- -pv
スレッドの閲覧状況:
現在、- がスレを見ています。
これまでに合計 - 表示されました。
※PC・スマホの表示回数をカウントしてます。
※24時間表示がないスレのPVはリセットされます。
このスレは1件 まとめられてるよ! まとめ表示

【忍殺】ネオフクオカ・キリング・チェインズ

1名無しさん@おーぷん:2018/10/08(月)18:35:40 ID:rxM()
「【忍殺】アナザーワン・アウェイクニング」というスレタイで書かせていただいてエタってしまいましたが
完結までリライトできたので順次投下させていただきます
50名無しさん@おーぷん :2018/10/11(木)20:23:37 ID:GSZ()

シャドウスパーク「……イヤーッ!」


 シャドウスパークは右手を掲げ、火球を苦も無く受け止めた!


フォーミュラ「何イ!?俺のスピードを……」

シャドウスパーク「ハエが!イヤーッ!」


 そのまま火球を掴み、力任せに投げ飛ばす!


フォーミュラ「グワーッ!」


 叩きつけられたビル壁が崩壊!CRASH!
フォーミュラはニンジャの姿に戻って瓦礫の上に倒れこんだ。
ビルの中はUNIXの乗った机がビッシリ並ぶオフィスだ。


サラリマンA「アイエエエ!?」

サラリマンB「ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」


 残業サラリマンたちがNRSを起こして発狂、何度も転びながらオフィスからまろび出て逃げていく。
51名無しさん@おーぷん :2018/10/11(木)20:24:06 ID:GSZ()

フォーミュラ「ヌウーッ……!」


 フォーミュラは立ち上がってなんとかカラテを構えなおす……
しかし壁の穴の向こうにシャドウスパークの姿はない。


フォーミュラ「……どこだ?」

シャドウスパーク「ここだ」


 フォーミュラの背後から声!


フォーミュラ「何だと!?」クルッ

シャドウスパーク「イヤーッ!」ブンッ

フォーミュラ「グワーッ!」ドガッ

シャドウスパーク「イヤーッ!」ブンッ

フォーミュラ「グワーッ!」ドガッ

シャドウスパーク「イヤーッ!」ブンッ

フォーミュラ「グワーッ!」ドガッ


 振り返ったフォーミュラを緑と黒の猛烈なカラテラッシュが襲う。
その圧倒的なパワーとスピードにフォーミュラは打たれっ放しだ!
52名無しさん@おーぷん :2018/10/11(木)20:24:28 ID:GSZ()

シャドウスパーク「イイヤアアアーーーッ!」ブウンッ

フォーミュラ「グッワーーーッ!」ビューンッ


 一際強烈なカラテストレートがフォーミュラを吹き飛ばす!


フォーミュラ「ガハッ!」ドガッ


 UNIX机の上をかっ飛んでいき、反対側の壁に頭から激突!
ビシッ!壁に蜘蛛の巣型のヒビが入り、フォーミュラはガクリと膝をついた。
合体ニンジャはオフィスを歩いてそちらへ近づく。


フォーミュラ「ゴボッ、ゴボ……バカな、俺よりも速いだと……そんなことが……!」

シャドウスパーク「ククク……さっきまでの威勢はどうした?」ツカツカ

フォーミュラ「ゴボッ……!イヤーッ!」ビュンッ


 フォーミュラはメンポの裏から血を吐きながらも、燃えるカトン・スリケンを投擲!


シャドウスパーク「イヤーッ!」ビュビュンッ


 シャドウスパークはデン・ジツで帯電するスリケンを投げつけ、撃墜!
53名無しさん@おーぷん :2018/10/11(木)20:24:57 ID:GSZ()

フォーミュラ「イ……!?」ギシッ


 第二投を振りかぶったところで、フォーミュラの体はカナシバリにでもかけられたかのように硬直した。
体はギシギシと軋むばかりで首を回すことさえできない……血走った眼であたりを見回す。
オフィスの床に落ちる自らの影に、クナイ・ダートが突き刺さっているのが見えた。


フォーミュラ(まさか、さっきのスリケンに隠して投げて……あれで俺の動きを封じたのか?何というジツだ!?)

シャドウスパーク「イヤーッ!」ブウンッ

フォーミュラ「グワーッ!」ドガッ


 シャドウスパークのトビゲリがフォーミュラの鳩尾を捉えた!
赤いニンジャの体はさらに吹き飛び、ヒビの入った壁に衝突して、破壊!CRAAASH!


フォーミュラ「ハアーッ……ハアーッ……ゴボッ、ゴッホ……」


 その向こうは別の路地だ。
雨の降り注ぐ中、フォーミュラは瓦礫の上でもがいた後どうにか立ち上がる。
壁の穴を潜って黒緑のニンジャが姿を現した。


シャドウスパーク「これだけ暴れても助けは来ないか。よほど味方を引き離したらしい……自慢のスピードが仇になったな?」

フォーミュラ「ふざけるな……スピードは力だ、スピードはカラテだ。最速の俺が、イクサに敗れるなど!」ダッ
54名無しさん@おーぷん :2018/10/11(木)20:25:22 ID:GSZ()

 フォーミュラがシャドウスパークめがけ走る!
すわ火球突撃か?否、構えるのは何の変哲もないカラテチョップ!


フォーミュラ「ありえんのだ!イイヤアアアーーーッ!」ビュンッ


 その一撃はヤバレカバレではなく、彼のプライドの爆発だった。
実際、これまで彼が放ったどんな攻撃よりも鋭く、そして速かった。


シャドウスパーク「では思い知れ!ヒサツ・ワザ……!」グッ


 しかし迎え撃つシャドウスパークはそれを見切り、引き絞った両腕の解放で迎え撃った。
右手には緑色のスパークを、左手には渦を巻く影を纏っての、ダブル・ポン・パンチ!


シャドウスパーク「イイイヤアアアアアーーーッ!」ビュオンッ

フォーミュラ「グッワアアアアアーーーッ!」ドッガアッ


 フォーミュラの体は二種類のエネルギーに焼かれながら飛んだ!
CRAAASH!横のビルに飛び込む!
CRAAASH!向かいの壁を突き破って飛び出す!
CRAAASH!横のビルに飛び込む!
CRAAASH!向かいの壁を突き破って飛び出す!
CRAAASH!横のビルに飛び込む!
CRASH!向かいの壁に激突し、爆発四散!


フォーミュラ「AAAGH!俺の!スピード……サヨナラ!」ドカーンッ
55名無しさん@おーぷん :2018/10/11(木)20:26:24 ID:GSZ()

シャドウスパーク「ハアーッ……」


 シャドウスパークは5枚の壁の穴越しにそれを見届け、ザンシンを解いた。
確かめるように両手の拳を握り、広げ、また握る。
ニューロン内で合体した二人の意識が響き合う。


アークスパーク(ハハッ、相変わらず強いぜシャドウスパークは!カラテもジツも合体前の二倍……いや二乗か!)

シャドウフリーズ(私たちの和算プラス、ニンジャソウルの性差解消!アーチニンジャ二人分の力があれば実際ムテキですよ)

アークスパーク(残りの三人もこの程度なら救援なんざ待つまでもないぜ。いっそ逆にアンブッシュをしかけて返り討ちにしちまうのはどうだ?)

シャドウフリーズ(ヨロコンデー!手柄を立てて幹部昇進、支部長就任、スピード出世でいい感じ!)


 脳内会議が終了すると、シャドウスパークは不気味な笑みを浮かべて歩き出す。


シャドウスパーク(ククク……カブナカマ・ニンジャども、首を洗って待っているがいい……!)


