたのか」という正しい情報が必要です。

そして、このウォン氏の本を読んでいる我々は、前述の『ヘルメス文書』も『ゾーハル』も
『薔薇十字の宣言書』も『ゴールデン・ドーンの古代の暗号文書』も、誰がいつ何のために
書いたのかという正しい知識を、既に持っているわけです。
我々が、カバラをきちんと勉強していくには、それで充分ではないかと思うのでした。

間違っているのなら正せばよい、ただそれだけのことなのですからね。

でもまあ、ただそれだけのことさえ出来ない人の方が、世の中には多いわけですけどね。
214名無しさん :2014/02/16(日)20:05:23 ID:qJTvtJsCY
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
On the other hand, every one of those works which we have listed here as having
fraudulent origins claimed for it, stands on its own as enlightened.
その一方で、詐欺的な起源を持っていることを主張されているとして、私たちがここに
リストしているそれらの著作のどれもこれもが、啓蒙されたものとして、それ自身で
立っている。
--- ここまで ---

これらの作品は、世間の注目を集めるために、著者名や書かれた年代についての偽装が
行われているのは間違いないのですが、とりあえず、そういった不名誉な点は脇に置いて
おくとすれば、それらの書物の内容については、啓蒙主義的な文学作品として見るので
あれば、それなりに価値のあることが書かれているということですよね。

ただ、気をつけてほしいのは、一般人にとっては、これらの書物は基本的にファンタジー
文学作品であって、骨董的な価値はともかくとして、一般の人々にとっては、その内容の
多くは大した利用価値のあるものではないということです。
基本的には、フィクションであるということと、神秘学特有の身内ネタが満載であって、
それらを解読して著者の意図と内容を理解し、さらに自身の役に立つように応用すると
いうのは、普通の人には相当に困難な作業であると言わざるを得ません。
つまり、自身を高めたいのであれば、このような難解なオカルト本よりも、初心者向けの
自己啓発本を読む方が、はるかに利用価値は高いということなのですよね。

実を言うと、ワタシ自身も、こういうオカルト系の勉強をして、どこまで実際に役に立って
いるのかと言われると、ちょっと返答に窮することもあるわけです。
具体的に、どういったことで役に立ったとは、簡単には答えられないですからね。
まあ、無理やり答えると、「将来的に何かの役に立つことがあるかもしれないよね」
という感じの答えになるとは思うのですが、実際のところは、よくわかんないのです。

でも、カバラについては、何かの役に立ちそうだという直感というか確信めいたものが
あるからこそ、こうして手間ヒマかけて、勉強しているわけなのでした。
215名無しさん :2014/02/17(月)06:39:58 ID:6ymMkhuKH
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
These are the inspired works of men and women who have known.
これらは、「知った」ことのある男性たちおよび女性たちの、霊感に触発された素晴らしい
作品たちである。
--- ここまで ---

これらの作品を実際に書いた人々、そしてそれらが書かれた背景をきっちり探っていくと、
単なる一般大衆向けのファンタジー娯楽作品とはちょっと違う要素が入っていることに、
何となく気がつく人もいるかと思います。

多くの「知らない」人々は、その擬餌針みたいな「うわべの姿」の方に興味を示し、その
中身が何かを知ることもなく釣り上げられていくわけですが、ある程度の事情を「知った」
者であれば、そのような罠にかかることもなく、隠された本当の中身を探り当てることが
出来るということですよね。

とはいえ、それらの中身は、今となっては、かなり古くさい情報となってしまっていて、
よほどの物好き、あるいは考古学者でない限り、そのような化石情報を漁って勉強する
よりも、もっと新しくて洗練された情報を参照する方が、効率としては良いわけです。

まあ、そんな感じで、ワタシがたどり着いたのが、この『The QABALISTIC TAROT』と
いう、過去から現在の集大成みたいな本であったということなんですよね。

それにしても、なんで日本のオカルト出版業界は、『The QABALISTIC TAROT』のような
基本的で重要な文書を翻訳出版せず、意図的に放置してるんでしょうね。
そして、ワタシから見れば、全く役に立たないクロウリー系の本が、なぜか優先的に
翻訳されて出版されているのを見ていると、何がしかの意図を感じてしまうのでした。
まあ、クロウリー系のネタは、一般大衆向けとして売れ筋であることは確かなのですが、
日本のオカルト界にとっては、そういうのは間違った方向だと思うんですけど、結局の
ところ、日本のオカルト界っては、間違った人しかいないということなんですかね。
まあ、神秘学の裾野の広い西洋とは違って、日本ではそういう西洋オカルト系の学問の
歴史は浅いですし、認知度自体もいまだに低いままですからね。
タロットだって、単なるカード占い遊びの道具としてしか見ていない人ばかりですし。

とまあ、ここで現状をグチってもしょうがないので、一人黙々と、自分の信じた道を
のんびりと進んでいくのでした。

ちなみに、なぜオカルトの道は、のんびりと歩んでいかなければならないのか。

それは、急いで走ったりすると、人の道を踏み外して、未知なる崖から落っこちてしまう
からなのです。
そして、そうならないように、一歩ずつ足元を確かめながら確実に歩んでいくというのが、
オカルトを勉強していく上での基本なのでした。
つまり、オカルトも学問の一つですので、「学問に王道なし」ということなんですよね。
216名無しさん :2014/02/18(火)06:41:59 ID:TH67KoRQZ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
Manifestations of the psychology involved occurs repeatedly in all aspects of the
study of the Mysteries, even with Paul Foster Case.
心理学に関係する症状の発現が、ポール・フォスター・ケース氏の場合でさえも、神秘的
教義に関する研究のすべての面において、繰り返し生じている。
--- ここまで ---

ポール・フォスター・ケース氏(Paul Foster Case, 1884-1954)は、ゴールデン・ドーンの
魔術思想を受け継いだ魔術団体のB.O.T.A.を設立した、近代魔術界の大御所です。

この人も、元々から神秘体質であったようで、色々なものが見えたり聞こえたりするような、
そっち系の人に近い感じの人です。
まあ、魔術に限らず、神秘系にハマっている人の場合は、多かれ少なかれ、そういう体質で
あるのは確かだと思いますが、そういう特異体質というか遺伝子の突然変異的な体質変化は、
どちらかと言うと、悪い面が出てきて人生に失敗する場合も多いのですが、このケース氏の
場合は、良い面が出て成功したタイプではないかと思います。
でも、そういう良心的で信頼できる人でさえ、怪しげなことを平気で言い出すというのが、
この特異体質における臨床心理学的な特徴でもあるわけです。

ちなみに、そういう特異体質というのは、芸術面においても学術面においても、先進的とか
創造的な仕事をするには、それなりに利用価値のある便利なものなのですが、変異レベルの
高い人の場合は、どうしても論理的な飛躍が大きくなって「天才となんとかは紙一重」に
なってしまうので、一般の人が理解可能なレベルにまで落とし込んでくるという下向きの
作業を行うための理解あるパートナーが重要だったりするわけですよね。
とはいえ、そういうパートナーというのは、なかなか見つけることは難しいわけです。

ちなみに、その重要なパートナーが詐欺師であったというのも、よくある話です。
もしも、イングランドの天才魔術師ジョン・ディー氏のパートナーが詐欺師でなければ、
世界の歴史は今とは違うものに変わっていたのかもしれないですよね。
217名無しさん :2014/02/19(水)07:02:25 ID:zhaMdIA3F
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
When the Book of Tokens appeared in 1934, Case prefaced it saying: "We do not know
the name of the author. Internal evidence in the text suggests that he may have
been one of the later Qabalists. Perhaps he knew the Tarot, perhaps not." (*54)
『しるしの本』が1934年に出版された時、ケース氏はその冒頭で以下のように述べた:
「私たちは、著者の名前を知らない。本文中の内部的な証拠は、彼がより最近のカバラ主義者
たちの中の1人であったかもしれないことを示唆している。彼はタロットカード知っていたかも
しれないし、知らなかったかもしれない。」(*54)
--- ここまで ---

ちなみに、(*54)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
54. Paul Foster Case, The Book of Tokens, California, 1947, vii.
54. ポール・フォスター・ケース著、『しるしの本』、カリフォルニア、1947年発行、viiページ。
--- ここまで ---
とあります。

ケース氏が、この『しるしの本』を書いた経緯について、簡単に書いておきます。

ポール・フォスター・ケース氏(Paul Foster Case, 1884-1954)は、アメリカに生まれ、
父親は図書館員でキリスト教プロテスタント系の会衆派教会(Congregational Church)の
助祭も同時に勤めており、そして母親は音楽家でした。
子供の頃は、母親の影響で、音楽関係の勉強をしていましたが、元々神秘体質であったのと、
父親の仕事の影響を受けて、オカルト関係にも興味を持ち、ヨガやタロットや神秘主義に
ついて色々と勉強し、以前に言及したように、スピリチュアル系の「Kybalion/キバリオン」
(1908年発行)の中で匿名の著者として文章を書いたりしていました。
1918年に、雑誌の編集者であり、トート・ヘルメスの幹部であったマイケル・ジェームズ・
ウィッティ氏(Michael James Whitty, -1920)に出会い、親友となりました。
そして彼は、ゴールデン・ドーン末裔の「A∴O∴」のアメリカ支部であるトート・ヘルメスに
本格的に参入し、すぐに内陣へと昇格しており、本家のロンドンや、パリのミナちゃんとも
親交を持つようになりました。
ただし、色々と意見の相違もあって、1922年には独立して独自の魔術団体を立ち上げ、
それが後のB.O.T.A.となっていきます。

さて、この『しるしの本』は、1919年から1920年にかけて、ウィッティ氏とのコラボにより
生まれたもののようです。
執筆テクニックとしては、マサース氏やミナちゃんがよく使っていた「秘密の首領」からの
天の声を聞くというヤツですよね。
つまり、ケース氏も、そっち系の人であったということです。
そして、ケース氏の場合は、ゴールデン・ドーン系の「秘密の首領」ではなくて、
「Master R/師匠R(究極超人Rでもよい)」と呼ばれる人物がバックにいて、その人物が
『しるしの本』の本文を書いたということを、彼は言っているわけです。

まあ、不思議な話ではありますが、これは彼の本心であって、彼自身はウソをついて
いるという自覚は無いと思います。
でも、ハタから見れば、彼はおかしなことを言う人に見えるということなのですよね。
218名無しさん :2014/02/20(木)06:43:36 ID:wgC2phUWc
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
Today, Case's organization publishes the Book of Tokens as Case's own work, responding
to inquiries about the discrepency in attribution of authorship that Case was a
very modest man.
今日、ケース氏の団体は、原作者の帰属の矛盾についての問い合わせに対しては、ケース氏が
非常に控え目な人間であったと返答して、ケース氏自身の著作として『しるしの本』を
出版している。
--- ここまで ---

ここで、「discrepency」とあるのは、おそらく「discrepancy/矛盾」のスペルミスです。

それにしても、この手の本で、一体誰が書いたのかという「中の人問題」は、宗教や神秘主義
などの怪しげな精神世界の本については、実に悩ましい問題なのです。
特に、ケース氏のように、割と真面目で信仰心も厚い人の場合は、ちょっと難しい問題です。
要するに、「書いたのは私ではあるが、中身は私のものではない」という、人格的存在の
不確定性原理とも言えるものなんですよね。

まあ、平たく言ってしまえば、「トランス状態」というか「憑依状態」というか「二重人格
状態」というか、そういう奇妙な「別キャラ」が心と体を乗っ取るという感じのものであり、
結局のところ、「あの時私が喋っていたのは、自分の思いや考えを述べたものではない」
とか「あれは私がやったことではない」とか「自分でも何を言っているのかわからなかった」
とか「記憶にございません」とかいう責任逃れみたいなシチュエーションでは、割とよく
使われる言い訳みたいなものなのですが、こういう創作活動においては、割とポジティブな
働きをすることも、よくあるわけなのです。
例えば、作家などの創作活動をしている人には、たまにある現象なのですよね。
・登場人物が創作物の中で勝手に動き、喋り、気がついた時には原稿が仕上がっていた
・天使が舞い降りてきて、私の手を支配して、勝手に原稿を書いていった
・夜になって、小人さんが出てきて、いつのまにか原稿を書いていった
まあ、ほとんどの人は、作家のような創作活動をしていませんので、こんな奇妙な現象を
経験することは、まずないとは思いますが、何がしかの作家活動をしている人であれば、
多かれ少なかれ、こういう不思議なことを経験したことがあるのではないかと思います。

ワタシなんかは、モロに電波系ですし、占いが専門ですので、たとえその話題が自分の
守備範囲外のことであっても、未知の人や世界の話であっても、不確定原理を発動して
短時間だけ別人格を起動し、怪しい電波を受信することで、さも見たことのある、聞いた
ことのある、そして経験したことのあるように、話をすることも出来るわけです。

つまり、この手の「作者偽装」とか「匿名扱いの責任逃れ」というのは、相手を騙すことが
目的ではなく、正直に言った結果が、「自分であって自分でない」ということなのですよね。
残念ながら、現在の法律では、そういう「存在しない人格が、存在する人間に命じて本を
書く」ということは想定外であり、そういう別人格が著作権を持ち、書いた人間が著作権を
譲渡したりすることは認められていません。
結果的に、『しるしの本』は、法律上はケース氏自身が書いたということになるわけですが、
それでもケース氏は、自分で考えたものを書いたものではないという思いであると思います。

ちなみに、ワタシのこの文章が、基本的に匿名扱いなのは、そういうことでもあって、つまり、
ワタシの知らなかったことが、ワタシのこの文章には書かれているということなのですよ。
そう、ワタシにとっては、このスレに書くことは、いい勉強になっているわけなのでした。
219名無しさん :2014/02/21(金)06:57:01 ID:b0gyRiZTZ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
But if history is any indicator, it is more likely that Case felt that the work of some
anonymous "later Qabalist" would be received more positively than a work of his own.
しかし、歴史が何らかの指標であるとすれば、ある匿名の「より最近のカバラ主義者」の
作品とする方が、彼自身の作品よりも、より積極的に受け入れられるだろうとケース氏が
感じたというのは、ありそうなことである。
--- ここまで ---

でも、この手の真面目な本の「中の人の設定」を告白した意図というのは、本人にしか
わからないことなんですよね。
そして、「history/歴史」ではなくて、ワタシ自身の経験と感覚を指標とするならば、この
ケース氏の告白が本心からなのか、商売っ気があるのかは、判断が難しいのです。
とはいえ、こういう怪しげな記述は、その手の本を購入する人々の購買意欲をそそるもので
あることも確かなんですよね。

そういえば、日本でも、この手の「有名人の憑依霊による作文」をネタにして、大量の本を
売っている団体が、いくつかありますよね。
まあ、ワタシはそういう商売系の怪しいものは、いっさい手を出さない主義ですので、
すこぶるどうでもいいわけです。
そして、ワタシがクロウリー系の本に興味を示さないというのも、おそらく同じ理由から
ではないかと思っています。

え、おまいは同じような電波系なのに、何でそいつらのことを無視するのかって?

まあ、全く波長が合わないというか、ワタシには理解できない、全く違うタイプだという
ことですかね。
そして、それらの商売系の本に感じるものは、おしなべて「気持ち悪い」という感覚です。

そもそもワタシの能力は、ごく短時間しか発現しませんし、相当にエネルギーを使いますし、
意図的に発動できるものでもないですし、要するに、コンスタントに商売道具として使う
ことができるような安定したシロモノではないんですよね。
だから、普段の仕事の中でちょっとブースター的に利用してみたり、たまにアマチュア
占い師として活動してみたり、後はこうやってチマチマと、金にも為にもならない
電波な文章を書くことぐらいしか使い道は無いわけなのです。

要するにワタシは、わからないことには手を出さないという、ヘタレな人間であるという
ことなのですよ。
まあ、そんなこんなで、怪しげな宗教にも染まらずに、一般人にまぎれて、普通に生活
できているわけですけどね。
220名無しさん :2014/02/22(土)06:51:39 ID:N+eQVQFaD
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 27) ---
The point we are trying to make here is that rather than running from the obvious
fact that the Hermetic Qabalah is based on many fabricated claims, history should
be faced directly.
我々がここで作ろうとしている論点は、ヘルメス主義的カバラが多くの偽造された主張に
基づいているという明白な事実から逃げることではなくて、歴史に正面から向き合うべき
であるということである。
--- ここまで ---

人は誰でも、「うわべの姿」で物事を判断しがちです。
つまり、人は誰もが、「うわべの姿」を取り繕い、意図的もしくは無意識のうちに、他人
の前では演技をしがちであるということでもあります。
人が人として生きていく以上は、そういうウソからは決して逃れられませんし、逃れようと
すればするほど、逆に「うわべの姿」に騙されることになるわけですしね。

ウソであるから価値が無いというのは、脳味噌の足りない人の短絡的な思考です。
世の中には、生まれたばかりで、フィクションや仮説でしかないものがゴロゴロと存在して
おり、その中から次世代の真実が生まれてくることもあるわけです。
結局のところ、誰も到達したことのない最先端へと歩もうとするのであれば、「毒をもって
毒を制す」的な、強烈な二枚舌的武器を持たなければ、そして「溺れる者は藁をも掴む」的
な必死さというか見境の無さがなければ、道なき道に向かって前進なんて出来ないわけです。
百本の藁を掴めば、中には貴重な種の付いた藁だってあるかもしれないですからね。
正直なところ、建前だけの綺麗事を並べたところで、「毒にも薬にもならない」わけであって、
そんな普通のことをしていては、神秘の世界なんて、何にも見えてこないわけですからね。

そういう意味では、『ヘルメス文書』も『ゾーハル』も『薔薇十字の宣言書』も『古代の
暗号文書』も『しるしの本』も、頭から否定するようなものではないですし、それなりに
わかる人が読めば、それなりの内容ではないかと思うのでした。

ちなみに、「ヘルメス主義的カバラ」の出生がウソにまみれたものであるという事実は、
ゴールデン・ドーンの中では、少なくともウェストコット氏、そしてウェイト氏は、
おそらく充分に承知していたのではないかと思われます。
それでも、彼らは、それを勉強し、人々に教え、そして数多くの業績を残しています。

人々が未知で未踏の地へと冒険しようとするのであれば、それなりの知恵と知識と勇気と
覚悟が必要であるということです。
そういうことが苦手な人は、そういう不都合な事実を隠した入門書やマニュアル本を読み、
面倒なことは見ないふり、知らないふりをして、占いごっこや魔術ごっこで、安全な場所で
難しいことは何も考えずに、楽しく遊んでいればいいわけですよ。
でも、そういう遊び感覚で、楽しく人生を過ごしていける人の方が、きっと勝ち組なんだ
ろうなぁ、とも思います。
221名無しさん :2014/02/23(日)11:04:14 ID:N15hzcJhQ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
In fact, the very fabrications are a pattern which, ironically, tends to point us
toward the inner legitimacy of the works.
実際に、まさしくこの作り話は、皮肉にも、著作の内的な正統性の方へ私たちを向けさせる
傾向のあるパターンである。
--- ここまで ---

本当かどうかはともかくとして、「上位存在から受け取った霊言」というのは、精神世界の
本に見られる王道的な超絶極厚鉄板パターンであり、精神世界というか神秘世界において、
「inner legitimacy/内的な正統性」を主張するには、必要不可欠な要素だということです。

まあ、「精神世界や神秘世界について自分の考えをリアルに述べた」というものでは、単なる
「精神世界や神秘世界の普通の人による普通の解説書」という、実にインパクトのない、
つまらないものなってしまいますので、それなりの「精神世界や神秘世界の書」であるため
には、普通の人間を超える「スーパースター」的な存在が書いたことにしておかないと、
そもそも売れるわけがないわけです。
結局のところ、無名の人間が書く「精神世界や神秘世界の書」が、世間の注目を浴びる
ためには、原作者の偽装というのは、むしろ絶対に必要不可欠なものとも言えるわけです。
そういう意味でも、
・『Tヘルメス文書』における、「ヘルメス・トリスメギストス」氏
・『ゾーハル』における、「シメオン・ベン・ヨハイ」氏、
・『薔薇十字の宣言書』における、「クリスチャン・ローゼンクロイツ」氏と「薔薇十字団」
・「ゴールデン・ドーン」の『古代の暗号文書』における、「秘密の首領」たち
・『しるしの本』における、「究極超人R」
という、いわゆる「設定」は、絶対に外せないポイントということなんですよね。

とはいえ、こういう「設定」が「詐欺」という犯罪行為であると言うのは、ちょっと違う
感じなんですよね。

これが詐欺であれば、TVのCMや雑誌の広告など、世間で普通に行われている宣伝行為は、
ほとんど全てが詐欺に相当してしまうわけですからね。
その商品を使ったことのない有名人やアイドルやかわいい動物キャラを起用して、その人に
「わたしも使ってます」なんていう白々しいセリフを言わせたり、どう考えてもそんな効果は
無いだろうという商品の効用を「個人的な感想です」と小さく但し書きしておいて大々的に
吹聴したり、もう、売り出すためには、何でもアリのヤリたい放題の世界ですからねぇ。

実際のところ、その商品の効用というのは、使った人にしかわからないわけであり、
それゆえ、素人向けの「詐欺まがいの商品」が氾濫しているというのが現状なのでした。

つまり、世間にあるものは、そもそも「そういう類のもの」ということなのです。
そして、神秘を勉強していく我々には、それらを見抜く力が、必要とされるわけですよね。

え、それらを見抜いてどうするのかって?
まあ、目くじらを立てて叩いたり通報したりあちこちに中傷スレを立てまくったりせず、
ウソはウソとして、そしてネタはネタとして、楽しむことが必要だということです。
そして、そのウソやネタの中から、クソにまみれた原石を拾い上げ、きれいに磨き上げて
輝きを取り戻すことが神秘の勉強であり研究である、ということなのですよ。
222名無しさん :2014/02/24(月)06:43:25 ID:TiBC6zAIv
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
Those who remain unconvinced that a work of spurious pedigree might have great
spiritual worth should look very closely at the history of Christianity, as well
as that peculiar amalgam of heterogeneous texts, the Bible.
偽の家系の作品が大きな精神的価値を持つかもしれないことに納得できないままの人々は、
異種混合の原本の奇妙な混合物である『聖書』だけでなく、キリスト教の歴史でも非常に
念入りに見るべきである。
--- ここまで ---

世界一のベストセラーであり、多くの人々の信仰の対象となっている『旧約聖書』、『新約
聖書』、そして世界中に多くの信者を持つキリスト教に関する歴史書など、宗教関係の本を
調べていけば、それらがリアルな物語などではなく、しょせん大本営発表の「スーパー
アイドルをネタにしたファンタジー小説のアンソロジー」であることがわかります。
ちなみに、日本において『聖書』に相当するものと言えば、『古事記』や『日本書紀』などが
ありますが、これらもリアルな歴史書というより「ファンタジー物語」に近いものです。

要するに、フィクションを含まない歴史文字作品などは存在せず、テレビ・ラジオ・新聞・
雑誌などを含めて、私たちが真実だとして見ているものは、脚色、編集、ヤラセ、デッチ
上げの入った、ウソだらけのものであるということです。
そして、そもそもこの世界におけるリアルというものは、自分の目の前で起こるクソゲーで
しかないわけで、そんなものは見たくもないし聞きたくもないというのが現実なのですよ。

結果的に、人々は現実から目をそらし、二次元世界や妄想の世界、そしてネットなどの
バーチャル世界に逃避し、物理法則を無視した鉄板スカートに完璧に防御された決して
見えるはずのないものに対して「見えた!」と叫び、偶像やカードや幻影を映し出す円板に
対して、多大なるお布施を払ったりするわけです。

でも、それって、いけないことなのでしょうか?
それは、人として間違っていることなのでしょうか?

いや、そんなことはないですよね! たぶん・・・。(←自己弁護)

賢い人は、宗教、精神世界、そしてヲタクの世界は、基本的にバーチャルであることを、
そして、しょせんファンタジー物語であることを、充分に理解しています。

ちなみに、『新約聖書:マタイ福音書』4:4にある、
 「イエスは答えて言われた。『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る
 一つ一つのことばによる』と書いてある。」
というのは、なかなか人間の本質を突いた、いい言葉ですよね。

人が人として生きていくためには、「リアル」だけを見ていてはダメなのです。
たとえそれが「バーチャル」なものではあっても、それを頭ごなしに否定してしまっては、
人としての大事な基本的な特性(キャラクター)を失ってしまうことになるからです。
人が人としてこの世に存在するには、「リアル」と「バーチャル」という、これら二つの
複素数成分のバランスを、うまく取っていくことが絶対に必要なのですよね。

え、なぜかって?
人として必要なことだからです。(←バーチャルなので、論理的な結論にはなりませんorz)
223名無しさん :2014/02/25(火)06:57:15 ID:RX82zE8+z
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
HERMETIC QABALAH AND THE GOLDEN DAWN
ヘルメス主義的カバラとゴールデン・ドーン
--- ここまで ---

ここから、「カバラ」の章の中での新しい節になります。

サブタイトルは「ヘルメス主義的カバラとゴールデン・ドーン」です。

欺瞞に満ちたヘルメス主義的カバラ主義ではありますが、だからこそ面白いのですよね。
つまり、「偽イエスは答えて言われた。『人はパンツのみにて生くるにあらず、紙に書かれた
一つ一つのキャラのセリフを生かすことである。』と書いてある。」ですから。←何がだ!

