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王「おお勇者よ!死んでしまうとは何事だ!」

1zwxtlMHLSgta:2018/10/03(水)12:56:16 ID:gFw()

王「何事だ……」

王「……」

大臣「陛下、彼等はもう」

王「わかっておる」

王「勇者の仲間達を家族の元へ帰してやれ、遺体はくれぐれも欠損せぬように慎重にな」

大臣「御意。……陛下、これからこの世界はどうなるのでしょう」

大臣「我々は、勇者亡き今。かの魔王に勝てるのでしょうか」

王「……」
2zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)13:16:17 ID:gFw()

王「あれから数日。民は此度の事をなんと?」

大臣「……世界の終わりだと皆嘆いております」

王「世界の終わりだと」

大臣「過去に類を見ない人類の危機、それに抗う為の勇者計画でした」

大臣「国内の治安も僅か四日で三割悪化しています」

王「なんという事だ……」

大臣「陛下、他国の王侯貴族との会談では何かお話をされたので?」

王「どの国も同じだ。若き東の帝王に至っては魔王に取り入る算段すら提案している」

大臣「それは……」

王「時間の問題だろうな。力無き小国の王達も魔王に屈すれば今すぐには滅ぼされんだろう」

王「時間が必要だからだろうな、我等には」

大臣「しかしそれでは国を守れません。直ぐに滅ぼされぬという保証もないでしょう」

王「然り」
3zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)15:44:13 ID:gFw()

王「大臣、先日の暴動はどうなった」

大臣「は。勇者達を無駄死にさせたと王を糾弾する者達を全て捕らえております」

王「放してやれ。その通りなのだからな」

大臣「法と面目の関係があります、陛下」

王「彼等もまた不安に駆られて動いた弱き者達だ。それはこの私とて彼等と何ら変わらぬ」

王「あの輝かしき若者達が死んだ事に胸を痛めるだけでなく、行動に移せる勇士である。解放してやれ大臣」

大臣「御意」
4zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)16:08:35 ID:gFw()

王「ヌゥ……」

王(勇者一行が死んだと報せが来て、早二月経った)

王(魔王城出現域から近い諸国は蹂躙されるか、その力と恐ろしさを前に屈してしまった)

王(妖精族種のドワーフ、エルフ、ハルピュイア、ダゴンの国は軒並み支配下に置かれ……そして今もなお昼夜を問わず虐げられているという)

王(……他人事ではない)

王(漸く、漸く我等は平和を勝ち取ったのだ。それをノコノコと現れた魔王に全て奪われていい筈がない)

王(だが私は無能な王だ……民を悲しませる事しか出来ぬ、それしか選べぬ)

王(準備は整った)
5zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)17:02:17 ID:gFw()

侍女「大変です閣下! 陛下が寝室にいらっしゃいません!」

大臣「騒々しいぞ、あの方は近頃何か思い悩んでいらっしゃるのだ。散歩くらいするだろう」

侍女「書き置きもありません。城内の監視システムを確認した所、深夜に陛下ご自身が一時的にシステムを切って……」

大臣「自ら城を出たというのか!?」

大臣「騎士団へ連絡を! 賊の可能性も視野に入れて捜索隊を編成せよ! 陛下を探し出すのだ!」

侍女「は、はいっ!」

< タッタッタッ…!

大臣(陛下……まさか、勇者の一件で御心を痛められて……?)

大臣(この国は貴方が守らなくてどうするのです、陛下……!)
6zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)17:13:54 ID:gFw()
〜【王国辺境領・国境線】〜


王「久しいな、年老いても仕事が早くて助かる」

老御者「急な話だったもんで、わしの馬車しか蔵から引っ張り出せなんだ。あんた昔と一緒で人使い荒いなぁ」

王「その代わりに報酬はいつも前払いでお願いしていただろう」

老御者「まぁ助かったよ。近頃は魔王のせいで馬車組合は傭兵組合に護衛を依頼するのが必須になって金にこまってたからなぁ」

王「今は護衛を連れていないのは金をケチったと?」

老御者「あんたぁ乗せるのに護衛なんかいるかよぉ、そんで? 行き先は決まってんのかい」

王「国境を跨いで東へ行く」

老御者「はいよ、聖国だね。ほら馬車を出すから乗りな」

王「……昔とは違い急ぎの旅になる。頼んだ」

老御者「心配しなさんな、俺の家族は俺なんか居なくってもどうにかならぁ」

< ヒヒ-ンッ!
< ガラララ…
7zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)17:18:46 ID:gFw()

< ガタン…ガタン…

王「この辺りの丘は、話に聞くよりも緑が増えたな」

老御者「左様で」

王「昔はあの辺りに溶岩が流れていたものだ」

老御者「溶岩の話は聞きたくないねえ」

王「まだ右も左も分からぬ私が若い修道女を連れてお前の馬車に飛び乗った時、追っ手の敵兵を巻く為に溶岩地帯を走り抜けさせたものだ」

老御者「あれ未だに夢に出るからやめてくれジジイ」

王「くくく、怒ったか?」

老御者「あんたは昔よりよく喋るようになったなぁ」
8zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)17:22:59 ID:gFw()