 その足元の影が不気味に蠕動し、合体ニンジャの体が沈み込んで、消えた。
56名無しさん@おーぷん :2018/10/11(木)20:28:10 ID:GSZ()

 所変わってハカタパレス……
ネオフクオカ中心街の一等地に広大な敷地を構えるカタナハント・ユニオンの本拠地では。


「ムヒャヒャヒャヒャ!見ろナイトニンジャ=サン!」


 千畳敷の和室の中心でソファクッションに身を沈めるニンジャが、金箔張りのUNIXモニターを指差して笑う。
ひょろ長い体躯をキャメルカラーのニンジャ装束に包み、黄金のオキナ・オメーンで素顔を隠している。
その手や首元には皺が畳まれているが、その動きは至極矍鑠としたものだ。
彼こそカタナハント・ユニオンの首魁、オーバーロード。
どういうわけか数百年にも渡ってネオフクオカ暗黒街の頂点に君臨している長寿の暴君だ。


オーバーロード「昨日立ち上げたばかりのペーパーカンパニーの株価が五千倍に上がっておる!まんまと騙されおって、クズ投資家どもめが。明日には計画倒産するとも知らないで!」


 ナムアミダブツ!なんたる非道ビジネスか!
実のところ、ネオフクオカの経済の何割かは彼とユニオンによって身勝手にコントロールされているのだ!


「ハイ。何よりです」


 その背後で影のように控えるニンジャの姿あり。
フルプレートじみた重ニンジャアーマーは夜の闇のごとく暗く、ニンジャヘルム越しの声は低くくぐもっている。
彼こそナイトニンジャ……オーバーロードの懐刀たる凄腕のニンジャ・エージェント。
このニンジャもまた数百年に渡って生き永らえる謎の存在だ。


オーバーロード「まこと、このコロニーはまるごと吾輩の手のひらの上であることよ。カブナカマ・カルテルもハヤト・フロントも、このハカタパレスにカタナを届かせることはできぬ!ムッヒャヒャヒャ!」

ナイトニンジャ「ハイ……ムッ?」


 ナイトニンジャの懐で電子コール音が鳴る。
IRCトーカーを取り出し、応答。
57名無しさん@おーぷん :2018/10/11(木)20:28:36 ID:GSZ()

ナイトニンジャ「私だ……何?……ああ。……ああ、わかった。すぐに行く」


 短い会話には緊迫感が感じ取れた。
オーバーロードが首を巡らせてそちらを見る。


オーバーロード「ンー?一体何事だナイトニンジャ=サン」

ナイトニンジャ「『オーパーツ』の位置データを確保するミッションに支障が生じたようです。私が直接出向いて解決して参ります」

オーバーロード「フムーン、そうか。よい、行け!」

ナイトニンジャ「ヨロコンデー」バババッ


 ナイトニンジャは重厚な鎧姿からは想像もできないほど軽快な動きでバク転を繰り返し、玉座の間から退出した。
オーバーロードはオキナ・オメーンのヒゲを触りながら思考にふける。


オーバーロード(『オーパーツ』……古代のリアルニンジャが遺したマジック・アイテムか)

オーバーロード(吾輩が長年探し求めているものもあるが、鬱陶しいカブナカマどもにとっては逆転のチャンスともなる。まこと煩わしいことよ)
58名無しさん@おーぷん :2018/10/11(木)20:28:52 ID:GSZ()

 ニンジャ首領がパンパンと手を叩くと、五秒もしないうちにフスマが開いた。


オイランA「お呼びドスエ!ウフフーッ!」サササ

オイランB「オールで楽しむでアリンス!」サササ

オイランC「アアン、激しく前後するドスエ!」サササ


 そして淫靡なキモノに身を包んだ専属オイランたちが駆けてくる!アソビ!


オーバーロード「ムヒャヒャヒャヒャ!三人同時に相手してくれるわ!」


 オーバーロードはオメーンの下で下卑た笑みを浮かべてオイランたちを抱きとめ、脇のフートンに雪崩れ込んだ!
59名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:01:32 ID:MAX()

 視点は回帰し、旧市街の路地。
重金属酸性雨は強くなる一方で、うつむき加減の通行人たちは耐酸性雨レインコートのフードを目深にかぶって家路を急ぐ。
ZZOOOM……低く雷鳴が轟いた。


ゴケニン「ヤヤッ!見るでござる、ネビュラチェイン=サン!」ガシャガシャ


 ゴケニンは和鎧を鳴らしながら路地を走り、ビルの壁に大穴が空いているあたりを注意深く見回した。
青銅色の装束のニンジャがそれに続く。


ネビュラチェイン「これは、戦闘の跡だね……」


 二人は揃って壁の穴の向こうを見通した。
いくつもの壁を一直線に貫通した穴の先に、爆発四散痕と思しき焦げ跡が見えた。


ゴケニン「あのニンジャソウル反応は……フォーミュラ=サンでござる」

ネビュラチェイン「あーあー、ナムアミダブツ」

ゴケニン「ナムアミダブツ。ちと功を焦りすぎたでござるな……」


 揃って合掌したあと、ゴケニンは周囲の痕跡を探り、ネビュラチェインはIRCトランスミッターを取り出してクロックワークと交信する。
クロックワークは現在、近くのビル屋上でステルスし、周辺を警戒する役目にあたっていた。
彼は爆弾工作の専門家であり、カラテはさして強くない。
バクチクをしかけた区画から脱出された時点で、彼の直接戦闘での役目は終わってしまったのだ。


DATADELETE:nebulachain:formula sanが死亡

DATADELETE:clockwork:ナムアミダブツ

DATADELETE:nebulachain:敵を見失った。解析求む

DATADELETE:clockwork:その一帯から離れた形跡なし

DATADELETE:nebulachain:では見つけ出して交戦する
60名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:01:55 ID:MAX()

ゴケニン「まだ焦げ跡が温かい……どうやらここで戦闘が起こったのは、つい数分前のようでござる」

ネビュラチェイン「うん。奴ら、まだ遠くには行ってないみたいだね」


 ネビュラチェインは右袖から垂れる鎖を掴み上げた。


ネビュラチェイン「それなら僕の鎖で探し出せる」


 カラテを込めると、その先端の楔が動き出し、持つ手を中心にして水平状態で回転し始めた。
楔は羅針盤のごとくしばらくグルグル回っていたが、やがて一方向を指し示して止まった。


ネビュラチェイン「……あれ、おかしいな。このあたりのニンジャソウル反応、僕たちのほかに一つしかないや」

ゴケニン「何?というと……一方が高度なステルス・ジツで潜伏したか、あるいは……ガッタイ・ジツの類か」

ネビュラチェイン「ガッタイ・ジツって何?」

ゴケニン「複数のニンジャが合体して強力な一人に変じるジツでござる。かつてキョートのニンジャ組織ザイバツ・シャドーギルドに使い手がいたと伝わっているでござるが……」

ネビュラチェイン「へえ、面白いジツもあったもんだね!アークスパークとシャドウフリーズが合体して、シャドウスパークってとこかな?」

ゴケニン「いくらなんでもそんな安直なネーミングはないでござろうが、合体ニンジャが待ち構えている可能性は高い。心して進むでござるよ」


 二人のカブナカマ・ニンジャは鎖のレーダーを頼りに路地を進む。
後に残された爆発四散痕を、土砂降りの雨が瞬く間に洗いながしていった。
61名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:02:10 ID:MAX()

 再開発地区に入ったところで、ニンジャソウルの反応が一層強まった。
鎖はネビュラチェインの手から飛び出さんばかりに張り詰め、楔はブルブルと震えながら一点を指し示している。


ネビュラチェイン「近いよ……待った、通り過ぎた。さっきのビルだ……」


 楔が指し示しているのは、鉄骨の骨組みも露わな建設途中のビル。
二人は「外して保持」と書かれたフェンスを押しのけ、内部に足を踏み入れる。
鎖は極限まで緊張し、ミシミシと音を立て始めた……近い。


ゴケニン「イヤーッ!」ポイッ


 ゴケニンが照明弾を投げた。ボン!
酸性雨と触れてバチバチと音をたてながらも、青白い光が骸骨のビルを照らした。
カブナカマ・ニンジャたちは素早く視線を巡らせる。
山積みにされた足場用の鉄パイプや大小の工事機械……
上層のクレーンからぶら下がった鉄骨の束……


ミラ「ドーモ、はじめまして。ミラ・ツヅリです」


 そして中央に立ちアイサツする赤黒のニンジャ少女!