そして、たとえその出生がフィクションであったとしても、もしそれが本当に実現できる
のであれば、それはそれで素晴らしいことですよね。
今まで二次絵の中だけでしかないキャラが、立体化したり、動いたり喋ったり歌ったり、
三次元CGになってヌルヌルと動いたり、そして自分でモデリングして画面の中で動かせたり、
自分で作ったセリフを言わせたり、もしくは感触を楽しんだり、とにかくそういうヲタクの
趣味と妄想を現実化する科学技術は、日々進化しているのです。

まあ、そんな感じで、今までファンタジーの世界の存在であった魔術を、リアル化しようと
する物好き、いやいやチャレンジャーが、120年以上前のイギリスに出現したわけです。
そして、今まで使い古されてきた魔術設定を見直し、現代にも通じる新しいファッションに
変革していったという、これはこれで素晴らしい試みだったのですよね。

ワタシ自身は、このゴールデン・ドーンにより創作された設定や物語、そしてリアルな
人生ドラマは、かなり興味を持って見ています。
そう、人が人として生きていく上では、「リアルだから使える」とか「フィクションだから
使えない」ということはないんですよね。
出生がどうとかなんて、すこぶるどうでも良くて、ワタシにとっては「使えるネタなのか
使えないネタなのか」が大事なのです。
そういう現実主義者が、なぜか巡り会ったのが、ゴールデン・ドーン系のタロットであった
ということであり、そして、その秘密を知りたいがために、こうして日々勉強していると
いうことなのでした。

まあ、ちょっと不思議な話ではありますよね。
リアルを追求していくと、なぜか自然とフィクションの世界へと入っていくわけです。

とはいえ、先端科学の究極世界も、実のところ、こんな感じだったりするわけです。
実のところ、「リアル=わかってること」を突き詰めていった先には、まだ誰も真実を
知らない「フィクション=仮説」の世界が広がっているということですからね。

そう、「リアル」しか見ない人、見えない人には、未来も成長も無いというわけですよ。
というわけで、明るい明日を目指して、これからも「フィクションの世界」を探検して
みようと思っているのでした。
224名無しさん :2014/02/26(水)07:01:54 ID:gvqKXPLif
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
In view of the evidence that Rosicrucianism, though high spiritual allegory, was
a seventeenth century myth, the Golden Dawn "history lesson" incorporated into
its Adeptus Minor ritual of initiation is interesting.
薔薇十字運動は、高等な精神的寓話ではあるけれども、17世紀の神話であったという証拠の
観点から見て、ゴールデン・ドーンの「小達人/アデプタス・マイナー」参入儀式に組み
入れられた「歴史の教訓」は興味深い。
--- ここまで ---

本家ドイツでは徹底的に弾圧されて、影も形も無くなってしまったかのように思えた薔薇
十字運動ですが、後の時代のイギリスにおいて、少々別の形で、再び開花します。

ゴールデン・ドーンは、英国薔薇十字協会を母体としており、これらは17世紀の薔薇十字
運動を元ネタとした団体となっているのは、今まで何度も述べてきたことですよね。

そして、ゴールデン・ドーンが、薔薇十字運動の直系子孫であることの重要な証拠となって
いるのが、この「アデプタス・マイナー参入儀式」にあるセリフであるということです。
まあ要するに、薔薇十字運動の文書を、丸々パクっているということなんですけどね。

とはいえ、完全なパクリということではなく、元々あるキリスト教の信仰色というか宗教色
を弱め、魔術理論に組み入れるために、少々の脚色が入っています。
この儀式の脚本は、マサース氏の執筆であり、マサース氏の趣味であるエジブト風味が、
あちこちに取り入れられています。

まあ、ワタシがあれこれ説明するよりも、『The Golden Dawn/『黄金の夜明け魔術全書』
に儀式の台本が全文掲載されていますので、それを見た方が良いかと思います。
ここまでワタシの駄文に付き合ってきた物好きな人であれば、マサース氏により、この
儀式に込められた意味と熱い思いが、ある程度は理解できるのではないかと思います。
225名無しさん :2014/02/27(木)06:56:46 ID:wrDgiVjDJ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
It begins: "Know, then, O Aspirant, that the Mysteries of the Rose and the Cross
have existed from time immemorial, and that the Rites were practiced, and the
Wisdom taught, in Egypt, Eleusis, Samothrace, Persia, Chaldea and India, and in
far more ancient lands." (*55)
それは以下のように始まる:「それでは、おお志望者よ、薔薇と十字の神秘的教義は太古の
時代から存在し続けており、そして、エジプト、エレウシス、サモトラケ、ペルシア、
カルデア、インド、そしてさらに古代の国々においても、「儀式」が実行され、知恵が教え
られていたことを、知りなさい。」(*55)
--- ここまで ---

ちなみに、(*55)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
55. Israel Regardie, Golden Dawn, v. II, 216.
55. イスラエル・リガルディ著、「黄金の夜明け」、第2巻、216ページ。
--- ここまで ---
とあります。

ちなみに、邦訳本の『黄金の夜明け魔術全書』(イスラエル・リガルディ著、江口之隆訳)
では、ここは330ページの「第三達人」のセリフになります。
--- ここから --- (『黄金の夜明け魔術全書』、1993年第1刷発行、330ページ) ---
志願者よ、されば知るべし・薔薇と十字の密議は悠久の昔より存在せるものにして、その
儀式が実行され、その叡智が教えられたる場所は、エジプト、エレウシス、サモトラキア、
ペルシャ、カルデア、インド、またさらに古き国々なり。
--- ここまで ---

ちなみに、「Eleusis/エレウシス」は、キリシアの首都アテネの北西にある都市であり、
古代ギリシアの儀式である「エレウシス秘儀」で有名な場所です。

また、「Samothrace/サモトラケ」は、ギリシア東部のエーゲ海にあるギリシア領の島で、
こちらは古代ギリシア時代より少し後の時代に栄えた、古い神殿のある場所です。
この地では、1863年に「Winged Victory/翼のある勝利の女神(サモトラケのニケ)」と
いう世界的に有名となった大きな大理石製の女神像(制作年:BC190頃、像の高さ:244cm、
作者不詳)が発見され、復元されて、1884年にパリのルーブル美術館に展示されました。
おそらく、パリで優雅に新婚生活を送っていたマサース氏は、この堂々とした素晴らしい
女神像に感銘を受け、この儀式の古き国々のリスト中に「サモトラキア」の地名を入れた
のではないかと推察しています。

え、そんな小ネタは、どうでもいいって?
226名無しさん :2014/02/28(金)07:00:48 ID:9yRs5cuf3
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
The ceremony continues to directly paraphrase the description of the life of
Christian Rosencreutz in the Fama Fraternitas.
式典は、『友愛団の名声』の中のクリスチャン・ローゼンクロイツ氏の生涯の記述を
直接的に言い換えて、続く。
--- ここまで ---

つまり、ゴールデン・ドーンの「アデプタス・マイナー参入儀式」というのは、実のところ、
「真・薔薇十字団」への参入儀式という設定になっているわけです。
じゃあ、英国薔薇十字協会は、真の薔薇十字団ではないのか、ということになるわけですが、
まあ、英国薔薇十字協会とゴールデン・ドーンは、ちょっと性格の違うものであることは、
今まで色々と述べてきたことを参考にして、理解しておいてください。
とはいえ、こういった丸パクリが許されるのは、英国薔薇十字協会とゴールデン・ドーンが
ほぼ共通のメンバーで構成されており、誰も異議を挟まないから可能なことなんですよね。

そういうことで、ゴールデン・ドーンの内陣のメンバーは、「真・薔薇十字団の団員」と
いう位置づけになるわけなのですが、仮想的な神話世界の話と違って、人間界における
リアルな薔薇十字団の歴史は、実に人間的なものであったことは、以前に述べた通りです。
まあ、言ってることと、やってることが違うのは、人間にはよくあることです。
結局のところ、人は誰も「クリスチャン・ローゼンクロイツ」にはなれないという、
ごく当たり前のことなのでした。

ついでに言うと、ルネサンス期の魔術師と、この近代における魔術師とは、少し性質が
違ってきているのではないかと思うのですが、その一因として、理系メンバーが減少し、
文系メンバーが増えてきているような感じなんですよね。
ゴールデン・ドーンにおいても、理系のウェストコット氏から、文系のマサース氏に
政権交代が行われたのも、そういう傾向なのかな、と思います。
要するに、理系の「サイエンス・フィクション」から、文系の「メルヘン・ファンタジー」
に、時代がシフトしている感じがするわけです。

まあ、そういう時代の流れに逆らって、ワタシは進んでみているわけですけどね。
227名無しさん :2014/03/01(土)23:35:28 ID:ckDXmezps
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
It is probable that most of the members of the Order believed that Christian
Rosencreutz had been an actual person, and that the Golden Dawn was in a direct
line from his fraternity.
団の団員のほとんどは、クリスチャン・ローゼンクロイツ氏が実在の人物であって、
ゴールデン・ドーンは彼の友愛団からの直系にあったことを信じた可能性が高い。
--- ここまで ---

ゴールデン・ドーンが薔薇十字団の直系子孫であることは、ウェストコット氏が執筆した
ゴールデン・ドーンの内陣文書である『飛翔する巻物』第16巻「薔薇十字団の歴史」にも
詳しく述べられています。

さて、ウェストコット氏が、この「ゴールデン・ドーンが薔薇十字団の直系子孫である」
というネタを仕込んだ張本人であることは間違いないのですが、他のゴールデン・ドーンの
団員が、この「ゴールデン・ドーンが薔薇十字団の直系子孫」であることを信じていたか
というと、ウェイト氏以外の大多数は、おそらく信じていたのではないかと思います。
もしも信じていなかったのであれば、あの1900年のウェストコット氏の捏造疑惑が、
あれほどの大騒動にはならなかったでしょうからね。

ちなみに、多くの情報が氾濫している現代においても、怪しげなネタを真実と信じ込んで
いる人々って、結構多いのではないかと思います。
何も知らない人であれば、始めて聞く情報は真実であると思い込みがちですし、逆に、
現代においては、情報がありすぎて、一体何が正しい情報なのか、よくわかんなくなって
いるような状況もありますよね。
結果的に、自分にとって一番都合のいい説を真実と思い込むというのが、普通の人の
パターンなのではないかと思います。

実際のところ、魔術業界や占い業界や宗教業界などの神秘系業界に限らず、いわゆる業界と
いうものは、正確な情報提供という点では、かなり問題があるモノが多いです。
まあ、正直なことを言っていては、モノは売れないですからねぇ・・・。
228名無しさん :2014/03/02(日)10:28:04 ID:kYswnIqs9
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
Whether Mathers and Westcott understood the real history is another matter
entirely. (*56)
マサース氏とウェストコット氏が実際の歴史を理解していたかどうかは、完全に別の問題で
ある。 (*56)
--- ここまで ---

ちなみに、(*56)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
56. Westcott wrote on the Rosicrucians, but he was not much of a scholar.
The best work comes from Waite: The Brotherhood of the Rosy Cross, New York, 1961.
56. ウェストコット氏は薔薇十字団について書いていたが、彼は学者としてはあまり
大したものではなかった。最も良い作品は、以下のウェイト氏のものに由来する。:
『薔薇十字友愛団』、ニューヨーク、1961年発行。
--- ここまで ---
とあります。

ウェストコット氏は、英国薔薇十字協会の会長であった1900年に、「The History of the
Societas Rosicruciana In Anglia/アングリア薔薇十字協会(英国薔薇十字協会)の歴史」
という同人誌を、ロンドンにおいて出版していますが、これはおそらく、会長職として
書いた、英国薔薇十字協会の公式設定集という位置づけであったと思います。
まあ、神秘主義団体の公式設定集ですので、要するにキリスト教における『聖書』みたいに、
あくまでも「公式の伝説」みたいなものであって、実際の歴史とは異なるものです。

なお、ウェイト氏の『The Brotherhood of the Rosy Cross/薔薇十字友愛団』の初版は、
1924年にロンドンで発行されています。
ちなみに、ウェイト氏は、それ以前の1887年にも『The Real History of the Rosicrucians/
薔薇十字団の真の歴史』という大作を書いています。
要するに、ウェイト氏も薔薇十字団は大好きだったのですが、学者としての立場というか
プライドというのがあって、ちょっとうさん臭さの漂う「英国薔薇十字協会」とは、一定の
距離を置いておきたい気持ちがあったのではないかと思うのでした。

結局、この点が、英国薔薇十字協会の会長職であったために、その手の公式設定を必要と
したウェストコット氏と、一匹狼的なオカルト学者であり、実際の歴史を研究していた
ウェイト氏との違いであるわけです。
これは、どちらが正しいとか、どちらが間違っているとかいうものではないですよね。
つまり、あくまでも「立場の違い」ということなのですが、これは容易には埋めることの
できない「溝」でもあるわけです。
とはいえ、ウェストコット氏もウェイト氏も、それなりに大人でしたので、最後はうまく
折り合いを付けていたようですね。

ちなみに、マサース氏の方は、「天然」である可能性が高いんですよね。
マサース氏は、かなり思い込みの強い人でしたので、おそらくは
「実際の歴史が何だって? 何それおいしいの?」
だったと思います。
まあ、だからこそ、1900年の子供じみた騒動を起こしてしまったということなんですけどね。
229名無しさん :2014/03/03(月)06:46:50 ID:xPSXR0Iva
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
There are many instances of both having accepted traditional misattributions of
mystical literature.
両者が、神秘主義的な文献に関して、伝統的に誤った帰属を受け入れたことがあることに
ついては、多くの実例がある。
--- ここまで ---

ウェストコット氏もマサース氏も、それなりの数の著書があり、現在でも商業出版され
続けているほどのオカルト著述家です。

とはいえ、彼らの本分は、リアルな歴史を追及する研究家ではなく、あくまでもオカルトの
世界での研究なのです。
つまり、リアルな歴史と、オカルト世界のバーチャル・ファンタジーな世界の歴史とは、
全くもって次元の違う話なわけです。

要するに、リアルな歴史との整合性を取るのか、ファンタジー世界の歴史観という立場で
設定上の整合性を取るのか、ということですよね。
もちろん、作家であれば、その作品世界での設定上の整合性を優先します。

ちなみに、リアルな歴史というのは、それ自身、なかなか整合性が取れない、やっかいな
シロモノだったりします。
考古学に、客観的で科学的な検証手段が持ち込まれたのって、ごく最近のことなんですよね。
警察の捜査だって、今でも聞き込みが主体であり、科学的な分析による捜査というのは、
どちらかというと補完的に使われているのが現状です。
結果的に、見込み捜査とか、犯人のデッチ上げ、証拠の捏造なんてのも、ごく普通にある
世界ですので、何が歴史的に正しいのかというのは、なかなかよくわからないわけです。

そう、歴史の教科書の書いてあることって、そのほとんどは、いまだに「仮説」なのです。
色々な立場により、色々な見ようによって、その記述は様々に変わりますし、何か新しい
有力な証拠があれば書き換わってしまうような、割と適当なものだったりするわけです。
そもそも、国家の命令で、ありもしない歴史を堂々と捏造して外交手段として利用する国々
だって、現在でも少なからず存在するわけですからね。

ちなみに、マサース氏の歴史観がちょっとズレまくっているのは、そういうオトナの世界の
話ではなく、どちらかというと、彼が「天然」だからという理由の方が大きいかと思います。
彼の場合は、従来の歴史にとらわれることなく、全く独自の世界を構築していたような
感じですので、彼の歴史観は、彼の中においては、まぎれもない「真実」なのですよ。

まあ、それをどう取るかは、「あなた次第」ということなのですけどね。
(ちなみに、ワタシは、そういうノリは決して嫌いではないです。)
230名無しさん :2014/03/04(火)06:56:05 ID:XCscpLoJL
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
Westcott for example, wrote an introduction to The Chaldean Oracles of Zoroaster,
describing them as embodying "many of the principle features of Chaldean
philosophy." (*57)
例えばウェストスコット氏は、それらを「カルデアの哲学の原理的特徴の多く」を具現化
したものと評して、『ゾロアスターのカルデアの神託』の序論を書いた。(*57)
--- ここまで ---

ちなみに、(*57)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
57. The Chaldean Oracles, Edited and revised by Sapere Aude (Westcott's Order
name), New Jersey 1978, xiii.
57. 『カルデアの神託』、サペレ・アウデ(ウェストコット氏の団名)による編集と修正、
ニュージャージー、1978年発行、xiiiページ。
--- ここまで ---
とあります。

ウェストコット氏は、1893年から1896年にかけて、『Collectanea Hermetica/ヘルメス選集』
という、主にルネサンス期にラテン語で書かれた10冊の英訳版のシリーズ本を出しています。
この『The Chaldean Oracles/カルデアの神託』は、その6番目のもので、1895年に発行
されています。

ちなみに、この英訳自体はウェストコット氏の手によるものではなく、1832年に既に英訳
され発行されていた『Ancient Fragments/古代の断片』という本の中にある「The Chaldean
Oracles of Zoroaster/ゾロアスターのカルデアの神託」の章が元ネタとなっています。
つまり、他人のふんどしで相撲を取るようなものですが、こういうマイナーな文献に新たな
光をあて、新しいネタで人々の関心を引くというのも、この世界では必要なことだと思います。

それにしても、ウェストコット氏って、本業のついでに、英国薔薇十字協会の会長職を務め
ながら、ゴールデン・ドーンのロンドン本部の管理人をやって、さらにオカルトの専門書を
出版して、新しいネタを提供していくという、なかなか多忙というかマメな人間であり、
いかがわしい人物の多いオカルト業界においては、割と尊敬に値する人物ですよね。
こういう献身的なマメさを持つ人が幹部にいないと、単なるノリだけでは、こういう趣味的な
団体というのは、維持が難しいと思うのでした。
231名無しさん :2014/03/05(水)07:06:16 ID:FtwU8ffvn
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
We know that the Oracles were actually writen by Julianus, a contemporary of Marcus
Aurelius,(*58) but the conclusions about authorship on many such works is quite recent.
我々は、『神託』が、実際には、マルクス・アウレリウス氏の同時代の人であるユリアヌス氏
により書かれたことを知っているが(*58)、しかし多くのそのような著作の原作者に関する
結論は、つい最近のことである。
--- ここまで ---

ちなみに、(*58)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
58. See: E.R. Dodds, "New Light on the Chaldean Oracles," Harvard Theological
Review, LIV 1961, 263.
58. E.R.ドッズ著、「カルデアの神託についての新しい観点」『ハーバード神学評論』、
第54巻、1961年発行、263ページ。
--- ここまで ---
とあります。

この『ハーバード神学評論』という本は、アメリカで最初の「宗教を特定しない研究機関」
として1816年に設立された「Harvard Divinity School/ハーバード神学校」が、1908年
より発行している季刊誌(年4回発行)で、神学や宗教だけに限らず、色々なものを題材に
して独自の研究を掲載している、割とよく知られた雑誌です。
そして、その中に、この「New Light on the Chaldean Oracles」という、10ページくらいの
短編記事があり、その中で、『カルデアの神託』を書いたのは、カルデア人のユリアヌス氏
であるとされているわけです。
もちろん、これも歴史上の「仮説」みたいなものですので、確定しているものではありません。

なお、マルクス・アウレリウス・アントニヌス氏(Marcus Aurelius Antoninus, 121-180)は、
第16代ローマ皇帝(在位:161-180)で、古代ローマ帝国の最盛期である五賢帝時代(96-180)の
最後の皇帝であり、これ以後、古代ローマ帝国は衰退していくという時代の話です。

この時代は、本書でもおなじみの、初期キリスト教、グノーシス主義、ヘルメス文書、
そしてユダヤ教カバラが生み出された時代ですよね。
そして、そういう時代の産物のひとつとして、この文書が書かれたということなのです。
まあ、ここまで多いと、「神秘文書の発祥は、全部この時代でいいんじゃないかな」と
思ってしまいたくなるほど、神秘思想的には豊かな時代だったのでした。
232名無しさん :2014/03/06(木)06:56:50 ID:W2asGI21p
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
What is most important, however, is that we are able to uncover so many of the Order's
historical tracks.
しかしながら、最も重要なことは、我々は「団」の歴史的な軌跡のそんなにたくさんの覆いを
取ることができることである。
--- ここまで ---

どんな研究でもそうなのですが、「正しい」とか「正しくない」ということについて、
拘りを持ちすぎることは、実のところ、あんまり「正しくない」姿勢なのです。
そして、頭の性能の悪い人ほど、脳ミソが1ビットの「真/偽」のフラグ状態になって
しまい、知識というより感覚だけで判断してしまいがちなんですよね。

オカルトのような境界領域の研究の際には、どちらかというと、「確からしい」とか
「確からしくない」という感じの、割と漠然とした判断となるわけですが、そのような
「確からしさ」を判断するためには、こういう客観的な証拠の存在する「史実」と呼ば
れているものを、しっかりと把握しておくことが重要なのです。
とはいえ、今の日本のオカルト界には、そういう「研究者」としての能力を持つ人は、
ほぼ存在していないのではないかと思うのでした。
そもそも、そういう人達が日本に存在していれば、このウォン氏の本は、既に翻訳・出版
されていたことでしょうし、このスレにも、もっと人が集まっていたと思うんですよね。
というか、何でいまだに出版されないんでしょうね・・・。

あ、ワタシ自身は、研究者というよりも、占い系の実践者に近い立場です。
自分自身で客観的に資料を集めて検証していくよりも、直感で判断していることの方が、
やっぱり多いですからね。

それはともかく、ゴールデン・ドーンの作品には、様々なニセモノが数多く含まれています。
我々に必要な態度は、「ニセモノ」を単に除去するということではなく、「ニセモノ」をも
含めた全体像を把握し、鑑定眼を磨いていくことで、何が「ホンモノ」で価値のあるもの
なのかを、きちんと理解していくことが必要なのです。
そのような全体的な把握のためにも、それまでのオカルトの歴史をきちんと勉強し理解して
おくことは、重要な位置を占めていると思うのでした。

ちなみに、オカルトの世界に「ニセモノ」が紛れ込んでくる理由については、これまでにも
さんざん話を出していますよね。
そして、ここまでこのスレに付き合ってくれた人であれば、「ニセモノ」をどう扱うかに
ついての、ある程度の思考力と判断力が付いてきているのではないかと思います。
まあ、そういう思考力と判断力に乏しい人は、脳ミソが1ビットの「真/偽」の判断で、
とっくに脱落していると思いますしね。
233名無しさん :2014/03/07(金)07:00:09 ID:wzBsf2HiL
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
Thus, its leaders are understood to have built carefully on a known traditional
framework.
したがって、その指導者たちは、よく知られた伝統的な枠組みの上に、注意深く基礎を
置いていたと、理解されている。
--- ここまで ---

ゴールデン・ドーンの創立者であるウェストスコット氏、およびマサース氏は、とにかく
読書好きであり、オカルト方面では、第一級の研究者とも言えるものでした。

そして、彼らは、「a known traditional framework/よく知られた伝統的な枠組み」、
つまり、オカルトにおける「王道展開パターン」を見い出し、それらの鉄板ネタを基礎と
して、様々な近代的なストーリーで再構築したということなのです。

ゴールデン・ドーンにおける最大の特徴は「儀式魔術」という、いわゆる自作自演劇を
その中心に置いたということであり、したがって、儀式の脚本や構成が最も重要視される
べきものとなっています。
基本的な儀式の脚本は、『The GOLDEN DAWN/黄金の夜明け魔術全書』で公開されています
ので、まだ読んでいない人は、ぜひじっくりと目を通して、儀式の中にちりばめられている
様々な歴史的ネタが、儀式の構成要素として、どのような意味を持っているのかを考えて
みるのもいいかと思います。
結構、興味深いネタが色々と入っていますので、最初はゴールデン・ドーンのことを単なる
「道楽趣味」としか見ていなかったオカルト研究者のウェイト氏も、その王道ネタにある
普遍的な面白さに徐々にハマっていったのではないかと思うのでした。

実際、この「王道展開パターン」というのは、人類の身体に受け継がれてきたDNAのように、
はるか昔の時代から現代に至るまで、人類の精神に脈々と受け継がれているものです。
つまり、オカルトの基本は、この「伝統的王道展開パターン」にあると言っても過言では
ありません。
そういう意味では、『聖書』や「カバラ」というのは、その古さと、非常に有名であるが
ゆえに「伝統的王道展開パターン」に、完璧にマッチするものであり、ゴールデン・ドーン
においても、全面的に採用さているものです。

ただ、「伝統的王道展開パターン」だけだと、しょせん「二番煎じ」でしかないわけです。
ゴールデン・ドーンの優れた点は、その「伝統的王道展開パターン」の基礎の上に、
時代の風にマッチした新しい芸術活動を上手に築き上げたという点にあります。

そう、その新しい芸術活動こそが、カバラとタロットカードの融合ということですよね。

そして、現代においても、様々なネタがカードと融合して、大ヒットしています。
つまり、あの「アイカツ」は、実はゴールデン・ドーンのパクリなのです。←新説
234名無しさん :2014/03/08(土)08:03:29 ID:2uOAEDsjt
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
The Hermetic Qabalah today bears the marks of Westcott and Mathers.
ヘルメス主義的カバラは、今日では、ウェストコット氏とマサース氏の痕跡を有する。
--- ここまで ---

現在、ヘルメス主義的カバラと呼ばれているものの多くは、ゴールデン・ドーンの体系の
ものを基本としています。
まあ要するに、業界標準ということですよね。
では、何でゴールデン・ドーンの体系が業界標準になっているかというと、従来の体系と
比べると、色々な意味で「標準体系」として使いやすい、という点にあるわけです。

ウェストスコット氏もマサース氏も、単なる個人的な趣味みたいな魔術「研究者」という
感じではなく、より多くの人々に魔術を理解し実践してもらうための、実践的で実用的な
魔術「開発者」という感じでした。
そして、従来の理論的に整然としていない魔術カバラを、実際に「使える技術」とする
ために、より実践的で整然とした体系に整理整頓し、さらに実用化のために必要な要素を、
適宜組み入れていったということですよね。

とはいえ、ウェストスコット氏もマサース氏により、新しく整備されたゴールデン・ドーン
の理論体系が、完璧であるということではありません。
あちこちに、ちょっとずつ納得いかない箇所もあったりします。
それに、こういうオカルト理論というのは、人により好き嫌いがあったりしますので、
一つの体系を盲信することなく、自分の選んだ道を歩んでいけばいいと思うのでした。

ちなみに、人が自らの意志で選んだ道を歩むことについて、ちょっとしたネタ話が
ありますので、単なるネタとして、次に紹介しておきます。
これは、「モンティ・ホール問題」という数学的な確率をネタとした話です。

--- ここから -------

(1)あなたの前に、全く同じ形をした3つの「扉」があります。
 そのうちの1つが「天国の扉」であり、残り2つは「地獄の扉」です。

(2)神は言います。「扉を1つ、選びなさい。」
 あなたは、扉を1つ選びます。ただし、まだ扉を開けてはなりません。

(3)全知全能の天使が現れ、あなたが選ばなかった残り2つの扉のうち、
 「地獄の扉」を、一つだけ破壊してくれます。
(もしも、あなたが「天国の扉」を選んでいたならば、天使は残り2つの
 「地獄の扉」のうち、一つをランダムに選んで破壊します。)

(4)神は言います。「おまえは、自らの意志で選択した扉を開いても良いし、
 自らの意志で選択しなかった、もう一つの扉を開いても良い。」

さて、あなたなら、どちらの扉を開いて、その中に入りたいと思いますか?
235名無しさん :2014/03/09(日)09:34:37 ID:QDsNHVOse
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
Even the spelling of the Hebrew word Qabalah (as opposed to "Kabbalah," or "Cabala"),
was chosen by Mathers as being more consistent with the original language
([lamed][beth][qopf]).
ヘブライ語の単語「Qabalah/カバラ」の綴りさえも(「Kabbalah」、あるいは「Cabala」に
対立するものとして)、原語([lamed][beth][qopf])と、より一致しているとして、マサース氏
により選ばれた。
--- ここまで ---

以前にも述べたように、「カバラ[lamed][beth][qopf])」というヘブライ語の、他言語での
アルファベットの綴り方として、以下の3種類があります。
・Kabbalah - 主にユダヤ教カバラ
・Cabala  - 主にキリスト教カバラ
・Qabalah - 主に魔術カバラ

なんで同じ言葉なのに3つもアルファベット綴りがあるのかという理由としては、まあ
色々と理由らしきものがあるわけですが、「K」は割と本来の読みに近いもので、「C」は
主にキリスト教カバラが普及したラテン語圏での読みによく使われるもので、「Q」は
「K」の発音と比べて、ちょっと神秘的な響きを持つために、魔術好きのマサース氏が
好んで使ったのではないかと推定しています。

この話は、『The Kabbalah Unveiled/ヴェールを脱いだカバラ』(1887年発行)にも
あるのですが、この本のタイトルは「Qabalah」ではなく「Kabbalah」なんですよね。
これは、英語圏においては、「Kabbalah」の方が昔から一般的な記述方法であって、
よく知られているというのが理由です。
つまり、厨二病のマサース氏は、新奇性が高いという理由もあって、マニアックな「Q」の
発音の方を、あえて選んだという感じもあるわけですよね。

-----

以下は、昨日の問題の回答です。

(1)自らの意志で最初に選択した扉が「天国の扉」である確率は1/3です。
(2)自らの意志で最初に選択しなかった、もう一つの扉が「天国の扉」である確率は2/3です。
(3)最初の選択を放棄し、改めてランダムに選びなおした扉が「天国の扉」である確率は1/2です。

つまり、
・自らの最初に選択に固執してしまう人は「愚者」。
・自らの最初の選択は既に最善ではないことを悟り、改めてもう一つの扉を選択する人は「賢者」。
ということになります。

さて、この結果を見て、あなたは何を学びますか?
236名無しさん :2014/03/10(月)06:57:53 ID:ncBorocDh
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
And the Qabalistic correspondences found in Aleister Crowley's 777 appear to be
based largely on Mathers' work.
また、アレイスター・クロウリー氏の『777』に見られるカバラ主義的照応は、主として
マサース氏の著作に基づいたものと思われる。
--- ここまで ---

『777(Liber 777)/777の書』は、1909年にロンドンで同人誌として500部発行されたもので、
現在ではクロウリー氏の代表的著作として有名ですが、この内容は、以前にマサース氏に
よって団の内陣の研究用文書として同人発行されていた著作物からの、ほぼ丸パクリと
なっているようなのでした。

当時のクロウリー氏は、1907年に設立した魔術団体のA∴A∴の宣伝活動に忙しい時であり、
この『777』も、同時期に発行されていたA∴A∴の機関誌である『The Equinox/春秋分点』
と同じ意図と手法で書かれたものだと推定できます。

なお、クロウリー氏は、その後も万物照応の研究を続けており、その独自の研究成果を
含めたものが、クロウリー氏の死後、彼の友人であるジェラルド・ヨーク氏の編集により、
1955年に『777 REVISED/777の書 改訂版』として発行されています。
日本でも、この版が、1992年に『777の書』(江口之隆訳)として発行されています。

まあ、クロウリー氏って、何でもパクって暴露してしまうロクなヤツではないのですが、
そのおかげで、我々がゴールデン・ドーンの内部文書を覗き見出来るということでも
ありますからね。
個人的には、絶対に友達になりたくないタイプなんですが、そういう詐欺的なヤツに
限って、ものすごく馴れ馴れしく近づいてきたりするので、要注意なのでした。

まあ、それはともかく、ここで言いたいことは、『777』にあるような「万物照応」の
魔術的基礎体系も、ゴールデン・ドーンにおいて、ほぼ完成していたということです。
つまりは、ウェストコット氏とマサース氏は、近代魔術研究者として、とんでもなく
偉大で、天才的な人物であったということでもあるわけです。
237名無しさん :2014/03/11(火)06:53:20 ID:3bUEfXA4I
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
It is with the Order of the Golden Dawn that the modern system of Path colors on
the Tree of Life (see following section) and other attributions first appear.
ゴーンデン・ドーン団と共に、「生命の木」(次の章を参照すること)の上の「小径」の
色と他の属性の近代的体系が、最初に現われている。
--- ここまで ---

ゴーンデン・ドーンにおいては、この「the Tree of Life/生命の木」は、魔術体系の
中核を成すものであり、徹底的に研究が進められました。
その中で、魔術的な実用性を高める意味、要するに瞑想などに使いやすいように、色々な
属性が割り当てられたということです。
最初はHPとかMPとか、非常にシンプルなものでしたが、徐々に魔術アイテムとして、色々な
効果がフィールドで発動できるようになったり、トラップ効果が出てきたり、デザイン的な
複雑さも増してキラキラ化したり、レアカードも次々と増えていったりするという、まあ
よくあるカード進化の法則みたいなものですよね。

そして、ゴーンデン・ドーンにおいては、こういう魔術体系の進化の速度が、従来と比べて
非常に速かったのですが、それまでの魔術研究が、主に自然哲学系の研究者の個人レベルで
行われていたのが、より芸術家タイプの集団的文芸活動として魔術研究と実用化が行われた
ということも大きいですよね。