老御者「緑と言えば」

王「ふむ」

老御者「聞きやしたかい、エルフの」

王「……ああ、国を焼かれたと」

老御者「焼いたのは見せしめだけでさ、残りは一ヶ所に集めて慰み物にしてるんだと」

王「魔物に情欲があるというのか」

老御者「さぁねぇ、だがタチの悪い話だよ。あの心の弱い種族がそんな事されて平気でいられるとは思えねえ」

王「一刻も早く助けださねば」

老御者「……眠気覚ましになったかい?」

王「応」

老御者「そりゃ良かった、前方700にモンスターの群れ。数は二十弱」

王「行ってくる」バッ
9zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)17:42:28 ID:gFw()

王「戻ったぞ」ザッ

老御者「今も昔も変わらないねぇ」

王「いいや、老いたよ。旅立つ前の息子と試合した時に一本取られてしまった」

老御者「はぇー……親子だなぁ。血は繋がってなくても強くなれるもんだ」

王「ああ、私の誇りだ」

老御者「……残念だったよ。勇者の事は」

王「ああ」

老御者「忙しくて会いに行ってやれなかったが、俺ぁあんたと同じくらい好きだったぜ。あのガキ」

王「ああ」

老御者「……」

老御者(ダメだな、御者として明るい話も振ってやれねぇたぁ。俺も年食っちまったって事か)
10名無しさん@おーぷん :2018/10/03(水)18:09:54 ID:9hw
ゲームみたいに蘇生できないのか
11名無しさん@おーぷん :2018/10/03(水)18:11:26 ID:BGc
良いね
期待
12zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)18:20:19 ID:gFw()

老御者「聖国、首都に着きましたぜ」

王「早かったな」

老御者「急ぎなんでしょう?」

王「……む、待て。という事は既に結界を抜けたのか」

老御者「あの頭がクラクラする奴かぁ、どうだったか。そういや結界がなかった気がするね」

王「妙だな。番兵や物見の気配はあるというのに」

老御者「厄ネタかね」

王「殺気は無いが……」

老御者「じゃ、あんたを信じて待ってるよ。そろそろ馬も休ませたかったしねぇ」

王「ああ、何かあれば逃げていい」
13zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)18:26:16 ID:gFw()

〜【聖国・大神殿】〜


女司祭「ようこそ大神殿へ、聖教皇様が奥でお待ちです」

王「驚いたな。私が来る事を知っていたのか」

女司祭「先日、聖教皇様が陛下の文をいただいた際に御触れを。『きっと数日中に来る気でしょう』とね」くすくす

王「話が早くて助かる。出迎えに感謝を、ここからは一人で大丈夫だ」

女司祭「足元にお気を付けて下さいましね」くすくす

王(若い娘を相手にすると、不思議とエネルギーを吸われている感じがするな……やれやれ)

王「さて、あの聖女は元気にしているだろうか」
14zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)18:32:17 ID:gFw()

聖教皇「二十年ぶりですね、王」

王「君もな。白銀の美しさを見れて私は幸せだ」

聖教皇「お互いに良い歳をした王なのですから、そういった戯れは控えるように」

王「事実を言ったまでだ、君は変わらず美しい」

聖教皇「……老婆になってもそう言って下さるのは結構ですが、話を進めましょう。用件は」

王「俺と共に来てくれ」

聖教皇「……」

聖教皇「巫山戯ている。というわけではなさそうですね」

王「ああ、先日の悲劇で私は学んだ」

聖教皇「何をです」

王「恐らく魔王に太刀打ち出来るのは未だ存命している各国の王だけだ」
15zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)18:53:40 ID:gFw()

< ギシッ…

聖教皇「ふぅ……座ってお話をしましょう」

王「ああ」

聖教皇「……」

王「……」

聖教皇「貴方が、彼の死を哀しむのは分かります」

聖教皇「ですがよくお考えを、私達の立場。それも権力や地位の話ではなく『だからこそ自国に留まらなくてはならない』という話です」

王「理解している」

聖教皇「では何故に?」

王「息子だけではない。息子を信じて共に来てくれた者達が、若き英雄達が、これからを作る未来が死んだ」

王「過去に縛られて怖気付いた我等の代役となって、だ」

聖教皇「王。貴方は勘違いをしています」

聖教皇「彼等は犬死にしたと、そう思っているのですか?」

王「そんな事は言っていない」

聖教皇「そうでしょう。ですが、私にとって私達が前に出て行くとは死した彼等の否定でもあるのです」

王「……否定か」
16zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)19:06:38 ID:gFw()