ゴケニン「!?……ド、ドーモ、カブナカマ・カルテルのゴケニンでござる」

ネビュラチェイン「同じくネビュラチェインです……ミラ・ツヅリだって?シャドウスパークじゃないの!?」
62名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:33:43 ID:MAX()

ミラ「誰よそれは……旧市街の爆発はあんたたちの仕業ね、カブナカマ・カルテル」

ゴケニン「ど、どうしてそれを……」

ミラ「現地に行ってニンジャソウル反応を探り、状況判断した。追跡を始めたら逆に近づいてきたから、こうしてイクサのしやすい場所で待ち構えただけ」

ネビュラチェイン「もう救援を寄越したか、カタナハントめ……」

ミラ「私はカタナハント・ニンジャじゃない」


 ミラはジュー・ジツを構えた。
全身雨で濡れネズミになりながらも、その瞳にはどす黒い憎悪の炎が燃えている。


ミラ「所属なんて関係ない。くだらない抗争に無関係の人たちを大勢巻き込む外道は、一人として生かしておかない……ニンジャ殺すべし」

ネビュラチェイン「……あはははは、面白い。面白いね、君」


 空虚な笑いとともにネビュラチェインの手から鎖が離れ、楔がコンクリートの基礎にぶつかってチャリンと鳴った。


ネビュラチェイン「でも今はさ、邪魔なんだよね」

ゴケニン「イヤーッ!」バッ


 ゴケニンがミラに飛びかかりヤリで攻撃!


ミラ「イヤーッ!」バシッ ブンッ


 ミラはヤリの柄を弾いて反らし、ショートフックで反撃!
63名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:34:18 ID:MAX()

ゴケニン「ヌウーン!」ガキンッ


 ゴケニンは和鎧のショルダーパッドで受け流すようにして防御!


ゴケニン「イヤーッ!」ブンッ


 ヤリ再刺突!雨粒を穂先が切り裂いて迫る!


ミラ「イヤーッ!」サッ ブンッ


 身をかわし、すれ違いざまゴケニンの頸椎にチョップを打ち込む!


ゴケニン「グワーッ!」ゴシャッ


 鎧のうなじ部分を砕かれ、背中をさらしてたたらを踏むゴケニン。
ミラは振り返って追撃を繰り出そうとしたが、中断しブリッジする!


ミラ「イヤーッ!」サッ

ネビュラチェイン「イヤーッ!」ジャラランッ


 間一髪、唸りを上げて飛来した鎖がミラの腹の上数センチを通過!
64名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:34:44 ID:MAX()

ゴケニン「コシャク!イヤーッ!」クルッ ブンッ


 振り返ったゴケニンが槍を振り下ろす!


ミラ「イヤーッ!」サッ


 ミラはバク転回避!
CRASH!ヤリの一撃を受けたコンクリートの土台が粉砕する。


ミラ「イヤーッ!」サササ ビュビュビュンッ


 ミラは連続バク転で鉄パイプの山の横まで移動し、ゴケニンめがけスリケンを連投!


ゴケニン「無駄でござる!イヤーッ!」ブーンッ


 ゴケニンはヤリを振り回してそのことごとくを跳ね飛ばす!雨粒が飛ぶ!


ネビュラチェイン「僕も忘れてもらっちゃ困るよ!イヤーッ!」ジャラランッ


 さらに横合いから鎖が飛んでくる。アブナイ!
65名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:35:13 ID:MAX()

ミラ「イヤーッ!」ガシッ ブンッ


 ミラは足場材鉄パイプの一本を掴み、ネビュラチェインの鎖めがけ振りかざした!
ジャララララン!鉄パイプはひしゃげるが、鎖も巻き付いて無力化!


ネビュラチェイン「え、何それ」キョトン

ミラ「イヤーッ!」グインッ


 野球バットめいてフルスイング!


ネビュラチェイン「グワーッ!」ガシャーンッ


 小柄なネビュラチェインは振り回され、工事機械が並ぶ中に突っ込んだ!


ゴケニン「貴様!イヤーッ!」ブンッ


 激昂したゴケニンがヤリを構えて突進!


ミラ「イヤーッ!」パッ


 ミラは鉄パイプを捨てて跳躍!
空中で体をひねり……ゴケニンの兜に手をついて飛び越え……背後に着地!
66名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:35:35 ID:MAX()

ゴケニン「な!?」

ミラ「イヤーッ!」ブウンッ

ゴケニン「グワーッ!?」ゴシャッ


 ゴケニンが振り返る前に、ミラの渾身の回し蹴りがその頸部を捉えた。
装甲はすでに砕かれており、衝撃はその奥のゴケニンの頸骨をゆすぶって、破壊!


ゴケニン「グッワ、バカな……」ガクリ バシャンッ


 ゴケニンは力なく膝をつき、水溜まりの中にうつぶせに倒れる。


ミラ「イヤーッ!」ガシッ ブンッ

ゴケニン「グワーッ!」ドスッ


 ミラは二本目の鉄パイプを取り、その背中めがけ力任せに突き刺した。
カラテを込めたパイプはニンジャの鎧と体を貫き、ゴケニンはコンクリートの地面に釘付けだ!


ネビュラチェイン「イヤーッ!」ジャラランッ

ミラ「チッ!イヤーッ!」サッ


 しかし復帰したネビュラチェインのインターラプトによりカイシャクは果たせない。
ミラは三連続側転で鎖攻撃をかわし、カラテを構えて青銅色のニンジャと相対する。
67名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:36:03 ID:MAX()

ゴケニン「ネ、ネビュラチェイン=サン……拙者に構うな……アバ、アバッ」

ネビュラチェイン「ま、参ったなあ……こんなの上から聞いてないぞ」

ミラ「インガオホーの到来を上司が教えてくれるとでも思うの?イヤーッ!」ビュンッ


 問答を断ち切るようにしてスリケンが飛ぶ!


ネビュラチェイン「イヤーッ!」ジャラランッ


 ネビュラチェインは鎖を振り回して絡め取る!


ミラ「イヤーッ!」ビュンッ


 スリケン再投擲!


ネビュラチェイン「イヤーッ!」ジャラランッ


 絡め取る!
68名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:36:23 ID:MAX()

ミラ「イヤーッ!」ビュンッ

ネビュラチェイン「イヤーッ!」ジャラランッ

ミラ「イヤーッ!」ビュンッ

ネビュラチェイン「イヤーッ!」ジャラランッ

ミラ「イヤーッ!」ビュンッ

ネビュラチェイン「イヤーッ!」ジャラランッ


 途切れることなく続くスリケン投擲と鎖防御の応酬。
鎖を振り回すたび先端の楔がひらめき、ミラの追撃をためらわせていたのだ。
そして今、均衡が破れる!


ネビュラチェイン「返してあげるよ!イヤーッ!」ジャラランッ


 ネビュラチェインが鎖を振るうと、絡めとったスリケンがクラスター爆弾のごとく飛散しミラに襲いかかった!


ミラ「イヤーッ!」シュザッ ブンッ


 ミラはスライディングで濡れたコンクリートの地面を滑り、潜り抜ける。
さらに飛びかかりながらの袈裟懸けチョップで攻撃……しかしこれは悪手だ!
69名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:36:46 ID:MAX()

ネビュラチェイン「イヤーッ!」グンッ

ミラ「ヌウーッ!?」ガシッ


 ネビュラチェインが鎖を両手で手繰り、ミラの右腕を瞬時に縛り付け拘束した!
対応より速く足払いがくる!


ネビュラチェイン「イヤーッ!」バシッ ブウンッ

ミラ「グワーッ!」ドガンッ


 ミラは投げ飛ばされてビル隅の鉄骨に激突!
鎖はブレーサーを道連れに引き戻されたかと思うと、ほとんど間をおかずに再び飛来してミラを鉄骨に縛り付けた!