まあ、それが良いことなのか悪いことなのか判断は難しいのですが、ワタシとしては、
そういうのもアリかな~、と思っているのでした。

-----

なんか、open2chが、Janeから読み書きできなくなりました・・・orz
いつ直るのかなぁ・・・
238名無しさん :2014/03/12(水)06:48:03 ID:KwA9ftvze
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
The Order developed an elaborate system of teaching based on ritual, although
the extent to which the well-known Banishing Rituals may be theirs is uncertain.
団は、儀式に基づいた精巧な教育体系を開発したのであるが、よく知られている「追儺の
儀式」が、彼らのものであるかもしれないという程度は、不明確である。
--- ここまで ---

「Banishing Ritual/追儺(ついな)の儀式」は、「Invoking Ritual/召喚の儀式」と
ペアで用いられる、ゴールデン・ドーンにおける基本的な儀式となっています。
参考までに、以下にそれらの種類を示しておきます。

・小五芒星召喚儀式 The Lesser Invoking Ritual of the Pentagram (LIRP, LIR)
・小五芒星追難儀式 The Lesser Banishing Ritual of the Pentagram (LBRP, LBR)
・小六芒星召喚儀式 The Lesser Invoking Ritual of the Hexagram (LIRH)
・小六芒星追難儀式 The Lesser Banishing Ritual of the Hexagram (LBRH)
・至高五芒星召喚儀式 The Supreme Invoking Ritual of the Pentagram (SIRP, SIR)
・至高五芒星追難儀式 The Supreme Banishing Ritual of the Pentagram (SBRP, SBR)
・至高六芒星召喚儀式 The Supreme Invoking Ritual of the Hexagram (SIRH)
・至高六芒星追難儀式 The Supreme Banishing Ritual of the Hexagram (SBRH)

ちなみに、「Lesser/小」に対比するものとして、「Supreme/至高」ではなく
「Greater/大」という言葉を使っている団体もありますが、儀式の内容が異なるもの
ですので、ご注意ください。

さて、魔術においては、「召喚儀式」というものは、欠くことの出来ない基本中の基本で
あって、昔から多くの魔術書に書かれている、必須の極厚鉄板ネタとなっています。
ちなみに、ゴールデン・ドーンの召喚儀式の元ネタは、エリファス・レヴィ氏の考案した
召喚儀式をペースにしているのですが、レヴィ氏もおそらく、それ以前に考案されていた
儀式を参考にして考案したと推定されます。

その一方で、この「召喚儀式」と対比できるレベルの「追儺儀式」のようなものは、
ゴールデン・ドーン以前には、その存在が確認されていません。
つまり、この「追儺儀式」を、正式に「召喚儀式」のペアとして儀式魔術の体系に取り
入れたのは、ゴールデン・ドーンが最初である可能性があるということです。

考えてみれば、主人公の変身バンクは、華々しくてカッコイイのですが、変身解除のシーン
って、かなり手抜きというか適当だったりするのか、普通なんですよね。
でも、ゴールデン・ドーンにおいては、そういうところも手抜きをせず、きっちりと脚本を
仕上げてくるところは、さすがのテクニシャンだなぁ、とも思います。

まあ、前戯(ぜんぎ)だけでなく、後戯(こうぎ)もしっかりとやってほしいという、
ゴールデン・ドーン特有の、ちょっとフェミニスト的な視点が入っているのではないかと
思ったりするのでした。

ウェストコット氏の趣味なのか、ミナちゃんの要望なのかは、わかりませんが。←余計な一言
239名無しさん :2014/03/13(木)06:47:23 ID:yLhLy61cy
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
At least such rituals are not found in Agrippa, Barrett or other magical treatises
prior to the Golden Dawn.
少なくとも、そのような儀式は、ゴールデン・ドーンより前は、アグリッパ氏、バレット氏、
あるいは他の魔術の論文の中には見つからない。
--- ここまで ---

ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ氏(Heinrich Cornelius Agrippa, 1486-1535)は、
以前にも出てきた、ドイツ出身の最初の「キリスト教カバラの魔術師」です。
また、フランシス・バレット氏(Francis Barrett, 1770-1780頃誕生、没年不詳)は、
イギリス出身の魔術師で、ほぼ独力で色々な魔術関連文書を英語に翻訳して、1801年には
『The Magus/魔術師』という魔術書をロンドンで発行して、多くの弟子に魔術を教えて
おり、イギリスにおける近代魔術の草分けみたいな存在となっています。

さて、「Banishing Ritual/追儺(ついな)の儀式」が、ゴールデン・ドーンより前には
見つからないという話ですよね。
この原因については、色々とあると思いますが、基本的には「まだ必要性が無かった」と
いう点にあるのではないかと思います。
つまり、
(1) 召喚魔術の効果が無かったので、追儺をする必要も無かった。
(2) 召喚魔術には、常に外部からのエネルギーが必要であり、エネルギー供給を止める
  ことにより、自動的に消火していた。
(3) 召喚魔術の効果は、しょせん時限的であって、時間が経つと自動的に消滅していた。
ということが考えられるわけです。

その一方で、ゴールデン・ドーンにおいては、実用的な魔術開発、すなわち「魔術の効果」
という面でも、かなり積極的な研究開発が行われており、魔術実験に関わる人の数も増え、
さらに色々なタイプの人が実験に参加するようになり、次々と効果の高い魔術が生み出さ
れていきます。
そして、こうした高い効果のある魔術実験が団の内部に徐々に普及していく中で、色々な
タイプの事故が起きたことも想定できます。
男性から女性へ、理系インテリ層から文系一般層へ、そして様々な精神病的な因子を持つ
人々も実験に参加してくるにつれて、今までの単純な実践理論だけでは、トラブルが防ぎ
きれなくなってきていたということがあるわけですよね。

そもそも、ゴールデン・ドーンにおける魔術の基本姿勢は、いわゆる「遊び」にあります。
魔術のせいで、実生活にまで悪影響を及ぼすというのは、いただけませんよね。
ということで、このような問題を根本的に解決するために生み出されたのが、「召喚儀式」
と「追儺儀式」をペアで利用することであった、というわけです。

つまり、ゴールデン・ドーンの魔術の基本手法は、「召喚儀式」によって、リアル空間から
隔絶したバーチャルな魔法空間をサンドボックス的に作成しておいて、その中で心ゆくまで
遊んで、遊び終わったら「追儺儀式」によって、そのバーチャルな空間を閉じて、全てを
終わりにして、無かったことにしようということなのではないかと思うのでした。

この手法は、リアルとは隔絶された高次元仮想空間を利用するため、より自由度の高い実験
が可能となり、さらにセキュリティ的に見ても安全であり信頼性の高いものだと思います。
このような先進的な手法を魔術に適用した人たちって、やっぱり天才だと思うのでした。
240名無しさん :2014/03/14(金)06:55:57 ID:NlBOZyNlg
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
Here again, the ways in which an oral tradition may have been involved cannot be
determined.
ここで、再び、口伝が関係していたかもしれないという方向は、決定することができない。
--- ここまで ---

「Banishing Ritual/追儺(ついな)の儀式」が、ゴールデン・ドーンより前に存在して
いたかどうかという話の続きですが、今となっては「証拠が無いので、よくわからない」
ということが結論です。

薔薇十字運動が、ドイツの30年戦争(1618-1648)により壊滅した後、オカルト的なものの
多くは、地下活動の時期に入っています。
そして、ルネサンス期に開発された魔術理論を応用した、単発的で同人的なグループが
その後あちこちに発生しているのですが、文書記録として残されているものは、そう多くは
ありません。

そして、19世紀に入って、再びオカルトブームみたいなものが始まるまでは、人々の関心は
オカルトのような目に見えないものとは別のところにあったような感じですかね。
まあ、ルネサンス期までは、魔術と科学はカオスで一体的状態でしたが、近代になって
からは、オカルト領域が科学領域から分離され、徐々にアンチ的な社会活動に近いものに
なってきつつありましたので、まあ、そういうことだったりするわけなのです。

そして、科学の発達の度合いに応じて、オカルトもそれらの新しい理論を取り入れながら、
徐々に科学のスキマを縫うように影のように進化していったわけなのですが、それが一気に
開花したのが、ゴールデン・ドーンだったわけです。
とはいえ、ルネサンス末期の薔薇十字運動から近代のゴールデン・ドーンまでの間には、
前述のバレット氏やレヴィ氏などの、単発的で小規模な魔術活動ぐらいであって、
組織的な体系を持つ団体活動については、かなりの空白期間が存在しています。
そして、そういう個人的な魔術活動については、文書記録として残っているものは多くは
ないので、今となっては、推定していくぐらいしか手はないわけです。
つまり、ゴールデン・ドーンの膨大な機密文書の元ネタの中には、ウェストコット氏や
マサース氏の多種多彩なオカルト人脈から極秘に入手された、出所不詳なものも数多く
あるというわけなんですよね。

まあ、わからないことをこれ以上語っても意味ありませんので、これくらいにしておきます。
そもそも、こういう世界の話ですので、ソースがどうとか、信頼性がどうとか、過去の論文
からパクったかどうかとか、そういう「糞マスコミを賑わす、どうでもいいような話」には、
あまり深入りしない方がいいのです。
我々のような研究者にとっては、それが本当に「使えるものなのかどうか」ということが
重要なのですからね。

それに「瓢箪から駒」というのも、この世界ではよくある話なのです。
周囲から「ウソツキ」呼ばわりされ、一度や二度ぐらいの挫折で諦めてしまっていては、
生きてはいけない世界なのですからね。
241名無しさん :2014/03/15(土)06:49:58 ID:LF3XJk18t
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
Historical evidence notwithstanding, the story of Christian Rosencreutz unquestionably
taps into some secret tradition.
歴史的な証拠にもかかわらず、クリスチャン・ローゼンクロイツ氏の物語は、疑いなく、
ある秘密の伝統の中に入り込んでいる。
--- ここまで ---

以前に述べたように、ゴールデン・ドーンの内陣参入儀式の中において、ほぼ丸パクリの
状態で組み入れられている「クリスチャン・ローゼンクロイツ氏の歴史物語」は、史実と
しては全くの虚構であったことは、当時においても既に判明していました。
また、ヘルメス・トリスメギストス氏が書いたと言われている『ヘルメス文書』も、やはり
史実としては全くの虚構であったことも、既に判明していました。
つまり、ゴールデン・ドーンの理論体系というのは、そういった「歴史的な虚構」の上に
組み立てられているものであるということなのです。

とはいえ、オカルト大好きなウェストコット氏やマサース氏が、そういう「歴史的事実」を
知らないはずはありません。
つまりこれは、彼らがリアル歴史を「知らなかった」のではなく、かといって無視したと
いうことでもなく、おそらく知ってて意図的にそうしたということなんですよね。

そう、バーチャル空間には、リアルなんて「そんなの関係ねぇ!(死語)」なのです。

そういう意味においては、ゴールデン・ドーンの思想体系というのは、「反社会的」と
いうものではなく、「非社会的」という存在になります。
「反社会的」というのは、しょせん「社会的」なものとの対立関係であって、社会から
離れて存在できるものではありませんし、しょせん「親」という社会的存在に反抗する
「すねっかじりのクソガキ」みたいなものであって、すこぶるどうでもいいものです。

一方、そういう「社会的」「反社会的」なものとは、ちょっと次元の違う世界にあるのが、
この「非社会的」という存在ですよね。
そもそも、「some secret tradition/ある秘密の伝統」というものは、この人間社会の
次元に存在しているものではありませんので、この人間社会の歴史的事実なんてものは、
しょせん全く関係のないことなのです。
つまりは、上位次元から見れば、この人間社会の出来事は、ノンフィクションであろうが
フィクションであろうが、その全ては単に「虚像」なのであって、「真実」は常にその中に
隠されているということになるわけなのです。

まあ、何が言いたいのかと言うと、世の中には「虚像」しか見えない人が、多数派というか
普通なのであって、数多くの真実が、その「虚像しか見えない人たち」のために、潰され
荒らされ、ゴミクズに覆い尽くされているというのが、このリアルな世界の姿なのです。

え、じゃあどうしたら、その真実が見えるようになるのかって?
残念ながら、ワタシには、その答えは見つかっていません。
今のところは、何らかの先天的なもの、つまりは「ガチで天然系の人(ひょっとして
この人って天才なのかも?)」としか、答えようがないのでした。
とはいえ、ウェストコット氏のように、うまく一般人を装っている場合もありますからねぇ。
242名無しさん :2014/03/16(日)10:17:04 ID:GkG8ijLjZ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
It certainly relates to the same Universal patterns symbolized by the Tarot.
それは確実に、タロットにより象徴化されたものと同様の「普遍的な」様式たちに関係
している。
--- ここまで ---

「Universal patterns/普遍的な様式たち」とあるように、こういったパターン自体は
複数形であって、いずれか一つに特定する必要はありません。
数学や物理の定理や公式や理論が、一つではなく複数あるのと同じようなものですよね。
それらは、人々の目に見える形、すなわち、寓話、神話、伝説、物語、象徴画などとして、
太古の昔より人々の間で大事に受け継がれ、時代や社会にあわせて、コピペされ、改変
されながら、現代においても脈々と研究が進められているのです。
そして、こうして受け継がれているそれらの神秘哲学体系というものは、ある一定の
パターンを持っていることも、皆さんも何となく理解できるのではないかと想います。

そう、何となく、なのです。

既存の科学理論のような、ガチガチの理論体系ではなく、何となくでいいのです。
そもそも、ガチムチの既存理論主義や文書化至上主義や証明至上主義は、百合と薔薇の
神秘の世界や先端研究の世界とは、そう簡単には相容れないものですからね。
そして、こういう先端的でオカルティックな話というのは、簡単には理解できない人も
多いわけですので、どうしても誤解されてしまうことも多いんですよね。
結局のところ、わかる人の間だけで、何となくわかったような、わけわからない内輪話を
するのが、一番いいのではないかとも思ったりするわけなのでした。

現代に生きる我々にとっては、この世界には、いまだに知らないことが多くあります。
つまり、好むと好まざるにかかわらず、どうしても「未知なる偉大なもの(=神)」の
存在を必要としているわけであり、そういう意味においては、「無神論」というものは
単なる三猿の現実逃避であるとも言えるわけなんですよね。
そして神秘主義も先端領域科学も、いずれも「未知なる神の領域」に正面から向き合い、
それらを真剣に探索し研究していく学問なのです。
もちろん、神ならぬ人間がやっているものですので、その中には、いかがわしいものや、
まるっきり信用できないものだって、結構たくさんあったりします。
でも、それって、そういうものなんですよね。
先端分野って、そういうミスや勘違い、そして偽装や詐欺をも許容し、それらを各自が
個々に責任を持って検証して見抜いていく能力と態度が求められる世界なのです。

でも、そういう自由さや奔放さを許せない、心の狭い人々も、世の中にはいるわけです。
そういう意味では、形式主義的なカトリック派と、実質主義的なプロテスタント派の
30年戦争は、現代においても、いまだに続いているということでもあるわけです。

もう、マスゴミ連中とそれに乗っかる似非研究者は、みんな○ねばいいのに。←独り言
243名無しさん :2014/03/17(月)06:58:06 ID:X3MqLioUf
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
The "Hermetic" emphasis of the Golden Dawn on the Egyptian Gods was partly social,
and partly traditional.
エジプトの神々に基づいたゴールデン・ドーンの「ヘルメス主義的」な強調は、ある程度は
社会的なものであり、ある程度は伝統的なものであった。
--- ここまで ---

ゴールデン・ドーン、つまり「the Hermetic Order of the Golden Dawn/ヘルメス主義団体
・黄金の夜明け」と、その前身となった「Societas Rosicruciana in Anglia (SRIA)/
英国薔薇十字協会」の大きな違いは、「ヘルメス主義的」なるものの度合いにあります。

英国薔薇十字協会は、その名前に暗示されているように「キリスト教」がベースにあって
「キリスト教神秘主義」>「(キリスト教)カバラ」>「ヘルメス主義」
という位置づけとなっています。

一方、ゴールデン・ドーンにおいては、表向きには、その比重が完全に逆転しています。
「ヘルメス主義」>「(ヘルメス主義的)カバラ」>「キリスト教神秘主義」

※とはいえ、これはあくまでも外陣の話であって、内陣参入儀式が、完全に「薔薇十字系」
であり、そして内陣が「Rosae Rubeae et Aureae Crucis /the Ruby Rose and Cross of
Gold/ルビーの薔薇と金の十字架」と呼ばれていたことを考えれば、ゴールデン・ドーン
における「ヘルメス主義」の強調というのは、団の客寄せのための「方便」の一つであった
という見方も出来ないことはないわけですけどね。

さて、なぜこのような価値観の逆転現象が起きたのかというと、その主な理由は、
「キリスト教のオワコン化」←ある程度は社会的なもの
「ヘルメス主義のリニューアルによる再ブレーク」←ある程度は伝統的なもの
という点にあるわけです。

オカルトの世界にも、いわゆる流行の栄枯盛衰というものはあるわけですし、その流れに
うまく乗ることで、有名になったり、大金を稼ぐことも出来るわけです。
でもまあ、ワタシの場合は、じっくりと勉強していきたいので、あえて世間の流行から
外れた道を、一人で寂しくグチを垂れ流しながら歩んでいるわけなのでした。

まあ、誰かを道連れにしたいのはやまやまなのですが、今の日本には、こんな与太話に
付き合ってくれるヒマな人は、そうそう見つからないですからねぇ。←近頃グチが多い
244名無しさん :2014/03/18(火)06:54:30 ID:uhNZrMBKf
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 28) ---
In late nineteenth century England there was great curiousity about anything mysterious
and obscure, the science of archaeology being still in its infancy (in 1900, for
example, no Greek art prior to the Parthenon was known!).
19世紀末のイングランドにおいては、神秘的で世に知られていないものは何であれ、
大きな好奇心があり、考古学の科学は、まだその幼少期にあった。(1900年においては、
例えば、パルテノンに先立ったギリシアの芸術は知られていなかった!)
--- ここまで ---

「curiousity」は「curiosity」の誤記ですかね。

さて、古代ギリシア文明の遺産としては、パルテノン神殿(BC438完工)が、有名ですよね。
あと、古代ギリシア文明と言えば、ギリシア神話は、割とよく知られている存在です。
このギリシア神話は、紀元前15世紀頃から神話の原形が作られていたようですが、紀元前
8世紀頃に古代ギリシア文字が完成したことで、それを用いて記述された文学作品として、
紀元前8世紀頃には、割と現在の形に近い体系にまとめられています。

この、紀元前8世紀頃に古代ギリシア文字が作られたというのは、実は重要な要素です。
それ以前のギリシア文明は、「暗黒時代」と呼ばれるほどに、文化的には見るべきものの
ない時代が長く続いていました。
独自の文字体系を持つことが、一つの文化的な発展と関係しているということですよね。

ちなみに、古代ギリシア文明に先立つ文明の本格的な探索と研究は、ドイツの考古学者で
あるヨハン・ルートヴィヒ・ハインリヒ・ユリウス・シュリーマン氏(Johann Ludwig Heinrich
Julius Schliemann, 1822-1890)が、ギリシア神話に出てくる伝説の都市と言われていた
トロイアを、1870年から実際に発掘して実在していたことを証明したことで、活発化して
います。

イギリスにおいては、考古学者であるアーサー・エヴァンズ氏(Sir Arthur John Evans,
1851-1941)によるクレタ島のクノッソス遺跡の発掘が1900年に行われており、それ以後、
イギリスにおいても、古代ギリシア文明に先立つ文明の探索が本格的に始まっています。

とはいえ、古代ギリシア文明に先立つギリシアの文明は、考古学的には確かに興味深い
ものではありましたが、巨大な宮殿や神殿とか大規模な墓とかいう派手な遺産はなく、
読者をわくわくさせてくれるような物語が書かれた本とか、とにかくネタとなりそうな
ものが乏しくて、どうしても地味である点は否めません。
つまり、その点において、それらの研究成果は、一般大衆の注目を集めることは出来ません
でしたし、ゴールデン・ドーンの理論に組み入れられることもありませんでした。

結局のところ、根っからの考古学者ではない一般の物好きな人々は、そういう中途半端な
古代ギリシア文明よりも、はるかに古い歴史を持ち、見た目もド派手な古代エジプト文明
の方に、より多くの夢とロマンを持ったということなんですよね。
245名無しさん :2014/03/19(水)06:58:42 ID:z3j4gPhep
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
Emphasis on the Egyptian Gods served to separate the participants in ritual from
the daily routines of Victorian life.
エジプトの神に対する強調は、ビクトリア朝時代の暮らしの毎日の決まりきった仕事から
儀式の参加者を切り離すのに役に立った。
--- ここまで ---

魔術儀式のような体感的な非日常的イベントは、若干現実離れしている設定の方が魅力的で
あることは、皆さんも、ある程度理解できるかと思います。

ただし、現実離れの設定にするにしても、「誰が見ても、明らかにウソくさいもの」ものは、
できれば排除しておいた方がいいわけです。
つまり、「誰もがまだ本当のことを知らない」けれども「誰もが興味を持っている」ような、
リアルとフィクションの境界線にあるような微妙なライン上にある「腐りかけ」、いやいや
ほどよく発酵が効いたネタを、うまく使いこなすことが、この手の脚本家には求められると
いう感じなんですよね。

当時の古代エジプト文明の研究は、1822年に、フランスの古代エジプト研究者である
シャンポリオン氏によってロゼッタ・ストーンに刻まれたエジプト象形文字が解読され、
その成果により、続々と古代エジプトの秘密が解き明かされていく時代でした。
つまり、当時はちょうど、リアル(古代エジプト考古学)とフィクション(ヘルメス文書
などの古代エジプトに関する妄想文学)がうまく混在している、実に絶妙なバランスの
取れていた、古き良き時代だったのです。

ちなみに、古代エジプト文明に匹敵する古代文明と言えば、古代アトランティス文明とか
ムー大陸とかも、当時のオカルトブームの中でネタになっていましたが、儀式魔術のネタに
するには、あまりにも参考資料が少なすぎたため、儀式魔術の世界においては、あまり
実用性というか人気は無かったようですね。
246名無しさん :2014/03/20(木)06:55:07 ID:WwIZ3RqfR
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
It also effected a separation from Christianity.
それはまた、キリスト教からの切り離しを、もたらした。
--- ここまで ---

古代エジプトのネタは、重荷であって退屈すぎる「日常生活」と「キリスト教」という
リアル社会のしがらみから、心と体を解き放ってくれるための、大事な「鍵」となって
いたということですよね。

さて、このヴィクトリア朝の時代、つまり、ヨーロッパの辺境国であったイギリスが
産業革命により大成功し、女王ヴィクトリア(Victoria, 1819-1901, 在位:1837-1901)の
治世の下で、世界各地を植民地化して、世界規模の「大英帝国」を築いていった時代と、
この古代エジプト文明の関係について、以前にも話題として出ていたのですが、ここで
少々おさらいしておきます。

エジプトは、古代エジプト王朝が、BC30年にローマ帝国の侵略により滅亡した後、しばらく
ローマの支配下にあり、東ローマ帝国の支配下ではキリスト教国となっていました。
東ローマ帝国の衰退の後、639年には、イスラム教国の支配下となり、西洋からは閉ざされた
地となっていました。
近代になってからは、フランスのナポレオンによる1798年のエジプトへの侵攻の後、
エジプトは西洋の文明と技術と資金を取り入れて、社会が急速に近代化していきます。
そして、1869年には、莫大な資金をかけて、フランスと共同でスエズ運河を開通させたり
しています。
日本だと、黒船来航とその後の文明開化みたいなものですかね。
ただし、その急速な近代化は、社会の様々な歪みを生み出し、その隙を突くような感じで、
世界的帝国であったイギリスにより、経済的に支配され、実質的に植民地化されていきます。

そういう社会情勢の中で、イギリスやフランスの手によって、今まで外部から閉ざされて
いたエジプトの開拓が進んでいくわけですが、このエジプトの地には、古代から伝わる
「秘宝」が、数多く埋まっていたわけですので、骨董好きで物好きなイギリス人やフランス人
にとっては、このエジプトというネタの宝庫は、大歓喜なわけですよ。

ちなみに、オカルトの世界でも、古くは『ヘルメス文書』、近代においては、フランスの
クール・ド・ジェブラン氏(1719-1784)、エッティラ氏(1738-1791)、レヴィ氏(1810-1875)、
パピュス氏(1865-1916)という蒼々たるエジプト派がいますので、エジプトに関する新しい
ネタは大歓迎なのでした。
そして、そういうオカルト界の大きな波の中で、ゴールデン・ドーンも、そのビッグウェーブ
に乗っかって、大成功を収めたということですよね。

そう、ゴールデン・ドーンの成功は、その計算し尽くされたプランニングとプロモーション
にあるわけであって、決して偶然だけではないのです。
もし偶然があるとすれば、ウェストコット氏とマサース氏、そしてミナちゃんという、
三人の天才たちの出会いですかね。

ワタシにも、そういう出会いがほしいのですが、天災は忘れた頃にやって来ますが、
天才はそう簡単にはやって来ないですからねぇ。
247名無しさん :2014/03/21(金)22:56:48 ID:B0WKrjM2r
ERROR:行数が多すぎばい。
って表示が出て、なんか書き込めなくなってるんですけど・・・
248名無しさん :2014/03/24(月)06:11:13 ID:VjZESTRhG
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
The Hermetic Order of the Golden Dawn affirmed the pure Renaissance Hermeticism
of Ficino.
「ヘルメス主義団体・黄金の夜明け」は、フィチーノ氏の純粋なルネサンスのヘルメス主義
を支持した。
--- ここまで ---

マルシリオ・フィチーノ氏(Marsilio Ficino, 1433-1499)は、前述した通り、イタリア・
ルネサンスの神秘学の中心地となった「メディチの学院」において、『ヘルメス文書』を
ラテン語に翻訳して、その神秘的な思想体系を西洋社会にもたらし、そしてその思想は、
ピーコ氏の「キリスト教カバラ」へとつながり、そしてそれが「薔薇十字運動」を通して
ゴールデン・ドーンの「ヘルメス主義的カバラ」として開花するわけです。
つまり、ゴールデン・ドーンにとっては、「ユダヤ教カバラ」、「ヘルメス主義」、
「キリスト教カバラ」、そして・「薔薇十字運動」のいずれもが、欠くことのできない大事な
要素となっているということですよね。
とはいえ、これらの思想は、いずれもがキリスト教社会においては異端視されていた存在
であったことも、まぎれもない歴史上の事実なのでした。
そして、ゴールデン・ドーンにおいては、この世俗的な問題点を、「反・キリスト教」の
立場ではなく、「超・キリスト教」の方針を取ることで、うまく回避したということです。

そもそも、「反・キリスト教」というのは、先に「キリスト教」という親があって、その
後に反体制派である「アンチ・キリスト教」という反抗期の息子が生まれるわけですが、
そういう後出し戦略では、世間を納得させられる大義名分を見つけるのって、なかなか
難しいわけなのです。

一方、「ヘルメス文書」の成立は、モーセの書いたと言われる『旧約聖書』の成立以前
という話なので、設定上の歴史的なタイムラインは、以下の順になります。
(1)「古代エジプト宗教」&「ヘルメス主義」
(2)「ユダヤ教」&「ユダヤ教カバラ」
(3)「キリスト教」
(4)「キリスト教カバラ」
(5)「薔薇十字運動」
つまり、「ヘルメス主義」は最も古いものであって、したがって最も貴重であり尊重され
なければならないものという、先出しジャンケンを主張できることになるわけです。
そして、「ヘルメス主義」を掲げるゴールデン・ドーンは、「キリスト教」などの新参者
よりも、ずっと古くて偉いものであり、キリスト教をも含む全ての神秘思想の究極概念と
いうことを、暗に主張してみようというわけなのですよ。

まあ、難しいことは抜きにしても、この「古代エジプト」の要素は、「キリスト教」という
世俗のしがらみを断つ上では、格好の切り札となったということなのですよね。
249名無しさん :2014/03/24(月)06:26:06 ID:VjZESTRhG
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
Philosophically, the system of Egyptian Gods is very comfortably equated with the
Qabalah.
哲学的に、エジプトの神々の体系は、カバラと非常に快適に同一視される。
--- ここまで ---

ここでいう「Philosophically/哲学的に」の意味がどういうものであるのか、いまいち
理解できないのですが、表面的な神話の歴史設定というものではなくて、もっと精神的に
深い意味で、ということではないかと推察しておきます。

とはいえ、現在よく知られているエジプト神話に基づく古代エジプト宗教の体系は、後の
時代になって書かれたものであるため、どこまで話として信じていいのか、よくわかんない
ところもあるんですよね。
そして、そういうよくわかんないところもあるので、逆に自由な発想で、新しい思想に
マッチさせることも可能となっている面もあるわけです。
つまり、「この神は、表面上にはこう見られているが、哲学的には、実はこういう神なのだ」
という、哲学的に適当なことを主張することも可能となる、ということでもあるわけです。

元々、ユダヤ教カバラというものは、『旧約聖書』をはじめとするユダヤ教神話体系の
信仰のために作られたわけであり、そして、キリスト教カバラは、『新約聖書』をはじめと
する、様々にキリスト教神話や聖人伝説の体系の信仰のためにあるわけです。
ですので、同様にして、ヘルメス主義的カバラは、『ヘルメス文書』をはじめとする、
古代エジプト神話や宗教に関連した神話体系に適用することも、理論上は可能なわけです。