聖教皇「勇者パーティーに参加していたのは、私の後継者となるべき聖女でした」

王「……ああ、知っている」

聖教皇「私の、後継者です」

王「……」

聖教皇「若き日の私の写し身。神の奇跡、神秘を身に宿した数少ない大神官をも上回る魔力を有した人間」

聖教皇「彼女一人で千を越える人間の命を蘇らせる事も、幾万の兵の命を奪う事も出来る」

聖教皇「ですがその身に宿した力以前に、彼女は優しい心を持った一人の少女だったのです」

王「聖……」

聖教皇「そんなあの子が信じてついて行き、そして仲間が死んで行く最中。諦める事なくその場に残り続けたのです」

聖教皇「誇りに思う、そうでしょう。残念に思う、そうでしょう。若い人に任せられないから前に出る、それは違うのでは?」
17zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)19:21:27 ID:gFw()

王「君の話はいつも耳が痛いな……だがいつもその通りだ」

聖教皇「……」

王「私にそうして話しながらも、君はいつも私の話を待ってくれる。説得できない事も分かっているのだろう」

聖教皇「ええ。ですが私は貴方を止めたい、だから先ずは言葉を投げるのです」

王「私は何も若い者に任せられぬゆえに出るのではない、守る為に戦うのだ」

王「戦争が終結して六十年の時が過ぎた。終結時の誓約によってあらゆる兵器、魔術、召喚術といった技術が失われて久しい」

王「そこへ現れたのが魔王達だ。かつての我々と同等以上の兵力と魔術、兵器を携えた人外の輩だ」

王「奴等は……この世界の平和をただそこに転がっている物だと思い込んでいる。そんな事が許されるのか」

王「私は許せない」

聖教皇「……」
18zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)19:22:58 ID:gFw()
【休憩】
19名無しさん@おーぷん :2018/10/03(水)21:36:49 ID:Fxr
王「私は許せない」

聖教皇「……」

勇者「許せないですよね」

聖女「許せませんよね」

王「そうだろう」

聖教皇「そうですわね」

王「……なに?」

聖教皇「……えっ?」
20名無しさん@おーぷん :2018/10/03(水)21:37:12 ID:Fxr
王「なぜ」

聖教皇「あなた方が」

聖女「ご存じなかったのですか?」

勇者「勇者は何度でもよみがえるのです。無論、その仲間も」

驚く王と聖教皇、だが彼らの心は理解した

王「私と勇者が」

聖教皇「私と聖女が」

聖女「融合し」

勇者「敗北の時に再び向かい」

四つの光が輝き始める

そして……

聖教皇女「魔王を討ち果たし」

勇者王「人の世に勝利を」

過去へ!
21名無しさん@おーぷん :2018/10/03(水)21:37:35 ID:Fxr
~過去、勇者パーティ全滅直後~

魔王「フン、勇者どもが。口ほどにも」

聖教皇女「それはどうかしら」

魔王「な、貴様らは」

勇者王「この切なきまでの人の世の一撃を食らえ」

魔王「馬鹿な、その光の力は」

魔王は滅びた

そして訪れるはずの悲しみは消え、輝ける明日が訪れる

happy end
22zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)22:03:40 ID:gFw()

聖教皇「それで。如何するおつもりですか」

王「?」

聖教皇「私も歳を取りました、気が短くなったとも。貴方が頑固なのは建国してからも変わりないと再認識した所で、振り出しです」

聖教皇「魔王に挑むという貴方を無視は出来ません、我が国の同盟国でしかも私の友人を見殺しになど。とても」

王「来てくれるのか」

聖教皇「それについての返答はまた後ほどに」

王「分かった、話そう」
23zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)22:24:51 ID:gFw()

王「地図はあるかな。私は急ぎで出て来てしまってな、正式な物を持ち合わせていない」

聖教皇「ではこちらを、一昨年に入手した物ですが」ガサッ

王「助かる」

王「『大陸』から北に並ぶ諸島の中でも、この最も大きな島が私達の国がある陸なのは知っているな」

聖教皇「ええ、我々の方が文明的に遅れを取っているとも聞いています」

王「この他にも近年まで我々が『異世界』と呼んでいた五つの諸島の内から魔王は現れたとされている」

王「魔王に関する情報は少ない。そもそも『大陸』から来た訳でもないのだ、まず連中を知る者がいない」

王「分かっているのは数々の異種族を抱えた巨大勢力という事だけである」

聖教皇「異種族? 彼等はあれで一つの種ではないのですか」

王「我々から見たドワーフやエルフのようなものだ。あれらも『大陸』では亜人として一括りにはされていても全くの別種らしい」

聖教皇「なるほど」
24zwxtlMHLSgta :2018/10/03(水)22:51:25 ID:gFw()

王「他国が掴んだ情報ではあるが、現在の魔王軍は例の城で移動し続けている」

聖教皇「浮遊城ですね、我が国でも知られています。高度は8000近い天空の彼方にあり、ハルピュイア達の国ですら近付けなかったとか」

王「……ハルピュイアもダメだったか」

王「だがそうじゃない筈だ。未だ失伝していない、かつての戦争での力を有した国ならば魔王に近付く事は可能だろう」

聖教皇「その国とは?」

王「魔王城の出現域から西、かつて『異世界』から持ち込んだ機械技術が残されているとされる『機構国』だ」

王「魔術とは別の学問から作り出される機械なら、或いは魔王に対抗する物が見えてくるかもしれない」

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