ネビュラチェイン「キャプチャー完了、ってね」グッ

ミラ「ヌウーッ、こんな……!」ジタバタ

ネビュラチェイン「無駄無駄。その鎖、エメツ合金製だよ。ちょっと暴れたくらいで壊れるなら最初から使うもんか」


 ミラは全力でもがいたが、敵の言葉通り鎖はきわめて頑丈なようでまるっきり抜け出せそうにない。
こう不利な体勢では鉄骨を蹴り壊すことも不可能だ。
強力ながら猪突猛進のカラテしか持たないミラは、それを巧みに絡めとるネビュラチェインとの相性が最悪だ!
70名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:37:10 ID:MAX()

ネビュラチェイン「ハイクはいいよね、じゃあカイシャクを……」


 ネビュラチェインは左袖から二本目の鎖を垂らし、振りかぶる。
おお、ミラの命はロウソク・ビフォア・ザ・ウィンド……


ネビュラチェイン「……?」


 ……ネビュラチェインは、自分の体から突き出た緑色の腕を不思議そうに眺めた。
腕が引き抜かれ、鳩尾にぽっかり空いた穴からおびただしい血が流れる。
ネビュラチェインは声もなく前のめりに倒れ込んだ。


「フウーッ!間一髪でしたね、救援ニンジャさん!」


 アンブッシュの主がおおげさに汗をぬぐって、ネビュラチェインから鎖をもぎ取り拘束を緩める。
ミラは鎖を振り払いつつ、そのニンジャを訝しげに見やる……
右半身はエメラルドグリーン、左半身は墨のような黒の装束のニンジャを。


ミラ「ドーモ、ミラ・ツヅリです……」

シャドウスパーク「ドーモ、シャドウスパークです!今ジツで合体してまして、右半分はアークスパーク、左半分はシャドウフリーズと申します」


 ミラはその名前を聞いてカッと目を見開いた。
ああ、シャドウスパークは……シャドウスパークはまだ勘違いに気づいていない。
彼は遅れてこの戦場にやってきたために、カブナカマ・ニンジャと戦闘中だったミラをカタナハントの救援ニンジャだと思い込んでしまっているのだ!
71名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:37:31 ID:MAX()

シャドウスパーク「それにしても、助けに来ておいてピンチになるなんて、ちょっとウカツなんじゃ?」

ミラ「……そうですね。スミマセン」

シャドウスパーク「いえ、謝るほどじゃありませんが……例のディスクは私がしっかり確保してますしね」

ネビュラチェイン「ゴボッ、あは、あはは」


 足元で這いつくばるネビュラチェインが血を吐いて笑った。


シャドウスパーク「何がおかしい?サンズ・リバーに豚でも流れてたか」

ネビュラチェイン「そいつ、さあ。君の仲間じゃ、ないよ?」

シャドウスパーク「は?」

ミラ「イヤーッ!」ブンッ

シャドウスパーク「グワーッ!?」ドガッ


 ミラの袈裟懸けチョップがシャドウスパークの胸をザックリと裂いた。
合体ニンジャは胸から血をボトボト落としながら飛び下がり、混乱しつつもカラテを構える!


シャドウスパーク「グッワ……な、何をするミラ=サン!貴様は……ああっ、その赤黒の装束!貴様はまさか!」
72名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:38:04 ID:MAX()

ミラ「ようやく気付いたようね……私はあんたたちが言うところの『ニンジャ殺し』」


 ZZOOOM!空で雷が閃き、ジュー・ジツを構えて相対する赤黒のニンジャを照らし出した。
雨の中にあってもポニーテールの先は燃えている!


ミラ「アークスパーク=サン、シャドウフリーズ=サン、あんたたちのことはクリアゴースト=サンの端末を見て知っている」

シャドウスパーク「……ではどうするというんだ」

ミラ「殺す!」

シャドウスパーク「な……何故」

ミラ「あんたがニンジャだからよ!イヤーッ!」ビュンッ


 ミラの殺意に満ちたスリケンが飛ぶ!


シャドウスパーク「フザッケルナー!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ブンブンブンッ


 シャドウスパークがチョップで叩き落し、先手を打っての連続カラテキックで攻撃!
その鋭さはこれまでのカタナハント・ニンジャの比ではない!
ガッタイジツの乗算カラテとニンジャソウル性差解消の賜物だ!


ミラ「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」バチッバチッブンッ


 しかしミラは手のひらを添えて反らし、肘打ちで反撃した!
73名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:38:26 ID:MAX()

シャドウスパーク「イヤーッ!イヤーッ!」バチッブンッ


 シャドウスパークはブレーサーで防ぎ、水面蹴りで反撃!


ミラ「イヤーッ!」ピョンッブオンッ


 ミラはその場で跳躍回避し、引き絞った右脚を空中からシャドウスパークの顔面めがけ繰り出す!


シャドウスパーク「グワーッ!」ドガッ


 のけぞるシャドウスパーク!


ミラ「イヤーッ!」ブオンッ


 立て続けに左脚!


シャドウスパーク「グワーッ!」ドガッ


 シャドウスパークは後ろに倒れこむ!
74名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:38:54 ID:MAX()

シャドウスパーク「俺のカラテが!?イヤーッ!」バッ

ミラ「イヤーッ!」ブオンッ


 CRAAASH!合体ニンジャが後転で退いた直後、ミラの追撃ハンマーパンチが降ってきてコンクリートの地面を破壊!


シャドウスパーク「調子に乗るな!イヤーッ!」バババババッ ビュビュンッ


 合体ニンジャは五連続のバク転で間合いを離し、右手からスリケン、左手からクナイを投擲!


シャドウスパーク(手で防御しようとすればデン・ジツの帯電スリケンが、回避しようとすれば残った影にシャドウピン・ジツが刺さる必勝ムーブよ……!)

ミラ「イ……」グッ

シャドウスパーク(かかったりーッ!)


 ミラは摘まみ取ろうとするそぶりを見せたが、彼女のニューロンの奥底から警告が飛んだ!


(((スリケンで撃ち落とせ、ミラよ。敵はデン・ジツの使い手イナヅマ・ニンジャと、シャドウピン・ジツの使い手プルート・ニンジャなり)))

ミラ「!イヤーッ!」ビュビュビュンッ


 ミラはスリケンを投げてシャドウスパークの飛び道具を撃墜!
75名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:39:14 ID:MAX()

シャドウスパーク「!?何故俺のジツを見抜……グワーッ!」グサッ


 迎撃に隠して放たれた攻撃スリケンがシャドウスパークの腿に突き刺さる!
万全であれば回避できたであろうが、彼もまたカブナカマ・ニンジャたちとの戦闘ですでに手負いの状態!


アークスパーク(ダメだこれ、勝てねえ!)

シャドウフリーズ(やっぱ無理ですよねコレ!?)


 脳内会議は満場一致で「逃亡」を議決!


シャドウスパーク「オ、オタッシャデー!」ビュビュビュッ バババババッ


 合体ニンジャはスリケンとクナイをばらまきながら連続バク転でビル建設現場から脱出!
ミラのニューロン内に再びニンジャソウルの助言が響く。


(((グググ……彼奴ら、小物ではあるが名有りの獲物ぞ。追え、ミラよ!)))