とはいえ、カバラを古代エジプト宗教の神話体系に大々的に適用した例は、おそらく、この
ゴールデン・ドーンが最初ではないかと思います。
この新しい試みは、ある程度の成功を収め、物好きな人々の関心を引くことができましたが、
ゴールデン・ドーン系魔術の門外漢のワタシにとっては、ちょっとなじみの薄いものであり、
いまいち理解しずらいものであったりします。

まあ、日本人にとっては、いっそのこと、カバラを日本の神々に適用した方が、わかりやすい
ですし、使いやすいのかもしれません。
でも、そんなことをすれば、神道系の人々から外道呼ばわりされることも確実でしょうし、
一般の人々からも神道系カルト扱いされることも確かでしょう。

そういう意味でも、儀式魔術を既存宗教から独立した、新しい自由な思想体系としておく
ためにも、ヘルメス主義的カバラと古代エジプト宗教の神話の神々を適用するという、
革新的な戦略は、「超・キリスト教」をセオリーとするゴールデン・ドーンにとっては、
必然的な選択であったと言うことができると思うのでした。
250名無しさん :2014/03/24(月)06:50:45 ID:VjZESTRhG
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
Despite the apparent proliferation of Gods and Goddesses, Egyptian religion was
monotheistic.
神と女神の見かけ上の増殖にもかかわらず、エジプトの宗教は一神教であった。
--- ここまで ---

エジプトの宗教が一神教であるかどうかという点については、ちょっと意見が分かれる点
であると思います。
古代エジプトの宗教は、見かけ上は、明らかに多神教の形態となっていますからね。

ちなみに、古代エジプトの神話体系は、他の古代神話と同じように、様々な地方で生まれた
信仰体系の集合体です。
それぞれの地方の伝説が、統一国家を形成していく上で、習合して再構成されて統一的な
信仰体系へと編纂され、さらに支配者にとって都合の良いように改竄されて、国営の宗教
組織を通じて、下々の民衆に布教していくというのが、お決まりの流れとなります。

なお、エジプトの宗教の基本は、おそらく太陽神信仰ではないかと思います。
これは、エジプトが農業中心の産業形態を持ち、農業経営を支配するのが天候であって、
そのため、季節を支配する太陽の働きとその動きが重要視されるということですよね。
歴代の古代エジプトの王族も、太陽神の信仰がありました。

ちなみに、エジプトの太陽神では、「ラー」という名前の神がよく知られていますが、
ゴールデン・ドーンでは、色々と理由付けがあって、「ホルス神」の方がよく使われて
いるようです。
まあ、このあたりの解釈と応用は、個人の趣味の範囲ではないかと思います。

え、なんか説明が投げやりな感じだって?
まあ、こういう分野は、ワタシもよく理解できないところですので・・・
251名無しさん :2014/03/25(火)06:58:07 ID:KtOiGr6bn
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
All of the Gods were aspects or modifications of one ultimate and original deity.
神々の全ては、1つの究極で根源の神性の、「様相」あるいは「修正」であった。
--- ここまで ---

まあ、エジプトの宗教が、いわゆる一神教であるかどうかということについては、ちょっと
意見が分かれる点ではあるのですが、実態的には、そういうことになっている感じです。

古代エジプト文明は、「エジプトはナイルの賜物」と言われているように、ナイル川沿岸の
肥沃な大地と豊富な水を利用した、農業を社会基盤とした巨大な文明地帯となっています。
他の古代文明であるメソポタミア文明や黄河文明も、大河流域の農耕地域に発生しています
ので、これは一つの共通パターンと言えますよね。

これらの地では、最初は小規模な農耕集落であったものが、次第に結合して大きな社会組織
となり、それにつれて急速に文明が進化していきました。
まあ、人間社会の結合ですので、最初のうちは、そんなに平和的ということにはならず、
しょっちゅう戦争を繰り返していたと思うのですが、その中で優勢となっていった組織は、
雪だるま式に膨れ上がって、紀元前3000年頃には、エジプトを統一する巨大国家が誕生して
いきます。

エジプトの統治は、「Pharaoh/ファラオ(王)」と呼ばれる絶対君主による「神権政治」
の形態となっています。
つまり、エジプトにとっては、「神話」は単なるファンタジーではなく、リアルすぎる
歴史である必要があったわけです。
要するに、「ファラオ」という支配者のキャラクタ属性は、「太古より連綿と続く万世一系
の正統な神族の一員」であり、エジプトという国は、その「神聖なる唯一至高神」により、
すべからく完璧に統治された、この世の楽園という設定となったわけです。
まあ、こういうのも、よくあるパターンですよね。

つまり、上に引用されている文は、
「神々の全ては、1つの究極で根源の神性の、「様相」あるいは「修正」であった。」
なのですが、統治者サイドとしては、
「ファラオたちの全ては、1つの究極で根源の神性の、「様相」あるいは「修正」であった。」
ということを実質的に言いたいわけなのです。

要するに、エジプトという国は、「おまえら下々の者たちは、全知全能なる神であるオレ様に、
黙って従え!」という、超ブラック国家であったということなのですよ。

まあ、政治の世界に神を持ち出すと、あまりロクなことにはならないわけですよね。
252名無しさん :2014/03/26(水)06:51:00 ID:U76BhXphz
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
Moreover, like the Qabalah, the Egyptian pantheon shows different aspects of the
same God under different circumstances.
さらに、カバラのように、エジプトの諸神は、異なる状況の下の同じ神の異なる様相を示す。
--- ここまで ---

とりあえず最初のうちは、多民族国家特有の、「おまえんちの神は、オレの神と同じ」と
いう、ジャイアニズム的な神仏習合で、ファラオの権威を高める必要があったわけですが、
国家体制が安定してくると、泥縄的な烏合の衆の神話から、色々と論理的な辻褄合わせを
して、より洗練された体系を持つ「公式設定」が、「色々な意味」で必要とされていきます。
(ここでいう「色々な意味」は、政治的なもの以外も当然含んでいます。)

そして、こういう公式設定化にも、ある一定のパターンがあります。
まずは、家系図みたいに、登場人物の相関関係や掛け合わせ(×)を、きちんと図にして
整理したものが必要です。
あとは、いくつかある王道パターンのストーリを選択しておいて、下請けの脚本家に卸して
おけば、あとは台本が上がってくるのを待つだけです。

まあ、何がいいたいかというと、巨大組織の体系的宗教の神話なんてものは、どれも似た
ようなストーリーになってしまうということなのですよ。

ついでに言うと、カバラの『セフェル・イェツィラー(形成の書)』、『ヘルメス文書』、
初期キリスト教の『聖書候補原稿』、そしてグノーシス系文書などの、神秘主義的な脚本が
書かれた時期と地域は、見事にオーバーラップしているわけですので、結果的に似たような
ストーリーになってしまうのは、半ば必然的とも言えるわけなのです。
まあ、ネタのパクリと使い回し、そしてゴーストライティングは、昔から普通にあるもの
ですので、そう目くじら立てるようなものでもないわけなんですけどね。

要するに、カバラ主義思想、キリスト教神秘思想、そしてヘルメス主義思想そのものが、
「different aspects of the same God under different circumstances/
異なる状況の下の同じ神の異なる様相を示す」
ものでしかないということなのですよ。

同じ元ネタから作られているので、それらが似ているのは当然なのです。←開きなおりっ!
253名無しさん :2014/03/27(木)06:54:53 ID:PDlgpDFLW
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
For example, there are many forms of Horus, all of which have the name Heru imbedded
in its Egyptian name, such as "Horus the Child," or "Blind Horus (Horus at the Head
of Sightlessness)" or "Horus of the two Horizons," whom the Greeks called Harmachis
as opposed to Harpocrates.
例えば、ホルス神の多くの形態があり、「子供のホルス」あるいは「盲目のホルス(視覚の
無い頭部のホルス)」、あるいは、ギリシア人に「ハルポクラテス」に対立するものとしての
「ハルマキス」と呼ばれる「2つの地平線のホルス」などのように、それらのすべては、
そのエジプトの名前に埋め込んだ「Heru/ヘル」の名前を持っている。
--- ここまで ---

この「Heru/ヘル」というものは、ホルス神を表すエジプト象形文字の英語表記であり
「Heru-pa-Khered/子供のホルス」
「Heru-em-sau-ab/盲目のホルス」
「Heru-neb-aakhut/地平線のホルス」
という感じで、古代エジプト象形文字文書の中で使われています。

今では象形文字に関する書籍は数多く出版されていますので、象形文字の実際の表記に
興味のある方は、そういうのを調べてみるのも良いかと思います。

なお、現代に伝わる「古代エジブト神話」には、古代エジプト国家の古代エジプト象形文字
で書かれた公式文書ではなく、後の時代になって、ギリシア語で書かれたものが、後世に
伝わったものが、数多くあります。
結局のところ、色々な人が色々な地方の色々な時代の色々な神話を伝え聞いて、それを
後の時代の人々が、古代エジプト神話として、一つの物語を再構築したような感じです。
ゴールデン・ドーンの時代は、まだ古代エジプト象形文字の解読がまだ十分ではなかった
ため、特にそんな感じですかね。

ちなみに、この「ホルス神」というキャラクタは、最も人々の人気を集めた神であったため、
多種多様な物語が創作されて、後世に数多く残されています。
まあ、「ウルトラマン・シリーズ」とか「仮面ライダー・シリーズ」みたいな感じでは
ないかと思います。
254名無しさん :2014/03/28(金)06:49:43 ID:IjXi4vEj9
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
Horus is Child who is the center of our known Universe in the Qabalah, and to whom
we refer in a variety of ways.
ホルスは、カバラにおいては、我々の知られた宇宙の中心である「子」であり、そして
我々は、様々な方法で、その彼を参照する。
--- ここまで ---

ホルス神に関する神話は、イエス・キリストの神話伝説と似たところがあります。
おそらく、太陽神としてのクラス属性を持つことによって、似たようなストーリー展開に
なってしまうからではないかと思うのですが、実に類似したものになっているのです。
これは、どちらかがどちらかをパクったというようなものではなくて、太陽神という
同じスーパークラスを持つ者同士、王道展開的なネタのカブリは避けては通れないもの
だったりするわけです。

そして、こういうネタのカブリのせいで、従来タイプのイエス・キリストを中心とした
キリスト教カバラは、新タイプであるホルスを中心としたヘルメス主義カバラへと、
割と容易に改変することが可能になったということでもあるわけです。

つまり、ゴールデン・ドーンのヘルメス主義的カバラは、そのベースに、ポピュラーな
「キリスト教カバラ」と「キリスト教の神話体系」を、常に持っていることになります。
そして、この二番煎じ的な要素は、一般大衆のウケを狙うには、実はわりと重要なこと
だったりするわけです。

それと、キリスト教の敬虔な信者であれば、ゴールデン・ドーンにおける遊び的な要素の
中で、直接「イエス・キリスト」に言及することは、ちょっと抵抗のある人もいたと思う
のですが、そういう意味でも、手垢の付いていない「ホルス」の名前の方が、色々な意味で
扱いやすいということもあったのでしょうね。
まあ、何事においても、リアルっぽいものよりは、現実離れしたバーチャルな存在の方が、
より妄想が捗るということなのです。
255名無しさん :2014/03/29(土)08:36:47 ID:OohdJ8qhP
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
And as the Child appears in a variety of ways, so do the Great Father and the Great
Mother.
また、「子」が様々な方法で現われるのと同じように、「偉大なる父」と「偉大なる母」も
そうであった。
--- ここまで ---

この「父」「母」そして「子」の三角関係というのは、物語性における最強の鉄板定番盤石
のネタとして、古代より使い回されている普遍的テンプレートとなっています。
とりあえず、ホルスの父はオシリスで母はイシス、イエス・キリストの父はヨセフで母は
マリア、アマテラスの父はイザナギで母はイザナミ、ウルトラマンの父はウルトラの父で
母はウルトラの母というのが、基本設定です。

なお、ホルス神の父はオシリスで母はイシスというのは、最も良く知られた伝説ですが、
その他にも様々なバリエーションが知られています。、
というか、エジプト神話は、象形文字が近代まで解読できなかったせいもあって、近年に
なってからも、様々なテンプレートが活用されて、贋作、いやいやフリーダムな二次創作が
次々と出現していたわけなのです。
まあ、考古学や歴史学なんてものは、割とそういった捏造、いやいや自由奔放な解釈が、
学術的にもある程度は許される分野ですからね。

もちろん、この手のバリエーションは、古代エジプト神話だけではなく、キリスト系の
神秘伝説や、古代日本の神話にも、割と普遍的に見られるものです。
興味のある方は、各自で色々と調べてみるのも面白いかと思います。

ちなみに、こういう古代の神話伝説というもののパターンというのは、現代においても
ストーリー作りをしていく上において、非常に応用の効くものですので、色々と勉強して
おくと、色々と何かの役に立ちます。
少なくとも、タロット占いというストーリー性を重視する占いにおいては、神話構成の
テンプレートを一通り知っておくことは、ほぼ必需であるとも思うのでした。
そもそも、タロットカードの一枚一枚が、それ自体で一つの物語のテンプレートになって
いますからね。

ワンパターンな語りしか出来ない占い師では、リピーターはすぐに飽きてしまいます。
一流のエンターティナー系占い師になるためには、こういったテンプレートの歴史を
勉強して知識を蓄えておくことは、ぜひとも必要なことなのですよ。
256名無しさん :2014/03/30(日)09:15:25 ID:qzX8xjOex
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
All of this was clearly understood by the Golden Dawn, who found considerable utility
in the Egyptian system of Gods.
この全ては、ゴールデン・ドーンにより明確に理解され、彼らは神々のエジプトの体系の
中に、相当な実用性を見い出した。
--- ここまで ---

最古の文明であるエジプトの神話体系という「文学ジャンル」は、おそらく人類共通の
普遍的なストーリーを持つものであり、後世の『旧約聖書』や古代ギリシア神話などにも
かなりの部分が取り入れられているものと推察されます。

ゴールデン・ドーンが活躍していた時代は、ある程度の象形文字の解読が進んでおり、
古代エジブトの文化が、現代の宗教や神話に影響を及ぼしているのかが、ある程度までは
学術的に理解が進んでいた頃となります。

そして、そういう学術的な理解よりもいち早く、オカルト業界ではエジプトのオカルト的な
理解と応用が進んでいて、もう何でもかんでも全部エジプト一人でいいんじゃないかな〜
という「行き過ぎたエジプト起源説」が唱えられていた時代でもあります。
まあ、確たる証拠も無く、そういう仮説を唱えることは、まあ良くあることなので、それは
それでいいのですが、どう見ても「それは違うだろ!」と、ツッコミを入れたくなるような
トンデモ説も、数多くあった時代でもあるわけです。

いずれにしても、古代エジプト文明って、神秘業界では昔からずっと人気のあるジャンル
であり、それは現代にまで、ずっと続いているものです。
それは、ピラミットやスフィンクスや神殿などの巨大な遺構、王家の墓のミイラや黄金の
副葬品などの遺物、そして神秘的な象形文字など、とにかく一般の人々にとっても興味を
引くような、色々なミステリーを提供してくれる神秘ネタの宝庫となっているからですよね。

ゴールデン・ドーンにおいても、そのような「オカルト的エジプト研究」が熱心に行われ
ており、様々な論文や儀式の脚本が書かれ、舞台装置や魔術道具などが製作されています。
そしてそれらのネタは、実践魔術というジャンルにおいては、ある意味できわめて実用性の
高いものであったということでもあります。

ちなみに日本においても、歴史のジャンルだけでなく、ゲームなどの一般娯楽分野でも、
このエジブトのネタは、とても人気のある分野となっていますよね。
ゲームやアニメの世界でも、ストーリー作りに困った時は、とりあえずエジプト起源説に
しておけばいいかな、という安直なネタとして重宝されていますからね。
あとは、アトランティス大陸とか、ムー大陸とか、邪馬台国や卑弥呼とかも、割とよく
使われているネタだったりしますよね。
257名無しさん :2014/03/31(月)07:10:53 ID:CvkF5edXB
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
These Gods express universal relationships better than any other Pantheon.
これらの神々は、どんな他の諸神よりも良い普遍的な関係を表現する。
--- ここまで ---

古代エジプトの宗教に登場する神々の体系が、他の民族の宗教のものよりも普遍的である
ということは、まあ要するに、ほぼ何でもあり、ということもあるわけなんですよね。

他の宗教体系の神々が、明文化された固定的な公式設定を持ってしまったのに対して、
古代エジプトの宗教体系自体は、象形文字として公式に残されたもの以外は、ほとんどが
後世への口伝という曖昧な形で残されたものであるため、後の時代の創作や改変もあって、
内容の真否については、よくわからないものがほとんどなのです。

おまけに、古代エジプトの宗教体系自体は、著作権や版権などの権利関係が切れてしまった
完全にオープンソースでコピーフリーなものであり、さらに当時のエジプトは、大英帝国の
半植民地でもあったために、どのような形のパクリ、いやいや二次使用であっても、誰も
異議や苦情を申し立てる人がいなかったわけです。

そういったこともあって、タロットカードが古代エジプト起源になったり、古代エジプト風
デザインのカードが作られて大ヒットしたり、なぜか儀式魔術の体系にも取り入れられたり
してしまうわけですよね。
こうして、使いやすい上に人気のあるコンテンツであった「古代エジプトの宗教体系」は、
こういった良くある理由で、「ユダヤ・キリスト教」に代わる神秘的で新しい理論として、
積極的にゴールデン・ドーンの魔術理論体系に組み入れられ、活用されていったのでした。

要するに、ゴールデン・ドーンがエジプトの宗教体系を取り入れたのは、ウェストコット氏や
マサース氏やミナちゃんの趣味というだけではなく、ちゃんとした(後付けの)理由があった
ということなのです。

まあ、たまたま彼らのやろうとしたことが、時代の風潮にうまく合致した結果として、
ゴールデン・ドーンという実験的組織が大ヒットしたということなのですが、まさしく
これが「勝てば官軍」とか「天才と○○は紙一重」ということなわけです。
そして、ウェストコット氏だけでも、マサース氏だけでも、そしてミナちゃんだけでも、
ゴールデン・ドーンは成立していなかったということであり、こういう時代の中で、そして
多くの人々の関わりの中で、こういう革新的な大ヒットが生み出されていくわけなのです。

そして、ワタシがここでやっていることは、しょせん時代遅れの二番煎じであって、さらに
協力者も皆無という、かなり絶望的な雰囲気なのでした。←いきなり自虐
まあ、変に世間の注目を浴びてスレが大騒動になるよりは、一人静かに勉強している方が、
いいのかもしれませんけどね。←負け惜しみ
258名無しさん :2014/04/01(火)07:45:08 ID:vkCk5KDUs
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
Today, however, the Order's dependence on Egyptian Gods is viewed by many students
as only a curiosity of the past.
今日では、しかしながら、団のエジプトの神々についての依存は、過去の好奇心だけである
として、多くの研究家により見られている。
--- ここまで ---

ゴールデン・ドーンの魔術体系、儀式の脚本や舞台装置や小道具、そしてタロットカードの
デザインには、かなり濃いめの「エジプト風」の味付けがされています。

まあ、ゴールデン・ドーンの魔術体系は、学術領域のものではありませんので、歴史分野
などの学術研究家から見れば、正体不明で素性のはっきりしないエジプト要素というものは、
どちらかというと「すこぶるどうでもいいもの」であり「勝手にやっといてくれ」なわけです。

オカルト研究家であったウェイト氏も、ゴールデン・ドーンの行き過ぎたエジプト偏重主義
に嫌気がさして、元々のキリスト教神秘主義の方へと軸足を戻していたりしますからね。

とはいえ、何事においても、最初に何かすごいことをやる人って、かなり個性的な人が
多いわけです。
・オカルトが大好きで、ちょっとおちゃめな検死官ウェストコット氏
・やることなすこと変人だけど、決して憎めないタイプの大魔人マサース氏
・エジプト芸術大好きインテリなのに、とこか変てこな趣向のミナちゃん
この妙なる三人組が、ネタとしての「古代エジプト」に食らいついたのは、決して偶然とは
思えませんし、単なる過去の好奇心だけとも思えませんよね。

そして、もしゴールデン・ドーンが映画化されるとしたら、その脚本家は、「この不思議な
能力を持つ三人は、運命の女神の導きにより、古代エジプトの悠久の大地へと誘われ、
その地で古代エジプトの神々により、いにしえの偉大なる秘伝の魔法を授かった」という
ような、すこぶるドラマチックな前振りを書くのではないかと思うのでした。

つまり、ネタとしてきちんと使えるものであれば、そしてきちんと機能するものであれば、
ワタシとしては、エジプトであれ何であれ歓迎というわけなのですよ。←節操の無い人間
259名無しさん :2014/04/01(火)08:01:25 ID:O7BvNFPPd
サンキューガッツ
260名無しさん :2014/04/02(水)08:50:45 ID:VxgNHcUY3
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
THE TREE OF LIFE
生命の木
--- ここまで ---

ここから、「カバラ」の章の中での新しい節になります。

サブタイトルは「生命の木」です。

これまでずっと「カバラ」の前振りとなる歴史的経緯や背景について語ってきましたが、
ここからやっと「魔術カバラ」の根幹を成す「生命の木」の説明の本編に入ります。

まあ、今までのダラダラしたアバン的な内輪話で、もうすっかり「カバラ」に対して興味を
無くしてしまった人も多いのではないかと思いますが、ある程度そういう脱落者が出ること
も見越した上なんですよね。

そして、そういうダラダラとした前振りの中にも、大切なネタ情報とか心構えという
ものもあったりしますので、初心者の方は、とりあえず作者であるウォン氏の意図通り、
この本の最初からきちんと通して読んでおくことを、お勧めします。

>>259
ガッツって誰だよww
261名無しさん :2014/04/03(木)10:40:45 ID:t5lfMfib9
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
The Tree of Life (Figure 1) is intended to symbolize the entire universe, a proposition
so vast in its implications that some may doubt that such a symbol is even possible.
「生命の木」(図1)は、全宇宙を象徴化するように意図されており、そのような象徴が
本当に可能であるのかと疑う人たちがいるであろうほどに、その意味するものは広大な
命題である。
--- ここまで ---

おっと、いきなり最初から、全く遠慮というか謙遜というものを知らないくらいの大風呂敷を
広げてしまいましたね。
とはいえ、読者の興味を引くためにも、最初は大風呂敷を広げておくのがいいのも確かです。
日本人のように、最初から下手に出ていては、相手の関心を集めることは難しいですからね。

ちなみに、図1は次ページにあり、ごく一般的な「生命の木」の図が描かれています。
なお、図のアップロードは諸般の事情により行えませんので、図中の文字部分だけを、
以下に翻訳しておきます。
図を見てみたい人は、ぜひ原著を買ってくださいね。←ステマか?

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 30) ---
AIN/アイン 無
AIN SOPH/アイン ソフ 無限
AIN SOPH AUR/アイン ソフ アウル 無限の光

1 KETHER The Crown/1 ケテル 王冠
2 CHOKMAH Wisdom/2 コクマー 叡知
3 BINAH Understanding/3 ビナー 理解
4 CHESED Mercy/4 ケセド 慈悲
5 GEBURAH Severity/5 ゲブラー 峻厳(しゅんげん)
6 TIPHARETH Beauty/6 ティファレト 美
7 NETZACH Victory/7 ネツァク 勝利
8 HOD Splendor/8 ホド 栄光
9 YESOD Foundation/9 イェソド 基盤
10 MALKUTH Kingdom/10 マルクト 王国

Figure 1. The Ten Holy Sephiroth on the Tree of Life
図1 「生命の木」の上の、10の神聖なるセフィロト
--- ここまで ---
262名無しさん :2014/04/04(金)10:01:07 ID:CdplR9FZc
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
It is a deceptively simple diagram composed of ten spheres called Sephiroth, and
twenty-two connecting lines called Paths.
それは、「セフィロト」と呼ばれる10個の球体、および「小径」と呼ばれる22本の接続線から
構成される、一見単純な図形である。
--- ここまで ---

さて、その大風呂敷の中身ですが、ぱっと見には、実にシンプルな素っ気ない図形なのです。

10個の円と、その円をつなぐ22本の線。
たったこれだけです。

こんなものが「symbolize the entire universe/全宇宙を象徴化する」ものであると
いうのは、もう驚きを通り越して、いきなり笑ってしまいそうになりますよね。

ありえない・・・。
そう、そんなことって、マジありえないことなのです。
でも、ありえないから神秘なのであって、もしもありえることであれば、それは単なる
サイエンスなのですから・・・。

なお、「セフィロト」の「[tau][vau][resh][yod][ph][samekh]:SPYRVTh」というヘブライ
語は複数形です。
単数形は「Sefirah/セフィラ」であり、ヘブライ語では「[he][resh][yod][ph][samekh]:
SPYRH」となります。

このセフィラの語源は、「サファイアの宝石のキラキラとした輝きを意味するもの」とか
「数を意味するもの」とか、「円や球を意味するもの」とか、色々な説があります。
つまり、大ざっぱに言えば、「数えることを意図した、キラキラと光輝く球体」という
感じでいいと思います。

要するに、天空に輝きの異なる10個の太陽があるかのようなイメージですかね。
そう、これってまさに、宇宙創造の世界のイメージではないかと思うのでした。

え、おまいの勝手な妄想はどうでもいいから、さっさと先に進めって?
263名無しさん :2014/04/05(土)09:00:53 ID:M9G2PbOM4
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
Collectively, the Sephiroth and Paths are called the Thirty Two Paths of Wisdom.
合わせて、セフィロトと小径は、「智恵の32の小径」と呼ばれている。
--- ここまで ---

この「the Thirty Two Paths of Wisdom/智恵の32の小径」という言葉は、カバラでは、
『セフェル・イェツィラー(形成の書)』の冒頭に出てくる、とても有名な言葉です。
ウェストコット氏の英訳版(1887年発行)においても、冒頭に「In two and thirty most
occult and wonderful paths of wisdom/2と30の最も神秘的で不思議な智恵の小径の内に」
という言葉に翻訳されています。

つまり、カバラにおいては、「the Thirty Two Paths of Wisdom/智恵の32の小径」と
いうものが、全ての始まりであり全ての基本となっています。

最初は「一つ」のものから始まるのが普通なのですが、このカバラの『セフェル・
イェツィラー』は、なぜか32という不思議な数値から始まっているわけです。
これは、何が言いたいかというと、「(生命の木を構成する)32の小径」は、この宇宙を
記述するために必要にして十分なもの、つまり、唯一の「完全無欠なるもの」という
ことなのですよね。

まあ、何の根拠も無く、いきなりそんな決めつけられたようなことを言われても・・・
と思うのですが、実のところ、それ以降の『セフェル・イェツィラー』の文章を読んでも、
この壮大な結論を証明するような、科学的な記述は存在していません。

つまり、誰も証明することができない命題ですので、我々自身で、これを研究していく
必要があるということなんですよね。
とりあえず、カバラにおいては、この宇宙の全てのものは、この「32の智恵の小径」を
図式化した「生命の木」に関連付けられている、という仮説が前提となっているという
ことは覚えておきましょう。

まあ、生命の木自体が、『旧約聖書:創世記』を基にしたものあり、そこで記述される
宇宙創造の物語は、現代宇宙論と同じように、いまだに研究途上のものであるので、
そういう意味では、オカルトの世界も先端科学の世界も、似たようなものなのです。
どちらも、ほぼ全ての理論が、いまだに証明できていない仮説を前提として成り立って
いるわけですからね。
264名無しさん :2014/04/06(日)09:57:46 ID:e5ljLtz7h
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
The Ten Sephiroth are:
「10個のセフィロト」は以下の通り:
1. KETHER, [resh][tau][kapf] The Crown
1. ケテル、[resh][tau][kapf] 「王冠」
2. CHOKMAH, [heh][mem][kapf][cheth] Wisdom
2. コクマー、[heh][mem][kapf][cheth] 「叡知」
3. BINAH, [heh][nun][yod][beth] Understanding
3. ビナー、[heh][nun][yod][beth] 「理解」
--- ここまで ---

とりあえず、最初の3つのセフィロトの紹介です。

ちなみに、この「コクマー/Wisdom/叡知」という言葉は、『セフェル・イェツィラー』の
冒頭に出てくる「the Thirty Two Paths of Wisdom/智恵の32の小径」という言葉に出てくる
「智恵」と、ヘブライ語では同じ「 [heh][mem][kapf][cheth]:ChKMH/コクマー」なのです。

もちろん両者は同じ「Wisdom/智恵」ではなく、生命の木を表す「32の小径」の方が上位
存在であり、セフィラの1つであるコクマーの方が、下位存在となっています。

何が言いたいかというと、続きは次の文で。(笑)
265名無しさん :2014/04/07(月)09:04:11 ID:Tvvn0HcVZ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
Between Binah and the next Sephira is an invisible Sephira known as Daath, or
Knowledge.
ビナーと次のセフィラの間には、「ダアト」、もしくは「知識」として知られている
不可視のセフィラがある。
--- ここまで ---

この「Daath/ダアト」そして「Knowledge/知識」を意味する言葉は、ヘブライ語では
「[tau][ayin][daleth]:DAaTh」と綴ります。

『旧約聖書:創世記』の物語を知っている人であれば、この言葉が何を意味しているのかは、
もう大体気づいていますよね。

ヘブライ語の「生命の木」は「[mem][yod][yod][cheth][he] [tzaddi][ayin]:AaTz HChYYM」、
そして(善悪の)「知識の木」は「[tau][ayin][daleth][he] [tzaddi][ayin]:AaTz HDAaT」
と綴ります。