ミラ「言われずとも……!イヤーッ!」ビュンッ バババッ


 ミラはネビュラチェインに向けてカイシャクのスリケンを投じ、その結果を待たずに側転でシャドウスパークを追って戦場を離脱した。
スリケンは雨粒を切り裂きながら、倒れ伏すネビュラチェインの脳天にむけて飛んでくる。


ネビュラチェイン(……あはは、僕もネングの納め時かな)
76名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:39:54 ID:MAX()

「イヤーッ!」


 チュン!何者かのカラテシャウトとともに、カイシャクのスリケンは火花を上げてあらぬ方向へ吹き飛んだ。
その衝撃でステルス機構がわずかに乱れ、一瞬だけ正体不明のニンジャの輪郭が露わになった。


ネビュラチェイン「ゴボッ……やっと、来たんだ……相変わらず、臆病なんだから……」


「……」カチカチ


 謎のステルスニンジャは警戒中のクロックワークとIRCで交信する。
シャドウスパークたちの動向を報告し、追跡を命じたのだ。
読者の皆様は安全な場所から通報してばかりの彼を卑怯者と呼ぶかもしれない。
しかし彼自身は、自分のメインウェポンは左腕のスナイパースリケン射出ガントレットではなく通信機だと割り切っていたし……
徹底的にリスクを避けて生存することで、多少獲物を逃がしたとしても、自らの組織にそれ以上の情報アドバンテージを与えることができると考えていた。

 照明弾が地面に落ちて、ジュッと音を立てて明かりが失われる……
直後、ビル建設現場にサッとサーチライトの光が差した。
ステルスニンジャは落ち着き払った仕草で上を見上げる。
彼が呼んだカブナカマのステルス輸送機ヒミツリが降下してきて、下面ハッチからザイルを垂らした。
77名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:40:22 ID:MAX()

シャドウスパーク「ハアーッ!ハアーッ!ハアーッ!」


 シャドウスパークは荒い呼吸をしながら路地の壁際に膝をついた。
ミラは地獄の猟犬のような執拗さで追いすがったが、迷路のような路地を選んで進むことでいくらか引き離すことに成功していた。


シャドウフリーズ(合体した時点で逃げればよかったんですよ、アンブッシュなんてしかけようとしないで!バカ!)

アークスパーク(お前も諸手上げて賛成してただろうが!スゴイ・バカ!)


 脳内で殴り合いをしながらも装束をはだけ、ニンジャポーチから取り出したバイオ包帯を体に巻いて胸の傷を覆った。
しなやかなバイオ包帯が体の動きを妨げることはない。
ケースからハッチャキ・タブレットを取り出し、指で砕いて吸引する。SNUFF!SNUFF!


シャドウスパーク(安易に薬に頼りたくはないが、今回はやむをえまい……)


 やがて彼のニューロンを薬物が駆け巡り、不健康な快感が体を這い上がるとともに全身の痛みが薄れていくのを感じる。


シャドウスパーク(ああ、遥かにイイ……横合い!)

シャドウスパーク「イヤーッ!」バッ

「イヤーッ!」


 CRAAASH!シャドウスパークが前転回避した直後、横の壁を貫いて赤黒の腕が突き出した。
ついで壁が蹴り壊され、赤黒のニンジャ少女が姿を現す!
78名無しさん@おーぷん :2018/10/12(金)19:40:58 ID:MAX()

ミラ「いくら逃げても無駄よ、おとなしくハイクを詠みなさい!」


 ZZOOOM!稲妻が閃いて、ミラのジゴクめいた形相を照らし出す!


シャドウスパーク「断る!イヤーッ!」ビュビュビュンッ バッバッバッ


 シャドウスパークはスリケンとクナイをばらまきながらバク転で逃走!
薬物でハイになりながらもカラテで対抗しようとはせず、ひたすら逃げ回って救援を待つ構えだ!


ミラ「チイーッ、イヤーッ!」ビュビュビュンッ


 ミラはシャドウスパークの飛び道具を自らのスリケンで撃墜する。
防御や回避に頼れないのは、このチェイスにおいて彼女に無視できない時間的ディスアドバンテージをもたらしていた!


ミラ「シャドウスパーク=サン、あんたは今夜殺す!」ダッ


 それでも赤黒の復讐者は猛然と追う!
雨はいよいよ強く、旧市街を抜けて繁華街……もはや迷路のような路地はない。
カタナハント・ニンジャたちの土地勘フーリンカザンは通用しない領域だ。
79名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)17:58:38 ID:cGM()

シャドウスパーク「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!イヤーッ!」


 SMASH!右半身はエメラルドグリーン、左半身は漆黒のニンジャが非常階段のドアを蹴り開けた。
屋上は鋼鉄色の世界……土砂降りの重金属酸性雨だった。
イカスミめいた空を走る雷光が彼を出迎え、冷たい雨が血を洗い流す。


『アーリーモーニング・オイランニュースドスエ。今日のタイムラインはこちら……』


 おそろしく大音量のオイランの声が鳴り響く……すぐ下の巨大TVモニターの音声だ。
ここは高度500m、ネオフクオカ・タワー展望台上部。
きらびやかな繁華街を見下ろす鉄塔の肩の上だ。


シャドウスパーク(バカな、この俺が……合体した俺が、ここまで追い詰められるとは……!)


 あの後シャドウスパークはネオフクオカ繁華街を必死に逃げ回った。
ビルを跳び渡り、追跡者とスリケンで応酬し、ビルを跳び渡って、またスリケンで応酬した。
しかし追跡者は……ミラ・ツヅリは、あまりにも速く、強い。
救援はいまだ姿を見せず、追いつかれて殺されるのは時間の問題と思われた。
シャドウスパークは最後の生存の望みをかけてこのネオフクオカ・タワーに逃げ込んだのだ。


『チクゴ・リバーにかわいらしいラッコが出現……』

シャドウスパーク「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!ここか、イヤーッ!」ブンッ


 シャドウスパークは屋上に置かれた非常ボックスを蹴り開けた。
そこから折りたたみ式の強化カーボンフレームと黒い布が飛び出した。 
80名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)17:59:04 ID:cGM()

『見物客向けの路上販売同士が小競り合いを起こし逮捕者が続出……』

シャドウスパーク「ハァーッ!ハァーッ!イヤーッ!」グイッ


 彼は一瞬でこれを背負い、紐を引く。
バサム!折り畳み傘が開くにも似て、それはたちまち大型の背負い式凧(カイト)となった。
黒布地にはシックな黄金色で「キリステ」と書かれたクロスカタナ紋。
展望台上部に設置してあったカタナハントの緊急脱出用カイトである。 

 脱出用カイトを背負い、シャドウスパークは暗黒の海を睨んだ。
一瞬遅れて、階下から階段を駆け上る死神の足音が聞こえてきた。 


ミラ「どこへ逃げようと無駄よ!イヤーッ!」ブンッ


 SMASH!ミラは通用口ドアを蹴り開けると、隙のない四連続側転で展望台の中心部へと達した。
そしてジュー・ジツを構え……困惑した。


ミラ「バカな……!?シャドウスパーク=サン、どこへ消えた!」

シャドウスパーク「ハハハハハ、ここだ!」


 背後、重金属酸性雨の彼方から、シャドウスパークの高笑いが聞こえた。
81名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)17:59:28 ID:cGM()

ミラ「何ですって……!?」


 ミラはジュー・ジツを構え、そちらを見た。
カタナハントの輸送ヘリではない……個人用のカイトだ。
緊急脱出用カイトで、シャドウスパークは空へと逃げたのである。 

 空は墨絵を思わせるモノクロームの海。
稲妻に照らされ、一瞬シャドウスパークの金属メンポが光った。
その距離すでに百メートル超。


シャドウスパーク「貴様の負けだミラ=サン。その凄まじいカラテも、もはや俺には届かんぞ!それではオタッシャデー!」


 勝ち誇るシャドウスパークの声が残された復讐者の怒りを煽る。
ミラは目を瞑り……脳裏に愛しい人の面影を浮かべ、自らのうちに燃える炎を感じて……カッと見開いた!


ミラ「シャドウスパーク=サン、あんたは今夜殺すと言ったはずよ!」


 ミラはただ一つのスリケンを怒りのままに握りしめ、右腕を大きく振りかぶった。
上半身を捻ると、背中に縄めいた筋肉が浮かび上がる……
これはジュー・ジツの禁じ手、ツヨイ・スリケンの投擲姿勢だ!