つまり、この「ダアト」というセフィラは、人類がエデンの園で体内に取り込んだ「知識の木」
そのものであることが暗示されているわけです。
そして、この「ダアト=知識の木」というミエミエの暗示が何を意味しているのかについては、
今でも様々な仮説があって、人々の妄想の範囲内で色々なことが言われています。

ワタシ自身の考えでは、「生命の木の32の小径」というものは、究極のスーパークラスで
あって、そのインスタンスとして実装されたものが
・「智恵」を可視化した「生命(智恵)の木」:
  マクロコスモスを支配する。
  不可視の「ダアト」を隠しゲートとして「知識の木」とコンタクト可能。
・「知識」を可視化した「知識の木」:
  ミクロコスモスを支配する。
  不可視の「コクマー」を隠しゲートとして「生命(智恵)の木」とコンタクト可能。
というような、超対称性を持つものではないかと推測しているのでした。

この理論から言うと、私たちは「知識の木」の支配する地上世界に生きていて、
「コクマー/智恵」を鍵として使える人のみが、「生命の木」の宇宙の神秘にアクセス
することが可能であるということになります。
まあ、これはこれで面白い理論なのですが、こういうのも仮説というか妄想の1つであり、
証明できていないオカルト理論であるということですけどね。

ということで、ヒマな人は、自分で色々と妄想して、自分なりの新しい仮説を作ってみる
のも面白いのではないかと思います。
266名無しさん :2014/04/08(火)07:13:59 ID:HITtX9lbp
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
It is not represented on the Tree, because it is a bridge, built by each individual
across the Abyss existing between the upper Sephiroth and those below.
それは「木」の上には描写されない。なぜならそれは、上部のセフィロトとそれらの下位の
間に存在する「深淵」を渡る各個人により構築された橋であるからである。
--- ここまで ---

この文章の意味がいまいち理解できていないのですが、「生命の木」の公式理論によれば、
セフィロトは、上位世界(ケテル、コクマー、ビナー)と、それ以下のセフィロトからなる
下位世界があり、その間には、「Abyss/深淵」と呼ばれる「超えられない壁」もしくは
「埋まらない溝」があるとされています。
そして、その橋渡しをするような位置に、見えないセフィラである「Daath/ダアト」が
ひっそりと隠れて存在しているいうことになっています。←あくまでも伝聞です。
きっと、「裸の王様」の豪華な衣装のように、「馬鹿には見えない」ものなのでしょうね。

なお、この「ダアト/知識」というセフィラについての最初の記述は、ワタシが知っている
限りにおいては、13世紀の『ゾーハル(光輝)の書』の「大聖集会:第28章」になります。
邦訳版の『ヴェールを脱いだカバラ』だと、211ページにありますので、興味のある方は
見ておいてください。

ちなみに、「生命の木」の10個のセフィロトによる標準形を描くと、このダアトの位置が、
ぽっかりと空いているように見えます。
ここを『セフェル・イェツィラー』という先人の意見を尊重して「Abyss/深淵」のままに
するのか、それとも『ゾーハルの書』の新しい理論を取り入れて「Daath/ダアト」という
新しいセフィラを配置するかという点についてのデザイン面での攻防が、相当にあったの
ではないかと思います。
結果的には、決着が付かずに、玉虫色の結論にしておこうということになったのではないか
と思うのでした。

とはいえ、こういう「曖昧」なものが体系内に存在すると、理論としては使いづらいものに
なりがちですので、実践面では、割と省略されることも多いわけです。
ちなみに、タロットでは、この「ダアト」の存在は、ほぼ完全に無視されていますよね。
267名無しさん :2014/04/09(水)06:57:22 ID:40gL3tBx2
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 29) ---
4. CHESED, [daleth][samekh][cheth] Mercy
4. ケセド、[daleth][samekh][cheth] 慈悲
5. GEBURAH, [heh][resh][vau][beth][gimel] Severity
5. ゲブラー、[heh][resh][vau][beth][gimel] 峻厳(しゅんげん)
6. TIPHARETH, [tau][resh][alepf][peh][tau] Beauty
6. ティファレト、[tau][resh][alepf][peh][tau] 美
7. NETZACH, [cheth][tzaddi][nun] Victory
7. ネツァク、[cheth][tzaddi][nun] 勝利
8. HOD, [daleth][vau][heh] Splendor
8. ホド、[daleth][vau][heh] 栄光
9. YESOD, [daleth][vau][samekh][yod] Foundation
9. イェソド、[daleth][vau][samekh][yod] 基盤
10. MALKUTH, [tau][vau][kapf][lamed][mem] Kingdom
10. マルクト、[tau][vau][kapf][lamed][mem] 王国
--- ここまで ---

「深淵/ダアト」の下にある、残り7つのセフィロト群の簡単な紹介ですね。

生命の木の構造自体は単純なものですので、とりあえず覚えておけるものは丸暗記して
おくと、色々な場面において、それを利用し活用することが出来るようになります。
というか、しっかりと覚えて体の一部にしておかないと、実際に応用することは
出来ないですからね。

そもそも「智恵」と「知識」は、人間においては一体化して運用すべきものですからね。
268名無しさん :2014/04/10(木)09:27:22 ID:XUtaZKWej
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 30) ---
The Tree of Life, used by modern Hermetic-Qabalists, was first published in Kircher's
Oedipus Aegypticus in 1652 (Figure 2A).
現代のヘルメス主義的カバラ主義者により使用される「生命の木」は、キルヒャー氏の
1652年発行の『エジプトのオイディプス』の中で最初に出版された(図2A)。
--- ここまで ---

アタナシウス・キルヒャー氏(Athanasius Kircher, 1601-1680)は、ドイツのイエズス会の
司祭でありながら、医学や古代エジプト研究を含む幅広い分野の学者でした。
当時のドイツは、30年戦争(1618-1648)によりプロテスタント系のルネサンス的オカルトの
取り締まりが厳しい時代でしたが、それでもカトリックの世界(イエズス会)に、
それらの知識が受け継がれていたということなのですよね。
ちなみに、このキルヒャー氏の『Oedipus Aegypticus/エジプトのオイディプス』は、
1652年から1654年にかけて、3部作としてイタリアのローマで発行されています。

なお、この「エジプトのオイディプス」という本のタイトルは、古代ギリシア時代の有名な
悲劇作品である、古代ギリシア都市国家テーバイの王のオイディプスの物語の中で、
オイディプス王がスフィンクスの出した謎に全て答えたことを、ネタとしたものです。
つまり、キルヒャー氏は、この本の中で、古代エジプトの象形文字を完全に解読して、
古代エジプトに関わる謎のいくつかを解明したという意味を持たせたタイトルなのです。

とはいえ、キルヒャー氏の本は、いわゆる「ヘルメス主義的幻想芸術文学」そのもので
あって、実際に古代エジプトの象形文字が解読されたのは、この170年後の1822年に、
シャンポリオン氏による学術的な解読まで待たなければならなかったんですよね。

ちなみに、図2は次ページにあり、「生命の木」の4つの図が描かれています。
なお、図のアップロードは諸般の事情により行えませんので、図中の文字部分だけを、
以下に翻訳しておきます。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 30) ---
Figure 2. Development of the Tree of Life diagram.
図2 「生命の木」の図形の発展。
A) Form of the Tree in Kircher's Oedipus Aegypticus, 1652.
A) キルヒャー氏の『エジプトのオイディプス』における「木」の形、1652年発行。
B) Adapated from Robert Fludd, Complete Works, 1617.
B) ロバート・フラッド氏の『全集』から改作されたもの、1617年発行。
C) Illustration from Porta Lucis, Ausburg, 1516.
C) 『光の扉』からの図版、アウグスブルク、1516年発行。
D) Illustration from Pa'amon ve Rimmon, 1708.
D) 『柘榴の木』からの図版、1708年発行。
--- ここまで ---

ちなみに、B)の「Adapated」は「Adapted」、C)の「Porta」は「Portae」、「Ausburg」は
「Augsberg」の誤記であり、図中のCの「1517」は「1516」の誤記だと思われます。
269名無しさん :2014/04/11(金)08:56:56 ID:I3VK2diaS
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 30) ---
And while this Tree must have undergone a lengthy development, its historical roots
appear buried in the secret past of Mystery religions.
そして、この「木」は長々しい開発を経験し続けているに違いないけれども、その歴史上の
根源は、秘教的な宗教の秘密の過去の中に埋蔵されたように見える。
--- ここまで ---

そもそも、ミステリー系の誕生伝説は、リアルな歴史とは全く関係のないデッチ上げである
ことが、お約束となっていますが、ミステリー系に限らず、リアルな歴史を検証するのって、
実のところ容易ではないんですよね。
とりあえず、我々のような凡人は、偉い先人の手により、ある程度まで検証され認定済みの
著名な文献を参考にするしか手は無いのですが、さほど著名ではない文献の場合は、その
内容の歴史的な検証も含めて、かなりややこしい作業となるわけです。

とりあえず、「生命の木」の直接的なルーツについては、今まで述べてきたように、
・『Sefer Yetzirah/形成(創造)の書』3世紀以降
・『Sefer ha-Bahir/バーヒル(光明)の書』12世紀
・『Sefer ha-Zohar/ゾーハル(光輝)の書』13世紀
が、有名であり、研究も進んでいて影響力も大きいわけですので、とりあえずこれらを
きちんと見ておくことをお勧めしますが、そういえば『バーヒルの書」って、まだきちんと
した邦訳が無かったんですよね・・・。

さて、この「キルヒャー版・生命の木(1652年)」ですが、ゴールデン・ドーンのものと
比較すると、10のセフィロトと22のパスの形は同じなのですが、それ以外の点では、
いくつかの相違があるのに気づきます。

まあ要するに、「生命の木」というものは、永遠に進化し続けるものであり、理論上の
完成形というものは存在しないのです。
ちなみに、ワタシが他の形態で面白いと感じているものは、18世紀にデザインされた
「Gra Tree」と呼ばれている、ダアトを必要とせず、シンプルで対称度の高い形式で
ありながらも、そこそこのネタを含んでいるものです。
ただし、ゴールデン・ドーンのタロットの体系になじまないのが、最大の問題ですけどね。

そして、現代においても、色々な「生命の木」がデザインされ、発表されています。
興味のある方は、自分なりのオリジナルの生命の木のデザインに挑戦してみるのも
いいかと思います。
270名無しさん :2014/04/12(土)08:16:34 ID:dlsoAheey
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 30) ---
Moreover, a general developmental sequence is difficult to establish as Jewish
Qabalists espoused different forms of the Tree.
さらに、一般的な発達の順序は、ユダヤ教カバラ主義者たちが「木」の異なる形式を採用した
こともあって、確立することは難しい。
--- ここまで ---

「木」の基本的な理論や構造は、ユダヤ教カバラの世界の中で、長い時間をかけて開発
されてきたわけですが、ユダヤ教カバラの開発システム自体が、ディアスポラのせいで、
センターサーバーや公的責任者を持たない、完全分散型の開発体制となっていたために、
公式資料化されたものが著しく少なく、残されている研究開発資料も、サークル内の
メモとか書簡とか、そういう私的写本レベルの研究文書がメインとなっているので、
「general/一般的」なものを提示することって、かなり難しいわけです。

そして、そういったバラバラなユダヤ教カバラの開発体制の多種多彩な成果物が、
キリスト教カバラやヘルメス教カバラから随時パクられ、いやいや引用され利用されて、
そして、そういう紆余曲折の中から、ゴールデン・ドーンの手によって、魔術業界標準の、
「生命の木」の形式が提示されたというのが、今までの経緯となっています。

というわけで、魔術業界ではゴールデン・ドーンの形式で公式化しているのですが、
ユダヤ教カバラの世界では、いまだに色々なものが研究されているようです。
まあ、進化し変化するのが研究であり、標準化し固定化するのが業界という棲み分けが、
うまく出来ているわけです。

こういうのって、天文学と星占い業界との関係にも、何となく似ていますよね。
271名無しさん :2014/04/13(日)10:18:52 ID:mdibpihqG
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 30) ---
The first reference to a "Secret Tree" is in the Bahir, appearing in France around
1200.
「秘伝の木」についての最初の言及は、1200年頃のフランスに現われる『バーヒル』にある。
--- ここまで ---

これまでにも述べているように、『セフェル・イェツィラー』の「智恵の32の小径」と、
『旧約聖書:創世記』の「生命の木」の関連性についての最初の記述は、12世紀後半に
世に出た『バーヒルの書』にあります。

英訳版であれば、全文をネットでも見ることが出来ますので、興味のある方は、ぜひ一度
目を通しておくといいです。

ワタシも久しぶりに目を通してみたところ、『バーヒルの書』には、「ダアト」についての
暗示が、既にその中にあったことに気づきました。
つまり、「ダアト」についての最初の言及は、『ゾーハル』ではなく『バーヒル』であると
いうのが正解のようですね。

それにしても、『セフェル・イェツィラー』の「智恵の32の小径」が、なぜ「生命の木」に
関連付けされることになったのかという点なのですが、本当のところは、よくわからない
わけです。
まあ、色々とこじつけて説明することは可能なのですが、いずれにしても、ミステリーの
世界の話ですので、無理に言葉で説明する必要も無いわけなんですけどね。
272名無しさん :2014/04/14(月)09:19:01 ID:IWwhKUdBE
「カバラ」の章の続きです。

本編の前に、訂正です。
>>271 の引用箇所は、pp.30 ではなく、pp.31 でした。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 31) ---
If, however, one were to draw a Tree on the basis of that text, only eight of the
ten Sephiroth, Binah through Malkuth, would be included, since the Tree is stated
to grow as it is watered by Wisdom (Chokmah).
しかしながら、もし仮に、人がその原文に基づいて「木」を描いたなら、「木」は、それが
知恵(コクマー)によって給水されて成長すると述べられているので、10個のセフィロトの
うち、ビナーからマルクトまでの8個だけが、含まれるであろう。
--- ここまで ---

これについては、ワタシには『バーヒル』のどの箇所のことを指しているのかを、きちんと
特定することは出来ませんでした。
そもそも、「生命の木」自体が「the Thirty Two Paths of Wisdom/智恵の32の小径」で
あって、この「生命の木」を構成する「Wisdom」は、「コクマー」の「Wisdom」とは性質の
違うものだと思われますからね。

とはいえ、『バーヒル』の中で、ちょっと気になる箇所を、以下に引用しておきます。
--- ここから --- (Bahir, 128節の一部) ---
[The Kedushah is the verse (Isaiah 6:3), "Holy holy holy is the Lord of Hosts,
the whole earth is filled with His Glory."]
[神聖なる一節がある(イザヤ書、6:3)「聖なる 聖なる 聖なる は「万軍の主」であり、
地球全体が「主の栄光」で満たされている。」]
What is the meaning of "holy holy holy"?
「聖なる 聖なる 聖なる」の意味は何であるか?
[And why is it] foollowed by, "the Lord of Hosts, the whole earth is filled with
His glory"?
[そして、なぜそれが]「「万軍の主」であり、地球全体が「主の栄光」で満たされている。」
と続くのか?
The [first] "holy" is the highest Crown.
「第一の」「聖なる」は、至高の「王冠」である。
The [second] "holy" is the root of the Tree.
「第二の」「聖なる」は、「木」の根である。
The [third] "holy" is attached and unified in them all.
「第三の」「聖なる」は、それら全てに結ばれ統合されている。
--- ここまで ---

ここだけを読むと、「ケテル:王冠」と「コクマー:根」は、地上に見える「木」の構成物
ではなく、より根源的なもののようにも思えます。
この他の箇所にも、ケテルとコクマーは、他のセフィロトとは性質が異なる特別なもので
あるように見える表現もありますので、カバラをよく理解していない人は、ケテルとコクマーを
別格扱いとして、ビナーからマルクトだけを使って「生命の木」を描く可能性が無いとは
言えないということですかね。
273名無しさん :2014/04/15(火)08:20:51 ID:zTzMGpu3a
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 31) ---
Something of the amorphous spirit of that first Tree is found in the diagram
published by Robert Fludd in 1617 (Figure 2B).
その最初の「木」の無定形の精神のようなものは、1617年にロバート・フラッド氏により
出版された図形で見い出される(図2B)。
--- ここまで ---

ロバート・フラッド氏(Robert Fludd, 1574-1637)は、今までに何度も述べているように、
イギリスの医師であり、そしてイギリスの魔術師としても、ジョン・ディー氏(John Dee,
1527-1608)の後継となり、薔薇十字運動を熱烈に支持して、多くの著作を残しています。

このロバート・フラッド氏の「生命の木」の図版は、1617年から1621年にかけて発行された
『Utriusque Cosmi Historia/両宇宙誌』の第二巻に掲載されています。

ちなみに、現代の「生命の木」は「柘榴の木」をイメージしたものですが、フラッド氏の
ものは「なつめやしの木」をイメージしたものとなっています。
この「柘榴」と「なつめやし」は、『旧約聖書』や、ライダー・ウェイト版タロットの
「高等女司祭」のカーテンにも描かれているように、「木」のイメージによく使われる
モチーフです。

それにしても、このフラッド氏の「生命の木」のセフィロトの配置って、どういう経緯で、
このような一次元的な形になったのでしょうね。
この形は、『セフェル・イェツィラー』や『バーヒルの書』や『ゾーハルの書』のような
ユダヤ教カバラの本流路線を、ほぼ完全に無視しているようにも見えます。
イギリスでは、1655年までユダヤ人が入国禁止でしたので、当時のイギリスではユダヤ教
に関する知識を得ることは、ほぼ不可能でした。
結局、フラッド氏のユダヤ教カバラの知識は、若い頃の7年間のヨーロッパ大陸遍歴の頃に
限られるわけですが、当時は医学者として修行中であり、神秘学に関する興味も、ヘルメス
主義的なものがメインでした。

そして、よく見てみると、この「生命の木」の図形は、ジョン・ディー氏のモナス(単子)
の図形に通じるものがありますよね。
要するに、フラッド氏の「生命の木」は、ユダヤ教カバラとはちょっと違った、彼独自の
イメージによるデザインであったということが推定できるのでした。
274名無しさん :2014/04/16(水)08:30:02 ID:RkbhccNNh
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 31) ---
Yet is is curious to find that a glyph of one hundred years earlier (Figure 2C)
is far more conceptually developed and sophisticated.
にもかかわらず、100年前の図形(図2C)の方が、より概念的に開発され洗練されている。
--- ここまで ---

この、冒頭の「Yet is is」は、「Yet it is」の誤記ではないかと思います。

ともかく、時代的に新しいフラッド氏の方が、進化が遅れていたということですよね。
これは、前にも述べたように、フラッド氏は、進化した最新のユダヤ教カバラの情報には
疎かったということなのです。

ちなみに、この図2Cは、『Portae Lucis/光の扉』というタイトルで、1516年にドイツの
アウグスブルクで発行された本の表紙に描かれたものです・・・。

って、この挿絵、CとDが入れ替わっているじゃないですか!

えーと、1516年発行の『Portae Lucis/光の扉』に掲載された図形は、本当はDの図であり、
1708年発行の『Pa'amon ve Rimmon/柘榴の木』に掲載されている図形は、本当はCの図です。
ここに謹んで訂正させて頂きます。m(-_-)m

さて、改めて、『Portae Lucis/光の扉』の図形を見てみると・・・
これには確かに10個のセフィロトが描いてありますが、『セフェル・イェツィラー』にある
「智恵の32の小径」の残りの「22の小径」の理論的な数値は完全に無視して、割と自由な
発想で、独自にセフィラの間の「小径」を結んでいるようです。

まあ、これはこれで、面白い発想ですよね。
コクマーとビナーの間の2通りの小径の意味としては、男と女としての交わりによる高い
レベルの愛、そして父と母としての交わりにより子を授かるという下位レベルへの遷移と
いう2つのモードが明確化されているという妄想が膨らむわけです。
こういうふうに、従来の格式や形式にとらわれず、あくまでも自分の考えで、自分で理解
できる範囲で、「生命の木」を描くという姿勢は、とても素晴らしいことだと思うのでした。

それにしても、この図2の箇所には、誤記が多いですよね・・・。
275名無しさん :2014/04/17(木)07:37:49 ID:u0jTefAZu
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 31) ---
Moreover, we find that a Jewish illustration from as late as 1708 (Figure 2D) takes
a different approach, indicating its dependence on the Sepher Yetzirah.
その上、我々は、1708年という後期のものからのユダヤ教(カバラ)の図版(図2D)が、
『セフェル・イェツィラー』への依存を示しながらも、異なる取り組みをしていることを
見い出す。
--- ここまで ---

この図2D(※図CとDが入れ替わってることに注意)は、『Pa'amon ve Rimmon/柘榴の木』
というタイトルで、オランダのアムステルダムで、1708年に発行された本の図版です。
この頃のアムステルダムは、オランダ国家の繁栄とともに、ユダヤ人社会が割と繁栄して
いた時期でもあります。

ちなみに、この図2Cの『Portae Lucis/光の扉』は、1516年にドイツのアウグスブルクで
発行されていますが、当時のドイツは、マルティン・ルター氏の宗教改革が始まった時期
であり、ユダヤ人社会が、それなりにまだ残存していた時期でした。
その後、カトリックからもプロテスタントからも迫害が激しくなり、ドイツのユダヤ人は、
他の宗教的に寛容な国々へと移住していくことになるのでした。

さて、改めて図2Dの図版(※図CとDが入れ替わってることに注意)を見てみると、確かに
「生命の木」としての『セフェル・イェツィラー』の「智恵の32の小径」が実装されて
いますが、ゴールデン・ドーン系の実装とは、「22の小径」のうちの2つが異なるものと
なっています。

そして、現代においては、この2つの形が、どちらも生き残って利用されています。
もちろん、どちらが正解で、どちらが間違いというものではありません。
ただし、ゴールデン・ドーン系においては、公式設定として1652年にキルヒャー氏が
発表した図2Aの形式が採用されているということです。

いずれにしても、生命の木の形状は、理論的には確定していませんので、個人で楽しむ
場合においては、どのような形であっても、文句を言われるようなものではありません。
皆さんも、自由な発想で、「生命の木」のポーズを考えてみるのもいいかと思います。

ちなみに、ワタシだったら、「生命の木」と「知恵の木」の絡みとして考えてみたいなぁ、
とも思ったりします。
聖書だと、「ナツメヤシ」が男性原理で、「柘榴」が女性原理ということもありますし、
エデンの園を舞台として、色々な妄想物語が生まれてきそうですしね。
276名無しさん :2014/04/18(金)08:56:00 ID:RcXUoqwzl
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 31) ---
The most that can be said with certainty is that the Tree of Life has evolved over
the centuries, following ever increasing public interest and, not coincidentally,
reflecting the perspectives of contemporary philosophy.
確信をもって言える最大限のものは、「生命の木」は、何世紀にもわたって、常に増加する
大衆の興味に従って、そして偶然の一致ではなく、同時代の哲学の観点を反映して、進化し
続けているということである。
--- ここまで ---

「生命の木」は、客観的な観測や検証が可能なものではない「主観的」な存在ですので、
人々の妄想力、いやいや想像力の「進化」に伴い、生命の木も「進化」していきます。

つまり、最初はシンプルな線画であったものが、ヒットすることで二期や三期が企画され、
次第に構成パーツやアクセサリが増え、変身バンクもエフェクトの種類が増えて、それに
応じて関連商品も増えていき、コンテンツとしての売り上げも増えるということですよね。

こういう一種の流行によるコンテンツの進化は、ある程度まで逝くとオワコン化するのが
常なのですが、リアル宗教系の場合は、熱心な信者が憑く、いやいや支持することにより、
かなりの長期にわたって代々信仰され続けることがあります。
この「生命の木」の場合は、ある程度、ユダヤ教の教義の中に組み込まれることに成功して
いますので、うまく現代まで生き残り、その歴史的資産を土台にして、さらなる進化を目指す
ことが可能になっているということなのです。

そして、ゴールデン・ドーン以降は、魔術系の人々の中で、「生命の木」をネタにした応用や、
変形・合体・脚色・再構成が試されていますので、それなりに面白い状況になっています。

まあ、本流のユダヤ教カバラ、そして傍流の魔術系カバラ、どちらの道が正しいということ
でもありませんので、好きな道を歩めばいいと思うのでした。
277名無しさん :2014/04/19(土)08:29:11 ID:8vwNHK2js
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 31) ---
The fullcolor two-dimensional Tree of Life (Plate I) is the most developed expression
of the nineteenth century Hermetic-Qabalah.
フルカラーの二次元の「生命の木(図版Ⅰ)」は、19世紀のヘルメス主義的カバラの最も
高度に発展した表現である。
--- ここまで ---

このカラー図版Ⅰは、ウォン氏の直筆の「生命の木」をフルカラー印刷したものであり、
この本の口絵の部分にあります。
ちなみに、この「生命の木」自体は完全フルカラーではなくて、ごく普通の多色描画です
ので、誰か真の「32bitフルカラー版生命の木」に挑戦してほしいところです。(笑)

なお、この本は、あまりカラー印刷の色具合が良くなくて、「26 Devil」と「32 Univ」の
小径の色が黒に見えますが、本来の色は「Indigo/藍色」となっています。

あと、生命の木の下部に黒と白の二人の天使が描かれています。
「慈悲の柱」側の白い天使は、ゴールデン・ドーンの公式設定では「メタトロン」ですが、
父性を表す他の天使なのかもしれません。
また、「峻厳の柱」側の黒い天使は、公式設定では「サンダルフォン」ですが、母性を
表す他の天使なのかもしれません。

すいません、よくわかりませんので、もし知っている方がいましたら教えてください。
278名無しさん :2014/04/20(日)09:25:36 ID:c1b0BkAIV
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 31) ---
If the evolutionary pattern continues, it is likely that the three dimensional Tree
of Life (Plate II) is the form under which the Hermetic Qabalah will be considered
in generations to come.
もし進化の様式が継続するのであれば、おそらく、3次元の「生命の木(図版Ⅱ)」が、
ヘルメス主義的カバラが来るべき世代において考慮されるであろうものに基づいた形式
となるであろう。
--- ここまで ---

このカラー図版Ⅱは、おそらくウォン氏手作りの「立体版生命の木」の、フルカラー印刷
されたものであり、この本のpp.46とpp.47の間にあります。

この新しい「立体版生命の木」は、従来の二次元版が、「峻厳・中庸・慈悲」の3柱から
構成される平面図形になっているのに対し、「峻厳×2・中庸・慈悲×2」の計5柱から
構成され、中庸の柱を中心軸にして、峻厳と慈悲の柱が四方を取り囲むという、立体的な
構造になっています。

まあ、この新形状がどういう効果があるのかは、ワタシにはいまいち理解できませんし、
そもそも二次元から三次元になるのが世代の進化と言えるのかも、よくわかりません。

というか、三次元になることで、画像劣化して大惨事世界大戦が勃発するという現象も、
よくあることですからね。
そもそも実写版が良かったことなんて、今までほとんど経験したことがありませんし・・・。

でもまあ、近頃の3DCGって、割と良く出来てるなぁ、と思えるものも出てきているのは
確かですよね。
この感じで進化していけば、それなりに細密にモデリングされた「3DCG版生命の木」が、
EDのダンスシーンで、ぬるぬると動くものが出てくるのかもしれませんよね。
279名無しさん :2014/04/21(月)06:34:20 ID:OkqDMDw3j
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 31) ---
That Tree embodies in its pillars, the principle of five: four balanced elements,
infused with a fifth element which is Spirit.
その「木」は、その柱たちの中に「5の原理」を具体的に表現している。:4つの釣り合いを
保つための元素たちと、「霊」である第5の元素が注がれている。
--- ここまで ---

カラー図版Ⅱの追加説明ですが、この「立体版生命の木」は、物質世界的な筋肉や骨格の
ような四本の構造体の中心部に、一本の精神世界的な循環器系および神経系のような構造体
があり、外側の四本の物質世界的構造体は、中心にある精神構造体より供給される超生命木
エネルギーを受けて活動するような、なかなか神秘的な内部設定となっているということです。
そして、この超生命木エネルギーは、ケテルが上位世界から受け取り、内部で様々に変換
され、最終的にマルクトから下位世界へと排出されていくということになります。
つまり、この「立体版生命の木」は、昆虫のような外骨格系ということですかね。

でもまあ、そういうことであれば、無理に三次元化しなくても、二次元のままでも良かった
のではないかと思うわけです。
実のところ、ワタシには三次元の良さというものが、いまいち良くわかりません。

もちろん、実世界は三次元であり、それゆえ三次元での表現が必要不可欠の場合って、
それなりにあるわけです。
映画なんかも、3D-CGで立体視できるものも増えています。

とはいえ、そもそも生命の木って、二次元や三次元の世界に存在しているわけではなく、
さらなる高次元の存在のはずなんですよね。
そういう三次元を超える存在の表現方法が、今後は、技術の進歩により、開発されていく
のかもしれませんよね。
280名無しさん :2014/04/22(火)06:50:26 ID:BUEe9cV3b
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 32) ---
CONCEPTS
概念
--- ここまで ---