シャドウスパーク「無駄だミラ=サン!たかがスリケンなどで」

ミラ「逃がさない、絶対に!イイイヤアアアーーーッ!」ビュウンッ


 ギュン!問答無用で放たれたスリケンは、重金属酸性雨を勢い良く切り裂いて飛んだ!
ゴウランガ!凄まじい回転によって刃は赤黒く赤熱し、触れた重金属酸性雨は一瞬にして蒸発してゆく!
豪雨の中、赤黒のサイドワインダー蛇めいた複雑な軌跡とともにツヨイ・スリケンはシャドウスパークのカイトへ迫った!
82名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)17:59:56 ID:cGM()

シャドウスパーク「おのれ!どこまでもしつこい奴め!」バッ


 シャドウスパークは迫る殺意めがけ右手をかざす!
眼下の繁華街の明かりに照らされて上へ延びていたカイトの影が不気味にうごめいたかと思うと、その右手のほうへズルリと集まる……
影の塊は不気味にうねり、ねじれた末、強固な影の大盾を編み上げた!


シャドウスパーク「見よ!この俺のジツを……」

シャドウフリーズ(私のジツですよ)

アークスパーク(うるせえ、一人じゃできもしねえくせに!)


 CRAAASH!


シャドウスパーク「グワーッ!?」
シャドウフリーズ(グワーッ!?)
アークスパーク(グワーッ!?)


 しかしおお、見よ!
ミラの憎悪と憤怒をこめたツヨイ・スリケンはあまりにも容易に影の大盾を粉砕し貫通!
心臓を逸れながらも、シャドウスパークの右肩をざっくりと切り裂いて背中のカイトに大穴を空けた!


シャドウスパーク「バカな……アーッ!グワーッ!」ヒュルルルル


 カイトは炎上し、キリモミ回転しながら墜落!
豪雨の中を不気味に飛ぶマグロツェッペリンの横を通り過ぎ、きらびやかに輝くネオフクオカ繁華街へと落下する……
83名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:00:26 ID:cGM()

シャドウスパーク「グッワーッ!」ドターッ


 シャドウスパークは空中でカイトから振り落とされ、メインストリートの車道に落下!
ビシッ!かろうじてウケミをとったことで衝突エネルギーの何割かが路面に伝わり蜘蛛の巣型のヒビを入れた。


「アイエエエッ!?」


 そこへオイラントラックが通りかかり、運転手は突然のニンジャ出現に仰天してやみくもにハンドルを切った!
蛇行するトラックは倒れ伏すニンジャのすぐ横を通り過ぎ、対向車線に飛び込み家紋タクシーと正面衝突!


「アイエエエーッ!」


 その事故を避けようとした対向車がトラック側の車線に飛び込み、タンクローリーの横っ面に激突した!
CRASH!CABOOM!タンクローリーは横転し爆発炎上!
CRASH!CRASH!CABOOM!CABOOM!
事故を避けようとして事故が起き、その事故を避けようとして更なる事故が起きる!
たちまちのうちにネオフクオカ繁華街メインストリートは焼死体と炎上スクラップが散乱するアビ・インフェルノ・ジゴクと化した!


シャドウスパーク「グッワ……」


 シャドウスパークは幸運にも巻き込まれないまま倒れ伏していた。
その体がビクリと痙攣したかと思うと、緑色のスパーク光が走る。
直前まで合体ニンジャが居た場所から、反発する磁石のごとくアークスパークとシャドウフリーズが転がり出た。
ダメージ過多でゴイツ・ガッタイジツが解けたのだ。
84名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:00:51 ID:cGM()

アークスパーク「ハアーッ、ハアーッ……シャ、シャドウフリーズ=サン?生きてるか」


 アークスパークは起き上がろうともがきながら、部下に呼び掛けた。
シャドウフリーズは近くの路面に突っ伏したままピクリとも動かない。
合体中のダメージのフィードバックで気絶したか、あるいは死んだか。


アークスパーク「チクショウ……こんなことが……」


 落下の衝撃でバイオ包帯が裂け、路面の水たまりに血が流れ出す。
ハッチャキの魔法も解け、土砂降りの雨に打たれて、アークスパークの体から急速に力が抜けていく。
ビルの屋上を跳び渡ってきた影がその近くに着地し、背後の炎上車両が照らす逆光の中でジゴクめいて宣告した。


ミラ「ハイクを詠みなさい、アークスパーク=サン」

アークスパーク「……」


 答えはなかった。
アークスパークの意識は半ば闇の中に沈んでいた。


アークスパーク(俺は、死ぬのか)


 ミラが水溜まりを踏む音が近づく。
彼の過去を収穫しに来た死神の足音だ。
85名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:01:13 ID:cGM()

アークスパーク(……どこで間違えた?何が間違いだった。ニンジャになったことか?カタナハントに入ったことか)


 アークスパークの脳裏に一人の女性の面影が浮かんだ。
何度も忘れようとして忘れられなかった、あの横顔、あの声、あの髪の色……


アークスパーク(いや……彼女の手を、放してしまったことか……)


 雨音を切り裂いて、VTOL機のエンジンの唸りが真上を横切った。


「イヤーッ!」

ミラ「!イヤーッ!」バッ


 CRAAASH!
ミラがバク転で退避した直後、彼女が今までいた場所に棒状の何かが勢いよく突き立った。
シャドウスパークはうつろな目でそれを見る。
ぼやける視界に映る、円錐形の穂先を持つニンジャランス。


ミラ「!この武器は……!」


 ミラが目を見開く。
ガシャン!ランスのすぐ横に、その持ち主が膝をついて着地した。
ネオンの街に浮かび上がる、夜の闇が形をとったような重ニンジャアーマー。


「ドーモ、ミラ・ツヅリ=サン」


 ニンジャヘルム越しの低くくぐもった声。


ナイトニンジャ「ナイトニンジャです」
86名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:01:34 ID:cGM()

ミラ「ドーモ、ナイトニンジャ=サン……ミラ・ツヅリです!」


 ミラのアイサツには狂気じみた興奮が滲んでいた。
ナイトニンジャは彼女にとってこれ以上ない因縁の相手であった。


ミラ「母さんの……母さんの、仇!」

ナイトニンジャ「カブナカマ・ニンジャの襲撃と聞いていたが、また貴様の仕業か」


 ナイトニンジャは恨み節を無感動にはねつけて、ニンジャランスを引き抜いた。
ミラは狂喜に似た感動と燃え盛る憎悪をカラテの構えに漲らせている。


ナイトニンジャ「スクトゥム、トリケラトプス、クリアゴースト、メタルハンド、ブレインノック……この数日だけでも五人が貴様の手にかかった。一体何人殺せば気が済む?」

ミラ「ついさっき、モノキュラー=サンも殺した」

ナイトニンジャ「何」

ミラ「何人殺せば気が済むだって?愚問よ。あんたたちニンジャは何人殺しても改心なんてしないじゃない。だから私も殺す、殺し続ける。全ニンジャが息絶えるまで」

ナイトニンジャ「なんたる狂人の戯言……」

ミラ「果たして戯言かしら……イヤーッ!」


 ミラの殺意に満ちたスリケンが飛んだ!
87名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:02:05 ID:cGM()

ナイトニンジャ「貴様に構っている暇は、ないのだ!」ブーンッ


 ナイトニンジャは俊敏さにランスを振り回し、スリケンを跳ね飛ばす!


ミラ「私にはある!あんたを殺す理由が!イヤーッ!」バッ


 立て続けに跳び蹴りを繰り出すミラ!


ナイトニンジャ「イヤーッ!」ガキンッ


 ナイトニンジャはランスの柄で受け止め、押し返す。
ミラは反動でバックジャンプし、空中で回転しながらスリケンを投げる!


ミラ「イヤーッ!」ビュンッ

ナイトニンジャ「フンッ!」バシッ


 ナイトニンジャは見もせずにランスで叩き落とし、左手でニンジャポーチからテキメン・アドレナリンの注射器を取り出した。
そして素早く屈み込み、足元で突っ伏すアークスパークの首筋に注射した!


アークスパーク「グワーッ!?」


 アークスパークは心地よい無意識から引きずり出され、全身に歪んだ活力が漲った!
88名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:02:38 ID:cGM()

ミラ「イヤーッ!」ダッ ビュビュビュンッ


 着地したミラが猛然と接近しつつスリケンを連投する!
ナイトニンジャは右手一本でランスを振り回してそれを弾きつつ、左手をアークスパークのほうへ差し出す!


ナイトニンジャ「いつまで寝ている、ディスクを寄越せ!」ブーンッ

アークスパーク「ヨ、ヨロコンデー!」サッ


 アークスパークは素早く立ち上がり、懐からデータディスクを取り出して手渡す!


ミラ「イヤーッ!」ブンッ


 ミラが低空ジャンプからのチョップで襲撃!
しかしナイトニンジャの迎撃が速い!


ナイトニンジャ「イヤーッ!」ブンッ

ミラ「グワーッ!」ドガッ


 ランスでの殴打がミラを吹き飛ばす……直後、VTOL機のエンジン音が接近!
89名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:03:02 ID:cGM()

ナイトニンジャ「イヤーッ!」ピョーン ダンッ


 ナイトニンジャは軽やかなハイジャンプを繰り出し、低空で接近してきたVTOL機の上部に飛び乗った!タツジン!
みるみる遠くなる地上をニンジャヘルム越しに見下ろし、独りごちる。


ナイトニンジャ「フン、オタッシャデー……」

ミラ「逃がさない……!」

ナイトニンジャ「!?」


 今の声は?……おお、見よ!VTOL機の側面にミラがしがみついている!
ミラは素早く機体上部によじ登り、猛然と吹き付ける豪雨のただなかで再びナイトニンジャと相対した。
ナイトニンジャは舌打ちしてからヘルム内蔵式のIRCトーカーを起動し、パイロットと通信する。


ナイトニンジャ「コロニーの外に飛ばせ。カラテで殺してもいいがディスクの安全が最優先だ、叩き落としてミサイルで仕留める」

ミラ「そうはさせない。イヤーッ!」ビュンッ

ナイトニンジャ「イヤーッ!」バシッ ビュンッ

ミラ「イヤーッ!」バシッ ブオン

ナイトニンジャ「イヤーッ!」バチッ ブウンッ

ミラ「イヤーッ!」バシンッ


 指示通りネオフクオカ・コロニーの外へ飛んでいくVTOL機。
その機上でカラテ戦闘はとめどなく続いた……
90名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:03:30 ID:cGM()

アークスパーク「……」


 傷だらけのアークスパークはぼんやりと立ち尽くして、遠ざかっていくジェット噴射光を見送った。
緊張と集中が徐々に解け、酸性雨が地面を打つ音、周囲のスクラップが燃える音、タワーの巨大TVの音声が聞こえ始める。


『アーリーモーニング・オイランニュース、今日はこのあたりで失礼するドスエ。オコシヤス』

アークスパーク(……俺は、生き残っ)


 その足元にバクチクの束が投げ込まれた!


アークスパーク「!?イヤーッ!」バシッ


 アークスパークはとっさに飛んできたほうへ蹴り返した!
CABOOM!直後バクチクが爆発!


「グワーッ!」


 爆風にまかれた路地の入口あたりで苦悶の声が上がった。
破損したステルスニンジャ装束からバチバチと火花を散らしつつ姿を現したのは……クロックワークだ!


クロックワーク「ドーモ、アークスパーク=サン。クロックワークです」

アークスパーク「ドーモ、クロックワーク=サン。アークスパークです……」
91名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:03:58 ID:cGM()

 いまだほぼ無傷のクロックワークがカラテを構える。


クロックワーク「目標喪失、任務失敗。撤退まで時間的猶予、戦略的観点により敵戦力漸減に移行」

アークスパーク「行きがけの駄賃にぶっ殺すってか……」


 アークスパークもカラテを構えるが、こちらは満身創痍……立っているのもやっとだ。
肩をツヨイ・スリケンに破壊されているために、右腕はだらりと垂れ下がったまま使い物にならない。


アークスパーク(最初のイクサを見た限りでは、純粋なカラテの技量ではこちらが上……しかしこう傷がひどくては……!)

クロックワーク「発破開始」


 クロックワークが両手にバクチクの束を構えた……


「ちょっと、待ってくださいよ。私のアイサツがまだです」

クロックワーク「!?」

アークスパーク「!?」クルッ
92名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:04:24 ID:cGM()

 背後に立っていたのは……シャドウフリーズ!
アークスパークと同じく全身傷だらけながら不敵に笑っている!


アークスパーク「お前、生きて!」

シャドウフリーズ「勝手に殺さないでくださいよ……ドーモ、クロックワーク=サン。シャドウフリーズです」

クロックワーク「ド、ドーモ、シャドウフリーズ=サン。クロックワークです」


 アークスパークはいくらか自信を取り戻し、カブナカマ・ニンジャに向き直った。
左腕一本で決断的にカラテを構える。


アークスパーク「さあどうする、バクチクセンセイ?俺たちは手負いだが、二対一だぜ。カラテ自慢のお仲間ならともかく、お前にこのイクサができるか?」

シャドウフリーズ「ついでに言えば、すぐにこの事故を収拾するためにマッポや、カタナハントのエージェントも駆けつけますよ。その壊れたステルスで逃げ切れますか?」

クロックワーク「……」


 クロックワークはバクチクを構えたまま静止する……どうやら思考しているらしい。


クロックワーク「……戦術的判断。イヤーッ!」バババッ


 しかしやがて連続バク転で路地に飛び込んで逃走した……
その直後、二人のカタナハント・ニンジャは膝をつき、そのまま路面に倒れた。
93名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:04:59 ID:cGM()

アークスパーク「ハアーッ、ハアーッ……ハ、ハハハ……腰抜けのカブナカマ野郎め、ケツまくって逃げ出しやがった……」

シャドウフリーズ「イクサになったら……勝ててたんですか?」

アークスパーク「無理だ……クスリでごまかしてただけだからな。マッポを待つまでもなく、殺されてただろうよ……」

シャドウフリーズ「あは、は……私とお揃いです……」

アークスパーク「揃って、サンシタだな……」

シャドウフリーズ「でも……死んだら、終わり……私たちは、生き残り……ました、から……」


 シャドウフリーズは珍しくミヤモト・マサシの格言を口にしたあと、意識を失った。
サンシタとはいえニンジャだ、この後救急車ででも手当てを受ければ死にはしないだろう。
ネオフクオカ・タワーの巨大TVの音声が微かに聞こえる。


『NFTVが午前六時をお知らせするドスエ……ピッ、ピッ、ピッ、ポーン!』


 その時報は全身のだるさを取り除いてくれるわけでも、降り注ぐ雨を止めてくれるわけでもなかった。
しかしアークスパークは、今夜ネオフクオカで巻き起こったサツバツたる殺人連鎖の中で、自分は命を拾ったのだという確信を得ていた。


アークスパーク(今度こそ……俺は生き残ったぞ、「ユイ」)


 脳裏に浮かぶ女性に呼びかける。


アークスパーク(もし……もし、許されるなら、もう一度、君に……)


 イメージの面影が、振り向く……
その表情を見れぬまま、彼は意識を失った。
94名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:05:29 ID:cGM()

 数時間後、ネオフクオカ西方ツクシ平野……
どこまでも続く荒涼たる大地とまばらに生えるバイオサボテンやバイオアロエを、憎たらしくなるほど青い空と厳しく照り付ける太陽が見下ろしている。
黄土色の土地の中に伸びている黒い帯は、電子戦争以前に舗装された国道だ。
しかし整備の手は失われて久しく、あちこちをバイオアロエに貫かれたうえ路面はボロボロに荒れていた。


ルイ(マンマミーア、マンマミーア、マンマミーア!)


 イタリアンヤクザ首領ルイは、チョッパーバイクに跨ってそんな国道をひた走っていた。
いや……「元」首領と言うべきであろうか。
バイクの背部には1億円入りのトランクが乱暴に結び付けられている。
彼はニンジャの恐怖にあてられて、アジトに戻るなりクランを捨てて逃げ出したのだ。
吹き付ける風は熱く、彼の頭を冷ましてくれない。


ルイ(ネオフクオカはニンジャの巣だ、くそったれ!ノースキューシューに行こう。ノースキューシューならきっと……ン?)