ここから、「カバラ」の章の中での新しい節になります。

サブタイトルは「概念」です。

前節では「生命の木」の歴史的な経緯を考察しましたが、ここからは現代の魔術カバラ、
というかゴールデン・ドーン体系における「生命の木」の解説の本論となります。

魔術カバラの理論は、ゴールデン・ドーンの体系が構築された100年前から、新しい研究
による理論的進化が停滞している状況にあります。
それだけ、ゴールデン・ドーンの体系が、飛び抜けて完成度が高く、そして広く知られて
いて、人気も高いということでもあるわけですよね。

あと、科学技術の驚異的な発達により、人々がオカルトの世界に求めるものも、次第に
変化してきているということもあります。
従来のオカルトの不思議世界の話の大部分は、科学技術により実現されてしまい、そして
オカルト・フィクションの話の多くも、サイエンス・フィクションへと書き換えられて
しまったということなんですよね。
結果的に、学術的なオカルトの世界は、かなり縮小してきています。

とはいえ、ちょっとアレな方面のオカルト・宗教業界は、まだまだ元気ですよね。
そのおかげで、真面目にやってる人の数は、さらに減少してしまいましたけどね。
281名無しさん :2014/04/23(水)07:01:46 ID:J0lQRtIv4
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 32) ---
The Qabalah teaches that our universe evolved organically and sequentially, following
the Path of the Flaming Sword (Figure 3).
カバラは、「炎の剣の小径」(図3)に従って、我々の宇宙が組織的かつ順序的に進化した
ことを教える。
--- ここまで ---

「the Flaming Sword/炎の剣」というのは、『旧約聖書:創世記3:24』にある、
--- ここから (King James Version (KJV)/新改訳 ---
So he drove out the man; and he placed at the east of the garden of Eden Cherubims,
and a flaming sword which turned every way, to keep the way of the tree of life.
こうして、神は人を追放して、いのちの木への道を守るために、エデンの園の東に、ケルビムと
輪を描いて回る炎の剣を置かれた。
--- ここまで ---
を、ネタ元としています。

ということで、我々は「生命の木」のことを知るためには、数々のイベントをクリアして
エデンの園の東に到達した上で、この「Cherubims/ケルビム」と「Flaming Sword/炎の剣」
という、神が与えた最後の試練であるラスボスたちの最強コンビネーション攻撃を突破
しなければなりません、
この究極の世界征服ゲームは、なかなか難易度の高いものであり、今まで挑戦者は数知れず
いたようですが、本当にクリアできた人がいるのかどうかは、よくわかっていません。
そもそも、ワタシのような初心者は、まだエデンの園の東にさえ到達できていませんからね。

それはともかく、pp.32にある図3には、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 32) ---
Figure 3. The Path of the Flaming Sword
図3 炎の剣の小径
--- ここまで ---
という説明書きがあり、剣が最初にケテルに突き刺さり、その後コクマーからマルクトまで、
順にギザギザに突き刺さっていくような図が描かれています。
つまり、神の剣のパワーが、最初はケテルから最後のマルクトへと、順に流れ込んでいった
ということを象徴しており、そしてこの「炎の剣の小径」という神様専用の最短バイパスが、
「生命の木の32の小径」という一般道とオーバーラップして存在しているということを
表しています。

ちなみに、この「炎の剣の小径」にある3:ビナーから4:ケセドに至る道は、ゴールデン・ドーンの
「生命の木の32の小径」には存在していません。
この点では、前のページにある、新しく開発された1708年版のユダヤ教カバラの生命の木の
方が、より整合性が取れているということなのですよね。
282名無しさん :2014/04/24(木)06:52:32 ID:R8ANLmXcH
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 32) ---
From a mysterious Unmanifest emerged Kether then Chokmah then Binah.
神秘的な「非顕在なるもの」から、「ケテル」が、次に「コクマー」が、そして「ビナー」
が出現した。
These three formed the Supernal Triangle, a spiritual height bridged by the
invisible Sephira, Daath.
これらの3つは、不可視のセフィラである「ダアト」により橋渡しされた霊的な高さの
「至高の三角形」を形成した。
Chesed, Geburah and Tiphareth formed the Ethical Triangle.
「ケセド」「ゲブラー」および「ティファレト」は、「倫理的三角形」を形成した。
Finally, with Netzach, Hod and Yesod, the Astral Triangle (Figure 4) was created.
最後に、「ネツァク」「ホド」および「イェソド」により、「星幽的三角形」(図4)が
創造された。
--- ここまで ---

なお、pp.32にある図4には、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 32) ---
Figure 4. The Triangles of the Tree of Life
図4 「生命の木」の三角形
--- ここまで ---
というタイトルで、図には、生命の木と、それに含まれる3つの三角形である
・「Supernal Triangle/至高の三角形」
・「Ethical Triangle/倫理的三角形」
・「Astral Triangle/星幽的三角形」
が描かれています。

なお、この手の理論の詳細は、ワタシには少々手に余るものですので、もしも詳しく
勉強してみたい人がいれば、とりあえずは、マサース氏の『ヴェールを脱いだカバラ』を
しっかりと読んでみることを、お勧めしておきます。
とはいえ、カバラというものは、本を読んだだけで理解できるような代物ではありません
ので、その点だけは誤解しないようにお願いします。
ワタシも、どうやったら理解できるのか、ほとんどわかんないですからね。

なお、日本において「カバラを理解できた」などと言っている人は、ほぼ間違いなく
アレな人たちですので、あまり近づかない方が賢明なのです。
283名無しさん :2014/04/25(金)06:45:14 ID:NsWXHg24s
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 32) ---
Malkuth, it will be seen, stands alone at the base of the Tree, conspicuously removed
from the rest, particularly when Daath is imagined at the upper point opposite Yesod.
「マルクト」は、特に「ダアト」が「イェソド」の反対側の上部の位置にあると想像される
場合は、他のものから際だって外されて、「木」の土台において孤立しているように見られる
であろう。
--- ここまで ---

「Malkuth/マルクト」は、前述の「Supernal Triangle/至高の三角形」「Ethical Triangle
/倫理的三角形」「Astral Triangle/星幽的三角形」の仲間には入れてもらえませんでした。

そしてまた、生命の木に「ダアト」を加えた図を描いてみると、

(神秘的な非顕在なるもの)
---------↓------------ 超えられない壁
   【1. ケテル】→
【3. ビナー】←【2. コクマー】
  →【?. ダアト】→
【5. ゲブラー】←【4. ケセド】
  →【6. ティファレト】→
【8. ホド】←【7. ネツァク】
  →【9. イェソド】
---------↓------------ 超えられる壁
   【10. マルクト】

という図式的な流れとなり、「マルクト」だけが、生命の木の他のセフィロトが形成する
対称的な幾何学パターンから仲間外れとなってしまっているように見えるわけです。

要するに、「マルクト」という存在は、他のセフィロトとは若干次元の異なる存在であり、
見た目だけではなく、色々な意味で他のセフィロトとは同列には語れない、特異な存在で
あることを理解しておく必要があるということですよね。

つまり、「マルクト」って、仲間外れで、ちょっとかわいそうな子のポジションなのですが、
だからこそ、その中には「萌え要素」や「守ってあげたい要素」というものが発生するわけ
なのです。
そして、昔から「俺の嫁」の筆頭候補として、色々な人々から愛されているキャラなのでした。
まあ、人間の考えてることって、今も昔も同じなのですよね。(笑)
284名無しさん :2014/04/26(土)09:27:27 ID:O7MHDTfs4
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 32) ---
It is the recipient of the influences of all the other Sephiroth, containing the
reflected perfection of Kether, while at the same time being the product of what
is described as the Fall.
それは、残り全てのセフィロトの影響の受容者であって、「ケテル」の反射された完成を
含んでおり、それと同時に「墜落」として描写されるものの産出物としての存在である。
--- ここまで ---

つまり、「マルクト」が「マルクト」であることの最も重要な点は、この「総受」という、
実においしい立場にあるわけです。
ちなみに、魔術カバラにおいては、「ネツァク」「ホド」および「イェソド」の三本差しと
なっており、それ以外のセフィロトからも、間接的なぶっかけのシチュエーションとなって
いますので、ほぼ究極のエロス官能物となっているわけです。
結果的に、「マルクト」はエロ視線の対象となる「若い女性」をイメージするものとして
描かれることが多いというわけなのです。

要するに、上位の神は「父」であり、下位の大地は「母」であるという、男性上位の体位で
あって、それゆえユダヤ・キリスト教においては騎乗位はタブーなわけです。
もちろん、タブーだからこそエロさは倍増するわけですけどね。

それはともかく、この「Fall/墜落」というのは、単なるセフィロト間の上層から下流への
流れというよりも、「アダムとイブの楽園追放」の物語のことを指しているようです。
これは、生命の木が『旧約聖書:創世記』の物語を図象化したものということですよね。

そして、この「マルクト」は、結果的に「ケテル」から「イェソド」の全てのもの、すなわち
全ては「ケテル」を起点にして分岐したものなので、最終的に「マルクト」に収斂することで、
「マルクト」は「ケテル」の反射物、つまり鏡像コピーであるということであって、それゆえ
「上の如く下も然り」ということになるわけです。

つまり、天の「神」は、地上に転生して「女」の姿になるということなのですよ。←マジで?
285名無しさん :2014/04/27(日)09:34:46 ID:fd6TW8MGa
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 33) ---
The Tree of Life is divided into three Pillars (Figure 5).
「生命の木」は、3つの「柱」に分割される(図5)。
--- ここまで ---

正確に言うと、「生命の木のセフィロトは、3つの柱状に分割できる」ですよね。
もちろん、この「柱」は、前述の「3つの三角形」と同じく仮想的なものであって、
生命の木の中に、柱が複数存在するいうことではなく、生命の木は、あくまでも
「一本の木」としての存在です。

なお、pp.33にある図5には、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 33) ---
Figure 5. The Pillars on the Tree of Life
図5 「生命の木」の上の「柱」
--- ここまで ---
というタイトルが付けられ、図には、生命の木と、それに含まれる3つの柱である
・3-5-8のセフィロトを含む左側の「SEVERITY (The Pillar of Form)/峻厳(形成の柱)」
・1-6-9-10のセフィロトを含む中央の「MILDNESS (The Middle Piller)/中庸(中央の柱)」
・2-4-7のセフィロトを含む右側の「MERCY (The Piller of Force)/慈悲(力の柱)」
が描かれています。
286名無しさん :2014/04/28(月)07:01:43 ID:G2dGg8690
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 33) ---
The Sephiroth on the right side are on the Pillar of Mercy, those on the left,
the Pillar of Severity and those at the center, the Middle Pillar.
右側の「セフィロト」は「慈悲の柱」、左側のものは「峻厳の柱」、そして真ん中のものは
「中央の柱」の上にある。
--- ここまで ---

これは、図5に示している通りの解説です。

ちなみに、この文中表記の「the Middle Pillar/中央の柱」と図5表記の「The Pillar of
Mildness/中庸の柱」という表記の優先度の違いですが、魔術業界では、「Middle Pillar
/中央の柱」の呼び方が一般的だということなのです。

つまり、左側は「The Pillar of Severity/峻厳の柱」、右側は「The Piller of Mercy
/慈悲の柱」、そして、中央だけは「The Middle Piller/中央の柱」という通称名で
呼ぶのが、オシャレなのですよね。
まあ、ユニット内の、ある特定の受け狙い的なキャラだけを、正式名ではなくて「黄色」
とか「おっぱい」とか「メガネ」とか「ババア」とか呼ぶように、わざわざ専門的なヲタ言語
で親しみを込めて呼ぶようなものなのでしょうかね。←いや絶対違うって!
287名無しさん :2014/04/29(火)06:54:21 ID:jr1SqoaDp
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 33) ---
Each Sephira is perfectly balanced by its opposite.
それぞれの「セフィラ」は、その反対のものにより、完全に平衡を保たれる。
Moreover, each Path is the perfect balance between the two Sephiroth which it
connects, and of the Path opposite it.
さらに、それぞれの「小径」は、それが接続する2つの「セフィロト」の間と、その反対の
位置にある「小径」のものとは、完全な釣り合いがある。
--- ここまで ---

生命の木の静的な構造面、つまり各セフィラや各パスの位置や配置は、見た目の上では、
寸分の狂いのない、完璧な左右対称形であるということです。

とはいえ、動的な機能面においては、数字の小さな右側のセフィラやパスの方が、若干の
優位性を持っています。
そして、完全な左右対称形だと、ケテルからマルクトまでは、上から下への単純な流れと
なってしまうのですが、この左右の若干の働きの違いにより、渦を巻きながら上から下へ
と流れるようになり、この渦巻きのダイナミックな作用により、その中に新たな性質が
次々と生み出されていくということになるわけです。

つまり、このような左右のごく微妙な違いが、後になって様々なバリエーションを生み出す
元となっているわけです。
そして、そういう違いが、この宇宙の誕生や人類誕生のきっかけとなったわけなんですよね。

気づいている人、知っている人は少ないのかもしれませんが、インフレーション宇宙の
ゆらぎ、量子・原子・分子の鏡像関係における左右非対称、銀河や太陽系の渦巻き回転、
そして人間や生物の中にも、様々な左右非対称や渦巻きが見られます。
完全に左右対称なものの中にある、ほんの小さな左右の違いが、ダイナミックで神秘に
満ちた現在の宇宙を作り上げているわけです。

つまり、そういう究極原理が、この「生命の木」の中に込められているということなのです。
これを考えついた人は、マジで天才だと思うのでした。
288名無しさん@おーぷん :2014/04/30(水)06:57:28 ID:gROpIzPC0
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
This glyph is a compound symbol which may be considered at two levels: It is the
individual, the Microcosm (God in miniature) and the Macrocosm, the Greater Universe
in the image of which the individual is created.
この図形は、(以下の)2つの水準で考慮されるであろう複合の象徴である。:それは、
(神の縮小版である)「小宇宙」としての「個人」と、人が創造されるものの姿に似せた
「より大きな宇宙」である「大宇宙」である。
--- ここまで ---

「生命の木」は、単一レベルの特定用途向けの図像ではなく、複合的なレベルでの、つまり
根源的な意味付けが可能な、抽象化と象徴化が施された、「神のテンプレート」みたいな
ものです。
そして、ここでは、その重要な概念の1つである、「ミクロコスモス」と「マクロコスモス」
について説明しています。

一人の人間を表す「ミクロコスモス」が、この「生命の木」に象徴的に配属されている
ことは、割と良く知られている概念ですよね。
つまり、「人=ミクロコスモス」というものは、神が「生命の木」のテンプレートを用いて、
神の姿(=生命の木)に似せて作画、いやいや創造したということです。
そしてまた、神は「生命の木」のテンプレートを使い回して、「大宇宙」を創造したために、
結果的に、それは神の姿(=生命の木)に似てしまったということなのです。
それゆえ「小宇宙」と「大宇宙」は兄弟関係であって、サイズは違えど、実は似たような
姿である、つまり、どちらも親である神の姿にどことなく似ているということなのでした。

要するに、「大宇宙」は神の劣化コピーであり、そしてまた「小宇宙」も神の劣化縮小コピー
であるため、「小宇宙」の理論は「大宇宙」にも相互に適用可能、すなわち「上の如く下も
然り」ということなのですよね。

そして、それら「小宇宙」や「大宇宙」の謎を解く鍵となっているのが、この「生命の木」
という図版の万能テンプレートであるということなのですよ。

まあ、それがウソか本当かは、よくわからないのですが、そういういかがわしいことを
探っていくのがオカルト研究の本質ですので、かまわず先に進もうと思うわけなのでした。
289名無しさん@おーぷん :2014/05/01(木)06:50:32 ID:iBhAAwuCe
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
Each Sephira is related to some part of the human body, and with a corresponding
part of a greater Divine Body.
おのおのの「セフィラ」は、人体のある部分と、そしてより大きな「神の体」の対応する
部分とに、関係付けされる。
--- ここまで ---

「生命の木」は、『旧約聖書:創世記』に基づいて「宇宙創造」と「人類創造」という
テーマを抽象化および象徴化させた「テンプレート」ですので、基本的には、「ミクロ
コスモス=人体」と「マクロコスモス=神体」とのパターン・マッチングが可能です。

とはいえ、基本オカルトの世界の話ですので、その解釈というか関連付けというものは、
一通りではないわけです。
なお、魔術カバラにおいては、ゴールデン・ドーンにおける標準設定というものが
ありますので、初心者の人は、とりあえずは、それを利用するのがいいと思います。

そして、そういう標準理論では物足りないマニアックな人は、他の×あわせを探って
いくのがいいのではないかと思うわけです。
そもそも、こういう「テンプレート」というものは、どう応用し、どう適用していくかを
妄想、いやいや考察していくのが楽しいわけですからね。
290名無しさん@おーぷん :2014/05/02(金)05:47:20 ID:EMd3DVg2E
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
The principle involved is expressed by the axiom which we will often repeat,
"As above, so below."
関係する原理は、我々がしばしば繰り返すであろう、以下の公理により表わされる。
「上の如く、下も然り。」
--- ここまで ---

「生命の木」は、究極の「テンプレート」ですので、物事の分析においては、およそ
何にでも適用できるものです。
これを利用することにより、外見上は全く違うように見えるものが、奥深いところで、
実は同じ原理で動いているということが見えてくるということですよね。

その一方で、この「生命の木」は、分析だけでなく、合成にも利用が可能です。
もちろん、実体のあるものではなくて、概念的な遊びというか妄想みたいなものですが、
そういう知的な遊びというのも、結構面白いものではないかと思うわけですよ。
魔術やタロットなどは、こういう知的妄想能力が、絶対的に必要とされる分野ですしね。

つまり、この「生命の木」に、「上の如く下も然り」という公理と、「分析と合成」と
いう手法が組み合わされることで、人類史上最強の知的妄想ツールが完成するという
ことなのでした。
291名無しさん@おーぷん :2014/05/03(土)08:47:39 ID:8g8oBbOKb
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
There are a number of areas of traditional Qabalah which may be somewhat confusing,
but which are actually very simple.
多少混乱させるかもしれないが、実際には非常に単純なものが、伝統的なカバラのいくつかの
領域にある。
--- ここまで ---

「マクロコスモスとミクロコスモス」
「上の如く下も然り」
「オマエのものはオレのもの、オレのものはオレのもの」
「友達の友達は、みな友達」

これらは、カバラの「生命の木」だけの特徴というよりは、ほぼ全ての時代において、
およそ「神秘」という名の付くものにとっての、究極鉄板ネタみたいなものです。
つまり、人類というものは、「我こそが神である」とか「唯我独尊」というように、
普遍的に究極のジコチューな存在であるということでもあるわけですよね。

まあ、それはともかく、そういう鉄板ネタ思想であるため、伝統的な神秘思想の1つで
ある「ユダヤ教カバラ」においても、全面的にネタとして取り入れられています。

そしてそれらの主張、いやいやカバラの教えは、一見すると難しそうな記述ではありますが、
しょせん人間の脳内妄想であるために、よく読んでいくと、ネタとしての定番パターンさえ
しっかりと把握しておけば、それほど難解なものではないということなんですよね。

ということで、とりあえず、「ユダヤ教カバラ」における「生命の木」と「マクロコスモス
とミクロコスモス」「上の如く下も然り」というものについて関連付けを行ったネタに
ついて、これから考察していこうと思うのでした。

なお、魔術カバラにおいては、ゴールデン・ドーンにおいて、「ユダヤ教カバラ」から
おいしい部分を抽出して、近代人にもわかりやすいように理論が構築されています。
詳しい話は、マサース氏の『ヴェールを脱いだカバラ』を参考にしてください。
292名無しさん@おーぷん :2014/05/04(日)09:23:13 ID:2g8Cpvqg5
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
One of these areas is the application of "man" to the Tree, and involves two separate
concepts.
これらの領域のうちの1つには、「木」への「人」の適用があり、2つの異なる概念を
巻き込んでいる。
--- ここまで ---

この「two separate concepts/2つの異なる概念」というのは、前述の
「マクロコスモスとミクロコスモス」
「上の如く下も然り」
「大と小」
と似たような関係のものです。
とりあえず、「生命の木」と「人」は、概念的に全く別系統の、複数の関係性を持つ
ものがあるということに注意し、理論的な部分で混同することなく、ミソとクソを
ネタとしてきちんと消化しておくことが必要ということです

これをきちんと理解しておかないと、アンコと間違えてウンコを食らうようなことに
なってしまいますので、そっちの趣味がある人以外は、ご注意ください。
まあ、そういうものは臭いで事前に判断できるのですが、この業界は、見た目だけで
判断してしまう人も少なくないですからね。
まあ、「黄金」という言葉にも、人により、色々な意味や価値感があるってことですよね。
293名無しさん@おーぷん :2014/05/05(月)11:14:09 ID:g6tzhemFX
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
The first concept is that of ADAM KADMON ("The Grand Old Man of the Zohar").
最初の概念は、「アダム・カドモン」(「ゾーハルの崇高なる老いたる者」)のそれである。
--- ここまで ---

「ADM QDMVN/ADAM KADMON/アダム・カドモン」とは「原型の人間」という意味です。

もちろん、この「アダム」というのは、『旧約聖書:創世記』に出てくる、神が自身の姿
に似せて作られた、神の劣化コピーである最初の「人間」が元ネタになっているのですが、
この「アダム・カドモン」は、『旧約聖書:創世記』に出てくる「アダム」とは、
別のストーリーにおける別次元の存在となっています。

わかりやすくいうと、初期の『旧約聖書:創世記』の原作では、
・神→最初の人間(アダム)→一般人
という直接的で単純な関係であったものが、後になってカバラ思想を取り入れた二期以降の
二次作品においては、
・神→原型人間(アダム・カドモン)→最初の人間(アダム)→一般人
という、ルール重視の中間管理職が入った複雑化した組織体系となっているということです。

結局のところ、後の時代になったカバラの「生命の木」という宇宙・人類創世の原型的な
テンプレート・ルールを、原始的な『創世記』のストーリーに適用して再解釈すると、
理論の整合性を保つためにも必然的に「アダム・カドモン」という中間的な仮想層が、
量子力学的な別次元で発生してしまうというわけなんですよね。

ちなみに、「アダム・カドモン」が「The Grand Old Man/崇高なる老いたる者」であって、
「萌え少女」ではない理由ですが、これは単に、作者の「趣味」とか「意向」の問題です。
つまり、ユダヤ教カバラの修行においては、そういう雑念を排除しないといけないわけです
ので、そっち系のヲタ趣味的なものは、極力避けられてしまうわけです。

そして、このことは、我々のようなユダヤ教カバラの修行でない目的の場合においては、
「アダム・カドモン」はどのような姿であっても良いということにも繋がるわけです。

つまり、ロリでもツインテでもメガネでも貧乳でも巨乳でも猫耳付きでも尻尾付きでも、
どんな姿であれ、「原型人間」という肩書きさえ付けておけば、「アダム・カドモン」と
言い張ることが可能となるわけですよね。
そう、こうして新しい現代的な解釈の創世記が、次々と創造されていくわけなのでした。
294名無しさん@おーぷん :2014/05/06(火)07:59:38 ID:icVtRMZYc
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
Adam Kadmon is all ten Sephiroth, a great organic unity, a spiritual body in which
each of us might be considered a single cell carrying all of the potential attributes
of the whole.
「アダム・カドモンは、10のセフィロトの全て」であり、大いなる有機的な統一性であり、
我々の各自が全体の潜在的な属性の全てを担う1つの細胞と考えることのできる霊的な
身体である。
--- ここまで ---

つまり、「アダム・カドモン」というのは、「神の分身」みたいなものであり、
神と人間の間に挟まれた「中間管理職」みたいな存在になるわけです。

ちなみに、こういう仮想的で超次元的で巨大ラスボス的な登場人物は、ヒット作の続編を
企画する時などには、よく利用される定番の手法となっていますよね。

この「アダム・カドモン」という存在は、
・『セフェル・イェツィラー』3世紀以降
・『バーヒル(光明)の書』12世紀
・『ゾーハル(光輝)の書』13世紀
というユダヤ教カバラの神秘書シリーズの中で少しずつ暗示的に表現されていたものが、
最終的に、エルサレム生まれのカバラ研究者であるイサク・ルリア氏(Isaac ben Solomon
Luria Ashkenazi, 1534-1572)によって完成されたという、歴史的な経緯があります。
そして、この理論が完成されるまでには、色々と複雑な経緯や事情もあるのですが、
とりあえず、魔術カバラ方面の知識だけでいいという人は、マサース氏の『ヴェールを
脱いだカバラ』を読んでおくといいかと思います。

さて、この「アダム・カドモン」というのは、一言でいえば「生命の木」の擬人化です。
ではなぜ、「生命の木」をわざわざ擬人化する必要があったのかというと、それはやはり
「カバラ神秘文学の大衆化」という点にあったわけです。

現代日本では、「理論の擬人化」と言えば、全てを「萌えキャラ化」するが定番なのですが、
当時のユダヤ社会では、こういう艦長クラスの大統一理論は「老人キャラ」が最適であり、
萌え系戦士は下位クラスが最適であるということだったわけです。

誰か、新解釈のイブ・カドモンたんのキャラデザをやってくれないかな~(期待笑)
295名無しさん@おーぷん :2014/05/07(水)06:56:36 ID:VV3UutDSC
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
Adam Kadmon should not be confused with ARIKH ANPIN or ZAUER ANPIN, the other two
personifications covering more than one Sephira.
「アダム・カドモン」は、「アリク・アンピン」あるいは「ザウイル・アンピン」という、
1つより多いセフィラを包含する他の2つの擬人化されたものと混同されるべきでない。

Arikh Anpin means the Vast Face or Countenance; Zauer Anpin means the Lesser Face
or Countenance.
「アリク・アンピン」は「大きな顔または顔貌」を意味する。「ザウイル・アンピン」は
「小さな顔または顔貌」を意味する。
--- ここまで ---

この「[nun][yod][pe][nun][aleph] [kaph][yod][resh][aleph]:ARIK ANPIN/アリク・
アンピン/大きな顔」と「[nun][yod][pe][nun][aleph] [resh][yod][vau][aleph][zayin]:
ZAUIR ANPIN/ザウイル・アンピン/小さな顔」は、『ゾーハルの書』において詳しく
研究されているものです。
これらの詳細については、マサース氏の『ヴェールを脱いだカバラ』に詳しく書かれて
います。

なんか色々と生命の木が擬人化されたものが出てきますが、これらは別次元の創造物
ですので、混同しないようにしないといけないということですよね。
というか、過去において、さんざん混同されてきているので、注意して読み解くように
という、注意書きみたいなものですかね。
とはいえ、実際のところ、混同されてもおかしくないというか、しょせん擬人化された
時点で、混同されることをある程度意図しているようなものですので、そんなに難しく
考えることもないとも言えるわけですけどね。

ちなみに、「ザウイル・アンピン」や「アリク・アンピン」の方が、時代的には古い
ものとなっていますので、より新しい「アダム・カドモン」の方がポジション的に上位に
あるというか、より包括的な概念となっているのは、新キャラの販促のためのお約束
みたいなものですよね。
296名無しさん@おーぷん :2014/05/08(木)06:49:35 ID:K3bMnuPWI
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
Arik Anpin is Macroprosopus an anthropomorphization of the Sephiroth of the Supernal
Triangle.
「アリク・アンピン」は、「至高の三角形」のセフィロトの擬人化である「マクロプロポソス
(大きな顔)」である。

Zauer Anpin is Microprosopus, the five Sephiroth around Tiphareth.
「ザウイル・アンピン」は「ミクロプロポソス(小さな顔)」であり、「ティファレト」を
取り囲む5つのセフィロトである。

Together they illustrate the principle of "As above, so below."
ともに、それらは「上の如く、下も然り。」の原理を説明する。
--- ここまで ---

この文では、「アリク・アンピン/マクロプロポソス/大きな顔」を、「至高の三角形」の
セフィロト、すなわち「ケテル」「コクマー」「ビナー」の3つとしていますが、一般的
には、「ケテル」のみが割り当てられています。

そして、「ザウイル・アンピン/ミクロプロポソス/小さな顔」には、「ティファレト」を
中心として「ケセド」「ゲブラー」「ネツァク」「ホド」「イェソド」の6つのセフィロトが
割り当てられています。

これらの関係については、ゴールデン・ドーンにおいては、リガルディー氏の『The Golden
Dawn/黄金の夜明け魔術全書』の「Fifth Knowledge Lecture/第五知識講義」の章で
公式設定されていますので、興味のある方は、見ておいてください。

で、これらの両者の関係性が「上の如く、下も然り。」ということなのですが、「ケテル」
というものは、極めて別格の存在で理解しがたいものですので、ちょっとピンとこないん
ですよね。
比べる相手が悪すぎるというか、同じように「顔」と名付けられた存在であっても、なんか
全く別次元の存在であって、月とスッポンのような気もするわけです。
まあ、見える人には、同じようなものに見えるのかもしれませんけどね。
297名無しさん@おーぷん :2014/05/09(金)06:48:04 ID:3MayZctwP
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
To reiterate, Adam Kadmon means the whole Tree of Life pictured as a man.
繰り返して言うと、「アダム・カドモン」は、人として描写された全体の「生命の木」を
意味する。

Arikh Anpin is the man above; Zauer Anpin is the man below.
「アリク・アンピン」は上位の人であり、「ザウイル・アンピン」は下位の人である。
--- ここまで ---

「生命の木」における「アリク・アンピン」と「ザウイル・アンピン」の理論について、
少々補足しておきます。
ゴールデン・ドーンの理論では、生命の木は、この2つだけではなくて、以下の5つの要素に
配属されます。
1. アリク・アンピン/大きな顔 = ケテル
2. アバ/父 = コクマー
3. アイマ/母 = ビナー
4. ザウイル・アンピン/小さな顔 = ケセド、ゲブラー、ティファレト、ネツァク、ホド、イェソド
5. マルカ/女王(もしくはカラ/花嫁) = マルクト

これを見ると、ユング心理学の「元型」という概念は、カバラ理論からのほぼ丸パクリで
あることが、何となくわかりますよね。
そう、近代の心理学においては、カバラの研究成果が、大いに役に立っているわけです。

ちなみに、なぜ人はこのような擬人化をしてしまうのか、つまり「生命の木」の中に
「人の姿」とか「人の顔」を見てしまうのかというと、これはひとえに「人の性(さが)」
というか、持って生まれた性質みたいなものなのですよね。
よく見えない暗闇の中に、人の姿をした幽霊を見たり、ぼんやりとした心霊写真の中に
人の顔を見てしまうようなもので、人間の脳みそというものは、よくわからないものの
中に、ついつい人の姿や顔を強制的に認識してしまうような性質があります。
これはおそらく、子が親を捜すための能力であったり、知らない人(敵)を素早く察知
するための危機回避能力の副作用ではないかとおもわれるのですが、人間には、
そういうありもしない姿を、ついつい幻影として見てしまうという性質があるわけです。

まあでも、そういう擬人化があるからこそ、あんなことやこんなことの妄想も膨らむわけ
ですので、そういう手法は、有効に活用するべきであると思うわけなのでした。
298名無しさん@おーぷん :2014/05/10(土)08:33:36 ID:0VWMBoue2
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
The idea of each part of the human body having some Divine correlate is perhaps
more readily comprehensible to an Easterner than a Westerner.
何らかの神との相互関係のある人体の各部分についての観念は、西洋人よりも東洋人に、
おそらくより容易に理解できるものなのかもしれない。
--- ここまで ---

「生命の木」における「アダム・カドモン」そして「アリク・アンピン」「ザウイル・
アンピン」という設定は、基本的には脳内妄想という、精神的な「上」のものでした。

そして、これ以降の話は、「生命の木」におけるもう1つの方向性、つまり実践により
得られるリアルな感覚体験という、肉体的な「下」のものとなります。

伝統的な「ユダヤ教カバラ」には、
・上なるもの = 精神的 = 脳内妄想でハァハァするもの
・下なるもの = 肉体的 = 肉体感覚でハァハァするもの
の、2種類の方向性があります。
もちろん、魔術カバラにおいても同じように、この2つの絶妙なバランス感覚が必要と
されるわけですよね。

そして、ゴールデン・ドーンにおいては、西洋思想体系であるカバラの中に、東洋系の
肉体感覚系神秘思想を取り込むことで、よく訓練された実況民でなくても、普通の
一般人でも容易に体験可能で実用的なハァハァ世界を構築することが可能となったと
いうわけなのでした。

ちなみに、この「妄想的な肉体感覚」の研究という点においては、現在においても、
東洋系の神秘思想体系の方が、一歩先を進んでいる感じですよね。
とはいえ、その手の東洋系思想は、西洋医学などの知識のある者にとっては、なかなか
理解しがたいというか受け入れがたい理論を含んでいることも確かですので、それはそれ、
これはこれ、郷に入れば郷に従えという感じで、全く違う次元の世界のものと考えて、
実践するのがいいと思うわけなのでした。

そもそも、オカルト世界の話ですので、理屈だけでは理解できないものですからね。
299名無しさん@おーぷん :2014/05/11(日)10:06:51 ID:IXXQ7ldSs
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
The Yogin has no difficulty dealing with the concept of certain centers of spiritual
activity within the physical body.
ヨーガ行者は、物質的な肉体の中にある、精神的な活動の特定の中核たちの概念に取り組む
ことの困難さを持たない。
--- ここまで ---

西洋神秘主義の代表である「ユダヤ教カバラ」の「生命の木」と人体との肉体的な面での
関係性は、東洋神秘主義の代表である古代インド発祥の「ヨーガ」の「チャクラ」の概念と、
非常に密接な関連性があります。

歴史的に見れば、「ヨーガ」の方が圧倒的に古いわけですので、「ユダヤ教カバラ」の
肉体的な理論面には、ある程度の「ヨーガ」の影響があると考えられます。
ちなみに、ゴールデン・ドーンなどの近代の西洋神秘学には、当時の東洋思想の人気も
あって、「ヨーガ」の理論が、かなり大規模に取り入れられていますよね。

ただし、この「ヨーガ」などの東洋的肉体理論は、西洋における肉体理論、つまり近代的
西洋医学理論とは相容れない考え方も多くありますので、ワタシとしては、なかなか理解
しづらいものもあるわけなんですよね。
つまり、これらはオカルト世界とサイエンス世界という、全く違う次元の理論なのですが、
そういうことは理屈では解っていても、「なんじゃそれ~」と思わずツッコミを入れたく
なってしまう、修行の足りないワタシなのでした。(苦笑)
300名無しさん@おーぷん :2014/05/12(月)06:52:06 ID:hS9vG6jEv
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
The Solar Plexus is the sun center in man, a link between the individual and the
solar powers of the universe.
「太陽神経叢」は、人間の中にある太陽の中核であり、個体と宇宙の太陽の力との間を
連結するものである。
--- ここまで ---

これもいわゆる、「上の如く、下も然り」の例と言えるものです。

「神経叢(しんけいそう)」というのは、中枢神経系である脳と脊髄から外部に出てくる、
太い基幹神経束を、末梢神経系の個々の細い神経繊維ケーブルへと分配している、ネット
ワークセンターみたいなものです。

その中で、この「Solar Plexus/太陽神経叢(たいようしんけいそう)」というのは、
人体においては最大規模のもので、人体においては、みぞおちの奥にあります。
で、なぜそれが「太陽~」と呼ばれているかと言うと、この神経叢の中心から四方八方に
放射状に末梢神経が出ていて、それがまるで太陽光線のように見えるので、18世紀の頃に、
そのように名付けられたという経緯があります。

医学的には、この「太陽神経叢」は「Celiac Plexus/腹腔神経叢」とも呼ばれており、
主に腹部の消化器官である、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、膵臓、脾臓などの働きを
コントロールする自立神経系が含まれています。

つまり、西洋医学的には、単なる通信経路の1つであって、特にこれといった機能や特徴
のない「太陽神経叢」なのですが、東洋的には、なぜかここが「人体の中心」と見なされて
いるわけです。
要するに、「ハラ」とか「キモ」という概念ですよね。

ちなみに、「ヨーガ」の「チャクラ」においては、この「太陽神経叢」のあたりは、第3の
チャクラである「manipura cakra/マニプーラ・チャクラ」に割り当てられています。
そして、この「マニプーラ・チャクラ」と「太陽」との関連性、「生命の木」において
太陽を象徴する「ティファレト」との関係性というものが、オカルト世界においては、
色々と研究というか妄想の対象となるわけです。

偶然とは言え、色々と興味深い関連性が出てくるのって、面白いことですよね。
301名無しさん@おーぷん :2014/05/13(火)06:55:33 ID:gc8NFGdxQ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
The physical center has the potential to be ennervated, consciousness transferred
to it, and the individual brought into direct contact with the pure energy which
is, in the Qabalistic system, called Tiphareth.
肉体的な中心は、神経支配される潜在能力、それに移された意識、およびカバラの体系で
「ティファレト」と呼ばれている純粋な精力との直接接触をもたらされる個体を有する。
--- ここまで ---

この文中の「ennervated」は、おそらく「innervated/神経支配する」の誤記です。
あと、個々に訳すと理解が難しい文章になっていますので、全体的な意味で捉えてください。

さて、「太陽神経叢」という西洋医学用語に絡めて、世俗のオカルティスト達が、何だか
色々と言っていますが、\( ̄ー\) ソウイウハナシハ (/ー ̄)/ マアオイトイテ。

人体の物理的な中心位置、つまり重心位置は、大体「ヘソ」の位置にあります。

ちなみに、人は胎児の頃は、このヘソにより、母親という上位存在に「支配」され、
「転移」され、そして「直接接触」されているわけなんですよね。
そして、その精神的な絆は、出産後に物理的に切り離された後でも、一生繋がったままで、
人は生きていくわけです。

それと同じように、人が最初に神から作り出された後も、その絆は絶えることなく親から
子へと受け継がれ、そうして、人(ミクロコスモス)、宇宙(マクロコスモス)、そして
神は、永遠の絆で結ばれ合っているというわけですよ。

まあ、こういう目に見えない絆って、自由に好き勝手にやりたい人にとっては、結構面倒
くさいものなのですが、人が人として生きていく上では、そういうものだと割り切って、
付き合っていくしかないのかなぁ、と思うようになってきました。

そして、そういうしがらみを断ち切るのには、魔術みたいな厨二病的な要素が必要と
なってくるんだろうなぁ、とも思うわけなんですよね。
とはいえ、魔術自体は妄想が主体なわけですので、それだけでは何の解決にもならない
ことも多いわけです。
まあ、それが解っているからこそ、地道に勉強を続けているというわけなのでした。
302名無しさん@おーぷん :2014/05/14(水)07:00:09 ID:92jaVNqMK
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
An important part of practical work with the Hermetic Qabalah involves the exercise
of the Middle Pillar,(*59) where the energies of the Sephiroth are purposely
invoked and built up within the individual.
ヘルメス主義的カバラに伴う実践的作業の重要な部分は、「セフィロト」の精力が個人の
内に意図的に呼び出され築き上げられる、「中央の柱」(*59)の訓練を含む。
--- ここまで ---

ちなみに、(*59)はNOTES/注記の項で、
--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 269) ---
59. Refer to books cited in note 9.
59. 注記9で引き合いに出された本を参照のこと。
--- ここまで ---
とあり、注記9では、リガルディー氏の『The Middle Pillar/中央の柱』と、『Foundations
of Practical Magic/実践的魔術の基礎』の二冊が紹介されています。

ちなみに、西洋儀式魔術界では有名な「The Middle Pillar Exercise/中央の柱の訓練(MPE)」
ですが、ゴールデン・ドーン系魔術で公式設定化されたのは、リガルディー氏が1937年に
出版した『The Middle Pillar/中央の柱』からとなります。
この本が書かれた時期は、リガルディー氏が『The Golden Dawn/黄金の夜明け』という
魔術団の内部文書の暴露本が書かれた頃(1937-1940)と重なっているので、この『中央の柱』
の本の内容も、それまでは団の内部で非公式に研究され、秘密裏に伝えられていたものの暴露に
相当する部分も多々あるかと思いますので、どこまでがリガルディー氏のオリジナルであるの
かは、よくわかんないです。

内容的には、チャクラの概念に基づいて坐位で行うヨーガの行法を、西洋魔術儀式風に、
カバラの生命の木に基づいて立位で行うようにアレンジした感じですかね。

ヨーガの技法をパクったものとしては、日本においては、あの「○○○○○教」の修行体系
という黒歴史があるために、いまだにあまり良い印象を受けない人もいるかと思いますが、
これはこれで、オカルト的には優れた修行方法であると思います。

とはいえ、日本人にとっては、こういう西洋思想風で積極的な『中央の柱』の訓練よりは、
ゆったりとした東洋系のヨーガの瞑想や、仏教の座禅の方が、より好まれるのではないかと
思うわけなのでした。
303名無しさん@おーぷん :2014/05/15(木)07:03:41 ID:s6WgNCnSj
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
In this exercise the Sephiroth are reversed, i.e., Chesed is at the left shoulder,
and Geburah is at the right, since they are considered subjectively within the
body rather than being viewed from outside.
この訓練においては、「セフィロト」は裏返しにされる、すなわち、それらは外側から
見られる存在ではなくて身体の中に主観的に考慮されるものであるので、「ケセド」は
左肩にあり、そして「ゲブラー」は右にある。
--- ここまで ---

まあ、そういう設定になっているということです。

なお、10個のセフィロトと人体の各部位との対応関係は、いくつかの説があります。
どれが正解というものではないと思いますし、どれかに統一できるということでも
ありませんので、ここでその対応関係を紹介するのは控えておいた方が無難ですかね。

この『The QABALISTIC TAROT』の本の中に、準公式的な対応関係が書かれているかと
思って探してみたのですが、今のところ、それっぽいのは見つけられていません。

ということで、適当にお茶をにごしておくのでした。
304名無しさん@おーぷん :2014/05/16(金)06:59:14 ID:RoPjJ29GJ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
Practical work on the Tree also involves traveling the Paths connecting the Sephiroth,
the objective centers of energy.
「木」についての実践的作業はまた、精力の「実体的」な中核たちである「セフィロト」を
接続している「小径」を旅することを必要とする。
--- ここまで ---

「生命の木」に関する実践行は、いずれにおいても「主観的」というか「仮想的」なもの
でしかありませんが、主観性の程度という点においては「セフィロト」と「小径」では、
「セフィロト」の方がまだ実体的であり客観性の高いものであるということですよね。

これは、「セフィロト」の方が、より人間的というか物理界に近い概念であり、物理的な
人間の肉体に対しても親和性が高くて、より意識しやすいという意味になります。
つまり、「セフィロト」やヨーガの「チャクラ」などの球体を、物質的な人体の各器官に
当てはめて、ああだこうだと語る方が、より低俗で理解しやすい概念であり、一般的にも
人気が高いネタであるということなわけです。

その一方で、「小径」の実践的作業では、物質的で低次元な「人体」をネタにすることが
若干難しいため、どうしても上位概念となる大宇宙や精神世界や神界をネタとして引き合い
に出すことが必要となってくるというわけなのでした。
つまりは、一般人にとっては「わかりにくい」ということなんですよね。

でも、低俗な占い師の中には、「小径」でさえも、独自の主観的なトンデモ説を主張して、
一般人受けする低レベルな話にしてしまっている人もいますよね。
どうしても、ミソとクソが入り交じってしまうのが、この業界の習わしなのですが、
なぜかウンコネタの方が人気が高いのも、この業界の習わしなのでした。
まあ、空想にまみれて、クソまみれになるのも、それはそれで良いのではないかと。(何がだw)
305名無しさん@おーぷん :2014/05/17(土)08:55:49 ID:7zNWGwf5q
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
The Paths are the subjective experience of passing from one Sephiroth to the next.
「小径」は、ある「セフィロト」から次のものへと移るということの「主観的」な体験である。
--- ここまで ---

この文の「Paths/小径」は、いわゆる「パス・ワーキング」のことではなく、あくまでも
「生命の木」における「小径」の話です。

「生命の木」における「セフィロト」は、前の文において、「objective/実体的」と形容
されていますが、ここで「小径」は「subjective/主観的」なものと形容されています。
つまり、「客観的」に論じることは困難であって、各自の思うがままに考察しても良いと
いうことでもあるわけですので、結果的に様々なトンデモ説が雨後のタケノコのように
ゾロゾロと出てくるというわけなのです。
そして、そのほとんどは、客観的な検証が不可能であって、どんなトンデモ説であっても
それを否定することは困難というか不可能であるとも言えるわけです。
このことは、「小径」の実践的作業である「パス・ワーキング」にも通用することなのですが、
そっちの話は、また後ほど出てきますので、その時にでも。

さて、上記の文に出てくる「passing/移るということ」という語ですが、この語の中には
様々な意味が込められています。
つまり、「小径」は、単なる「通過するだけの道」ではないということなんですよね。
いずれにしても、そういうことも含めて「主観的」なものということですので、
皆さんも、「小径」というものについて、色々な妄想をして頂けると良いかと思います。

定番は、ジャムを塗った食パンをくわえて「遅刻~!遅刻~!」と言いながら小径を
走ってくる制服女子に曲がり角でぶつかって運命の出会いという、実際にはありえない
ようなパターンですかね。←何の話だw
306名無しさん@おーぷん :2014/05/18(日)10:30:24 ID:iKnr8KeJW
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
But insofar as there is a constant flow and motion within the universe, there is
a constant flow as energy passes down from one Sephira to another and up again.
けれども、宇宙の内部に絶えることのない流れと動きがある限りにおいては、精力が
1つのセフィラからもう1つのものへ下へと、そして再び上へと流れるというような、
ある一定の流れがある。
--- ここまで ---

「Paths/小径」は、人間にとっては客観的には観測できないものであるため、その存在に
ついては「主観的」な仮説(=ワタシはこう考える)として述べることしか出来ません。

そして、その「小径が存在することの仮説」を裏付けるネタとして、この大宇宙を構成する
個々の「セフィラ」の間にある「constant flow/一定の流れ」の存在があるということです。
つまり、「小径」そのものは異次元の存在であって、客観的に直接観測することは困難な
ものではあっても、各セフィラ間のエネルギーの変化や動きを観測することで、間接的に
「小径」の存在や働きを推定していこうということですよね。
まあ、現代宇宙論に例えて言えば、暗黒物質や暗黒エネルギーみたいに、直接観測には
かからないけれども、見えている星々の動きなどから推定するようなものですかね。

いずれにしても、この「小径」の作用は、我々とっては極めて重要ではあるけれども、
気づきにくく、そして理解し難いものであることは確かなのです。

それゆえ、タロットにおいても、「大アルカナのカードは本質的に理解しにくい」と
言われているわけですよね。
(※低次元のタロット占い師の「大アルカナって簡単だよ(笑)」というものは除く。)
307名無しさん@おーぷん :2014/05/19(月)06:57:22 ID:yhZhSKc3C
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
The universe is like a gigantic circuit, where power flows into Kether from the
Unmanifest, down through the Tree and up again.
宇宙は巨大な回路のようなものであり、そしてそこで、動力が、「非顕在なるもの」から
「ケテル」へと流れ込み、「木」を通じて下へと、そして再び上へと流れる。
--- ここまで ---

「Paths/小径」についての、「生命の木」と「大宇宙」の相関関係の話の続きです。

ここでは、「生命の木」における「energy/精力」の流れは、「大宇宙」においては
「power/動力」という、より客観的に観測しやすい言葉へと置き換えられています。

さて、「生命の木」から「大宇宙」とくれば、次は「小宇宙」である人体の話になる
わけですが、それはもう少し先の話になります。

という感じで、少々回りくどいというか、かなり慎重に「小径」の話を進めていますが、
おそらく皆さんの中には「小径のことなんて、そんなに回りくどい説明をしなくたって、
簡単に理解できるよ!」なんて言う人もいるかと思います。
でも、そういう人に限って、実は全く理解できていないことの方が多いわけですよね。

ちなみに、実践的なタロット占いにおいて、この「小径」の象徴である「大アルカナ」
しか使わない/しか使えない人にも、実はタロットのことをほとんど理解できていない
人が多いのです。
とはいえ、日本においては、本物のタロット占い師と呼べる人は、ほぼ皆無なわけです
ので、そういう細かいことを言う以前の問題ではあるわけですけどね。

まあ、「正しいタロット占いが出来るヤツは偉い」などと主張するつもりはありませんが、
タロット占いを仕事としてやる限りは、プロとして、きちんと道具のことを理解した上で、
きちんとした仕事をしてほしいなぁ、とも思うわけなのでした。
現状は、あまりにも酷い状況ですからねぇ・・・。
308名無しさん@おーぷん :2014/05/20(火)06:56:08 ID:i6REEFnZ0
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
There is a continual renewal of energy.
そこには、精力の絶え間ない更新がある。
--- ここまで ---

精力と言っても、そっち系の話ではありません。
「Paths/小径」にまつわる「生命の木」と「大宇宙」の話は、まだもう少し続きます。

ここでは、「大宇宙」における「power/動力」の流れの裏付けとなっているのが
「生命の木」における「energy/精力」の流れであるため、宇宙の「power/動力」の
絶え間ない流れの裏には、必然的に「energy/精力」の絶え間ない流れがあるという
ことを間接的に証明しようとする文章になります。

さて、現代物理学の知識のある人には、ここまでの「生命の木」における「セフィロト」と
「小径」という話の中に、最先端の現代物理学に通じる面白い考え方が含まれていることに
気づく人もいるかと思います。

物理学においては、様々な物理現象を「マクロ的な視点」と「ミクロ的な視点」という
両方の観点から研究していることが、ごく普通にあります。
物理学におけるマクロ的視点には、我々の想像を絶する宇宙創造レベルの話もありますし、
我々が普段目にする日常的な物理現象もあります。
そしてミクロ的視点と言えば、我々には見えない素粒子の世界の話になります。
我々の目にするマクロの物理現象の裏には、ミクロの世界の話が広がっているという
ことが、次第に知られてくるようにもなっています。

ちなみに、我々が住んでいる物理世界を支配している原理は、「物質」「力」「場」
「エネルギー」そして「時間」の理論に集約することができます。
そしてこれらの要素は、この「生命の木」という神秘的象徴体系において、見事な形で
統合され表現されていると見ることが出来る、というわけなのですよね。

え、おまいが何言ってるのか、さっぱりわからないって?

まあ、精力の絶え間ない更新があることで、今日も日本は平和です、ってことですよ。
309名無しさん@おーぷん :2014/05/21(水)06:45:16 ID:2XfxQBVRZ
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
Thus, when viewed from another frame of reference, the Paths may be considered
objective.
したがって、別の評価基準系から見られた時は、「小径」は実体的であると考察されるかも
しれない。
--- ここまで ---

とはいえ、「別の評価基準系」と言っても、しょせんは主観的な次元の話ですし、そもそも
「生命の木」は象徴的な存在であって特定の物理現象に縛られるものではありませんので、
客観的に観測可能な測定装置があるはずもありませんよね。
ワタシも色々な測定装置は知っていますが、科学的にセフィロトや小径の存在を観測できる
装置があるという話は聞いたこともありませんし、おそらくは、よく訓練された実況民が、
いっせいに「見えた!」と書き込みをするようなレベルのものではないかと思うのでした。

つまり、「別の人の仮説」では、「小径は実体的なものであって、客観的に存在を確認できる
ものである」と主張しているという程度のものです。
ただし、そういう主張は、客観的には検証できないものばかりですので、あくまでも、「その
ように考察されるかもしれない」ということを、理解しておく必要があるということです。
つまり、「見えた」と言っていても本当に作画されているものではないですし、そして
「見えない」からといって、決して「はいてない」というわけでもないということです。

とはいえ、実体が無いからといって、決して劣っているということではありませんよね。
「セフィロト」と「小径」とは、あくまでも「次元の違う話」であり、同じレベルで語る
ことは無理があるということなのです。

そして同様に、「朝」と「深夜」では、「時間帯の違う話」であって、「見えた!」ことを
同じレベルで語ることは、色々と無理があるということなのです。
ただし、現実的には、それでは演出表現上は困るということで、より実体的でチラ見しても
自主規制にかからないものが、代用品として用いられているということなんですよね。

え、おまいは一体何の話をしてるのかって?
まあ、次の文章を見れば、わかりますよ。←ホンマかいな
310名無しさん@おーぷん :2014/05/21(水)22:52:14 ID:apS5AxAsk
・ω・)ノシ こっそり見てますよー

細々とGD系の和訳をしている中で躓いたのですが
Kerubicは「具体的な」と訳すのでしょうか?
そもそも専門知識も浅く、辞書に無い単語があると大弱りです
311名無しさん@おーぷん :2014/05/22(木)06:34:15 ID:KxtuwGsiT
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 34) ---
They are subjective for us, yet they are objective in that they carry a constant
flow of energy of such specificity as to be expressable as the Major Arcana of the Tarot.
それらは私たちにとって主観的ですが、それでも、それらは「タロットの大アルカナ」と
して表現可能であるような特異性を有する精力の絶え間ない流れを運ぶということに
おいては実体的である。
--- ここまで ---

「小径」そのものは、本来は主観的=脳内妄想的なものであり、実体を伴わない仮想的な
ものであって、それゆえ、それらを客観的に言葉で語り伝えることは、事実上不可能です。

とはいえ、たとえそれが脳内妄想レベルの主観的なものであったとしても、神秘主義の世界
には、超強力な究極の「可視化&実体化ツール」というものがあります。

そう、「シンボル描画による象徴化」という、人類の有史以来、連綿として受け継がれて
きた、究極至高の「くそみそテクニック」ですよね。

「生命の木」には、10個の「セフィロト」と、22本の「小径」があります。
10個のセフィロトは、形状的には単純な球体で表されており、見分けがつきにくいと思わ
れるかもしれませんが、実体としての存在感や実質的な性質の違いがあるために、我々に
とっては、割と容易に違いが判別できるものとなっています。

その一方で、22本の「小径」って、確たる実体を伴わないものであるために、我々に
とってみると、その違いというものが、よくわからないものなんですよね。
でも、その素人にはよくわからないものを、いわゆる上級者の「違いのわかる強者ども」
が、ある程度わかりやすい二次絵として可視化したというか具体化してみた1つの例が、
この「タロットの大アルカナ」というわけなのです。
まあ、本来は無機質な「艦船」をネタにして、有機的な「艦これ」の萌え系キャラに
仕立て上げるのと、大体同じようなことだと思ってもらえばいいかと思います。
まあ、「艦船」→「艦これ」の方が、はるかに素人には理解しやすいレベルですけどね。

とはいえ、「小径」と「タロットの大アルカナ」では、月とスッポンほどの大きな違いが
あって、埋められない溝が横たわっているというのも確かなのです。
そもそも「絵」として具体化してしまった時点で、本来持っている「小径」のエキス成分
のほとんどが抜け落ちてしまっているということですからね。
そして、我々が「小径」を理解していく上では、その本来持っている成分を、残りカス
みたいな「大アルカナの絵」の中から「主観的=脳内妄想的」に補完してあげるという
作業が、絶対的に必要になるわけなのです。

まあ、妄想だけなら、誰にも負けませんけどね。 <o( ̄^ ̄)o> エッヘン!
312名無しさん@おーぷん :2014/05/22(木)06:44:48 ID:KxtuwGsiT
>>310
こんな人里離れた辺境の地で、翻訳仲間に出会えて、嬉しいっす。(^^)/

> Kerubicは「具体的な」と訳すのでしょうか?