 ルイは道路脇、錆びついた速度制限の標識の下に妙なものを見つけてバイクを止めた。
地面に横たわる、赤黒いズダ袋……いや、人間?行き倒れであろうか。


ルイ(運がいいぜ、向こうに行ったらきっと金が要る。サイフをいただいていこう)


 ルイは行き倒れに近づきいてその上に屈み込み、懐を探ろうと手を伸ばす……
行き倒れがその手を掴んだ!


ルイ「アイエッ!?」


 ルイは振り払おうとするが、できない!マンリキめいた力だ!
95名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:06:06 ID:cGM()

「ここはどこだ」


 行き倒れが身を起こし、かすれた声で言う。
あらためて見ると思いがけず小柄だが、ジゴクめいた声と形相にルイは震え上がった!


ルイ「ツッ……ツクシ平野だ。ネオフクオカから西に何百キロ……」

「私をネオフクオカに連れていって」

ルイ「アイエッ、でも俺、ネオフクオカから来たところで……」

「戻って!今から言う闇医者に、私を連れていきなさい……!」

ルイ「アイエエエ、わかりました!わかりましたから手を離して、ヤメテ!」


 行き倒れが手を離し、ふらふらと歩いてチョーッパーバイクの後部座席に乗り込む。
精魂尽き果てたように溜息をつくその行き倒れは……


ミラ「フウーッ……」


 おお、傷だらけのミラ・ツヅリだ!
彼女はあの後ナイトニンジャとのカラテ戦闘の末機上から放逐され、ミサイルで追撃を受けた。
しかし並外れたニンジャ耐久力と精神力で死を免れ、瀕死のまま荒野を歩いてきたのだ。

 ルイはおっかなびっくり運転席に座り、バイクをネオフクオカ方面に走らせた。
NRSを再発し、その両目からとめどない涙を流しながら……


ルイ(ナムアミダブツ、ナムアミダブツ!ニンジャがいるんだからブッダもいるんだ、きっとブッダがニンジャを遣わして俺を試しているんだ!)

ルイ(ボンズになろう。ツクシの山寺にこもってボンズになろう!インガオホー!)


 バイクの立てる土煙は荒れ果てた国道をなぞって遠ざかる。
殺戮の連鎖の果ては遥か彼方、陽炎に霞む地平線の向こうに消えていった……
96名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:09:50 ID:cGM()
◆忍◆ ニンジャ名鑑#01 【クリアゴースト】 ◆殺◆
古株のカタナハント・ニンジャで、メタルハンドおよびブレインノックの上司。
ジツとステルスニンジャ装束の合わせ技で透明化してのアンブッシュを得意とする。
ユニオンの違法ネリモノ工場を襲撃したミラ・ツヅリを追跡するも返り討ちに遭い、シノビニンジャの哀愁を歌うハイクを遺して死んだ。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#02 【メタルハンド】 ◆殺◆
カタナハント・ユニオンのニンジャ。
金属を操るマグネ・ジツと重サイバネの巨体を生かしたパワフルなカラテが持ち味。
技をあれこれ繰り出したがミラには通じず、重力加速キックとダメ押しのスリケン攻撃を受けて爆発四散した。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#03 【ブレインノック】 ◆殺◆
カタナハント・ユニオンのニンジャ。
睨みつけた相手のニューロンに負荷をかけて焼き切る亜種テレパス・ジツの使い手。
メタルハンドとの連携で一時ミラを追い詰めたかに思われたが、反撃のツヨイ・スリケンに対応できず頭を割られた。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#04 【ミラ・ツヅリ】 ◆殺◆
母親を失った少女がナラク・ニンジャソウルの憑依を受け、キューシューの「ニンジャ殺し」と化した。
並々ならぬ憎悪をもってネオフクオカのニンジャを殺して回る。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#05 【アークスパーク】 ◆殺◆
カタナハント・ユニオンのニンジャ。
ミカヅチ・ニンジャクランのイナヅマ・ニンジャのソウルを宿し、デン・ジツとゴイツ・ガッタイジツを操る。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#06 【シャドウフリーズ】 ◆殺◆
カタナハント・ユニオンのニンジャで、アークスパークの部下。
ハデス・ニンジャの直弟子プルート・ニンジャのソウルを宿し、影に関するユニーク・ジツをもつ。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#07 【スクトゥム】 ◆殺◆
カタナハント・ユニオンのニンジャ。
古代ローマカラテの使い手。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#08 【トリケラトプス】 ◆殺◆
カタナハント・ユニオンのニンジャで、スクトゥムの部下。
U&Qトコシエ社のバイオ手術で頭に頑丈な前立てと鋭い角をインプラントしている。
上司とともにユニオンの違法ネリモノ工場を管理していたが、ミラの襲撃時に二人まとめて殺された。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#09 【ナイトニンジャ】 ◆殺◆
首魁オーバーロードの懐刀といわれるカタナハント・ニンジャ。
フルプレートじみた黒い重ニンジャアーマーに身を包み、円錐形の穂先を持つニンジャランスを振るって戦う。
ミラの母親を殺した張本人とされ、ひときわ激しく恨まれている。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#10 【モノキュラー】 ◆殺◆
カタナハント・ユニオンのニンジャ。
望遠カメラに似たサイバネ単眼で敵の秘密をよく見通す諜報員で、ネオフクオカのカブナカマ勢力圏に秘密基地を構える。
ビル街に隠しドージョーを構えて拠点としていたが、ミラに踏み込まれ、トラップ部屋での反撃も叶わず惨殺された。
97名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:10:21 ID:cGM()
◆忍◆ ニンジャ名鑑#11 【ワイルドバンチ】 ◆殺◆
野盗出身で、ツクシ平野のアウトローに広いコネをもつカタナハント・ニンジャ。
サイバー馬を巧みに乗り回し、ニンジャライフルや暗黒武道ピストルカラテ、フロシキ・マントを用いたウツセミ・ジツまで使いこなす芸達者。
野盗の群れを率いてカブナカマの資金源となるノースキューシュー・ツクシ間の列車を襲撃し、警備ニンジャを殺害したが、ミラの待ち伏せを受けて命を落とした。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#12 【フォーミュラ】 ◆殺◆
カブナカマ・カルテルのニンジャ。
火球に変じて突進攻撃する特殊カトン・ジツの使い手で、カブナカマ最速を豪語している。
機密データディスクを持つアークスパークたちを追跡したが、スピードが祟って突出しすぎてしまい、返り討ちに遭って殺された。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#13【ゴケニン】 ◆殺◆
カブナカマ・カルテルのニンジャ。
藍色の和鎧を纏いヤリを振るって戦うパワーファイター。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#14 【ネビュラチェイン】 ◆殺◆
カブナカマ・カルテルのニンジャ。
テッサ・カラテのタツジンで、エメツ合金製の楔付き鎖を体の一部のごとく自在に操る。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#15 【クロックワーク】 ◆殺◆
カブナカマ・カルテルのニンジャ。
とある元アマクダリニンジャに師事したバクチクのスペシャリストで、ステルスニンジャ装束で身を隠しつつ敵を爆殺する。

◆忍◆ ニンジャ名鑑#16 【オーバーロード】 ◆殺◆
カタナハント・ユニオンの首魁。
キャメルカラーのニンジャ装束を着て黄金のオカメ・オメーンを被った痩身の老人で、きわめて強力なカラテと魔性のカリスマによって組織を統率する。
98名無しさん@おーぷん :2018/10/13(土)18:14:26 ID:cGM()
以上でエピソード完結となります
読んで頂いた方がいらっしゃったら、ありがとうございました
今後は深夜のほうに投稿してみようかとも思っています
よければお付き合いください
99【18】 :2018/10/13(土)18:18:48 ID:RTb
オツカレサマドスエ!

新着レスの表示 | ここまで読んだ

名前: mail:





【忍殺】ネオフクオカ・キリング・チェインズ
CRITEO