おそらく語源は、「旧約聖書:創世記』に出てくるヘブライ語の「ケルブ/ケルビム」
ではないかと思います。
ヘブライ語表記を英語表記に変換する時に、色々と綴り方の違いがありますので、
Kerubic→Cherubic で辞書サーチしてみると良いかと思います。

> そもそも専門知識も浅く、辞書に無い単語があると大弱りです

編訳作業には、どうしても、ある程度の専門知識が必要になりますよね。
これからも、頑張って勉強していってください。 (^^)/
313名無しさん@おーぷん :2014/05/22(木)21:29:34 ID:eexmFw3bp
>>312
おお、ありがとうございます!やっとスッキリしました!
ただでさえ英語力が無いところに辞書に無い単語はorz

明らかに魔術的な素養のある人に向けた文章は、
一文を訳すにも注釈を多く必要としますね
あちこち飛んで元の文章を消化するのに時間がかかりますが、
物凄く勉強になっていると実感します

こうした初心者にとって、このスレはとても貴重です
いつもコソーリ覗いていますので、これからも頑張って下さい!
314名無しさん@おーぷん :2014/05/23(金)06:49:27 ID:DZxaIwOCW
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
In other words, we can study the Tree of Life intellectually, or build it in ourseves.
言い換えれば、我々は「生命の木」を知的に研究するか、あるいは我々自身の中にそれを
構築することができる。
--- ここまで ---

この文中の「ourseves」は、「ourselves/我々自身」の誤記だと思われます。

さて、前の文章では、「小径」の「subjective/主観的」な面と、「objective/実体的
(客観的)」な面について語っていました。
ここでは、それらが「知的に研究」と「我々自身の中にそれを構築」ということに相当する
と言っているわけです。
まあ、要するに「中枢神経系のアドレナリン全開の知的脳内妄想」なのか、「末梢神経系の
アドレナリン全開の肉体感覚的脳内妄想」なのかという違いなんですけどね。

ちなみに、伝統的なユダヤ教カバラにおいても、上記のようにカバラの研究は、
・思索的カバラ
・実践的カバラ
に分類されています。
まあ、この場合は、どちらが良くてどちらが悪いというものではなくて、理論研究と
実証実験みたいな関係であって、どちらも欠くことのできないものです。

その一方で、魔術カバラにおいては、「タロットの大アルカナ」という、割と簡単に肉体
感覚を享受できる便利グッズがあるために、主に実践面の方が重視されています。
まあ要するに、こっちの方が簡単で面白いからなんですよね。
そもそも、高次情報の欠落した「タロットの大アルカナ」のシンボル体系に頼るだけでは、
ユダヤ教カバラの「思索的カバラ」のレベルに達することは、ほぼ不可能だと思われます。

それに、「思索的カバラ」を研究していても、現代においては、実のところ、何か特別な
メリットがあるとも思えないわけですし、逆に変人扱いされる恐れもあるわけです。
そういう意味では、「タロットの大アルカナ」に頼る「実践的カバラ」の方が、占いや
瞑想体験にも応用できますし、より実用性が高いとも言えるわけなんですよね。

まあ、難しくて役に立ちそうにない勉強よりは、とりあえずは簡単で役に立ちそうなもの
から先に、一歩ずつ勉強していく方がいいのかなぁ、とも思うわけなのでした。
315名無しさん@おーぷん :2014/05/23(金)06:51:15 ID:DZxaIwOCW
>>313
応援メッセージ、ありがとうございます!
のんびりしたペースで、まったりとやっていますので、
これからも、コソーリ覗きにきてくださいね。 (^_^)/

>>312 の「編訳作業」は「翻訳作業」の誤記なのでした。orz
316名無しさん@おーぷん :2014/05/24(土)08:28:43 ID:Sl7SOJ8Hx
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
We can approach the Tarot cards symbolizing the Paths from within or without.
我々は、「小径」を内側あるいは外側から象徴化するタロットカードに取り組むことが
できる。
--- ここまで ---

タロットカードは、「生命の木」の「小径」を、「within/内側」から、そして「without
/外側」からという、異なった視点というかレベルから象徴化したものです。
そもそもタロットは、元々が占いに使われていたものですので、「生命の木」の根を持つ
根本的理論に、占いという運命的要素の筮竹を接いだようなイメージですよね。

それゆえ、タロットカードの道具としての実践的使用法には、2つの方向性があります。
1つは、我々の「within/内側」へと向かうもの、もう1つは我々の「without/外側」
へと向かうものとなります。

まあ、この2つは、方向性の全く違うものですので、最初のうちは、なかなかお互いを
理解することは難しい面があるのも、この業界ではよく知られている通りです。

とはいえ、「生命の木」をタロットカードを用いて象徴化する「魔術カバラ」の理論を
理解していくには、この2つの両方をしっかりと理解していくことが絶対的に必要です。
ゴールデン・ドーンにおいても、その両方について、しっかりと研究され、多くの文書が
残されていますからね。

どちらが欠けても、「魔術カバラ」の「生命の木」の理論は理解できないはずなのですが、
日本では、その両方を理解しようとする人って、実際、かなり少ないんですよね。
魔術やってる人は、占いを馬鹿にする人が多いですし、占いやってる人は、魔術を得体の
知れないモノ扱いしている人も多いですし。

まあ、そういうことも含めて、日本は、西洋オカルト文化の後進国でもあるわけなのですが、
ここで愚痴っていてもしょうがないので、とりあえず出来る範囲で、一歩ずつ先に進もうと
思うわけなのでした。
317名無しさん@おーぷん :2014/05/25(日)10:18:36 ID:IYMLtRLEa
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
When the cards are used individually for astral projection, they are graphic and
subjective symbols of that which is experienced on the Paths between the Sephiroth.
カードたちが星幽体投射に個々に使用される場合、それらは、「セフィロト」の間の「小径」
に関して体験されるものの、生き生きとした主観的な象徴たちである。
--- ここまで ---

1つ目の、我々の「within/内側」へと向かう使用法の1つに、タロットの大アルカナを
使った「astral projection/星幽体投射」があります。
そしてこのタロットを使う手法は、一般的には「パス・ワーキング」と呼ばれています。

ちなみに、「astral projection/星幽体投射」というものは、簡単に言うと「対外離脱」
であり、さらに一般的に言うと「白昼夢」という現象のことです。

つまり、世間的に見ると「危ないもの」であるため、普通の人は、できれば立ち寄らない
方が良いものなんですよね。

そもそも、これに向いている人は「病気持ち」である可能性があるので、できれば避けて
おいた方が無難ですし、これに向かない人が無理に「白昼夢」を見ようとすると、色々な
薬物に頼ったり、修行という名の様々なストレスを体に与えないといけないので、健全な
人間にとっては、どちらかというと悪い影響を与えがちなのです。
それゆえ、「大体において健全ではあるが、若干の病気持ち」であって、ある程度の自制心
のある人にとっては、それなりに使えるのかもしれないけれども、それ以外の人にとっては、
役に立たない、もしくは人生を終わらせる可能性が高くなるということなんですよね。

いずれにしても、こういうわけわからない世界には、ちょっとした入り口だけの体験だけで
終わらせて、それ以上には、のめり込まないのが無難なのです。

つまり、一般の人は、「白昼夢」まで逝ってしまわないように、「脳内妄想」として自分で
意識できるレベルに留めておくということが、人間を終わらせないコツということなのです。

ワタシが今まで、さんざん「脳内妄想」というものをネタしているのは、それを否定する
ことなく、人生において、それを有効に活用してほしいからなんですよね。
頭のイカれた人ほど、「脳内妄想」を不十分な状態であると否定し、その先にある「白昼夢」
の状態を勧めてきますが、それは人としての意識を失う洗脳という状態にも繋がり、さらに
それは人間そのものを終えることにも繋がります。

「君子、危うきに近寄らず」なのです。
オカルトの世界は、逝ってしまった人々が、ゾンビとして多数住まう地なのですから。
318名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)06:41:18 ID:wNCjiDjCO
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
Here they might also be described as that which is required to pass from one Sephiroth
to the next.
ここでは、それらはまた、1つの「セフィロト」から次のものへと通るために要求される
ものとして評じられるかもしれない。
--- ここまで ---

代名詞の多い文なので、ちょっとわかりにくいですかね。
文頭の「Here/ここでは」は、「カードによる星幽体投射」のことを指しており、次の
「they/それら」は、「タロットの大アルカナ」を指しています。

1つ前の文は、「大アルカナ」を、「小径」自身を象徴するもの、すなわち
 大アルカナ = 主観的象徴化関数(小径)
という一対一の関係性を述べていましたが、この文では、セフィロトとの相互関係性、
 大アルカナ = 状態遷移関数(セフィロト[from], セフィロト[to])
ということを述べているわけです。
要するに、「大アルカナ」について考える時は、「小径」そのものの作用だけでなく、
それが繋いでいる「セフィロト」についても、しっかりと考察しなさいということです。

パス・ワーキングという脳内ビジュアルゲームにおいては、「大アルカナのカード」は、
ドラクエの次のマップ、いやいや次のセフィロトへと至る門を開く「秘密の鍵」として
作用したり、アイカツの次のステージ、いやいや次のセフィロトへと上がるために必要な、
自分自身を変化させるプレミアム・カードとか、まあそういった作用をするわけです。

つまり、表舞台はあくまでも「実体のある小アルカナのステージ」であって、大アルカナ
自体は、表からは直接見えない隠蔽されたバックグラウンドプロセスを担当している
「小径」に作用する「イベントトリガ関数」であったり「触媒」であったり、フラグを
立てたり折ったりするイベント・ハンドラ的なものであるということになります。

要するに、「大アルカナのカード」自体は、単なる象徴が描かれたカードであって、
商業的大量生産が可能なものであり、それ自体には大した価値はないのです。
それと同様に、カードゲーム機のカードも、単なるカッコイイ象徴絵とバーコードが
印刷されていたり、ICチップが入っているだけであって、それ自体には価値はありません。

つまり、重要なのは、カード自体の取得や所有ではなくて、それをトリガーとして発生する
数々のイベントや、新しいステージへの幕開け、そして自分自身のレベルアップという、
バーチャルライフにおける幻想的な体験なんですよね。
そして、そういうリッチ・コンテンツな体験をしてもらうことを、カードゲームの
制作者たちは意図して、カードを含むシステムをデザインしているわけなのです。

そういう意味においては、「タロット」と呼ばれる「カード・ゲーム」を購入して所有
しているコレクター層は割と多いのですが、きちんとゲーム・システムまで理解した上で
使いこなせているコアゲーマーな人は、まだまだ少ないと思うのでした。
319名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)06:49:42 ID:a0i9pdz6l
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
They define stages of personal development.
それらは、個人の発達の段階を定義している。
--- ここまで ---

完全に和訳してしまうと、全くもって味気の無い文章になりますね・・・。

要するに、ステージをクリアして得られる新しいカードをゲーム筐体にセットすることで、
プレイヤーがレベルアップして新しいステージへと進めるということであって、その鍵と
なる情報が暗号化され記録されているのが、この「大神秘カード」であるということです。

なお、この場合の「stages/ステージ」の意味合いは、「大アルカナ」が象徴する「小径」
というよりも、「セフィロト」の方がイメージが近くなります。
それゆえ、上記の文の冒頭の「They/それら」は、解釈の範囲を「大アルカナ」だけに
限定することなく、「生命の木」のシステム全体の中においての「大アルカナ」の役割と
関係性として捉えておいた方が良いかと思います。

さて、「大アルカナ」と「personal development/個人の発達」という関係性ですが、
これは、「個体発生は系統発生を繰り返す」という、ドイツの生物学者であり医者であり
哲学者でもあったエルンスト・ヘッケル氏(Ernst Heinrich Philipp August Haeckel,
1834-1919)の「反復説」にも通じるものがあります。

ちなみに、「個体発生は系統発生を繰り返す」という学説は、「上の如く、下も然り」
みたいなオカルト風のもので、現代においても、いまだに真偽が審議中のままという、
実にオカルトな(科学ではいまだに完全には解明できない)学説だったりするわけです。

とはいえ、そもそも「大アルカナ」というか「生命の木」自体が、「宇宙創世」と
「個体発生」の両面を持っていることは、周知の通りなんですけどね。

というわけで、皆さんも、この「大アルカナ」というミステリアスなカードを使って、
自らの中にある「宇宙創世」と「個体発生」、そして「個人の発達」という画期的な
脳内RPGにチャレンジしてみてくださいね。

このゲームに必要なものは、タロットカードだけ。
プレイヤーもゲーム筐体も、全てはあなた自身の中にあるものなのです。
320名無しさん@おーぷん :2014/05/28(水)06:38:35 ID:na7YGxqRA
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
On the other hand, when the Trumps appear in a divination, they are viewed from
without, and are objective forces affecting the question.
その一方で、「大アルカナ」が占いにおいて現われる場合は、それらは外部からのものと
して見なされ、そして質問に影響を及ぼす実体的な力である。
--- ここまで ---

今までは、「カード(大アルカナ)による星幽体投射」という「主観的」な面について
述べてきましたが、ここからは「カード(大アルカナ)による占い」という、「実体的」
かつ「客観的」な面について述べていこうということです。

さて、占いにおいて、「大アルカナ」が「実体的/客観的」なものかと言うと、実のところ、
そう断言できるものでもないんですよね。

ワタシに限って言えば、そもそも「主観的」とか「客観的」という見方は、カードが展開
された位置に依存するわけであって、大アルカナであるからとか、小アルカナであるから
とか、そういう見方をすることは少ないと思います。

言えることは、「大アルカナ」の作用は、小アルカナ的で制御可能な「power/力」では
なく、こちらの言うことを聞いてくれない「force/力」であるということですよね。
要するに、こちらの思い通りにはならないという意味においては、決して「主観的」な
ものではないと言うことは出来ると思います。

前に述べたように、「大アルカナ」は「進化」を意味します。
これは「しんかのいし」と同じ効果があり、プレイヤーの意志でBボタンを押しても、
決してキャンセルできない「ミクロコスモス的な進化」を意味します。

そして、この「大アルカナ」による進化は、基本的には内面的というか精神的なもの、
すなわち主観的な面の進化として作用する場合が多いのですが、そうであったとしても、
「大アルカナ」の作用というものは、自身の内面からの気づきという主観的なものでは
なく、あくまでも外部からの作用により自身が強制的に変化させられるという客観的な
面を持っているということなんですよね。

まあ、こういう複雑な作用を理解するのって、きちんとした占いをやったことのない人に
とっては、ちょっと理解が難しいかな、とは思うのですが、まあそういうことなのです。
321名無しさん@おーぷん :2014/05/29(木)06:43:35 ID:FkhQ9lE3B
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
A large number of these Trumps, appearing in a spread, shows forces entirely beyond
the control of the Querent.
多数のこれらの「大アルカナ」が、展開において現われる場合は、質問者(被占者)の
管理を完全に超えた力を示している。
--- ここまで ---

タロットカードのスプレッドにおいては、大アルカナが出る確率は、単純に
 22 / 78 ≒ 0.282
であり、プロ野球の主力打者の打率程度のヒット率です。

でも、たまに、大アルカナを大量にヒットしてくる被占者がいたりするわけです。

こういう場合って、マジで読めないんですよね~。

自分自身の意志や行動で制御が可能で、一定の話の流れのある小アルカナの展開とは違って、
大アルカナの場合は、かなり突発的というか、話の前後の流れに無関係に割り込んでくる
「人生の切り札」というか、「神様の気まぐれ」というか、悪くすると「天災」みたいな、
「人生の落とし穴」みたいなものであることもあるわけです。
つまり、未来が「読めない」カードであり、さらに過去や現在でも、どこにあっても、
とても「読みにくい」カードなんですよね。
何せ、「神のみぞ知る」という類のカードなのですから、通常状態の我々にとっては、
これが吉と出るか凶と出るかさえ、簡単には判断が付かないわけなのです。

そういう意味においては、大アルカナだけを用いて占っているタロット占い師って、
別の意味で尊敬してしまうのでした。
まあ、ワタシも、何も知らなかった最初の頃は、22枚で占いをすることもありましたが、
タロットの本来の姿が78枚であることを知ってからは、大アルカナだけで占いをする
ことは無くなりました。
だって、無理なんですから・・・。
322名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)06:59:30 ID:dyyQkUUfo
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
"Path working," particularly when it involves the Tarot cards, has a high degree of
mystery and romance attached to it (as does all astral projection), but the
experiences are very practical.
「パス・ワーキング」は、特にそれがタロット・カードを巻き込んでいる場合は、
(すべての星幽体投射がやっているのと同様に)それに付加された高度の神秘的および
伝奇的なものを持っているが、しかし、その経験は、非常に実用的なものである。
--- ここまで ---

占いが客観的であるとか実体的であるとかいう、曖昧な話題はこれくらいにしておいて、
元の主観的な「パス・ワーキング」の話に戻ります。
まずは、カバラ・タロットの基礎となっている「Path working/パス・ワーキング」に
ついて、しっかりと勉強しておくことが大事ですからね。

さて、この主観的なバーチャル体験である「パス・ワーキング」ですが、これを習得し、
自身のリアルな経験と知識へと形態転換していくことにより、これをリアル世界へと投射し、
応用していくことも可能となってきます。

が、皆さんのご想像の通り、これは両刃の剣でもあります。

元々、「astral projection/星幽体投射」というものは、「a high degree of mystery
and romance/高度の神秘的および伝奇的なもの」、すなわち根拠の無いもの(←断言)を
ベースにしているために、かなり「いかがわしい」というか「危ない」ものでもあります。
実際、多くの人が、それを勘違いして道を踏み外したり、「星幽体投射」的な体験をウリに
した詐欺商法に遭ったりしているのも確かですからね。

いずれにしても、一般の人は、タロットによる「パス・ワーキング」には、多くのものを
期待しない方がいいかと思います。
そもそも、その体験の中に隠された「高度」な意味を理解できる人は限られていますし、
たとえそれが理解できたとしても、その「高度」な経験や知識は、一般の人々にとっては、
実生活においては、ほとんど何の役にも立たないものなのです。

つまり、現実にそういったものを役立てる(=利益とする)ことの出来る人は、かなり
少ないということであり、この文章の最後に「very practical/非常に実用的なもの」と
断言しているウォン氏は、たまたま、その希少種に入っているということなのです。
まあ、神秘主義分野の研究家であり作家であるというウォン氏の職業は、その希少種の
代表でもあるわけですけどね。

ただ、本来の「実用的」という面にこだわらなければ、タロットによる「パス・ワーキング」
自体は、非常に面白い個人的な体験であり、これはこれで別の意味で、つまりヲタク的には
充分に「実用的なもの」と言えるものであるわけです。
ただし、この場合は、あくまでも個人的な娯楽の範囲に留めておくことが大事だと思うの
でした。←ヲタク趣味は、他言するとロクなことにならないのです。(笑)
323名無しさん@おーぷん :2014/05/31(土)09:11:43 ID:2b4Ceji7p
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
To be of any use, the inner lessons must be applied to our every day lives.
何らかの役に立てるためには、内的な学課が、我々の毎日の暮らしに適用されなければ
ならない。
--- ここまで ---

タロットの大アルカナを用いる「パス・ワーキング」は、この文章の「inner lessons/
インナー・レッスン(内的な学課)」に相当する訓練です。
そして、そのレッスンで得られる知識や経験は、あくまでも「主観的」なものであり、
「上の如く」に相当しています。
それを「客観的・実体的」である「我々の日常生活」、すなわち「下も然り」に適用し、
応用していく必要があるということを言っているわけです。

まあ、そういうことなんですけど、じゃあどうすればいいのか、という点が、オカルトの
オカルトたる問題点でもあるわけです。
普通の人には、どうすればいいのかが、よくわからないということなんですよね。
何度も言いますが、普通の人は、あまり踏み込まない方がいい領域であり、この先は
あくまでもヲタク趣味のネタとして理解しておく方がいいと思います。

さて、普通でない人の場合ですが、この先は、かなりの確率で「奇人・変人」に形態進化
というか、人としては劣化していきます。
歴代の偉大な魔術師と呼ばれた人物が、これに相当します。
そして、残りの、劣化せずに悟った人の多くは、人の歴史からは消えていきます。

つまり、歴史に汚名を残すのではなく、優れた人物として名を残したいのであれば、
なるべくこういう分野には関わらないのが一番です。
他の分野で有名になった人が、なぜかオカルトの分野に手を染めて、スキャンダルを
起こしてしまい、人として没落していくことって、ごく普通にあることですからね。

え、おまいの話はしつこい・・・、ですか?
でも、しつこく何度も言わないと、普通でない人には、なかなか理解してもらえない
んですよね。
自分だけは絶対に大丈夫とか、そういう思い込みの激しい人ほど、危ないですからね。
324名無しさん@おーぷん :2014/06/01(日)10:38:13 ID:ofTl5Rin4
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
The whole process of spiritual development involves a bringing into balance of the
component parts of the personality, so that it may function in conscious cooperation
with the Higher Self.
霊的な発達の全ての過程は、人格の構成要素たちに均衡をもたらすことを必要とし、
そのため、それは「高次の自我」と意識的に協力して機能するであろう。
--- ここまで ---

タロットの大アルカナを用いた「パス・ワーキング」による「インナー・レッスン」に
関する説明の続きです。

とりあえず、現世御利益みたいな、目先の「客観的・実体的」な方面の話題は、ちょっと
脇に置いといて、近代タロットにおける「主観的」な面を、もう少し掘り下げていくこと
にします。
そもそも、「これがあれば、あなたも億万長者に!」とか「これさえあれば、すぐに彼氏
彼女が!」とか「たったこれだけで、悩みは全て解決!」なんていうのは、ほぼ100%が
詐欺商法ですからね。
「欺す方が悪い」という、屁理屈みたいな客観的認識で相手に責任転嫁する人も世の中には
多いのですが、「欺される方も悪い」という「主観的」な認識をきちんと持てない人が
多いのは困ったものです。
「欺される人」がいる限り、「欺す人」は必ず出てくるのが、この世の中なのですからね。

さて、人間の個体が、「個としての人」として成長していくためには、この「spiritual
development/スピリチュアル(霊的)な発達」というものが必要不可欠であることは、
ある程度のレベルに達している人であれば、理屈抜きで理解できていると思います。
まあ、理解できないから理屈を説明してほしいという人は、修行が足りないので、このまま
お帰りください、と言わざるを得ないわけです。←説明するのも面倒臭いし・・・

そして、人としての「スピリチュアルな発達」の助けとなるのが、「パス・ワーキング」
と「ハイヤー・セルフ(高次の自我)」の華麗なるコラボによる「インナー・レッスン」
というわけです。
こういうことを理解していない、そして理解できない人というのは、現状の日本では、
とても多いのではないかと思います。
とはいえ、「スピリチュアルな発達」とか「ハイヤー・セルフ」という言葉そのものが、
今の日本では、かなり怪しい人々によって、かなり怪しい使われ方をされてしまって
いますので、ワタシさえも、どうしても警戒してしまう言葉になってしまっています。

さて、ここから先しばらくは、本来の意味での「霊的な発達」や「高次の自我」を理解
できている人のみが、その内容を、ある程度は理解できるのではないかと思います。
なお、本来の意味での「霊的な発達」や「高次の自我」が何であるかを、言葉だけで
説明することは、事実上不可能ですので、そういった「神秘系象徴用語」に関する質問は、
未熟者であるワタシにはお受けできかねますので、その点は、ご承知おきくださいませ。

質問してみたい人は、あちこちに店を構えている「全てを知っている、意識高い系の
自称熟達者の先生たち」に聞いてみるといいのではないかと思います。
325名無しさん@おーぷん :2014/06/02(月)06:47:39 ID:3EuhFLLgH
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
But when this process is described by the Mystery Schools in terms of the Four
Elements, Fire, Water, Air and Earth, it may sound remote and mysterious.
しかし、この過程が、「四つの元素」である、「火」、「水」、「空気」そして「地」の
観点から「神秘的教義の学校」たちによって記述されているとすれば、それは、かけ離れた
ものに、そして不可解なものに思えるかもれない。

It is not.
(だが、)それはそうではない。
--- ここまで ---

「spiritual development/霊的な発達」は、魔術カバラにおいては、カバラの「生命の木」
と、ヘルメス主義の「錬金術」の両面から記述されています。
この文章は、主に「ヘルメス主義的錬金術」のことを言っているわけです。

さて、この「四大元素論」ですが、元々は古代ギリシアの「万物の根源」に関する哲学的
考察から生み出されたものであり、誕生時から「象徴的意味」として使われていた用語です。
ちなみに、現代においても、こういう象徴的用語というのは、割と良く使われていますよね。
・男の子の構成要素 → カエルとかたつむりと子犬のしっぽ
・女の子の構成要素 → 涙とウソとシュガー

で、こういった神秘的な「象徴的意味」を持つ「四大元素論」を、解凍して脳内イメージと
して展開していくには、それなりの「パスワード=秘密の鍵」が必要となります。
やっかいなのは、その「秘密の鍵」のレベルと、解凍場所となる脳の理解レベルに応じて、
解凍されイメージ展開されるものが異なるということなんですよね。

結論から言うと、「四大元素論」とは、「教えられたパスワードを元にして、新たなる
上位のパスワードを解くためのパズル解法の理論」であるということです。
ならば、最初から「上位パスワード」を教えてくれればいいのにと思うのですが、残念
ながら、神秘的教義の性質上、直接教えることは不可能であり、自力で獲得していく以外
に方法が無い、要するに「後は、おまえ自身で考えろ」というシロモノものなんですよね。

これは、一見すると無責任っぽいのですが、この「後は全て、おまえに任せた」という
放任主義は、別の意味においては、時代を超えた「究極理論」でもあるわけです。
つまり、その時代の知識や技術レベルに合わせた現状最適理論を構築することが可能
となるわけであり、それゆえ「ヘルメス主義的錬金術」が、現代の最先端の科学理論
にも直結可能となる柔軟性を持つという、最大の特徴となっているわけなりです。

とはいえ、「ヘルメス主義的錬金術」の、こういう回りくどい点を理解した上で勉強して
いる人って、今の日本では皆無ではないかと思うんですよね。
現状は、俗物的錬金術の「火・水・風・地」のレベルに留まってしまっていて、その上位
世界にまで上がってこれない人が、ほとんどだと思います。
だって、上位の世界に上がるのは、色々と多くのことを勉強しないといけないですし、
色々と面倒臭いですし、おまけに、さほどのメリットがあることとも思えませんからね。

え、じゃあ、おまいはなんでそんな役に立たないものを勉強しているのか、ですって?
まあ、隠れて見えないものを見ようとしたがるのは、男の子のロマンですから。
326名無しさん@おーぷん :2014/06/03(火)06:53:07 ID:V3iOKu5S4
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
We grow by learning perfect control over ourselves within our chosen environment,
to the point that we are no longer at the mercy of that environment.
我々は、我々の選ばれた環境の範囲内で我々自身の完全な支配を習得することにより、
もはやその環境のなすがままにならないまでに成長する。
--- ここまで ---

ちょっと宗教的っぽい文章ですかね。

無理矢理に宗教的に意訳すると、こうなります。
「神より選ばれし我々の魂は、神より与えられし地上という物理環境において、この肉体と
精神を得て人として誕生した下なる存在ではあるが、日々修行を怠ることなく精進し、
器である肉体と精神のしがらみに惑わされることなく、内なる魂の向上という目的を
達成するのであれば、それこそが悟りの心である、と。」

・・・・なんか、超めんどくせぇ~。(苦笑)

これって、結局のところ、神という「親」の言いなりになって、良い子になって、日々勉強
に励んで、いい学校に入って、うんたらかんたらという、ワタシには、絶対に無理っぽい、
優等生的で模範的な「聖者の人生」になっているような感じです。

そもそも、ワタシには、自分自身の「perfect control/完全な支配」なんて絶対に無理
ですし、自分自身、何するかわかんないし、何言ってるかもわかんないわけですよ。
それに、ワタシがここに書いている文章だって、自分自身をきちんと支配して、自分自身の
考えを書いているという認識って、実はあんまり無いわけです。
ワタシの中の人が書きたいものを、ワタシが勝手に書かせているという感じなんですよね。
そういう意味では、ワタシ自身は、全く「grow/成長」できていないことになります。

でもまあ、「成長」して悟った人であれば、こういう過疎板で痛い駄文を書き散らすことも
なく、自己の魂の修行のみに日々邁進し、歴史の中にひっそりと埋もれたまま、最後には
めでたく神に召されていくという、「聖者の一生」みたいなものになるわけでしょうかね。

・・・・なんか、超つまんねぇ~。(苦笑)

というわけで、ワタシはまだまだ反抗期ですので、これからも日々フリーダムに、そして
ちょいワル風に生きていこうと思うのでした。←完全に厨二病です

あ、良い子の皆さんは、こんなヘタレのワタシに構わずに、ウォン氏の言っている通りに、
自分自身の完全な支配を習得して、人として成長していってくださいね。 (^_^;;
327名無しさん@おーぷん :2014/06/04(水)06:51:19 ID:opWg5F1py
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
This is a spiritual suicide mission for the personality, and for the whole concept
of "self" as it exists within an incarnation.
これは、人格、および受肉した人間の内に存在するという「自我」の概念そのもののための、
霊的な自死の任務である。
--- ここまで ---

この文章だけでは、何を言っているのか、よくわかんない人もいるかと思いますが、これは
ヘルメス主義的な「錬金術」そのものを表している言葉です。

単なる石ころのように見える「金を含む原石(鉱石)」、すなわち「聖霊のかけらを含む
受肉した人間」を、徹底的に砕き、薬品などで成分を溶かし出し、加熱したり蒸留したり
別の薬品を加えたりして精製・分離・抽出し、最後に「一かけらの金」を取り出すことが、
錬金術の基本目的となります。

とはいえ、そういうふうに人間の中から霊的な「一かけらの金」を取り出すことって、
経済的には全く割に合わないものであるために、どうしても人間の中から「金(かね)」
を巻き上げる方向に走ってしまいがちになるわけですけどね。

まあ、それはともかくとして、前に述べた「インナー・レッスン」による「霊的な発達」
には、この「錬金術」の手法を正しく適用することが、とても有効であるということです。
そして、その過程においては、タロットの大アルカナを用いた「パス・ワーキング」が、
とても有効に作用するということなのです。

そう、大アルカナの神秘的な絵柄に込められた物語は、「spiritual suicide mission/
霊的な自死の任務」についてであって、その過程は「パス・ワーキング」という自己訓練
の中で、自身の内面に向かって、詳しく語られるものであるからなのです。

とはいえ、人間の肉体の主要構成物である「土埃=不純物」って、結構強力ですからね。
神ならぬ人間の身ですので、そう簡単には「金(きん)」を分離・精製できるとは
考えない方がいい、というか、ほぼ不可能であると悟っていた方がいいとも思います。

ワタシなんか、とっくの昔に「神秘主義の王道」をあきらめて、そういう人達とは違う
脇道、主に「ケモナーへの道」を歩いていますからね。
まあ、そっち系の道の方が、物理的にモフモフスリスリくんかくんかできますし、
ぬこぬこ動画で癒されたりもしますし、結構楽しいわけです。

霊的進化よりも、ケモ的退化している、今日この頃なのでした。←全く反省無しw
328名無しさん@おーぷん :2014/06/05(木)06:51:16 ID:S3Fq2xiHB
「カバラ」の章の続きです。

--- ここから --- (Robert Wang, 『The QABALISTIC TAROT』First paper edition, 1987, pp. 35) ---
This is a process which is natural to everyone, but which is accelerated by focusing
attention on it.
これは、誰にとっても自然の過程ではあるけれども、それに注意を集中することにより
促進される過程でもある。
--- ここまで ---

この世の全ての人が、神によって魂を授けられて地上に生み出され、そして最終的には
神の元に戻るという、汎神論的な宗教的思想に従うのであれば、全ての人にとっては、
何も難しいことを考えなくても、何も特別なことをしなくても、この世における我々の
全ての経験は「インナー・レッスン」そのものであると言うことが可能です。

とはいえ、その魂の自然進化は、輪廻により無限ループし、ニュータイプとして覚醒し
ブレークするまでには、何世代にも渡るものとなる可能性が高いわけです。
そこで、手っ取り早く一代で進化して成仏する方法、すなわち「注意を集中」する手段
として、「宗教」や「神秘主義」や「魔術」というものが存在しているわけです。